崩れゆく白月宮殿。燃え盛る帝都。

わがままな皇女ミーア・ルーナ・ティアムーンの前に立ち塞がったのは、帝国最強の「死神」ディオン・アライアだった。

絶望に目をつぶった彼女を救ったのは、一人の近衛騎士、シルヴィア。

かつてミーアが気まぐれに拾い、その存在すら忘れかけていた孤児の少女。

「……下がってください、ミーア様。道は、私が開けます」

肩を切り裂かれ、血を流しながらも、彼女は主を連れて夜の闇へと躍り出た。

それは、断頭台へと続く、あまりにも残酷で、あまりにも愛おしい一ヶ月の逃避行の始まり。

偽りの「姉妹」として過ごした森の夜。泥まみれの野兎の味。
そして、冷たい地面に遺された、最後の一言。

これは、やり直す前の世界で、一人の「剣聖」が遺した、語られることのない忠義の記録。
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