日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
十文字黒雄が、ハルクのトレーニング先を紹介していた頃、世界の別の場所では、それぞれ別の事件が、同時に動き始めていた。もっとも、後に十文字黒雄が一連の報告を聞いた際、
「…………。」
しばらく無言になった後、
「僕、本当に必要ないんじゃないですか?」
と、若干本気で落ち込むことになるのだが。それは、もう少し先の話である。
ーーーーー
――ワカンダ。
ニック・フューリーがティ・チャカとの会談を終えてから、しばらく後。
本来の未来よりもかなり早く、ワカンダ王国にとって極めて重大な事件が発生した。
エリック・スティーヴンス。通称、キルモンガー。
ワカンダ王家の血を引きながら、国外で生きることを余儀なくされ、父を失い、世界各地の戦場を渡り歩きながら、ワカンダそのものへ強烈な憎悪と執着を抱くに至った男。
本来の歴史ならば、ティ・チャカは既に死亡し、その息子ティ・チャラが王位を継承し、ユリシーズ・クロウを巡る事件を経て、キルモンガーがワカンダへ姿を現す。
そして、王位継承の儀式に則ってティ・チャラへ決闘を挑み、彼を打ち破り、一時的にワカンダの王となる。だが、現在。
「…………。」
ティ・チャカが、生きている。当然ながら、ティ・チャラもまだ王ではない。そして何より、
「王よ。」
王宮内、報告を受けたティ・チャカの前で、オコエが僅かに険しい表情を浮かべていた。
「男は、ウンジョブの息子であると。」
「……そうか。」
ティ・チャカは静かに目を閉じた。ウンジョブ。実の弟であり、この手で殺した男。当然、その息子についても知っている。知らなかったわけではない。知らないふりをしていただけだ。
「父上。」
傍らに立つティ・チャラが、父を見る。
「彼を、どうするおつもりですか?」
「…………。」
ティ・チャカは答えなかった。王として、父として、兄として、伯父として、そして一人の人間として、あまりにも多くのものが絡み合っている。
だからこそ。
「話をする。」
ティ・チャカは、静かに答えた。だが、話し合いというものは双方に話し合う意思があって、初めて成立する。
キルモンガーには、少なくとも最初はその意思がなかった。
ーーーーー
結果から言えば、王位継承の儀式そのものは行われた。ただし、ティ・チャカではなく、王位継承者であるティ・チャラが、キルモンガーの挑戦を受けた。
戦いは熾烈になり、キルモンガーは強かった。アメリカ特殊部隊で経験を積み、数え切れないほどの戦場を経験し、純粋な殺し合いならば世界最高峰と言っても過言ではない。そして何よりティ・チャラに対しては存在しなかった、ティ・チャカへの憎悪がある。
その結果。
「ぐっ……!」
ティ・チャラが追い詰められた。キルモンガーが刃を振り上げる。そして、
「終わりだ!!」
振り下ろそうとした瞬間。
「そこまでだ。」
――ガシッ。
「…………あ?」
キルモンガーの腕が、止まった。いや、止められた。
「…………。」
横から伸びた一本の腕。その手が、キルモンガーの手首を掴んでいる。
地のエル、登場。
「……誰だ、テメェ。」
「地のエルだ。」
「知らねぇよ!!」
キルモンガーが拳を振るう。
――ガン!!
地のエルの顔面へ直撃した。
「…………。」
「…………。」
地のエルは微動だにしない。キルモンガーの表情が驚きに染まる。
「話し合いをするのだろう?」
「……は?」
「ならば、殺す必要はない。」
「邪魔すんな!!」
もう一度、拳。
――ガン!!
「…………。」
効かない。蹴り。
――ドン!!
効かない。肘、膝、頭突き。
「…………。」
全部、効かない。
「……何なんだよ、テメェ!!」
「地のエルだ。」
「それは聞いた!!」
そして、地のエルがキルモンガーの腕を掴んだまま、
「少し、落ち着け。」
軽く。本当に軽く、投げた。
――ドゴォォォォォォォォォン!!
