日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
アヴェンジャーズ(無印)編、完結
そこから先は戦争だった。
チタウリの軍勢は空から、地上から、次々と押し寄せてきた。
キャプテンが全体を見ながら指示を飛ばし、ナターシャさんとクリントが地上を押さえていた。ソーさんは雷で空を焼き、ハルクは文字通り暴れ回っていた。スタークさんは空中を縦横無尽に飛び回り、僕もゴウラムと一緒にチタウリを一体でも多く地上へ降ろさないように撃破していった。
正直、切り札を使わないクウガが一人増えたところで、戦争そのものが簡単に終わるわけじゃなかった。
それでもーー
「ゴウラム、下!」
地上へ向かおうとしていた飛行兵器を強襲して、チタウリを蹴り落とす。
『クウガ! 東側へ三体抜けた!』
「分かりました!」
クリントからの連絡を受けゴウラムを旋回、そちらへ向かう。
ーー被害を一人でも多く減らせられるなら、戦うことに意味はある!
ーーーーー
やがて、ロキはハルクによって叩きのめされた。
スターク・タワーの床へ何度も叩きつけられた神様の姿は映画のまんまだった。
『どうした?』
無線越しのスタークさん。
「いえ、なんでもないです。」
思わず笑ってしまったのをスタークさんに気付かれてしまう。
気を引き締めろ。この後、ニューヨークへ向かって飛んでくる核ミサイルをスタークさんが確保し、ってもうしてるし!?
『ジャーヴィス!』
ミサイルを抱えたままワームホールへ向かうスタークさんを追いかける。
「スタークさん!」
『なんだ?今忙しくて、』
「つゆ払いは任せてください!」
『………まったく。実に頼りになるティーンだ。』
スタークさんが加速する。
「行くよ、ゴウラム!」
『待て、クウガ!』
キャプテンの制止する声が聞こえるけど、
「すみません!」
ゴウラムを全力で加速させてアイアンマンに並び、そのまま二人でワームホールへと突っ込んだ。
ーーーーー
「…………。」
ワームホールの向こうの宇宙。
そこには、チタウリの母艦と周囲に広がる大軍勢がいた。
「……凄いな。」
映画とは違い、実際に見ると数が違う、桁が違う。これが全部、地球へ降りてきていた可能性があったのか。
………いや、それどころじゃない。この先、サノスやまだ見ぬ敵が地球にやってくる。
「…………。」
一瞬、頭に浮かんだのは、アルティメットなら?という疑問。
ダクバ相手の時は、互いに力を封じあっての殴り合いだった。だけど、制限無しのアルティメットなら、究極の闇をもたらす力なら、どこまでやれる?
チタウリの母艦も、この軍勢も、まとめて全部ーー
「……いや。」
やめよう、今使う必要のない力だ。使わなくて済むのなら、それが一番いい。
『クウガ。』
スタークさんの声が聞こえた。
「はい。」
『戻るぞ。』
「了解!」
直後、ミサイルが母艦に直撃。一瞬、宇宙が白く染まった。
「うおわっ!?」
衝撃でゴウラムが大きく揺れる。
「凄い衝撃でしたね、スタークさん。スタークさん?」
視線向けると、アーマーの推進光が消えていた。
「スタークさん!?」
マズい、映画通りになってる。
「ゴウラム!」
アイアンマンへと手を伸ばす。
「よいっ、しょ!」
掴んだ!このままワームホールを通ればニューヨークに戻………閉じ始めてる!?
「急いで!」
ゴウラムが慌ててワームホールに飛び込み、ニューヨークの空に戻ってきた。
そして下から緑色の巨体が跳んできた。
「え?」
ハルクさん、大丈夫です、落ちませんよ。
「待っ――」
ドンッ!
スタークさんごと、まとめてハルクにキャッチされたまま地面へ着地。ゴウラムはちゃっかり回避してる。ズルい。
って、それどころじゃないんだった!
「スタークさん!」
キャプテンたちも駆け寄ってくる。
「トニー!」
反応がない。
というわけでハルクさん、よろしくお願いします。
「グオオオオオオッ!!」
咆哮に驚き、スタークさんが目を覚ました。
『ッ!何だ、どうした!?』
よし!生きてる!
「スタークさん!」
『……何が、起きた?』
「帰ってきましたよ!」
『そうか。………クウガ。』
「はい?」
『つゆ払いって、普通は入口までじゃないか?』
「そうですか?」
『……後で説教だな。』
「なんで!?」
助けたのに!
