ウマ娘 コノハナレッド   作:takapon960

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ひたすら自分のペースに合わせてくっついてくる。
地味だけど使われたらいやらしい。


第52話

ーーー52ーーー

 

「俺がなんでアルマダを担当にしたと思う?」

 

突然、原崎トレーナーは話題を変え、アルマダクロックとの出会いについて質問した。

 

石原トレーナーは記憶をたどるが、アルマダクロックについてのプライベートについての情報は見聞きしたことがない。

 

全勝とはいえ、OPクラス程度のウマ娘をわざわざ詳しくインタビューして掲載しようという記者もいないのだろう。

 

唯一知っている情報はつい数時間前に聞いた話だけ。

 

「分からんな……盛岡まで行ってスカウトしたということはなんとなく拾ったわけではなさそうだが」

 

「大外れってわけでもねえな、じゃあ第2問だ。盛岡のレースには何がある?」

 

「1200mのクラスターカップ(G3)、1800mのマーキュリーカップ(G3)、そして1600mの南部杯(G1)」

 

間髪入れずに石原トレーナーは盛岡レース場で開催される重賞レースをサラサラと答えた。

 

盛岡レース場に芝コースはないため、知名度そのものは低いが、さすがベテラントレーナーといったところ。

 

「おっと、こっちは楽勝だったか、さすが石原さん」

 

 

「じゃあ本題だ。盛岡ってのはその程度のレースしかねえ地方のレース場なんだよ」

 

原崎トレーナーは手すりに寄りかかってため息をつきそうな姿勢になるが。

 

視線だけはまっすぐアルマダクロックを捉えている。

 

「アンタほどのトレーナーなら名前だけは知ってるだろうが、盛岡のG3じゃあ勝っても実績になんねえ」

 

そんなはずはない、仮にも重賞だ、と石原トレーナーは言いそうになって少しグサリとくるものがあった。

 

クラスターカップ、マーキュリーカップはともに8月の後半に開催されるレースだ。

 

ところで、8月後半のトレセン学園のウマ娘はどうしているか?

 

そう、合宿中だ。

 

大半のウマ娘は8月のレースなんぞ頭からすっぽ抜けている。

 

ジャパンダートダービーこそG1に相当するため例外と言わせてくれるが、G3では現役のダートウマ娘ですら「あー、そういえばそんなのもあったな」くらいの知名度でしかない。

 

もちろん、大半のウマ娘にとっては「何そのレース?」だ。

 

「--だから中央で走ることを決めたと。なかなかシンプルな名誉欲じゃないか」

 

アルマダクロックは地方のウマ娘で終わりたくはなかった。

 

中央でレースに勝ち、アルマダクロックの名を連ねてみせる。

 

例えそれがダートという冷遇された場所だったとしても。

 

その程度の場所の末席だったとしてもだ。

 

「だから、俺はそのシンプルでちゃっちい名誉欲をトレーナーとして満たしてやるのさ」

 

「それに、この世界に高尚な理由付けはいらねえってのは、アンタだって実感しただろ?」

 

「ああ。清々しくてむしろ気に入った」

 

 

「(ボクは、アルマダクロック。)」

 

「(輝かしい称号でなくてもいい、栄光に包まれてなくてもいい。)」

 

「(中央で走ったアルマダクロック、そう言われるためだけに!ジープベニザクラ、キミを倒す!)」

 

レースは、残り600m。

 

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