日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです   作:ken4005

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剛腕

 

「ぐっ……!!」

 

G1の拳を両腕で受け止めるが、衝撃が全身を突き抜け、足元の地面が陥没する。

 

「このっ!!」

 

受け止めた腕を外側へ弾き、そのまま懐へ踏み込む。

 

「はぁっ!!」

 

雷を纏った拳をG1の腹部へ叩き込む。装甲が大きくへこみ、体が僅かに浮き上がった。追撃をかけようとした瞬間、

 

――ドドドドドドドドドッ!!

 

横から無数の弾丸が飛んできた。咄嗟に身体を捻る。頬のすぐ横を弾丸が通過し、肩と脇腹に数発が直撃する。

 

「ぐっ……G2!!」

 

視線を向ければ、少し離れた場所でG2が機関砲を構えていた。貫通はしない、痛いだけ。でも、こっちはG1と殴り合ってるっていうのに、容赦なく撃ってきやがる!

 

『隙ありだ!!』

 

「っ!?」

 

背後から水城の声。振り返るより早く、

 

――ドゴォォォォォン!!

 

「がっ!?」

 

G4の蹴りが背中へ直撃し、身体が前へ吹き飛ぶ。その先には、

 

『排除。』

 

G1。

 

「っ、この――!」

 

――ガァァァァァァァン!!

 

振り下ろされた拳を紙一重で避け、地面を転がりながら距離を取る。

 

――ドドドドドドドドドッ!!

 

「休ませろよ!!」

 

G2から再び銃弾。地面を蹴り、一気に横へ跳ぶ。直前までいた場所へ弾丸が降り注ぎ、アスファルトが次々と弾け飛んでいく。そのまま空中で身体を捻り、着地。間合いを詰め、

 

「はぁっ!!」

 

――バヂィィィィィィィィン!!

 

雷を纏った前蹴り!

 

『――ッ!?』

 

G2は防御するが、金色の雷が装甲を直撃し、火花を散らしながら後方へ押し込んだ。

 

『貴様の相手は俺だ!!』

 

「だったら一人ずつ来いや、チクショウが!!」

 

――ガァァァァァァァン!!

 

水城の拳を躱し、僕のアッパー気味の拳で顎部分を打ち抜く。

 

『ぐがっ……!』

 

打ち上げられたG4は背部スラスターを噴射、再度突っ込んでくる。

 

ダメージを気にしないにもほどがあるだろ!

 

こちらも雷のエルの力を全身へ巡らせ、もう一度、殴り飛ばそうとするけれど、

 

『排除。』

 

「またかよ!?」

 

G1の拳は、首を傾けて避ける。直後、水城の腹部へ膝蹴りを叩き込んでから、蹴り飛ばす。

 

G1の攻撃を避けて殴る、G4の攻撃を受けて蹴り飛ばす、G2の攻撃を…………ああ、もう!

 

「っ……!」

 

銃弾の雨を掻い潜りながら、僕は一瞬だけ視線を動かした。

 

『…………。』

 

ゾラウルトロン。あいつは、動いていない。僕とG1、G2、G4がこれだけ激しく戦っているというのに、その場に立っている。

 

「…………。」

 

――アルティメット。

 

頭の中に、その言葉が浮かぶ。使えば、アルティメットになれば、恐らくこの三体なんて問題じゃない。G1も、G2も、G4も、一気に叩き潰して、ゾラウルトロンに集中できる。でも。

 

「っ……!」

 

G1の拳を受け流し、その腕を掴む。そのまま勢いを利用して投げ飛ばす。

 

『――ッ!?』

 

G1の体が地面へ叩きつけられた。そのまま追撃――

 

『クウガァァァァァ!!』

 

「っ!」

 

水城の蹴りを腕で受け止める。

 

「ぐっ……!」

 

アルティメット。………火のエルと戦った時は、勢いで使ってしまった。反省はしている、後悔はしていない。あれは置いておこう。

 

ダグバの時はあれしか手段がなかった。あいつを倒すためには、アルティメットになるしかなかった。

 

キャロルさんと戦った時も使った。でも、あの時は――暴走した。自分で、自分を止められなくなった。あの時、もしゴウラムが一条さんを連れてきてくれなかったら、あの人が、僕を止めてくれなかったら。僕は――

 

『どうした!!』

 

――ドゴォォォォン!!

