日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
「航空機まで変化させられるなんて報告にありませんでしたが!?」
「僕も初めて知りました!」
ーーーーー
ニューヨークが見えてきた。
クウガの力で変質したクインジェットは、コールソンさん曰く「計器がおかしいとしか思えない速度」で空を駆け抜けている。その甲斐あって、スターク・タワーもすでに目視できる距離まで近づいていた。
「もう少しですね!」
「ええ。このままなら――」
コールソンさんが言いかけた、その時。スターク・タワーの頂上から青白い光が天へと伸びた。
「……っ!」
間に合わなかったか!テッセラクトから放たれた光が空を貫き、雲が渦巻き空間そのものが裂けるように、巨大な穴が開いた。
ワームホール。
その向こうには、ニューヨークの青空とは全く違う、暗い宇宙が広がっている。
「くそっ……!」
コールソンさんが操縦桿を握り締めた。
「止められなかった……!」
その声には、はっきりと悔しさが滲んでいた。でも、
「コールソンさん。」
「?」
僕はワームホールを見上げる。もう開いてしまったなら、次にやるべきことは決まっている。
「まだ終わってませんよ。」
ワームホールの向こうから、何かが飛び出してくる。
一つ。二つ。十。いや、もっと。装甲を纏った異星人、チタウリ。映画で見た軍勢が、次々とニューヨーク上空へ雪崩れ込んでくる。
「……来た。」
分かっていたけど実際に見ると洒落にならない。空が敵で埋まっていく。
「黒雄君。」
「はい。」
「着陸地点を探します。それまでは――」
甲高い鳴き声が聞こえた。聞き慣れたというには少し久しぶりだけど、忘れるはずのない声。
「え?」
窓の外を見ると、クインジェットの横を黒い影が追い抜いていった。大きな顎に金色の装甲。昆虫とも機械ともつかない、不思議な姿。
「…………ハハッ。」
思わず笑ってしまった。
「来た。」
「ええ、宇宙人が軍隊でーー」
「違います。相棒が来ました。」
「相棒?」
ゴウラム、わざわざアメリカまで来てくれたのか。どうやって僕がニューヨークに向かってるって分かったのかは気にしないでおくとして、今はただ相棒に感謝を。
「コールソンさん。」
「はい?」
「僕、ここで降ります。」
「…………はい?」
当然の反応だよね。
「ここは、空ですが。」
「大丈夫です。」
「大丈夫の意味を説明してください。」
「相棒が来たので。」
ハッチに向かう。
「待ってください、黒雄君。」
「下の市民の避難、お願いしますね。」
「待ちなさい。」
「あとS.H.I.E.L.D.にも連絡を。ワームホールから敵が大量に――」
「黒雄君。」
「はい?」
振り返るとコールソンさんがすごく嫌そうな顔をしていた。
「まさか。」
「はい。」
「そこから飛び降りるつもりですか?」
「はい。」
「…………。」
無言。怒られるな、これ。
「大丈夫ですって。」
「あなたの『大丈夫』は信用しないことにしました。」
「酷い。」
「神に刺されたばかりの人間が言わないでください。」
正論だけれど、もう傷だって塞がっている。
それにチタウリが地上へ降り始めている。人々は空を見上げ、パニックになりながら逃げ惑っている。
「……行かないと。」
僕が言うとコールソンさんも眼下を見る。
「分かりました。」
「ありがとうございます。」
「ただし、無茶はしないでください。」
「努力します。」
「約束してください。」
「…………善処します。」
「黒雄君。」
「行ってきます!」
