ではメティキュラスはその間何をしていたのでしょうか?
どうして今再び名前を現したのでしょうか?
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チャンネルを合わせたテレビには、ついこの前にジープベニザクラが記者会見をした会場が映っていた。
座っているのは、打出トレーナーとメティキュラスだ。
「メティさん、G2制覇おめでとうございます!」
「あ、ありがとうございます!」
「我々から見れば、メティさんもクラシック期待のウマ娘と見ていますが、打出トレーナーから何かコメントを」
「光栄です。ベニザクラさんやアルマダさんのように順風満帆とはいきませんでしたが、それでも何とかここまで来られました」
メティキュラスは相変わらずペコペコと頭を繰り返し下げており。
新人トレーナーにもかかわらず、打出トレーナーはスラスラとインタビューに答えている。
打出トレーナーとメティキュラスの会見にジープベニザクラは食い入るようにテレビを見つめている。
「メティさんが次どこに出るかを知ってほしかったということですか」
「ああ。もっと言うと、打出から見ろと連絡があってな」
軽い話を交わした後、記者たちは本題に入る。
「では、やはり次走はG1、JBCに出走されるということで」
打出トレーナーとメティキュラスは同時に頷くと。
「はい。私は、"JBCスプリント"に出走します!」
「メティさんもですか!」
ジープベニザクラが驚くと同時に、記者たちにもざわめきが広がる。
が、そのざわつきはジープベニザクラがJBCスプリントへ行くことを発表したときに比べたら少し小さいか。
「やはりスプリントですか!」
「ということは、JBCスプリントを見越して東京盃に……!」
トライアルレースである東京盃で優勝しているということは。
メティキュラスと打出トレーナーは最初からJBCスプリントへの出走を見越してローテーションを考えていたことになる。
「ではお2人はかなり前からJBCスプリントへ出走することを考えていたということですね?どうして?」
ウマ娘の中には稀にマイルですら厳しく、短距離の1階級しか適性がないウマ娘が存在する。
そういった生粋のスプリンターであるウマ娘は芝なら高松宮記念、スプリンターズステークスで活躍する。
そして、稀の中でもごくごく稀な、生粋のダートウマ娘かつ生粋のスプリンターがJBCスプリントを見越してローテーションを組む。
これならまあ理解もできよう。
だが、メティキュラスはマイル適性があるのにもかかわらず、わざわざJBCスプリントを選んだ。ジープベニザクラもそうだ。
だから記者からは驚かれている。
なぜわざわざスプリントに?と。
「"ナメられた"ままじゃあ、終われませんからね」
その質問に、打出トレーナーが机に肘をついて答えた。
「舐められた?」
記者が首をかしげたところに打出トレーナーはメティキュラスに目配せをして答えるように合図を送る。
メティキュラスは小さく頷くと、スタンドに取り付けられたマイクを握った。
「きっかけはベニザクラさんが同じくJBCスプリントへの出走を表明したことです」
「ベニザクラさんも表明していましたね。我々も驚かされました」
ジュニア級、全日本ジュニア優駿でジープベニザクラが勝利し、メティキュラスは4着に終わったことを記者たちは覚えている。
つまりは、ジープベニザクラがJBCスプリントに出るから。
メティキュラスはそこでリベンジを果たすべく。
本来あったであろう予定を捻じ曲げて無理やりJBCスプリントに出られるように、東京盃へ舵を切ったというのだ。※
今質問をしていない記者たちがヒソヒソと話を始める。
「それにしたってあまりにも急すぎる舵取りだ……」
「無茶をしたもんだな……」
なにせジープベニザクラの表明から東京盃は数日と空いていない。※
そのわずかな間に打出トレーナーはメティキュラスに短距離が走れることを見抜き、走り方を教えて、G2を勝ったということになる。
普通レースというのは先を見据えて何カ月も前から準備や特訓を始めるものなのに。
言い換えれば、そこまでしてまでジープベニザクラにはリベンジを果たしたいということになる。
※現実では東京盃は南部杯より前に行われることが多いです。
厳密な時系列ではありえませんが、ウマ娘世界では同ターン開催になっているため、今回は演出上ご了承ください。