「ぐはぁっ!?」
地面へ叩きつけられたキルモンガーが、一撃で動かなくなった。
ティ・チャラ。
オコエ。
ナキア。
シュリ。
そして、ティ・チャカ。
ワカンダの面々が、全員揃って沈黙する。その少し離れた場所では。
「殺してはいないな?」
フューリーが確認する。
「ああ。」
「ならいい。」
何故かフューリーだけは、既に慣れ始めていた。
ーーーーー
その後。目を覚ましたキルモンガーは、ティ・チャカと直接話をした。当然、最初から穏やかだったわけではない。
父親を殺したこと。自分を置き去りにしたこと。世界中で同じ肌を持つ人々が苦しんでいる間、ワカンダだけが力を隠し、何もしなかったこと。キルモンガーは、その全てをぶつけた。
ティ・チャカは、否定しなかった。
「お前の父を殺したのは、私だ。そして、お前を置き去りにしたのも事実だ。」
王ではなく、一人の叔父として。
「それは、私の罪だ。」
キルモンガーが黙る。
「だが。」
ティ・チャカは続けた。
「お前が正しいからといって、お前がこれから行おうとしていることまで正しくなるわけではない。」
ヴィブラニウム製兵器を世界へばら撒き、各地で武装蜂起を起こす。それでは、救われる者よりも、死ぬ者の方が遥かに多い。キルモンガーは反論した。ティ・チャカも反論した。
ティ・チャラも、ナキアも、時にはシュリまで口を挟んだ。そして、キルモンガーが激昂するたび。
「……外でやるか?」
地のエルが聞いた。
「…………。」
キルモンガーが座り直した。肉体言語による説得は、非常に効果的だった。結果、全てが丸く収まったわけではない。キルモンガーが突然、ワカンダ王家と仲良くなったわけでもない。ティ・チャカを許したわけでもない。だが、少なくとも、ワカンダを滅茶苦茶にする必要はなくなった。
そして、ティ・チャカ自身もまた、ワカンダの孤立政策そのものを見直すことを決断する。ナキアが望んでいた、ワカンダの技術を用いた世界への支援。ティ・チャラもそれを支持した。そして、
「お前も手伝え。」
「……俺が?」
キルモンガーが呆れた顔でティ・チャカを見る。
「ああ。」
「俺はあんたを殺しに来たんだぞ。」
「知っている。」
「国を乗っ取ろうともした。」
「それも知っている。」
「…………。」
「世界を変えたいのだろう?」
「…………。」
キルモンガーは答えなかった。だが、立ち去りもしなかった。
ーーーーー
ところが。ワカンダが国内最大級の問題を、どうにか解決しようとしていた。まさに、その頃、別方向から、さらに巨大な問題がやってきた。
海。正確には海底から。水のエルが何気なく口にした、もう一つのヴィブラニウム文明について、当然ながら、ワカンダは調査を開始した。
そして。
調査したこと自体が。
向こうにも気付かれた。
結果、タロカンと呼ばれる海底王国から使者、というか軍隊がやってきた。
「…………。」
ワカンダ王宮にはティ・チャカ、ティ・チャラ、シュリ、オコエ、ナキア、さらにはキルモンガー。
ついでに、フューリーと地のエル。そして、
「我が名は、ククルカン。」
足首に翼を持つ男。
「地上の者は、私をネイモアとも呼ぶ。」
全員が一堂に会するという、とんでもない状況が出来上がっていた。
そしてネイモアは警告した。タロカンの存在を地上へ明かすな、海へ干渉するな。さもなくば、戦争になる。
「待て。」
フューリーが額を押さえた。
「何故そうなる。」
「地上は信用できない。」
「それについては否定しづらいが。」
フューリーも元S.H.I.E.L.D.長官である。人類のろくでもなさは嫌というほど知っている。
「だからといって、いきなり戦争を始める必要はないだろう。」
「必要ならば始める。」
「始めるな。」
話し合いは難航した。ワカンダも、タロカンの存在を世界へ公表するつもりなどない。むしろ、自分たちと同じようにヴィブラニウムによって発展し、その力を秘匿してきた文明である以上、理解できる部分も多かった。
だが、互いに信用できていない。そして、ちょっとした認識の齟齬、ちょっとした挑発、ちょっとした事故、………まあ、色々あって結局、
戦闘になった。
ーーーーー
「インペリウス・レックス!!」
ネイモアが叫び、宙を飛ぶ。ヴィブラニウム製の槍を構え、一気にワカンダ側へ突撃する。速いし強い。地上においても、超人的な身体能力を誇り、水中ならば、その力は跳ね上がる………のだが、相手が悪かった。
水のエル、登場。
「退け。」
「断る。」
「ならば!」
ネイモアが突っ込む。
――ドゴォォォォォォン!!
