日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
ジビルウォー?編、開幕
噂話
世界各地の裏側で、大事件が起き、エルロードの力技で解決されていたころ、
十文字黒雄は、大学の講義室でノートを取っていた。隣では、風谷真魚も同じようにノートを取っている。教授がスクリーンへ映し出した資料を説明し、それを聞きながら重要そうな部分を書き留める。分からないところがあれば教科書を確認し、教授が「ここは試験に出します」と言えば、二人揃ってそこへ印をつける。
ごく普通だった。本当に、ごく普通の大学生だった。少なくとも、本人たちは、そう思っている。
「…………。」
だが、二人の周囲だけ妙に、席が空いていた。別に嫌われているわけでも、避けられているわけでもない。むしろ二人とも、大学内での評判そのものは悪くなかった。
十文字黒雄。講義は真面目に聞き、課題もちゃんと提出する。試験も普通に受け、教授への態度も丁寧。同級生に話しかけられれば普通に返し、分からないところを聞かれれば教えるし、落とした物を見つければ拾って届ける。
風谷真魚。こちらも同じく真面目。明るく、人当たりもいい。友人と話している時には普通に笑うし、困っている人がいれば自然に手を貸す。
美男美女のカップル。多少目立ちはするものの、それだけなら大学では珍しくもない。問題は。
「あの二人、今日は来てるじゃん。」
「久しぶりじゃない?」
「先週は丸々1週間休んでたよな?」
「うん。」
少し離れた席で、学生たちが小声で話していた。黒雄と真魚は、大学を休むことが多い。サボっているわけではなく、欠席した分については教授へ事情を説明し、課題も提出する。必要なら補講も受ける。本人たちは可能な限り普通の大学生活を送ろうとしている。ただ、その欠席理由が。
――色々事情があって海外に行ってました。
――警察関係で詳しい事情が説明できなくて、あ、その事件はもう解決しているんで大丈夫です。
――すみません。今回は本当に、一切詳細を話せないんです。でも大学側にはフューリーさんから説明がいくって言ってました。
だったりする。なお、最後の欠席理由を聞いた翌日、大学のお偉いさんたちは全力で黒雄から距離を取るようになったとか。
ーーーーー
一人の男子学生が、小声で尋ねた。
「なぁ。十文字って、結局何者なんだ?」
「知らねぇよ。警察関係者じゃないの?」
「大学生だぜ?漫画じゃないんだからよ。」
「じゃあ何だよ?」
「だから、それが分からないんだよ。」
実際、十文字黒雄という学生について、大学内には大量の噂が存在していた。
警察上層部と繋がりがある、いや、警視庁に親戚がいる。いやいや、公安と関係している。いやいやいや、海外の諜報機関と関係している、など。
昔、大きな事件に巻き込まれた。いや、事件を解決した側だった、とか。
噂以外にも、たまに明らかに警察官らしき人物が大学まで迎えに来ている。
「あれ、誰なんだろうな?」
「ん?それって一条さんだろ?」
「え?知ってんの?」
「前に十文字が呼んでたの聞いたことがある。」
「警察?何課?」
「知らんよ。」
「刑事?」
「だから、知らんって。」
「というか、何で大学生を刑事が迎えに来るんだよ。」
「それこそ、知らねぇよ。」
そんな会話に別の学生が加わってくる。
「前に、十文字の所に外国人の厳ついおっさん来てなかった?」
「誰?」
「眼帯してる人。」
「…………いたな。」
いた。黒いロングコートを着た隻眼の男。見るからに堅気ではない雰囲気だった。そして、何故か十文字黒雄とは普通に会話していた。
