ウマ娘 コノハナレッド   作:takapon960

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みなさんはジープベニザクラのことを何に例えてみたいですか?


第26話

ーーー26ーーー

 

時期は飛んでプラタナス賞当日。

 

「1000m地点を通過、残りは600--」

 

前半は特に大きなイベントが起こることもなく進んでいった。

 

後半戦に入ってレースの展開は先頭争いをする2人に先行勢が少し離れて追走している状態。

 

ジープベニザクラの位置はこの先行勢、現在順位は5位だ。

 

「ここから、仕掛けます!」

 

ジープベニザクラは最終直線に入る少し前からラストスパートをはじめ、外から抜け出そうとする。

 

しかし、模擬レース、練習、メイクデビュー、そして今回も同じワンパターンな戦法を取ってきたジープベニザクラ。

 

「やっぱり来た!外からなんて抜かせるものか!」

 

「内ラチを攻めれば私だって……!」

 

さすがにPre-OPに出てくるウマ娘には対策されている。

 

あるウマ娘はインコースを攻めて距離を詰めようとし、あるウマ娘はジープベニザクラの想定解を塞ぐような位置取りを始める。

 

「--どいてください!」

 

しかし、そんな手で止まるようなジープベニザクラじゃなかった。

 

包囲される直前にジープベニザクラは突破口に脚を割り込ませると。

 

「なっ、こんな無理やり……!?」

 

そこから一気に抜け出してスピードアップしていく。

 

「外から上がってきたのはジープベニザクラ!前はがら空き!」

 

「しまった、勢いが……!」

 

インコースを攻めたウマ娘は確かに距離は短くなったが。

 

その多くがジープベニザクラを意識して"攻めすぎて"しまい、急カーブになったことで勢いを殺してしまった。

 

おかげさまで、スピードを緩めずに最適なコーナリングを取れるコースをジープベニザクラに明け渡したことになる。

 

「前、空けてくれてありがとうございます!」

 

ストライドの大きいジープベニザクラは脚のグリップが効かず、やや滑りながら体を斜めにしたコーナリングで先頭に食らいつく。

 

ウマ娘のレースではあまり使われない言葉だが、これを車のレースに例えたとしたらちょうどいい言葉がある。

 

"ドリフト走行"だ。

 

「流れに乗って先頭を抜いたジープベニザクラ、そのまま後続を引きちぎってゴールイン!」

 

終わってみれば鮮やかなコーナリングからの加速で、ジープベニザクラはプラタナス賞を制覇した。

 

ゆっくりと減速して立ち止まったジープベニザクラは軽く息を整えると。

 

相変わらず少ない観客に向けて、微笑みながら控えめに手を振った。

 

「あんな豪快な走りなのに俺たちに向けるファンサは可愛らしいな」

 

「優しくて強いって言葉が似合う子だ……」

 

その上品さと力強さを併せ持つジープベニザクラは数少ないダートの観客たちの心を掴んでいく。

 

「これならG1制覇も十分射程に入るな。取りに行くぞ、ベニザクラ」

 

小さく手を振ってくれた石原トレーナーはそれに応えるように小さくガッツポーズをした。

 

 

その日の午後9時。

 

不運にも日々のトレーナー業務が長引いてしまった石原トレーナーは今から自分のトレーナー室に戻ろうとしていた。

 

プラタナス賞を制覇した今、ジープベニザクラが狙うは全日本ジュニア優駿ただ1つ。

 

そのために舞台となる川崎レース場の研究やライバルウマ娘の洗い出し、研究、対策……

 

石原トレーナーは今からもやることがたくさんある。

 

今夜はおそらくトレーナー室に泊まり込みになるだろう。

 

ブラック企業も真っ青の激務だが、自分の担当がG1に出走するチャンスを得たのだ。

 

石原トレーナーにとっては24時間だって戦える。

 

「さあ、むしろここからが本番だぞ。ベニザクラに優勝トロフィーを渡すために頑張らなくては」

 

石原トレーナーは軽く自分の頬を叩いて気合を入れなおすと。

 

トレーナー室の扉を開けた。

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