ウマ娘 コノハナレッド   作:takapon960

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ジープベニザクラにも日常はあります。


第15話

ーーー15ーーー

 

トレセン学園の昼休みのカフェテリアは大体の場合、大人数で混雑している。

 

もちろん、カフェテリアスタッフたちは4桁単位で殺到するウマ娘たちの食欲を満たすべく訓練を受け、こちらもまた豊富な人員で迎え撃つのだが。

 

それでも何らかのトラブルによって料理が不足し、カフェテリアに長蛇の列が出来上がり、待ち時間が発生することが時々ある。

 

そのため、1人でいたいウマ娘や待たされたくない、というウマ娘は自分の机や秘密基地スポットで昼食を済ませることも。

 

ちなみにトラブルの発生原因1位は"大食漢来襲"だ。

 

 

今日の昼休み、ジープベニザクラもまたカフェテリアではなく。

 

購買でホットドッグとカフェオレを持って屋上に上がっていた。

 

ジープベニザクラは別に人混みが嫌いなわけでも、待たされることが嫌いなわけでもないが。

 

たまには気分を変えて、ということで屋上にやってきたということらしい。

 

屋上は孤高のウマ娘が昼休みを過ごす秘密基地スポットとして人気の場所だったが。

 

「あら、今日は私だけですか。ラッキー」

 

どうやら、今日は自分しかいないらしい。

 

広々とした屋上を独り占めできると踏んだジープベニザクラは上機嫌になり、フェンスに寄りかかって昼食を取り始める。

 

「あ。ストロー忘れました。まあいいでしょう」

 

ジープベニザクラは500ml紙パックのカフェオレの注ぎ口を開けると、そのまま直接注ぎ口に口をつけて飲みだした。

 

マナーもへったくれもあったもんじゃないが、自分1人しかいないので気にする必要もなかろう。

 

 

「ずいぶん豪快な飲み方するねキミー」

 

1人しかいないはずの屋上で、どこからか声がした。

 

ジープベニザクラが声のする方向に振り向くと。

 

「やっほー、ベニちゃん」

 

屋上に現れた2人目は、今のトレセン学園で知らぬものはいない超有名人だった。

 

跳ねまくったやや暗い茶髪に、ひときわ目立つ"CB"のシルクハットの髪飾りは誰かと見間違えようがない。

 

現在トレセン学園に在籍している中では最も古い、栄光ある"クラシック三冠"達成者。

 

ミスターシービーその人だった。

 

「こんにちはシービーさん。隣なら空いてますよ」

 

「じゃあお言葉に甘えて」

 

並のウマ娘であれば、突如目の前に現れたクラシック三冠ウマ娘に委縮してしまう者も多いが。

 

そんな心配は、ことさらジープベニザクラにとっては無用だったようで。

 

そして、ミスターシービーにとっても変に気を使ってもらう必要などなく。

 

それほど話した間柄でもない2人は気軽に隣同士になる。

 

「ところでさ。なんで今日屋上にアタシたちしかいないかわかる?」

 

「たまたまだと思っていましたが、何か理由が?」

 

首を傾げたジープベニザクラに、ミスターシービーはいたずらっぽい笑顔で自分のスマホを見せた。

 

そこに写っていたのは今日の天気予報。

 

"12:00 降水確率:90%。"

 

 

その瞬間。ポツ、ポツと水が空から降ってきたかと思うと。

 

ものの数秒もしないうちに、バケツをひっくり返したような大雨が降り始めた。

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