「…………。」
「…………。」
槍が、水のエルの掌で止まった。ネイモアの目が見開かれる。
「何……?」
「海で生まれ。」
水のエルが静かに言う。
「海に生きる者か。ならば、」
水のエルがネイモアの腕を掴み、人の姿からエルロードとしての姿に変わる。
「な!?」
「海で話そう。」
「何を――」
――ドッパァァァァァァァァン!!
そのまま海へと飛んでいき、海中へ消えた。その後、沖合で、
――ズドォォォォォォォォン!!
巨大な水柱が上がった。さらに、
――ドォォォォォォォン!!
――ズガァァァァァァァン!!
――ドッパァァァァァァァァン!!
遠くから、凄まじい轟音だけが響いてくる。
「「…………。」」
ワカンダ、タロカン。
双方の兵士が、戦うのをやめた。というより、全員、海を見ていた。やがて、
「…………。」
海面から、水のエルが人間体に姿を戻し、歩いて帰ってきた。その片手にはネイモアが首根っこを掴まれている。
「話をするそうだ。」
水のエルが告げるが、ネイモアは無言だった。
「本当か?」
フューリーが聞く。
「…………ああ。」
ネイモアが答えたが、若干、声が震えていた。
ーーーーー
その後、ワカンダ、タロカン、そして、フューリー、三者による協議が行われた。互いの存在を秘匿する。ヴィブラニウム資源について、互いの領域を侵さない。外部から侵略を受けた場合、可能な範囲で情報を共有する。そして、地球そのものが脅威に晒された場合は、
「共闘を?」
ネイモアがフューリーを見る。
「ああ。」
フューリーは頷く。
「タロカンを俺の指揮下に入れろとは言わん。」
「当然だ。」
「ワカンダにも同じことを言った。」
フューリーは続ける。
「命令する気はない。ただ、」
隻眼で、ネイモアを見る。
「地球が滅びそうな時くらいは、一緒に戦ってくれ。」
ネイモアはしばらく黙り、隣にいる水のエルを見る。水のエルも見る。
「…………分かった。」
ネイモアは承諾し、フューリーは何も言わなかった。
肉体言語。非常に便利だった。
ーーーーー
「そういえば。彼女たちが、お前たちの最高戦力、ということで良いのか?」
ネイモアが未だ震える声でフューリーに尋ねる。ワカンダ勢も気になる内容なのか、一斉にフューリーを見る。フューリーは真面目な顔で、
「………彼らはエルロードと呼ばれる存在だが、同格の存在が他に3柱いる。」
――え? あのヤバいのがまだ他に複数いるの?
「ああ。そのエルロードたちと普通に競い合える女子大生も一人いたな。」
クウガやアギト・シャイニングフォームに変身し、あの村の運動会でエルロードたちと、かけっこやら綱引きやらをやっていた大学生たちの楽しそうな姿や、身体能力に優れるはずのスクラル人たちが崩れ落ちる姿を思い出すフューリー。
――何? 自然の化身みたいな存在と競い合える女子大生って何?