 

「ぐっ!?」

 

水城の拳を受け、身体が大きく後ろへ滑る。

 

『動きが鈍っているぞ!!』

 

「……考え事してるんですよ!!」

 

『戦場でするな!!』

 

「ごもっとも!!」

 

――ガァァァァァァァン!!

 

G4の顔面を殴り飛ばしながら、それでも考える。アルティメットは、本来なら使うべき力じゃない。少なくとも、僕はそう思っている。あの力は強すぎる。強すぎて――怖い。

 

「…………。」

 

今、近くに闇の力はいない。一条さんもいない。もし僕がまた暴走したら?誰が止める?スタークさん?スティーブさん?ソーさん?ナターシャさん?バナー博士?

 

みんな強い。でも、アルティメットになった僕が、本当に殺すつもりで暴れ始めたら?

 

「…………。」

 

止められるのか?いや、止められるのか、じゃない。

 

「……僕を殺せるのか?」

 

小さく呟く。もし僕が戻れなくなった時。僕を殺してでも止めてくれる人間が、今ここにいるのか?

 

「…………。」

 

いない。少なくとも、今、この場所には。だから――

 

「使えない……。」

 

『何を!?』

 

「何でもない!!」

 

――バヂィィィィィィィィン!!

 

全身から雷を弾けさせる。今の力でやるしかない!アメイジングマイティで!雷のエルの力と封印エネルギーで、こいつらを突破して――その時だった。

 

――キィィィィィィィィィィン。

 

「…………え?」

 

空間が、歪んだ。何もない空中に、虹色の光が滲む。それを見た瞬間、

 

「これ……!」

 

知ってる。何度も見ている。ゴウラムが――

 

「次元移動してくる時の!!」

 

――キィィィィィィィィン!!

 

空間に穴が開いた。

 

「ゴウラム!!」

 

思わず声が弾む。ゴウラムが戻ってきた!だったら少しは楽に――

 

『ーーーーーッ!!』

 

巨大な黒い甲虫が、虹色の光を突き破って飛び出してくる。

 

「よし!」

 

僕は拳を握った。

 

「これなら――」

 

「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

「…………。」

 

あっれーーーーーーーーー!?

 

聞き覚えのある咆哮。そして、ゴウラムの背中に、

 

「…………。」

 

巨大で、緑色の、筋骨隆々の、

 

「…………ハルク?」

 

「グォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

――ドゴォォォォォォォォォォン!!

 

ゴウラムの背から跳んだハルクが、そのままG1の顔面へ拳を叩き込んだ。

 

『――ッ!?』

 

G1が、吹き飛んだ。

 

――ドガァァァァァァァァン!!

 

数十メートル先まで飛んでいった。あ、凄い、よろけながらも立ったよ。

 

「…………。」

 

僕は、呆然と現れた存在を見る。

 

「バナー博士……?」

 

えっと違うか。今は、

 

「ハルク……?」

 

「…………。」

 

ハルクが僕を見てくる。冷静に考えれば、ニューヨーク以来か。

 

「えっと……久しぶり?」

 

手を振りながら声をかける。

 

「…………。」

 

「助けに来てくれた……んですよね?」

 

「…………。」

 

ハルクは何も答えないまま、G2へ視線を向け――

 

『貴様ァァァァァァァァァ!!』

 

「っ!?」

 

水城が、明らかに苛立った声を上げて、

 

『俺を無視するなァァァァァ!!』

 

――ゴォォォォォォォォ!!

 

背部スラスターを全開にして一直線にハルクへ突っ込んでいく。

 

『喰らえ!!』

 

空中で身体を捻り、飛び蹴りを放つ。

 

――ドゴォォォォォォン!!

