ほぼ情報がありませんでした。
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打出トレーナーは自分の担当ウマ娘の名をメティキュラスと明かした後、ある場所を指さす。
そこにいたウマ娘は、ずいぶんとピンク色をしていた。
いや、髪色は茶髪だ。ウマ娘の髪色としては最もありふれた鹿毛を三つ編みにしている。
まず、髪飾りは右耳側にピンク色の星がちりばめられたもの。
そして、両手にはめた手袋が明るいピンク色。
さらに、靴までもがピンク色のスニーカー。
とりあえず、彼女を指すなら『ピンクのウマ娘』で一発で分かるであろう特徴をしていた。
その他身長は155cmほどで、アンダーリムの眼鏡をしている。その縁までもピンク色だ。
第1印象からすると、ピンクであること以外は少し気弱そうなウマ娘に見える。
「メティキュラス?そういえば……」
石原トレーナーはジープベニザクラと出会う前、ピンとはこないながらも芝の模擬レースに出走するウマ娘の名をすべて覚えた。
その中に、メティキュラスという名前のウマ娘がいたことを思い出した。
「ああ、そういえば芝から来られていましたね」
打出トレーナーは石原トレーナーの思い出した内容を察した。
「その通りです。メティは最初、芝の模擬レースに出走していました」
打出トレーナーはメティキュラスと出会った経緯を語りだす。
「そこではうまく結果を出せず、誰にもスカウトしてもらえなかったんだな」
「はい、だからダートに"落ちこぼれた"ところを僕が拾いました」
石原トレーナーは「"落ちこぼれ組"だったのか」と言おうとして、その言葉をこらえた。
トレセン学園で"落ちこぼれ組"という蔑称が使われた場合。※
多くは芝に挑戦したものの、結果を残せずダートやフリースタイル(障害競走)に移籍したウマ娘のことを指す。
広義では最初からそんな場所にいるジープベニザクラもそう呼ばれる。
やはり、日本において最強のウマ娘と呼ばれるには、例外なく芝のG1でそれを示すことが絶対条件だ。
そんな日本最強を目指す奴らばかりいる芝の世界では手も足も出ない。
だから、せめて最強格が目もくれないダートなら……。
実はメティキュラスだけではなく現在ダートに在籍しているウマ娘は、かなりの人数がこうした理由で流れてきている。
最初から芝で輝くことを投げ捨ててダート一本に絞るジープベニザクラのほうがかなり希少な存在と言っていい。
そして実際、そんな落ちこぼれ組にとってもダートは楽な世界ではないが。
芝に比べればまだ1勝だけでもできる望みがある。
何も成し遂げられずに故郷に帰れるか!どんなに醜く足掻いてでも勝ってやる!
ダートとは、そんな落ちこぼれ組が戦う場所でもあるのだ。
「落ちこぼれ組ならベニザクラの相手になどならない。そう思いませんでしたか?」
打出トレーナーは石原トレーナーに指を突きつけ、核心をついたような表情をした。
「確かに、ベニザクラさんは類まれなる実力を持ったウマ娘です。生半可な努力や対策じゃ手も足も出ないでしょうし、万全を期しても勝てる望みは薄い」
「それでも、メティをスカウトしたときに約束したんです」
打出トレーナーは差していた指を空に向けた。
「何があろうが、どんな手ェ使おうが、何と言われようが。"頂点(テッペン)に連れてってやる"ってね」
少しだけ口を悪くして、打出トレーナーは覚悟を石原トレーナーに示した。
つまりは、打出トレーナーもまた、メティキュラスをダートジュニアの頂点、全日本ジュニア優駿に出走させると考えているということだ。
石原トレーナーは指さされたことで少したじろいたものの、すぐに身体を前に戻す。
「相手になるかどうかは、実際の走りを見てからでないと何とも言えん」
「では見てもらうとしましょう」
※コノハナレッド独自の設定です。
ウマ娘及び実際の競馬の状況とは異なります。