ーーーーー
その後、チタウリは母艦が破壊されたことで一斉に停止。
戦いは終わった。
ーーーーー
スターク・タワーではロキが床に座り込んでいる。
目の前にはアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイ、そして僕。
七人を見回したロキはしばらく沈黙したあと、
「……飲み物をくれないか?」
「えっと水で良いですか?」
「クウガ。」
コップを探していると、キャプテンに呼ばれる。
「与えなくて良い。」
そうなんだ。
ーーーーー
それから全部が終わったあと。僕たちはスタークさんの提案で近くの店へ寄った。
「ここ?」
僕は看板を見るとシャワルマって書いてある。
「どうした?」
クリントが聞いてくる。
「いえ。」
「食べたことあるのか?」
「ないです。あ、ケバブならあります。」
「じゃあちょうどいい。」
スタークさんが先に店へ入っていく。
いや、普通に歩いてるけど、さっき核ミサイル持って宇宙行った人だよな?元気だな………僕もか。
ーーーーー
店内では全員が疲れ果てていた。
「…………。」
でも、せっかくなのでシャワルマを一口。
「……美味しい。」
普通に美味しい。
「だろ?」
スタークさんが少し得意そうだ。
「美味しいお店を紹介してくれてありがとうございます。」
「僕が店を選んーー、素直にお礼を言われるとなんか調子が狂うな。」
スタークさんの戸惑った様子に皆が笑い、少し空気が緩んだ。
「それにしても、君。」
「はい?」
「本当にティーンの高校生なんだよな?」
「そうですよ。」
「今日は、」
クリントが指を折りながら何かを数え始める。
「神に刺されて。」
「痛かったですが、あれくらいならすぐ治りました。」
「単身で宇宙人が暴れるニューヨークに乗り込んで。」
「コールソンさんと、ゴウラムも一緒でした。」
「その宇宙人を大量に吹き飛ばして。」
「一体一体は弱かったですから。」
「巨大戦艦みたいなのも落として。」
「戦艦というより怪獣みたいでしたね。」
「最後は宇宙まで行った。」
「はい。」
クリントがナターシャさんを見て、
「高校生?」
「日本ではそうらしいわ。」
「なんですか、その言い方。」
「事実を確認しても違和感が拭えないのだから仕方がないわ。」
ひどい。
今度はキャプテンが僕を見ながら、
「君は本当によくやった。」
そう言ってくれた。
「街への被害も、君がいなければもっと大きかっただろう。」
キャプテンからちゃんと褒められたのは嬉しい。
「ありがとうございます!」
「クウガ。いや、今はクロオか。」
スタークさんからも言葉があるみたいだ。
「はい。」
「僕からも一つ。」
「なんですか?」
「宇宙までは付いてくるな。」
まだ言う!?
「心配だったんですよ!?」
「僕が?」
「そうですよ。」
スタークさんが黙ってしまう。
「…………。」
「何ですか?」
「いや。」
シャワルマを一口食べて、
「ファンって便利だなと思って。」
「はっ倒しますよ!?」
ーーーーー
店を出ると夜になっていた。
煙が立ち上り、多くの建物が壊れている。救急車や消防車の音も聞こえる。戦いは終わったけれど街が元通りになるわけじゃない。
「黒雄君。」
コールソンさんが迎えに来てくれた。
「コールソンさん!無事で良かった!」
「はい、アナタも。ただ、宇宙まで行ったと聞きましたが?」
「えっと、行きましたね。」
「黒雄君。」
「はい。」
「一条刑事には報告しますからね。」
「勘弁してくださいよ!!」
「当然の報告です。」
「絶対怒られるヤツじゃないですか!」
「それも当然です。」
終わった。ロキやチタウリよりも怖い。
「クロオ。」
キャプテン、マスクを取ってるからスティーブさん、で良いかな?
「はい?」
「また会おう。」
そう言って握手を求められた。少し驚いたけれど、
「はい!」
笑って応えられた。
今度はソーさんが肩を組んできた。
「次に会う時は酒を酌み交わそう!」
「成人してれば喜んで!」
「そうか、まだ子供であったな!」
豪快に笑った後に、ソーさんは真剣な眼差しで、
「だが、立派な戦士だった。俺が本気で酒を酌み交わしたいと思えるほどの、な。」
最高の褒め言葉を送ってくれた。
ナターシャさんは。
「今度は刺されないようにね。」
「気をつけます。」
クリントは。
「次は弓を馬鹿にするなよ。」
「僕何も言ってませんよ!?」
「スタークが言ってた。」
「あの人!」
そしてバナー博士。
「日本でのデータ。」
「あ。」
「今度見せてもらえる?」
「えっと科警研に聞いてみます。」
「楽しみにしてるよ。」
最後にスタークさん。
「クロオ。」
「はい?」
「約束。」
「何の?」
「ラボ。」
……覚えてたかー。
「誰かの立ち会い付きで。」
「まだ信用されてない。」
「ウルトーー」
危ない。
「……なんでもないです。」
「今、何か言った?」
「何も。」
未来の話はまだ言う必要はない。この先、色々起きることを僕が知っていることも。でも、一つだけ新しいことを知れた。
