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「では、全日本ジュニア優駿でベニザクラへの借りを返すために、JBCスプリントに出ると?」
そう記者が言った途端。
メティキュラスの表情が一変した。
メティキュラスは勢い良く立ち上がると。
ガッシャン!という大きな音を立てて椅子を後ろに蹴り飛ばした。
ジープベニザクラは立ち上がった勢いで椅子を倒しただけだが、メティキュラスは完全に故意で蹴り飛ばしている。
どうやら、メティキュラスはアウトローに憧れのある打出トレーナーにすっかり影響されてしまったらしい。
「--ええ、そうです!」
「ベニザクラさんにとって私なんか取るに足らない存在なんでしょう!このままじゃトレーナーさんにも申し訳ありません!」
「この立場、JBCスプリントでひっくり返します!」
メティキュラスの宣言に打出トレーナーも便乗するように眼鏡をクイッと上げた。
「ええ、メティの言う通りです」
「全日本ジュニア優駿で"うちのメティに泥塗った"んです。しっかりとベニザクラさんと石原さんには"ケジメ"取らせませんと」
次にメティキュラスは小さなスタンドがついていたマイクを強引に引っ張って外すと。
マイクを手で持ちながらカメラを指さした。
テレビから見れば、ジープベニザクラと石原トレーナーを指さしていることになる。
「ベニザクラさんにこうお伝えください!」
「"あなたのそのキレイなツラ、蹄鉄で踏み潰してやるから覚悟しとけ"と!!」
「2人とも暴れすぎだ。お前、まだ大人しい会見だったんだな……」
テレビの電源を切った石原トレーナーは苦笑いでジープベニザクラの方を振り向いた。
当のジープベニザクラ本人はあまりの2人のアウトローっぷりを渾身のジョークと捉えたのか、しかもツボに入ったのか膝をついて爆笑している。
「ふふふふ……ついに、私たちも……ふっ、コレですかぁ……?」
ジープベニザクラは笑いながら左手の小指を立てて右手でチョップを繰り返している。
どうやらヤクザ映画などでよくある指詰めをしないといけないんですかね?と冗談交じりに言っているようだ。
「それならダートウマ娘の大半は指が何本かなくなってる」
「それを思い浮かべたら。ちょっと笑いが、止まらなく……アハハハハ……」
「全く、いくら好きだからって出まかせで言ってもこうなるだけだぞ打出、メティ……」
石原トレーナーはすでに暗くなったテレビを見ながらため息をつき、笑い転げるジープベニザクラを指さした。
「そういやベニザクラ。メティはああ言っていたが。取るに足らない存在だと思っていたのか?」
「まさか。全日本ジュニア優駿であれだけメチャクチャなことをされたんです。嫌でも記憶に残ります」
「どうだか。ベニザクラはポーカーフェイスが上手いからな。本心か冗談か分からん」
「本心です。私、顔には出ませんが、嘘で誰かを騙せるほど器用じゃありませんから」