逃げるようにハッチを開ける。強烈な風が吹き込み、眼下に広がるのはマンハッタン。その上空にはチタウリの軍勢。そして、クインジェットから少し離れた位置を飛んでいるゴウラム。
「行くぞ、ゴウラム!」
ゴウラムが返事をするように鳴く。
腰へ手を当てることで体内のアマダムが反応し、銀色のアークルが姿を現した。
「変身!」
赤い装甲が全身を覆うマイティフォームへと姿を変える。
「黒雄君!そこにかかっている無線機を念のため持っていって!」
「分かりました!」
無線機を掴み、そのまま空へ飛び出す。落下で風が全身を叩き、地面まで数百メートル。でも、まったく怖くない。
「ゴウラム!」
呼び声に反応した相棒が急旋回、僕の真下へ滑り込む。
ガンッ!と両足でゴウラムの背を捉える。
「よし!」
今回はバイクではなく、ゴウラムそのものに乗る立ち乗りだ。ガタックスタイルとも言う。
バランスを取るように膝を曲げるとゴウラムは一気に加速した。
「うおおおおおっ!!」
雄叫びを上げながらニューヨーク上空を飛ぶ。眼前にチタウリの飛行兵器が三機現れ、こちらに気づいて光弾を撃ってくる。
「ゴウラム!」
急旋回で一発、二発と光弾をかわす。三発目は、
「はっ!」
拳で弾き返す。
弾き返された光弾はそのまま撃ってきたチタウリに直撃し、爆発した。………叩き落とすつもりで殴ったら跳ね返せた、便利すぎるぜ封印エネルギー。
僕はクウガの封印エネルギーに着目して、意識して手や足に纏うようにしている。格上相手に古代のクウガがライジングやアメイジングなしで戦えた要因の一つはコレじゃないかと思ってる。
事実、グロンギにはよく効いたし、防御、攻撃にも使える万能パワーだ。
「次!」
ゴウラムが敵の側面へと回り込み、僕は飛び上がる。
「ふんっ!」
そのままチタウリ兵の顔面へパンチ、吹き飛ばす。運転手を失った飛行兵器の機首を掴み、力任せに方向を変え、
「そっちも!」
別のチタウリへと突っ込ませる。良し、激突して二機まとめて爆発した。僕が落下する前にゴウラムが下へ回り込んでくれてるので再び背中へ着地。
「やっぱ頼りになるね!」
完璧なタイミングで拾ってくれる相棒を褒める。ゴウラムが喜ぶように鳴いた直後、上空からさらに大量のチタウリが降ってくる。
「…………。」
多いな。映画と実際に見るのとじゃ全然違う。基本タイマンか警察との作戦攻めだったグロンギ戦とは違い、相手は大軍。
ならやることはシンプル。地上へと向かう敵を一体でも多く墜す。
「ゴウラム!」
指を前へ向ける。
「突っ込むぞ!」
僕の指示通り、ゴウラムがチタウリの群れの真正面へと飛び込んでいく。
「おおおおおおおっ!!」
すれ違いざまに、拳、蹴り。封印エネルギーを忘れずに。ゴウラム自身もその顎で敵を弾き飛ばす。
ニューヨークの空を駆け抜ける僕ととゴウラム。
派手にやっているためか、逃げ惑っていたニューヨークの人々が空を見上げてる。いや、見てないで早く逃げて!
ワームホールからさらにチタウリが押し寄せてくる。けれど、
「ここから先は――」
ゴウラムの加速に合わせて体から封印エネルギーとは別のエネルギーを滾らせる。
「行かせない。超変身!」
マイティフォームの赤に、金色の装飾が追加されていく。
ライジング・マイティフォーム、コレのデメリットを今はメリットに変えろ!
「吹っ飛べ!」
先行していたチタウリの一体に、大量の封印エネルギーをキックを通して流し込む!………入れすぎるとヤバいからちょっと調整して、群れの中心あたりに蹴り飛ばす!
喰らえチタウリ!クウガの裏必殺技、
封印エネルギー過剰注入爆破!
一体のチタウリが爆発し、ニューヨークの空を埋め尽くす勢いであったチタウリの軍勢の一角を丸々を吹き飛ばすことに成功!