「俺、最初マフィアかと思った。」
「俺も。でも十文字、普通に話してたぞ。」
「だから怖いんだろ。」
「風谷さんも普通に会話に混じってたな。」
分からない。噂や謎が多すぎる。
「俺さ。」
今度は別の男子学生が、声をさらに落とした。
「前に、金髪の外国人見た。」
「金髪の外国人くらいいるだろ。」
男子学生は首を振る。
「いや、めちゃくちゃデカかった。」
「どれくらい?」
「いや。身長がというより、なんか……すげぇ腕太くて。」
「へえ。」
「あと、ハンマー持ってた。」
「…………。危ない人?」
「あと、マント着てた。」
当然ながらソーである。別の日には、
「俺は、スーツ着た外国人見たぞ。」
「普通じゃん。」
「サングラスかけてた。」
「普通じゃん。」
「高そうな車で来て、十文字見つけた瞬間、『おい、クロオ!』って呼んでた。」
「知り合いなんだな。」
「十文字が『スタークさん、大学まで来ないでくださいよ!』って叫んでた。」
「スターク?」
「…………まさか。」
「…………いやいやいや。」
「同姓なだけだろ。」
「トニー・スタークなわけないだろ。」
「そりゃそうだ。」
あり得ない。世界的な大富豪、天才発明家、そしてアイアンマン。
そんな世界で最も有名な人物の一人が、何故日本の大学生を迎えに来るのか。あり得るはずがない。だから、
「別人だろ。」
「だな。」
ということで。学生たちの中では、一応そういうことになっていた。ちなみに、本人に聞けばいいのでは?と思うかもしれないが。
噂が多すぎる。
警察、政府機関、海外の諜報員、謎の外国人の知り合いたち、
他にも、何故か風谷真魚の周囲にも、似たような噂が存在する。
曰く。十文字と一緒に、とんでもなく身体能力が高い、とか。
曰く。明らかに人間離れした雰囲気の美男美女と親しげに話していた、とか。
曰く。以前、大学近くでトラブルが起きた時、真魚が現場を一目見ただけで、何があったのか正確に言い当てた、とか。
曰く。警察官が真魚の意見を真面目に聞いていた。更に聞きに来た、とか。
曰く。その警察官が、『真魚に迷惑をかけるな。』と別の警察官に正座させられていた、とか。
「…………。」
「…………。」
「何者なんだよ、あのカップル。」
誰かが呟いたが、誰も答えられなかった。
ーーーーー
もっとも本人たちは。
「真魚。」
「ん?」
「次、どこで講義だっけ?」
「三号館じゃない?」
黒雄が学生用の時間割を見る。
「ちょっと遠くない?」
「確かに遠いね。」
「あと、十分しかないんだけど。」
「急ごっか。」
「うん。」
普通に廊下を歩き、階段を下りる。自動販売機で飲み物を買い、昼になれば学食へ行く。
「何食べる?」
「カレー。」
「また?」
「昨日はラーメン。」
「一昨日カレーだったじゃん。」
「二日前ならいいでしょ。」
「野菜も食べなよ。」
「サラダ付けます。」
「よろしい。」
普通の会話、普通の大学生。いや、普通の大学生にしては夫婦みたいなテンポで会話してはいるが。少なくとも、本人たちは普通に過ごしている。
「十文字君。」
「あ、はい。」
同じ講義を取っている男子学生から声をかけられれば、黒雄も普通に振り返る。
「先週の講義、休んでたよね?」
「ああ、うん。ちょっと用事があって。」
「ノート、いる?」
「え、いいの?」
「コピーでよければ。」
「助かる! ありがとう!」
普通。ものすごく普通。男子学生も、少し安心している様子だ。
「じゃあ後で送るよ。」
「お願いします。」