「更に別格の、ほぼ神みたいな存在と、その存在に比肩する力を持った大学生が一人。」
――神は良いとしよう。自然の化身がいるのだ、神ぐらい出てくるだろう。だが大学生、お前は何者だ?
代表してティ・チャカが手を上げ、フューリーに尋ねる。
「本当に、追加戦力が必要なのですか?」
「………丁度、自分でも自信が無くなってきたところです。」
ーーーーー
そして、ほぼ同時期。ヨーロッパ。
ナターシャ・ロマノフもまた、自分の過去と向き合っていた。レッドルームのドレイコフ、ウィドウたち。そして、かつての家族。エレーナ・ベロワ、アレクセイ・ショスタコフ、メリーナ・ヴォストコフ。本来ならば、非常に危険な戦いになる。実際、危険ではあった。
「ナターシャ!!」
エレーナが叫び、複数のウィドウが一斉に襲いかかってくる。逃げ場はなく、迎え撃つためにナターシャが構える。そして、
――ゴォォォォォォォォォォッ!!
「きゃあああああああ!?」
「な、何!?」
突如として発生した暴風が、ウィドウたちだけを綺麗に吹き飛ばした。ただし、誰一人として致命傷は負わない。
「…………。」
ナターシャが振り返ると、人の姿のまま突風を発生させた、風のエルが立っている。
「加減はした。問題はなかろう?」
「…………そうね。」
ナターシャは頷いた。非常に頼もしい護衛だった。
ーーーーー
車で追跡された。
「追手よ!」
「分かった。」
――ゴォォォォォォォォォォ!!
追跡車両だけ横転した。
ーーーーー
ヘリコプターが来た。
「ミサイル!」
「問題ない。」
紙飛行機が風を受け方向を変えるように、ミサイルが撃った本人たちの方へと戻っていった。
「…………。」
「…………。」
「爆発する前に落としておく。」
「お願い。」
ーーーーー
タスクマスターが現れた。ナターシャの動きを完全に模倣する、恐るべき戦闘能力。
キャプテン・アメリカ、ブラックパンサー、ホークアイ、その他、多数の戦士たちの技術を学習した存在。普通ならば死闘になる………はずなのだが、
「…………。」
タスクマスターが盾を構え、風のエルに突撃する。
――ガン!!
「…………。」
風のエルが指一本で止めた。
「…………。」
タスクマスターが蹴る。止められる。
回転攻撃、ナイフ、銃撃、全てが無意味に終わる。
「…………。」
「…………。」
タスクマスターは息を切らし始め、僅かに後退した。風のエルが尋ねる。
「終わりか?」
タスクマスターは、もう一度構えた。
「そうか。」
――ドン!!
一撃で終わった。ナターシャは何も言わなかった。もう慣れ始めた。
ーーーーー
空中要塞? 突入された段階で戦力をかなり減らされていたのもあり、風のエルが無双して終わり。次々と解放されるウィドウたちが互いを救助し合うことで、被害もほぼ出なかった。
ドレイコフは逃亡の際、誤って地上へと落下。風のエルが
「助けるか?」
と聞くが、
「んー、アイツは大丈夫。」
と言ったナターシャとエレーナが追い打ちの銃弾を連射後、念のためだけど、確実に仕留める手段はある? と聞くと、風のエルは弓矢を取り出し、軽く狙いをつけて放った。
「今のは?」
「超人レベルくらいなら、当たるだけで消滅する矢だ。」
「当たった?」
「当たった。」
そして、戦闘面での問題を風のエルが片っ端から処理した結果。ナターシャは本来ならば戦闘しながら行わなければならなかったことに、ほぼ全ての時間を使うことができた。
エレーナと、アレクセイと、メリーナと、そして、洗脳されていたウィドウたちと話す時間を得られた。ドレイコフの支配から解放された彼女たちへ、ナターシャは選択肢を与えた。普通に生きてもいい、家族のところへ帰ってもいい、一人で生きてもいい。そして。