「ヨシ!」
『ヨシ!じゃ、ありませんよ!なんですか今の爆発は!?』
コールソンさんが何か言ってるけど聞こえない聞こえない。
ーーーーー
ドォォォォォン!!
スターク・タワー上空でチタウリの群れの一角が、巨大な爆発に飲み込まれた。
「…………。」
ロキはタワーの窓越しに、その光景を無言で見つめていた。
赤の戦士、今は金色も追加されているが、ヘリキャリアでセプターによる支配を退け、あまつさえ私の顔面を殴り飛ばしたあの少年。
その少年が見たこともない生物?の背に乗り、チタウリの兵士たちを次々と撃墜している。
なんなら、先ほどは一体を蹴り飛ばしたかと思えば、その兵士がチタウリの群れの中心で爆発し、何十もの兵が一撃で消し飛んだ。
「…………。」
あの時、ヘリキャリア内で追撃を選ばなかったのは正解だったかもしれない。いや。決して、恐れたわけではないぞ。あの場には増援も迫っていたし、余計な戦闘を続ける理由がなかっただけだ。そう、それだけだ。
内心で自分自身に言い訳をしていると、
「随分派手にやってるな。」
背後から聞こえた声に、振り返る。そこにはトニー・スタークがおり、悠々と部屋へ入ってくる。
奴も視線を窓の外に向けている。
遠くでは例の少年が飛行兵器を蹴り落としーーあ、ビルに突っ込んだ。
「……僕の街を壊すなとは言ったんだけどな。」
また爆発し、多くのチタウリがやられた。
「まあ、敵だけ狙ってるなら及第点かな。」
スタークはそう呟き、手首の端末を操作し始めた。
ーーーーー
「ジャーヴィス。」
『はい、スターク様。』
「今の爆発、記録しておいてくれ。」
『すでに記録済みです。』
「さすがだ。」
しかし、どういう原理だ?蹴った相手を時間差で爆弾に変えているアレ、凶悪極まりないぞ。
本人が言っていた『封印エネルギー』とやらの応用か?本人は自分の能力について随分と「たぶん」を連発していたが、ますます調べる価値が出てきた。実に興味深い。
「……何がおかしい?」
ロキが尋ねてくる
「別に。知り合ったばかりの高校生が宇宙人相手に無双してるのを見て、最近の若者は元気だなって思ってただけさ。」
僕の言葉でロキの表情が歪む。
「少年一人が戦ったところで何が変わる。」
「そうかな?」
窓の外へ目を向けると、ちょうど飛行兵器、なんだアレ?クワガタ?から飛び上がり、チタウリ兵を殴り飛ばしている。
「少なくとも君の兵隊、結構な数が減ってるけど。」
「いくらでもいる。」
「そうかい。」
ロキの言葉は気にせず、酒のボトルが並ぶカウンターへ歩いていく。
「ところで。」
グラスを手に取り、
「もう止めにしないか?」
こちらから提案を持ちかける。
「何?」
窓の外を指差す。空から次々と降り注ぐチタウリ、その下ではニューヨーク市民が逃げ惑っている。
「このつまらないお芝居。」
氷をグラスへ落とす。
「君の兄貴もそうだけど、アスガルド人は演出が派手すぎる。」
ロキは無言で睨んでくる。
「どうした?宇宙の王様になろうって男が、僕一人にビビってるわけじゃないだろ?」
「お前を?私が?」
ロキが笑ってくる。
「随分と自信があるようだな。」
合わせて僕も笑う。
「まあ、僕は一人じゃないからね。………君は僕たちに喧嘩を売った。」
「ほう?」
再び窓の外を見ると巨大クワガタが急旋回、クウガがチタウリ兵を一体蹴り飛ばしている。あ、また爆発した。