アンタッチャブル。大学内で、いつの間にか二人がそう扱われるようになったが、本人たちは普通。所詮、噂は噂か、と学生たちが会話を終わらせようとしたのだが………………。
ーーーーー
講義を終えた黒雄と真魚は、大学の正門へ向かって歩いていた。
「今日はちゃんと全部出られたね。」
「うん。」
黒雄が少し嬉しそうに頷く。
ここ最近、大学どころではない日も多かった。だからこそ、朝から大学へ来て、講義を受けて、昼食を食べて、また講義を受けて、そのまま帰る。そんな普通の一日が、少し嬉しい。
「明日も来られるかな。」
「来られるんじゃない?」
「何も起きなければ。」
「そういうこと言うと起きるよ?」
「やめてよ。」
二人で笑う。その少し後ろでは、
「…………。」
「…………。」
数人の学生が歩いていた。別に尾行しているわけではない。帰る方向が同じだけである。
「やっぱ普通だよな。」
一人が呟く。
「噂、大袈裟なんじゃない?」
「俺もそんな気がしてきた。」
確かに欠席は多い。妙な知り合いもいる。警察とも関係があるらしい。だが、今、目の前を歩いているのは、普通の大学生カップルだ。
「十文字って、結構いい奴だしな。」
「風谷さんも普通に話してくれるし。」
「アンタッチャブルとか言われてる方がおかしいんじゃね?」
「だよな。」
そう話している間に正門が見えてくる。
「…………。」
黒雄が立ち止まり、真魚も同様に止まった。
「どうした?」
後ろの学生たちも、何となく二人の視線を追う。正門前、そこに一台の車が停まっていた。見るからに高級車で、日本の大学の正門前には、少々似つかわしくない。そして、その車へ寄りかかるようにして一人の男が立っている。
サングラス、高級そうな服、特徴的な髭。世界中の誰もが、一度くらいは見たことのある顔にそっくりだった。
「…………。」
「…………。」
「…………。」
学生たちの足も止まる。男が黒雄に気付き、片手を上げた。
「よう、クロオ。迎えに来たぞ。」
真魚が黒雄を見る。黒雄も真魚を見る。それから、
「スタークさん。」
黒雄が、ものすごく疲れた顔で言った。
「何で大学まで来たんですか。」
「近くに用事があってね。せっかくだから君らを送っていってやろうと思ったのさ。」
「絶対嘘ですよね?」
「細かいことを気にするな。」
トニー・スタークは平然と答え、そのまま車を指差した。
「乗れ。話がある。」
「嫌な予感しかしないんですけど。」
「安心しろ。今回は世界の危機じゃない。」
「『今回は』って言わないでくださいよ!」
黒雄の声が正門前へ響く。真魚が笑いを堪えながら車へ向かう。その後ろで、学生たちは完全に固まっていた。
「…………。」
「…………。」
「…………。」
一人が震える手でスマートフォンを取り出す。
トニー・スターク。
検索。
画像。
目の前の男を見る。スマートフォンを見る。もう一度、男を見る。
「…………本人じゃん。」
誰かが呟いた。
「本人だな。」
「アイアンマンだよな。」
「アイアンマンだ。」
「…………。」
「…………。」
「十文字。」
一人が、遠ざかっていく車を見ながら呟いた。
「お前、何者なんだよ。」
当然。答えが返ってくることはなく、翌日、十文字黒雄と風谷真魚に関する大学内の噂は、過去最大規模で増殖することになった。
ーーーーー
「…………。」
僕は、スタークさんから渡された端末を見ていた。
画面に映っているのは、ニューヨークの街並み。おそらく一般人がスマートフォンか何かで撮影した映像なのだろう。画質はそこまで良くないし、撮影者自身が走りながら撮っているのか、映像もかなり揺れている。
その画面の中央を、
――シュッ!!