 

ハルクの胸板へ向けて放たれた強烈な蹴りは、

 

――ガシッ。

 

あっさり掴まれた。水城の脚を片手で握り、

 

『な――』

 

ハルクが腕を振り上げる。

 

――ズドォォォォォォォォォン!!

 

G4が地面へ叩きつけられた。

 

「うわぁ……。」

 

アスファルトが爆発したように砕け散る。

 

『ぐ……っ!』

 

ハルクが止まる。水城の様子を確認している、のかな?

 

「…………。」

 

『き、貴様……!』

 

まだ喋った。ハルクがもう一度持ち上げる。

 

「あーあ。」

 

――ズドォォォォォォォォォン!!

 

『がっ!?』

 

もう一度。

 

――ズドォォォォォォォォォン!!

 

『ぐぁっ!?』

 

「…………。」

 

僕は何も言えない。ハルクが再び止まり、手に掴んだモノを見る。

 

『こ……の……!』

 

水城が、まだ声を上げる。ガッツあるなー。

 

『この、醜い化け――』

 

――ズドォォォォォォォォォン!!

 

「あの状況でそれ言おうとする!?」

 

もう一度。

 

――ズドォォォォォォォォォン!!

 

ハルクが止まった。

 

『…………。』

 

返事がない。

 

「…………。」

 

ハルクが首を傾げる。もう喋らないことを確認したらしい。

 

――ブンッ!!

 

「水城さぁぁぁぁぁん!?」

 

思わず敬称を戻してしまった。いや、あんな奴に、さん、はいらない。黒い装甲はスラスター無しで空を舞い、遠くの建物へ突っ込んだ。

 

「…………。」

 

いや。生きてますよね?

 

「ハ、ハルク?」

 

「…………。」

 

ハルクがこちらを向く。

 

「えっと……ありがとうございます?」

 

「…………。」

 

ハルクが右手を上げた。その太い親指で、

 

「…………。」

 

僕の後ろを指差す。

 

「え?」

 

振り返る。そこにいるのは、

 

『…………。』

 

ゾラウルトロン。

 

「…………。」

 

もう一度ハルクを見る。

 

「スマッシュ。」

 

「…………。」

 

それだけ言うと、

 

「グォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

ハルクはG1とG2へ突っ込んでいった。

 

「…………。」

 

僕は数秒、固まってから、

 

「……任せた。任せろ、ってこと?」

 

『ーーーーーッ!』

 

「ゴウラム!」

 

目の前へ飛んできたゴウラムを見る。

 

「よし!」

 

迷ってる場合じゃない。ハルクが来てくれた。だったらG1、G2は任せられる!………G4は復帰しないかもだけど。

 

「行くぞ、ゴウラム!!」

 

『ーーーーーッ!!』

 

跳び乗る。

 

「ゾラ!!」

 

『…………。』

 

ゾラウルトロンが、こちらを見てくる。

 

「今度こそ――」

 

『阻止。』

 

「っ!?」

 

量産型ウルトロンがゴウラムの前に、次々と集まってくる。

 

「くそっ! 邪魔――」

 

『ーーーーーッ!!』

 

ゴウラムが鳴いた。

 

「え?」

 

その声がまるで、――任せろ。そう言っているように聞こえた。次の瞬間。

 

――バヂィィィィィィィィィィィィン!!

 

「うわっ!?」

 

ゴウラムの全身から、金色の雷が爆発した。

 

「これは――!」

 

黒い装甲が変化する。金色のラインが全身を走り、雷のエルから与えられた力がゴウラムの身体を覆っていく。アメイジングゴウラム。

 

「ゴウラム!?」

 

『ーーーーーッ!!』

 

さらに。

 

――キィィィィィィィィン!!

 

「え?」

 

金色だった光へ、別の色が混ざった。いくつもの光が混ざり合い――

 

「虹色……?」

 

ゴウラムの全身が、虹色に輝く。そして、

 

――キィィィィィィィィィィン!!

 

目の前の空間が歪んだ。

 

「ちょっ、待って!?」

 

穴が開く。

 

「まさか――」

 

『ーーーーーッ!!』

 

「ここで!?」

 

――シュンッ!!

