今回はこれを真剣に考えてみました。
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その日の午後。
中央トレセン学園の校門前には、仮にも女子校には似つかわしくない巨大な車が停車していた。
よく道路で見かける普通のコンパクトカーの1.5倍くらいはあろうかという、いわゆるピックアップトラックと呼ばれる車だ。
普段は徒歩と公共交通機関を使って出勤している石原トレーナーだが。
実は石原トレーナーは去年マイカーを新調したのだ。
石原トレーナーのマイカーであるピックアップトラックはブラックマイカでピカピカに塗装され。
フロントフェイスからタイヤから後ろに備え付けられた荷台まで何もかもが厳つい。
ガーニッシュ、トノカバー、アーチモールなどオプションやカスタマイズも全部乗せされ、ロゴマークがあちこちに散りばめられている。
本来はキャンプや旅行などで大量の荷物と一緒に運転する車で、手ぶらの人間が1人だけ乗る車としては間違いなく持てあます。
おそらく総価格は600万円を下らないだろう。
今の担当が決まってからならジープの車を買ったかもしれないが、このピックアップトラックはジープベニザクラとの担当契約前に買ったものだ。
残念ながらジープではない。
もちろん、ウマ娘のトレーナーにとっても、機材や食材をレース場や合宿所に運ぶ時などにはこういった大型車にも使い道があるのだが。
石原トレーナーがこの車を新車で購入した1番の理由は。
……単にカッコいいからだ。
例え荷物を載せる機会がなかったとしても、力強くゴツい車を乗り回すことこそが。
"石原泰介"にとっての"漢の浪漫"なのだ。
トレーナー業で忙しい石原トレーナーは趣味のドライブをする時間などめったにないものだが。
今日は出張の名目を借りて堂々と他県までドライブを楽しんでやろうという魂胆で引っ張り出してきたのだ。
そんなピックアップトラックから颯爽と降りた石原トレーナーは早速学園内のウマ娘たちの注目を集める。
……まあ、自慢げに降りてきた石原トレーナーに対し、多くの通行人ウマ娘の反応は「うわ……なんかすごい車に乗ってきたトレーナーさんがいる……」だった。
また、気弱なウマ娘だと「あのトレーナーさん怖い車乗ってるぅ……」と石原トレーナーを露骨に避けて歩いている。
石原トレーナーにとってこの車はカッコよく、男らしいと思っているのだが。
自分で走れば車と同じくらいのスピードで走れるのだから車に興味のあるウマ娘はそれほど多くはない。
興味のない者からの反応はだいたいこんなものだ。
「さて、ベニザクラに少し留守にすると伝えないとな。自主トレ用のメニューも渡さないと」
担当ウマ娘に似てきたのか、露骨に避けられてもどこ吹く風な石原トレーナーは、ジープベニザクラが近くにいないかを探し始めた。