赤と青の人影が、高層ビルの間を飛んでいく。
正確には、飛んでいるわけではない。手首から白い糸のようなものを放ち、それを建物へ貼り付け、振り子の要領で身体を大きく振りながら、ニューヨークの空を縦横無尽に移動している。
僕は無言のまま、画面へ顔を近づけた。
もう少し近づけるが、間違いない。
赤と青を基調としたスーツ。顔全体を覆うマスク。そして、そのマスクに描かれた特徴的な大きな目。
「――スパイダーマン!!」
思わず叫んだ。
「近い近い。」
運転席からスタークさんの呆れた声が飛んでくる。
「あ、すみません! でも、スパイダーマンですよ!?」
「見れば分かる。というか、僕が見せたんだ。」
「いや、そうですけど!」
スパイダーマンが本当にいる。
いや、この世界がMCU世界である以上、当然と言えば当然なのかもしれない。実際、未来の記憶では知っていたし、いつか活動を始めることだって分かっていた。でも、こうして実際の映像を見ると話が違う。
「うわぁ……。」
思わず声が漏れた。
「本物だ……。」
「クロオ。」
隣に座っている真魚が、若干呆れた顔で僕を見る。
「目、キラキラしてるよ。」
「だってスパイダーマンだよ!?」
「うん。」
「スパイダーマンだよ!?」
「二回言わなくても分かるから。」
いや、でもスパイダーマンなんだよ。僕が画面を食い入るように見つめていると、運転席のスタークさんがバックミラー越しにこちらを見て、
「それで。」
少しだけ声の調子を変えた。
「彼について、少し調べた。」
僕は画面から顔を上げる。
「まだ正体までは突き止めていない。というより、そこまで踏み込んで調べるべきか迷っていた、という方が正しいな。」
スタークさんはそう前置きしてから、前方へ視線を戻した。
「活動範囲は主にニューヨーク。強盗、窃盗、暴行事件。交通事故、火災、人命救助。時には迷子探しまでやっているらしい。」
「迷子探し。」
真魚が少し笑う。
「ああ。事件の規模なんて関係ないらしい。自分の力が必要だと思えば、何でもやる。犯罪者を捕まえるだけじゃない。事故が起きれば助けに入り、困っている人間を見つければ手を貸す。」
スタークさんはそこで少しだけ考えるように間を置き、
「義勇の心を持ち、ニューヨークで起きる事件や事故を、大小に関わらず解決するために行動する。そのスタンスは、英雄というより――」
僅かに口元を緩めた。
「親愛なる隣人、という感じかな?」
………おお。
「スタークさんが、そんなに褒めるの珍しいですね。」
真魚が素直に感想を口にする。
「僕を何だと思っているんだい?」
「自信家で、自分以外の人をあんまり素直に褒めない人。」
真魚、容赦なさすぎるよ。スタークさん、黙っちゃったよ。
「だいたい合ってますね。」
「クロオ、君はどっちの味方だ?」
「真魚です。」
「即答か。」
だって仕方ないじゃないですか。スタークさんは小さく息を吐いた後、再び話を戻した。
「まあ、実際、彼は評価に値する。」
その声は、先ほどまでよりも真面目だった。
「力を持ちながら傲慢になることもなく、復讐に走ることもない。自分の力を金儲けに使っているわけでもなければ、名声を得ようとしている様子もない。ただただ、人のために使っている。」
「…………。」
「純粋に、尊敬に値する。」
スタークさんにそこまで言わせるのか。流石スパイダーマンだよね!……ただし、
「彼、まだ高校生くらいですよね?」
スタークさんがバックミラー越しに僕を見る。
「その通りだ。年齢まではまだ特定していないが、映像から推測できる体格、活動時間、目撃情報。その他、いくつかの情報を照合した。おそらくティーンの学生。十代半ば、といったところだろう。」
僕は、もう一度端末を見る。画面の中ではスパイダーマンが車に轢かれそうになった人を助け、そのまま何事もなかったかのようにビルの間へ消えていく。
「だが、彼ほどの人材を放っておける余裕が、今の地球にないのも事実だ。」
確かに。この世界は、これから先、何度も地球規模、いや、宇宙規模の危機に晒される。
サノス。そして、インフィニティ・ストーン。
それ以外にも、僕の知っている未来から既に大きく変化している以上、何が起きるか分からない。
「だから、迷っている。」
スタークさんがハンドルを握ったまま、小さく息を吐いた。
「個人的には、勧誘しない方が良いと思っている。」
少し意外だった。
「クロオには申し訳ないが。」
「僕?」
「ああ。」
スタークさんは少しだけ言いづらそうにしてから、
「君の二の舞にはしたくない、というのが本音だ。」
僕の二の舞?