 

景色が消えた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

一瞬。本当に一瞬だった。次の瞬間には、ゾラウルトロンの目の前。

 

『な――』

 

「ゴウラム!?」

 

ほんの数十メートル。だけど間違いない、次元移動を利用した――

 

「短距離ワープ!?」

 

『ーーーーーッ!!』

 

「いつの間にそんな器用なことできるようになったの!?」

 

答えはない。でも、

 

「――助かった!!」

 

ゴウラムの背を蹴る。

 

「ゾラァァァァァァァ!!」

 

『ッ!!』

 

拳を握る。封印エネルギー。雷のエルの力。両方を。

 

「全部――!!」

 

――バヂィィィィィィィィン!!

 

拳へ集める。

 

『…………。』

 

ゾラウルトロンは避けなかった。いや、避ける必要がないと思ったんだ。さっきの一撃で僕の拳は確かに直撃した。洗脳を封じることは出来たけど、大したダメージを与えられなかった。だから、今度も受けて、そのまま反撃するつもりだったのだろう。

 

『無駄――』

 

「オラァァァァァァァ!!」

 

――ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!

 

『――ッ!?』

 

拳が、ゾラ・ウルトロンの顔面へめり込んだ。

 

『が――!?』

 

「よし!!」

 

ゾラ・ウルトロンの身体が大きく仰け反った。

 

『何が――!?』

 

「まだだ!!」

 

左。

 

――ドゴォン!!

 

『ぐっ!?』

 

右。

 

――ドゴォン!!

 

『がっ!?』

 

腹。

 

――バヂィィィィィィン!!

 

『ぐぁっ!?』

 

ヨシ、効いてる!

 

『何故だ!?』

 

ゾラウルトロンの声に、初めて明確な狼狽が混ざった。

 

『何故、ダメージが――!?』

 

答えてやらない!でも、心の中では、思いっきりガッツポーズしていた。上手くいった!アルティメットでキャロルさんと戦った時にやった戦法!ただ殴るんじゃない。相手そのものを破壊するんでもない。相手の中にあるエネルギー、その力を封印するつもりで殴る!!

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

――ドゴォン!!

 

『ぐっ!?』

 

封印エネルギーで敵の力を封じながら殴る。

 

更に、雷のエルの力を全開にする。ヴィブラニウムは硬い。とんでもなく硬い。普通に殴ったところで、アメイジングマイティの拳でも簡単には壊せない。でも!

 

――バヂィィィィィィィィン!!

 

「ヴィブラニウムが硬いなら!!壊せるまで何度でも殴ればいい!!」

 

――ドゴォォォォォォン!!

 

『がぁっ!?』

 

ゾラ・ウルトロンが吹き飛ぶ。

 

「いける!!」

 

新しく試した戦法。正直、賭けだった。でも、通用している!

 

『…………ッ!』

 

ゾラ・ウルトロンが地面へ足を突き立て、強引に止まる。

 

『なるほど……!理解したぞ、十文字黒雄!!』

 

額が黄色く輝いた。

 

『君が戦っている間に――』

 

――キィィィィィィィィン!!

 

「っ!?」

 

まずい!

 

『この身体のスペックは把握した!!』

 

額にエネルギーが集中していく。

 

『喰らえ!!』

 

――ズガァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

黄色の光線が放たれた。

 

「っ!!」

 

地面を蹴り、上へ。ビームが足元を通り過ぎ――

 

「おおおおおおおおおおおお!!」

 

空中で身体を捻る。右脚、左脚、両足へ。封印エネルギーを、雷のエルの力を、全身全霊で――!!

 

――バヂィィィィィィィィィィィィィィン!!

 

金色の雷光が両脚を包み込む。

 

『何!?』

 

ゾラ・ウルトロンが顔を上げた。僕は空中で姿勢を整え、そのまま真正面から、

 

「オリャァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

――アメイジングマイティキック!!

 

封印エネルギーと金色の雷光を纏った両足が、

 

『――ッ!!』

 

ゾラ・ウルトロンの放った黄色のビームと、真正面から激突した。

 

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