日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
続編を希望してくれる感想があったので、書いてみました。
色々ご意見あるとは思いますが、軽い気持ちで書いていますので皆さんの暇つぶしになれば幸いです。
帰国して、三日目。
日本へ戻り、昨日は一条さんに正座させられながら説教を受け、反省文三枚を書かされた。
そして今日。
「…………。」
「…………。」
一条さんはテーブルを挟んで僕の向かい側に座り、反省文を読んでいる。
『宇宙空間への無断突入について』
我ながら、高校生が書く反省文の題名じゃないと思う。しかも提出相手は学校の先生ではなく現役の刑事。人生って分からないもんだよな。
「…………。」
一条さんが二枚目をめくる。
「…………。」
三枚目。
「…………。」
そして読み終えた。
「書き直しだな。」
「なんで!?」
頑張ったのに!?
「『スタークさんが一人で宇宙へ行くのが心配だったため、やむを得ない判断だった』」
「事実ですよ?」
「反省文で自分の行動を正当化するな。」
「でも、結果的にスタークさんを助けられましたし。」
「黒雄。」
「はい。」
声が一段低くなった。
「五枚に増やすか?」
「すみませんでした。」
三枚で済ませたい。
一条さんがため息をつき、反省文を机に置く。昨日より怒っている感じはしない。ただ、
「一条さん?」
「なんだ?」
「何かありましたか?」
「……何がだ?」
「いや。」
さっきから妙に落ち着かない。怒っているとかではなく、居心地が悪そうというか。僕と目が合うと微妙に視線を逸らすし、さっきから何度か携帯を確認している。
「もしかして、アメリカの件で何かありました?」
「………他の、あー、ヒーローたちと同様に、君がニューヨークで戦っている映像も世界中に流れたのは知っているね?」
「はい。」
それは知っている。ニューヨーク決戦は宇宙人による史上初の大規模侵攻事件で、当然ながら世界中でニュースになったし、現地の映像も流れていた。その中にはもちろん、
ゴウラムに乗って空を飛び回る僕も、
チタウリを蹴り飛ばす僕も、
ライジングマイティでリヴァイアサンを吹き飛ばした僕も、
ばっちり映っていた。
「国内では早い段階から『第4号ではないか』という話が出ていた。」
「まあ、そうなりますよね。」
赤い身体、金色の角に腰のアークル。ゴウラムまでいるんだから、どう考えても第4号、クウガだ。
「それで、警視庁に問い合わせが殺到したんだ。」
「……あーー。」
「マスコミだけではない。政府関係者からも『第4号はアメリカ政府の要請で派遣されたのか』『日本政府は把握していたのか』『S.H.I.E.L.D.との協定はあるのか』とかね。」
すみません勝手に行っただけです。
「当然、こちらとしても『本人が勝手に行きました』では済まない。」
「ですよね。」
日本の怪人事件で警察に協力していた謎の戦士が、いつの間にかアメリカへ行っていて、そのまま宇宙人との戦争に参加。最終的にアメリカのヒーローと一緒に宇宙まで行きました。
……そりゃ問い合わせも来るわ。
「もしかして、一条さんにも?」
「ああ。君と最も長く連携し、今でも交流がある人間だからね。上層部に呼び出されて質問攻めさ。」
「ご迷惑をおかけしました。」
「今更だ。」
本当にすみません。
………でも、それだけじゃない気がするんだよな
「……それだけですか?」
一条さんの表情が変わった。
やっぱり。
「何かあったんですね?」
「君がアメリカに行っている間にな。」
一条さんは少し迷ってから口を開いた。
「日本でも、新しい事件が起きている。」
自分の顔から表情が消えたのが分かる。
「未確認生命体ですか?」
「いや。」
あれ?違うんだ。
「未確認生命体とは明らかに違う。」
「……違う?」
「ああ。」
一条さんが鞄から一冊のファイルを取り出し、机の上へ置いた。
「警視庁では現在――」
ページが開かれ、そこに写っていたのは、人間に似た身体、動物の特徴を持つ頭部。そして、頭上に浮かぶ光る輪。
「――アンノウンと呼称している。」
「…………え?」
待って、アンノウン?
この姿に、この輪のついた怪人。
「……アギトかよ!?」
「わっ。どうした急に?」
反射的に叫んでしまったけど仕方がないと思う。
アギト。仮面ライダーアギト。クウガの次の平成仮面ライダー作品。
この世界にはアイアンマンがいて、キャプテン・アメリカがいて、ソーもいた。クウガとMUC世界だって思うじゃないか。
それが、
「……マジかよ。」
アギトまで始まってるのかよ!いやいや落ち着け、僕。
「詳しく見ても?」
「ああ。」
一条さんからファイルを受け取り、ページをめくる。
複数の事件現場に被害者、怪人の目撃情報。外見や行動から警察側はグロンギとは別種と判断。言語による意思疎通は確認されていない。犯行には一定の規則性があり、
「……被害者に共通点?」
「ああ。」
一条さんが頷く。
「現時点で判明している範囲では、被害者の多くに通常の人間にはない特殊な能力があったと確認されている。」
「超能力者が被害者ってことですか?」
「そういうことになる。」
資料には、被害者たちは念動力や予知、異常な感覚能力を持っていたとされている。マーベル的にいうとミュータントたちかな。
X-MEN世界みたいに大勢いるわけじゃないから世間一般にも存在が知られていないみたいだけれど、人類の中に少しずつ普通ではない力を持つ人間が生まれ始めているってことか。
そしてアンノウンは、その人たちを狙っている。
「…………。」
なんだろう、何か違和感がある。
アギト原作でもアンノウンは、アギトへ進化する可能性を持った人間を殺していた。でも、この世界はマーベル世界だ。超能力者は多くなくとも世界中にいるはずだ。
なら、なんで今だ?