「どういう意味ですか?」
「若者に、重すぎる責任を背負わせてしまうことだ。」
思わず、黙ってしまう。スタークさんは前を向いたまま続ける。
「クロオ。君がクウガになった時、何歳だった?」
「………十五歳です。」
「高校生だったわけか。」
「ああ、ええっと。クウガになったばかりの頃は、実はまだ中学生でした。」
「何!?あ、いや今はいいか。その若さで未確認生命体と戦い、その後も宇宙人だの神だのヒドラだのウルトロンだの、世界の命運だの宇宙の危機だの、次から次へと背負わされた。」
「…………。」
「そして、最終的にどうなった?」
答えづらいこと聞くなー。僕は今、療養中である。身体だけではなく、精神的にも休めと言われ、半ば強制的に光のエルたちの村でのんびりさせられている。
「だから。」
スタークさんは続ける。
「同じようなことを、別の若者にやらせていいのか。それを考えている。」
車内が少しだけ静かになった。その沈黙の中で、
「でも。」
真魚が口を開いた。
「この人、クロオの憧れのヒーローなんだよね?」
「うん。」
即答した。
「あ、もちろんアイアンマンも好きですよ。」
一応、付け加えておく。
「スタークさん?」
「今の君の反応で、どちらに強い憧れがあるのかはすぐに分かったよ。」
「いやいやいや。」
何故か少し不貞腐れている。
「違いますって! アイアンマンも好きですから!」
「『も』ね。」
「そこ拾います!?」
「別にいい。僕は大人だからな。」
「絶対気にしてるじゃないですか。」
スタークさんが微妙に不機嫌そうな顔をする。真魚は笑っていた。僕は何とかフォローしようと考え、
「あ、でも。」
そこで、あることを思い出した。
「彼、未来だと実質スタークさんの後継者級のヒーローになりますよ?」
スタークさんの表情が止まった。
「何?」
「だから、スパイダーマン。」
僕は端末の画面を指差す。
「未来だと、スタークさんとかなり深い関係になります。というか、スタークさんが色々と面倒を見て、装備とかも作ってあげてました。」
スタークさんが黙ってしまうが、続ける。
「僕の知っている未来では、ですけど。」
「それと、」
真魚が横から口を挟む。
「下手に放置して、悪の道に走っちゃったりして。」
スタークさんの眉がピクリと動いた。
「それは非常に困るよ。」
「でしょ?」
「だが、だからといって勧誘するのも……。」
チラッとスタークさんを見るけど、黙ったままだ。
「…………。」
どうやら、本気で悩み始めたようで口を開いたかと思えば、
「高校生を戦力として勧誘するのは問題がある。」
「はい。」
「だが、放置して何かあった場合、それはそれで問題だ。」
「はい。」
「そもそも既に自発的にヒーロー活動をしている。こちらが勧誘しようがしまいが、彼は事件があれば首を突っ込む可能性が高い。」
「そうですね。」
「ならば、むしろ最低限の装備と教育を与えた方が安全か?」
「かもしれません。」
「だが、それをやれば我々が彼の活動を認めることになる。」
「そうなりますね。」
スタークさんの眉間に皺が寄る。
「……保護と勧誘の境界線はどこだ?」
「難しいですね。」
「そもそも保護者は?」
「そこも確認した方がいいんじゃないですか?」
「学校生活への影響は?」
「絶対ありますよね。」
そして、スタークさんが突然決断した。
「よし、相談だ。」
「はい?」
「私一人で決める案件じゃない。」
それはそうだ。
「クロオ。」
「はい。」
「一条に連絡だ。」
「一条さんに?」
「ああ。」
スタークさんは前方を見ながら、とても真面目な顔で、
「君という前例と最も深く関わった一条に、話を聞きたい。」
「…………。」
僕は瞬きをする。
「それって僕の昔の話を聞くのも含まれてますか?」
「必要ならな。」
「………嫌だなー。」