「その結果、やたら元気な日本の高校生一名は特にお怒りだ。」
ロキの笑みが薄くなるのを見逃さない。
「へぇ?」
「何だ。」
「もしかして彼が、クウガが嫌いかい?」
「…………。」
「顔を殴られたから?」
ロキの眉間に青筋が浮かぶ。
「人間ごときが。」
本当に面白いなあの少年は。この反応、殴られただけじゃないな。ロキ相手に何をしたんだ?後で詳しく聞こう。
「奴も。貴様らも。」
ロキが近づいてくる。
「全て私に跪くことになる。」
「それはやめた方がいい。」
ロキが首を傾げる。
「何故?」
「僕たちに軍隊はない。でも、」
キャプテン・アメリカ。
「スーパーソルジャーがいる。」
ソー。
「君の兄貴の雷神様もいる。」
ナターシャ。
「凄腕の暗殺者。」
クリント。
「弓矢で戦争に来るおかしな男。」
窓の外で暴れているティーンの少年。
「さらには、古代のベルトで変身する高校生。」
そこまで言って少し考える。
「……改めて並べると、本当に変な集まりだな。」
「だから何だ。」
「まだいる。本当に怒らせたくない奴がね。」
ブルース・バナー。
「僕らにはハルクがいる。」
ロキが鼻で笑った。
「私は軍隊を持っている。」
「僕たちにはハルクがいる。」
「さっき聞いた。」
「大事だから二回言った。それに、君の計画には一つ致命的な問題がある。」
「ほう?何だ?」
「僕たちが勝つ。そして、君は負ける。」
窓の外で、またチタウリが大爆発を起こし、衝撃波で窓が揺れる。
「……特にあの子、このペースだと君の軍隊を半分くらい一人で片付けそうだし。」
「黙れ。」
流石に苛立ったのか、ロキが杖を、セプターを向けてくる。
「いいか、人間。お前程度の男が――」
セプターが胸元に触れ、エネルギーが流れ込んでーー
「…………。」
「…………。」
ーーこない?というより僕に効いていない?
ロキがもう一度アーク・リアクターにセプターの先端を当てるが何も起こらない。
「…………。」
僕は自分の胸を見て、ロキを見る。
「あー、何かした?」
ロキの顔が引きつる。
「これは……。」
もう一度、カツンっとしてくる。
「…………。」
「こういうの、もしかして今日二回目?」
ロキの表情が止まった。
「……なんだと?」
「いや。」
スタークが笑う。
「クウガにも効かなかったんだろ?」
「…………。」
「なるほど。」
完全に察した。
「今日は調子悪いね、その杖。」
「黙れ!!」
ロキに胸ぐらを掴まれる。
兄貴みたいにマッチョじゃないくせにパワーあるなコイツ!これだからアスガルドの神様とかいうヤツは!
「うおっ――!」
そのまま窓へ投げ飛ばされ、
ガシャァァァン!!
ガラスを突き破って、宙へと放り出される。
「ジャーヴィス!」
叫びに反応して、タワー内部からMark VIIが飛び出し、落下する僕を追いかけてくる。空中でアーマーを装着し、アイアンマンとして空へと舞い上がる。
『さて。』
ディスプレイ越しに見えるのはチタウリの軍勢、そして、そのど真ん中を飛び回っている赤い戦士。
『ジャーヴィス、クウガをーー』
『すでに捕捉しています。』
「さすが。」
スラスターを全開にする。
さて、ファンサービスでもするかな。
ーーーーー
「右!」
ゴウラムが急旋回。
「おりゃ!」
パンチ。
「後ろ!」
飛び蹴り。
「ゴウラム、そのまま突っ込め!」
飛行兵器を操縦していたチタウリをゴウラムで弾き飛ばす。良い子は真似しないでね!