コールソンさんは生きているし、ニューヨークの被害も少しは減らせた、と思う。
なら、この先も。
「……よし。」
「何が?」
「いえ。次も頑張ろうかなって。」
「高校生はまず勉強しろ。」
「それ一条さんにも言われました。」
「良い人物だ。」
「はい。心から尊敬しています。」
それは自信を持って言える。
「スタークさん。」
「何?」
「シャワルマもう一回食べません?」
「君、意外と食べるな。」
「変身するとお腹空くんですよ。」
「それも研究項目に追加。」
「やめてください。」
こうして、僕の初めてのアベンジャーズとしての戦いは終わった。
ーーーーー
数日後。僕は日本に帰国した。
そして。
「正座だ。」
「はい。」
現在、一条さんの前で正座をしています。
ひどい。
「単身で海外へ行き。」
「はい。」
「神に刺され。」
「はい。」
「宇宙人と戦い。」
「はい。」
「最後には宇宙まで行ったと。」
「……はい。」
一条さんの眉間の皺が増えていく。
「黒雄。」
「はい!」
「自分が何をしたか分かっているのか?」
「人助けを……。」
「そういう話をしているんじゃない!」
「すみません!」
コールソンさん、本当に全部報告したな。
「君はいつもそうだな。」
一条さんが大きく息を吐く。
「助けられる人のために、止まらず走り続ける。十五歳の時から何も変わっていない。なんなら悪化している。」
否定できないし、一条さんに言われると滅茶苦茶刺さる。
「だが。」
一条さんはそこで言葉を止めた。
「まあ、……よくやった。」
「え?」
「君がいたことで、救われた人が大勢いたと聞いている。それだけは、胸を張っていい。」
「……はい!」
思わず笑顔になってしまった。
「ただし。」
「はい?」
「宇宙へ行った件については別だ。」
「え。」
「反省文。」
「えぇ!?」
「三枚。」
「地味に多くないですか!?」
「五枚にするか?」
「三枚でお願いします!」
ーーーーー
同じ頃、アメリカ、スターク・タワー。
「で?」
トニー・スタークは、目の前に表示された映像を眺めていた。
ニューヨークの空で、赤と金を纏ったクウガが、ゴウラムの背に乗りながらチタウリを蹴散らしている。
「これが日本の第四号。」
「クウガ。」
フューリーの発言をトニーが即座に訂正した。
フューリーが片眉を上げる。
「本人がそう呼べって言ってたよ。」
「随分気に入ったようだな。」
「面白かったからね。」
画面には、雷を纏ったクウガとゴウラムがチタウリやリヴァイアサンを粉砕する場面が映っている。
「十七歳か。」
フューリーが呟く。
「まだまだ伸びるな」
「怖いこと言うなよ。」
今でも十分おかしいのに。
「それで?」
トニーが椅子へ背を預ける。
「僕に何を言わせたい?」
「アベンジャーズについてだ。」
「正式加入させるのかい?」
「候補だ。」
トニーは少し考え、笑いながら答えた。
「本人に聞けば?」
「お前の意見を聞いている。」
「僕の?」
「ああ。」
トニーは画面の中でチタウリの群れへ突っ込んでいくクウガを見る。
「そうだな。」
少しだけ考え、
「戦力としては文句なし。」
「人格は?」
「素直。」
「それだけか?」
「無茶をする。」
「お前が言うな。」
「あと。」
笑いながらな大事なことを付け加える。
「僕のファン。」
「……それは評価に必要か?」
「かなり。」
フューリーがため息をついた。
「まあ。次があるなら呼べばいい。」
「理由は?」
「決まってる。」
ほんの少しだけ、真面目な声で答える。
「一緒に戦える奴だったからさ。」
ーーーーー
僕は反省文を書きながら、盛大にため息をつく。
「……宇宙まで行ったことについての反省文。」
一行目。
『スタークさんが心配だったので仕方なかったと思います。』
ダメだ、絶対怒られる。
それにしても、転生して、クウガとして戦ってきたのに、なんで反省文なんて書いているんだろう?
そんな事を考えていると、机の上に置いていた携帯が鳴った。知らない番号に警戒しながら電話に出る。
「……もしもし?」
『クロオ?』
聞き覚えのある声だった。
「スタークさん!?」
思わず立ち上がってしまう。
『元気かい?』
「あー、今、反省文書かされてます。」
電話の向こうから笑い声が聞こえる。
『良い保護者だな、一条は。』
「笑い事じゃないですよ!」
『ところで。』
急に声が変わる。
「はい?」
『ラボの件。』
「まだ諦めてなかったんですか!?」
『もちろん。』
この人は本当に。
『あと。』
「何です?」
『次に何かあったら、また連絡する。』
「……僕を?」
『他に誰がいる?』
思わず笑ってしまう。
「分かりました。その時が来たら呼んでください。」
『了解、クウガ。』
通話が切れ、僕はしばらく携帯を見つめてから窓の外を見る。
ニューヨークでの戦いは終ったけれど、まだまだ戦いは続く。
僕の、クウガの戦いは、これからだ。
思い付きで書いたら意外と人気が出てビックリ。
やっぱし皆クウガが好きなんだと信じたいです。
続編っていりますかね?