「もし。まだ戦いたいなら。」
エレーナが眉を上げる。
「戦う?」
「ええ。」
ナターシャは少し笑った。
「今度は、自分で選んだ相手のために。」
フューリーが新たに作ろうとしている組織。かつてのS.H.I.E.L.D.とは違う、命令によって世界を守らせる組織ではない。
必要な時、自分の意思で、自分が守りたいもののために集まる者たち。
「…………。」
エレーナが考える。アレクセイが胸を張る。
「つまり! アベンジャーズか!」
「違うわ。」
「違うのか!?」
メリーナが溜息を吐く。
「私は研究設備を要求するわ。」
「フューリーに言って。」
「つまり参加していいのね?」
ナターシャが僅かに笑った。
「もちろん。」
エレーナも肩をすくめる。
「お姉ちゃんがいるなら、考えてもいい。」
「考えるだけ?」
「条件次第。」
「分かった。」
「あと。」
エレーナが風のエルを見る。
「あれ、貸して。」
「無理。」
即答だった。
「ケチ。」
「私の所有物じゃないもの。」
その後、解放されたウィドウたちにも声をかけた。結果、全員ではない。戦うことをやめた者もいる。家族のもとへ帰った者もいる。普通の生活を選んだ者もいる。だが、ナターシャが「仲間になれる」と判断した者。そして、まだ自分の意思で戦うことを選んだ者については。ほぼ全員、勧誘に成功した。
ーーーーー
――さらに、数日後。
「…………。」
ニック・フューリーは机の上に並んでいる報告書を見ていた。
ワカンダ王国、協力関係構築へ向けて前進。
国王であるティ・チャカを筆頭に、ティ・チャラ、オコエ、ナキア、シュリに加え、エリック・キルモンガーといった強力な個人戦力。状況次第では協力可能。
続いて海底王国タロカン。地球規模の危機における共闘について、条件付きで合意。ネイモアという個人戦力も同様。
さらに。
レッドルーム壊滅。ドレイコフ死亡。
洗脳されていたウィドウたちを解放。エレーナ・ベロワ、アレクセイ・ショスタコフ、メリーナ・ヴォストコフ、その他、複数の元ウィドウ。協力関係を構築。
「…………。」
フューリーは報告書を置いた。
そして、別の報告書を見る。
ブルース・バナー、休暇中。ハルク、異星で巨大生物を相手にトレーニング中、経過は極めて良好。
「…………。」
さらに。十文字黒雄、療養中。経過良好、真魚、子供たち、小動物のホタルと共に、村で平穏に生活。
「…………。」
フューリーは椅子へ深く身体を預けた。かつて、アベンジャーズ計画を始めた時、ここまでの戦力を想定していただろうか。
アイアンマン。
キャプテン・アメリカ。
ソー。
ハルク。
ブラック・ウィドウ。
ホークアイ。
クウガ。
それだけではない。
アギト。
エルロードたち。
そして、その遥か上にいる闇の力。
さらに。
ワカンダ。
ブラックパンサー。
キルモンガー。
タロカン。
ネイモア。
レッドルームから解放されたウィドウたち。
これから先、さらに増える予定だ。
フューリーは一枚の写真を見る。村で撮られた、ベンチの上で眠っている黒雄。隣には真魚、膝の上にはホタル。何とも平和な写真だった。
「…………。」
フューリーは、しばらくその写真を見ていた。そして、ほんの僅かに口元を緩める。
「休んでいろ、十文字。」
誰に聞かせるでもなく。静かに呟く。
「お前一人に、世界を背負わせるつもりはない。」
そのために、自分たちがいる。そのために、アベンジャーズを作った。
そして今度こそ。
十文字黒雄が動けなくても。
十文字黒雄が戦わなくても。
十文字黒雄が未来を知らなくても。
世界を守れるだけの者たちを集める。
「さて。」
フューリーは次の資料を手に取った。
「次だ。」
世界は十文字黒雄が休んでいる間もちゃんと、回っていた。