まだまだ数が多い。………使うか?ライジングの上を。
『随分楽しそうだね。』
悩んでいると聞き覚えのある声が無線から聞こえてきた。
振り返ると赤と金の人影が飛んできた。
「スタークさん!」
アイアンマンた!本物のアイアンマンとニューヨーク上空で共闘するの僕!?それはテンション上がる。
『先に行ってろとは言ったが、』
スタークさんは僕の横を飛びながら、リパルサーでチタウリ兵を吹き飛ばす。
『派手にやりすぎじゃないか?』
「敵しか吹っ飛ばしてませんよ!」
『さっき君が倒したチタウリがビルに突っ込んでたぞ?』
「すみませんでした!」
『素直でよろしい。』
会話をしながらも、スタークさんはチタウリの飛行兵器を撃墜していく。
「あ、他の皆も来たみたいですよ!」
『やっとか。良しクウガ、一度合流するぞ。』
「はい!」
ーーーーー
ニューヨーク市街にキャプテン・アメリカこと、スティーブ・ロジャーズの声が響く。
「この通りを封鎖しろ! 市民は地下へ避難させる!」
チタウリの攻撃で道路は既に滅茶苦茶なっている。車は乗り捨てられ、建物からは煙が上がり、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑う。
「地下鉄と建物の地下階へ誘導しろ! ここから先は通すな!」
地元警察の警官が一瞬戸惑い、反論する。
「なんであんたの指示を――」
ドォンッ!!
盾を構えたスティーブが飛んできた光弾を弾き飛ばす。
「今でも説明が必要か?」
警官は一瞬固まってから、すぐに無線を掴んだ。
「全員聞け! この通りを封鎖! 市民を地下へ誘導しろ!」
ーーーーー
流石キャプテン、あの辺りは任せて大丈夫かな?
「ゴウラム、右!」
ゴウラムが身体を傾け、光弾をかわし、そのままチタウリの飛行兵器へと横から突っ込む。
「せいっ!」
すれ違いざまにチタウリ兵が蹴り落とす。
『クウガ、人の上に落とすなよ!』
無線からスタークさんの声。
「ああ!すみません!」
急ぎ蹴り落としたチタウリを追いかけ、ゴウラムの顎で拾い、そのまま別の飛行兵器に投げつける。
『……随分器用だな、その虫。』
「ゴウラムです!」
『虫じゃないのか?』
「本人の前で言わない方がいいですよ。」
ゴウラムが怒ったように鳴く。
「ほら、怒っちゃった。」
ーーーーー
「……あれがクウガの実力か。」
地上からスティーブが空を見上げていた。赤と金の戦士が、奇妙な飛行生物の背に乗りながらチタウリの群れへ突っ込んでいく。
拳や蹴り、飛行生物の突撃を駆使して戦い、時折、敵そのものを爆弾のように変えて周囲ごと吹き飛ばしている。
「十五歳からあれをやってたのか?」
クリントが弓を構えながら、呆れたように言う。
「そうらしいわ。」
ナターシャが空中のチタウリ兵を射撃しながら答える。
「日本の警察も大変だったろうな。」
「本人も大変だったでしょうけどね。」
ナターシャが返した、その時。空中戦を繰り広げているクウガがゴウラムの背から飛び上がり、回転踵落としを飛行兵器に乗るチタウリに叩き込み、飛行兵器ごと真下の道路へ叩き落とした。
ドォンッ!!
さらに、狙ったような爆発が道路に展開していたチタウリ数体を吹き飛ばした。
「「…………。」」
クリントとナターシャが無言になる。
「強いな。」
スティーブが一言。
「強い、の一言で済ませていいのか、アレは?」
クリントが返す。
「十五歳の時点で未確認生命体とやらを壊滅させた実績があるんだ。戦士としての実力は分かっていたことだろう?」
「資料で見るのと実際に見るのは違う。」
ナターシャが空を見ると、クウガが再びチタウリの群れへ飛び込んでいった。
「同感ね。」
ーーーーー
「まだ来るのかよ!」
ワームホールから次々とチタウリが降りてくる。かなり減らしてるはずなのに全然終わらない。
映画で見てた時より多い!当然だよな、画面に映ってないヤツだっているんだから。
内心で愚痴りながらチタウリを倒していると、遠くから雷鳴が轟き、青白い雷がチタウリをまとめて焼き払った。
「おお!」
ムジョルニアを振るう雷神様の登場だ!