「一条さん。」
「なんだ?」
「被害者って、最近能力に目覚めた人が多くないですか?」
一条さんが眉を寄せた。
「……何故分かる?」
やっぱり。
「ほとんどの被害者が、事件の数日前から数週間前に異変を訴えている。または、最近になって能力が強まった、と周囲に言っていた被害者が数名いる。」
「能力が強まった?」
「ああ。そして彼らには別の、もっと重要な共通項がある。」
別の資料が出てくる。
「被害者の多くが、襲撃される少し前に同じ人物と接触している。」
写真に写るのは若い男だった。その顔を、僕は知っている。
津上翔一。しかも、主人公の方じゃない本物の津上翔一。闇の力によって蘇り、人間の中に眠るアギトの力を活性化させていた人物だ。
写真を凝視する僕を一条さんが少し怪しんでいるけど、今はそれどころじゃない。
本物の津上翔一がいて、超能力者を覚醒または力を活性化させている。そしてその人たちがアンノウンに襲われている。
つまり、話の構造自体は、アギトだ。なのに、
「一条さん。」
「なんだ?」
「この事件。」
資料を何度見ても、いない。アンノウンの目撃情報や警察との戦闘記録は特に念入りに確認した。でも、
「怪人と戦ってる人って、警察以外にいませんか?」
「どういう意味だ?」
「その……僕みたいなの。」
一条さんが首を傾げる。
「第4号のような存在、ということか?」
「はい。」
「確認されていない。」
えーー
「一人も?」
「ああ。」
「金色は?」
「君も金になるだろ。」
「角がこう……六本ぐらいあって。」
「5本があれだけ凄まじいんだ。6本など考えたくもない。」
「赤い目で。」
「黒雄。」
「はい。」
「何の話をしている?」
アギトがいない。アンノウンが出てきていて、本物の津上翔一までいる。
アギトが存在していない。
「……嘘でしょ?」
「黒雄?」
背中に嫌な汗が流れてる。クウガと同様に原作通りじゃない。
2年前は僕が五代さんの代わりに戦ったけれど、これは、かなりマズいんじゃないか?
「それで。」
一条さんが少し言いづらそうに口を開いた。
「実は、この事件に関してもう一つ話がある。」
「……嫌な予感しかしないです。」
「君にとってはそうかもしれないな。」
一条さんが視線を逸らした。居心地悪そうだったの、これか。
「警視庁から要請が来ている。」
「一条さんに?」
「ああ。」
未確認生命体事件での戦いで、一条さんは最前線に立ち続けた人だ。
未知の怪人が関わる事件の経験者として呼ばれるのはよく分かる。
「それと。」
「…………。」
一条さんが僕を見る。
「第4号にもだ。」
「ですよね。」
思わず天井を見上げた。帰国して三日、昨日は一日中反省文を書いていた。そして今日から新しい怪人事件。
忙しすぎない?
「ただし、今のところ君を前線へ出す予定はない。」
「そうなんですか?」
「ああ。」
意外だった。
「アンノウンによる被害は出ているが、未確認生命体事件と比較すれば規模は小さい上、警視庁側にも対抗手段がある。」
「……対抗手段。」
「ああ。」
「もしかして、人が着る強化スーツみたいな?」
「何故知っている?」
「勘です。」
良かったG3ユニットはあるんだ。
「君の勘は相変わらずよく分からないな。話を戻そう。警察側だけでも対処はできている。だが、状況が変わる可能性だってある。未確認が力を増していったようにね。」
アイツら金の力を使い始めたりしたもんな。
「だから僕と一条さんも?」
「そうだ。加えて、アメリカの件もあって、上層部は君との連携体制を改めて明確にしたいらしい。」
「……ニューヨークで暴れちゃったからですか。」
「大暴れしたからだ。」
「そこ強調しなくても。」
一条さんが立ち上がる。
「というわけだ。明日から東京だ。」
「明日!?」
「学校についてはこちらから連絡する。」
「話早くないですか?」
「事件は待ってくれないからな。」
それは僕が一番よく知っている。
「…………。」
もう一度、机の上の資料を見る。アンノウンに本物の津上翔一。
存在しない仮面ライダーアギト。
「……アギト、どこ行ったんだろ。」
小さく呟く。
「何か言ったか?」
「いえ。」
僕も立ち上がった。
「準備しますね。」
「随分素直だな。」
嫌な予感はするが、力に目覚めただけの人たちが殺されている。その事実を知って何もしないなんて選択肢は最初から僕にはない。
「準備が終わったら反省文の直しだからな。」
「そこは無しにしてくれても良くないですか!?」
こうして、アメリカから帰国して三日目。
僕が知っている『仮面ライダーアギト』とは、かなり違う物語の始まった。