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時間だ。
ジープベニザクラが控室を開けて地下バ道に出ると。
特に約束はしていないのにJBCスプリントに出走するメンバーが全員地下バ道に固まって集まっていた。
その中にはメティキュラスもいる。
「えーと……これは、どんな集まりでしょうか……?」
ジープベニザクラがおそるおそる尋ねると、メティキュラスがジープベニザクラに気づき、深々とお辞儀をした。
記者会見で椅子を蹴り倒し、蹄鉄で顔を踏みつけてやると息巻いていた奴と同一人物だとはとても思えない。
「ベニザクラさん!お久しぶりです!」
「お久しぶりです、メティさん。何か聞いてます?」
久方ぶりの挨拶を済ませると、メティキュラスはパドックに出る出口側を指さした。
「せっかくなのでJBC組で粋なことをしようと集まりました。ベニザクラさんもご協力お願いします!」
「粋なこと……?」
とはなんですか?とジープベニザクラが聞く前に。
出口側から疲れていながらもやり切った表情の砂まみれのウマ娘たちがぞろぞろと戻ってくる。
ジープベニザクラにとっては名前だけは知っていたり、そういえばどこかで一緒に走ったような、といった顔ぶれだ。
おそらくJBCレディスクラシックに出ていたウマ娘たちだろう。
人数は11人。
ちょうど、JBCスプリントに出走するウマ娘の人数もジープベニザクラ合わせて11人。
そういえばと、ジープベニザクラはJBCクラシックの出走者も11人だったことを思い出した。
すると、JBCスプリントに出走するグループの先頭のウマ娘とJBCレディスクラシックに出走していたグループの先頭のウマ娘が重なりかけて。
「お疲れ様!」
「次はキミたちだ!行ってこい!」
とさわやかにハイタッチした。
それを皮切りに、両グループのウマ娘がどんどんと接近しだす。
「……そういうことですか。確かにシャレてはいます」
観客のいない地下バ道には、次々と大きなハイタッチの音が響き渡る。
「頑張ったな!」「アンタはこれからだぞ!」
「応援してる!」「任せて!」
そして、目の前にいたメティキュラスも、帰ってきたウマ娘とハイタッチをする。
「1発カマしてやりなメティ!」
「がんばります!」
次はジープベニザクラの番だ。
ジープベニザクラもまた、手を挙げて少し振りかぶると。
大きな音を響かせ、名前もうろ覚えなウマ娘とハイタッチをかました。
「勝ちなさい、ベニ!」
「行ってきます!」
ハイタッチを終えて歩いた先は大井レース場のゲート前だ。
既にJBCスプリントのセッティングは完了しており、後は全員がゲートインすればすぐに出走できる状態になっている。
パドック紹介を終え、メティキュラスとジープベニザクラはお互いの隣同士を歩きだした。
2人は観客席のどこからでも見えるような位置まで歩いてくると、お互いに向き合って。
ほぼ同時にお互いの胸ぐらをつかみ上げた。
「ベニザクラさん、記者会見見ていただけましたか!?2敗目の覚悟はしていただけたんでしょうね!?」
「覚悟は決めましたよ。あなたに勝つ為だけのね!」