「ソーさん!」
『ようやく兄貴の到着か。』
スタークさんが嘆息を付いているとソーさんがこちらへ視線を向けてきた。
「クウガ!」
声デカ。この距離で聞こえるの凄いな。
「よくぞ持ちこたえた!」
「そちらもご無事で良かったです!」
「ハッハッハ! この俺を誰だと思っている!」
雷神様ですよね。
そしてもう一人、道路を一台のバイクが走ってきた。
「……来た。」
バナー博士だ。ボロボロの格好だけど、ちゃんと来てくれた。
『バナーも来たか。』
バナー博士がバイクを降り、スティーブさんたちも集まっていく。僕もそちらへ向かおうとしたその時。
「……ん?」
ビルの向こうから巨大な兵器が姿を現した。
「デカっ!」
映画で見たリヴァイアサン?だっけ。実物怖っ!巨大な龍のような機械生命体が、ビルの間を押し潰すように飛んでくる。そしてその前を、
『ちょっと通るよ!』
リヴァイアサンを引き連れて、スタークさんが飛んでいた。
『バナー!すまんがコイツを頼む!』
スタークさんが無線で叫ぶ。
………引き連れてるんじゃなくて、追い回されてるのか?地上ではバナー博士が巨大なリヴァイアサンへと向かって歩き出した。
「バナー。」
キャプテンが盾を構えながら心配そうに声をかけるが、バナー博士は小さく笑いながら、映画の名台詞を言った。
「僕には秘密がある。」
歩きながら。
「いつも怒ってる。」
身体が膨れ上がり、皮膚は緑へ。ハルクだ。
ズドォォォン!!
ハルクの強烈な拳はリヴァイアサンの顔面を粉砕。巨大兵器の突撃を跳ね飛ばした。
「凄い!!」
あのサイズの敵をたったパンチ一発で!後方から押し寄せていた身体までめり込むように折れ曲がっている。
「ハルク強い!」
思わず叫んでしまった。
『感想は後にしろ!』
スタークさんが飛びながらミサイルを撃ち込み、リヴァイアサンが爆発、地上に巨大な炎が上がる。
この後、アベンジャーズのあのシーンになるはず!って感動してる場合じゃない。
「もう一体来てます!」
最初のリヴァイアサンとは別方向からもう一機!
「何!?」
キャプテンが驚いて盾を構え直す。
第二のリヴァイアサンが真っ直ぐ突っ込んでくる。
「ゴウラム!」
呼び声に相棒が答えてくれる。
「クウガ!?」
「任せてください!」
ゴウラムに乗り、リヴァイアサンに突っ込んでいく。でも、あの質量が相手じゃ半端な攻撃はダメだ。
「超変身!!」
気合いを入れるために、改めて叫ぶ。でも、変化するのは僕ではなく足元の相棒だ。ライジングの力をゴウラムにも流し込む。
『……何だ?』
スタークさんの声が疑問の声を上げるが答えている時間はない。
ゴウラムに金色の紋様が走り、装甲が追加される。
良し、ライジングゴウラムの完成だ!
……これ、初めてやったけど上手くいって良かった。
「おおおおおおおっ!!」
空中へ飛び上がり身体を捻って飛び蹴りを放つ。
右脚にエネルギーを集中し、
「行けぇぇぇぇぇっ!!」
ライジングマイティキックをゴウラムの後方部分に蹴り込む!
「――!」
ゴウラムも呼応するように鳴く、いや咆える。
蹴りの威力に加え、ライジングの力、封印エネルギー、ゴウラム自身の飛行能力。
全部を叩き込む
ゴウラムと僕は、勢いを殺すことなくリヴァイアサンの頭部へと突っ込む。
「喰らえぇぇぇぇぇっ!!」
ゴウラムの顎が、リヴァイアサンの頭部へと真正面から激突する。
バギィィィィン!!
