それぞれのウマ娘がこの東京大賞典で目標としていることはなんでしょう?
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ゲートインした3人に続き、ジープベニザクラもゲート内に入る。
年末大一番のレースといえども、ゲート内から見える茶色の地面と青空はいつも通りの見慣れた景色だ。
特別なことなど何もない。
ジープベニザクラはいつも通り、やりたいように気ままに走りつつ。
後ろから追い抜かれそうな気配がしたら命代えても前には行かせない。
それだけだ。
「大外12番までゲートイン完了、まもなく東京大賞典、スタートです……」
ガシャン!
タイミングよく飛び出したウマ娘たちの集団。
その中でも、ジープベニザクラは集団から抜け出しそうなほど前に出ていた。
1人、明らかな逃げが集団から離れて1人旅を始めたが、ジープベニザクラの視界にいるのはその逃げウマ娘だけだ。
「ジープベニザクラは2番手。アールライズ集団の中にいて5番手、そのすぐ後ろにアルマダクロック」
レースは500m地点過ぎて中盤戦に入る。
「最後方にいるのがメティキュラス」
一方、関係者席でも。
約束していないのに約束の地であるかのように4人のトレーナーが集った。
「メティ、今年の1月にベニザクラさんと約束してたそうじゃないですか。東京大賞典にまでは会いに行くってね」
緑のセーターベストを着た打出康隆。
初めて会ったとき、そして未来では紫の縁をしたメガネをしていたはずだが。
今回のメガネの縁はピンク色だった。
「JBCスプリントで会いに来たじゃないか」
既に義理は通しているだろうに、と石原トレーナーは苦笑いで返した。
「それはそれ、これはこれです。大一番で尻尾巻くのもまたスジが通りませんしね」
「なら売られた喧嘩を買わないのもスジ通らねえよな?」
話に割り込んできたのは紺色のコートを着た原崎直人。
「アルマダ、レース前に俺に言ったんだ。目標は3位だってな」
アルマダクロックはジープベニザクラとアールライズに立ち向かっても敵わないと自分で思っている。
それでも精一杯走り、この記録を調べたものに少しでも立ち向かった者として目にしてもらうのだ。
「1位を目標にさせられねえとは、情けねえトレーナーだぜ」
もっとも、目標は3位と言うことはメティキュラスには勝つつもりでいるようだ。
事実ではありながら、明らかに2人に比べて担当ウマ娘を格下扱いされた打出トレーナーの首筋に血管が浮かぶ。
「ほう。買いましょう。アルマダさんとあなたは少々メティをナメてらっしゃるようだ」
「レースはヤクザの抗争じゃねえってのったく……」
それに呆れたため息をついているのが白スーツを着た小原幸夫。
石原トレーナーは静かに火花を散らす打出トレーナーと原崎トレーナーをよそに小原トレーナーに歩みよった。
「小原、お前はアールライズに何か期待だとか応援とかしないのか?」
「しねえ」
「ほう、なら今回も俺のベニザクラがもらっていくだろうな」
「どうかな。アールは応援なんざしなくても、自分のやるべきことは分かってるぜ?」