巨大な装甲が、リヴァイアサンの頭部ごと一瞬で砕け散り、金色のエネルギーが全身へ走っていく。
「マズ。」
ちょっと力を入れすぎた?封印エネルギーは加減したから爆発しなーー
ギガァァァァァァァァァァァン!!!
大爆発の代わりに、ソーさんのよりも強力な電撃がリヴァイアサンを駆け巡り、ニューヨークの大通りを照らした。
あ、周囲のチタウリまで感電してる。
「よっ!」
リヴァイアサンの頭を貫通したゴウラムと無事合流。
「ありがとう、相棒!」
無茶に付き合ってくれた相棒に感謝を伝え、成果を確認する。
二体目のリヴァイアサン完全に沈黙。むしろ丸こげ。
「……ヨシ。」
『ヨシじゃない。』
スタークさんから連絡が入る
『今のは何だ?』
「えっと、……………ライジングゴウラム落とし、です。」
『今考えた?』
「はい。」
『だろうな。』
ーーーーー
「「「…………。」」」
地上ではスティーブたちがクウガが作り出した惨状を唖然とした表情で見ていた。
ハルクまで少しだけ驚いているように見える。
「あれが。」
スティーブが呟く。
「十五歳から戦っていた少年か。」
「ええ。」
ナターシャが答える。
「資料では見ていたけど。」
爆煙の向こうからクウガがゴウラムに乗って降りてくる。
「実物は随分違うわね。」
「同感だ。」
「強い、の一言で表現して良い強さじゃないな。」
そして三人ほぼ同時に。
同じことを考えた。
ーーーあれは怒らせない方がいい。
「何だ?どうかしたか?」
ソーだけが首を傾げている。
「いや。何でもない。」
ハルクは低く唸っているが、何故か少し楽しそうだった。
ーーーーー
「お待たせしました!」
僕はゴウラムから飛び降り、そのすぐ横へアイアンマンも降りてくる。
『随分と派手だったな。』
「スタークさんに言われたくないですよ。」
『僕は計算してやっている。』
「僕も計算してますよ。」
『本当に?』
「……フィーリングって大事ですよね。」
『ほらね。』
上空から雷を伴ってソーが着地してくる。
その横にはハルクが。ナターシャさんにクリント、当然キャプテンもいる。
アヴェンジャーズが全員揃った。
「…………。」
言葉が出ない。
アイアンマン。
キャプテン・アメリカ。
ソー。
ハルク。
ブラック・ウィドウ。
ホークアイ。
そして。
「クウガ。」
キャプテンが僕を呼んでくる。
「はい。」
「ここからは皆でやるぞ。」
「………はい!」
周囲をチタウリの軍隊が取り囲んでくる。ビルの上に道路、空中。数え切れない敵だけれど、不思議と怖くない。
キャプテン・アメリカが盾を構えた。
「ここから反撃する。」
スタークさんが開けていたフェイスカバーを閉じる。ソーさんがムジョルニアを振り回す。クリントが矢をつがえ、ナターシャさんが銃を構える。ハルクが雄叫びを上げ、僕も、クウガも構えを取る。ゴウラムも頭上を旋回してやる気十分。
内心、すごく叫びたい。アベンジャーズ、アッセンブルって叫びたい。むしろキャプテンに言ってほしい!
「クウガ?」
きに呼ばれる。
「あ、はい!」
「大丈夫か?」
「大丈夫です!」
集中せねば。
キャプテンが一歩前へ出る。そして一言、
「行くぞ。」
僕は思わず笑ってしまった。
「はい!」
――ニューヨーク決戦。
アベンジャーズの、クウガの、七人の反撃が始まった。
ーーーーー