100を超える実装ウマ娘の中で目標になっているのはたった2人だけのG1。
それでも、こんなに必死で取ろうとしているウマ娘がいます。
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「惜しいトコまではいけたんですが……ベニザクラさんが1枚上手でしたか」
「1枚だけな。ヒヤッとさせられたぞ。ベニザクラは平気な顔しているかもしれんが、そう思っているはずだ」
認められたと感じた打出トレーナーは無意識に膝に手を置いてお辞儀をするヤクザポーズを取りそうになったが。
先回りでそのポーズは石原トレーナーに止められた。
「おっと。俺はお前の兄でもなければ兄貴分でもない」
「接戦だったんだ。"五分の盃"と思ってくれ」
ジープベニザクラがメティキュラスにしたように。
石原トレーナーは打出トレーナーを無理やり引き起こして、有無を言わさず固い握手を交わした。
「……光栄です。2人に五分で認められるとは思ってませんでしたよ」
ジープベニザクラはJBCスプリントの優勝例を受け取り、やがてウマ娘たちは地下へと引き下がっていく。
地上の照明が届かなくなり、周囲が薄暗くなったくらいまで11人の集団が歩くと。
これから地上に出ようとしている11人の集団が反対方向から近付いてきた。
集団と間隔を空けながらも引き連れてくるように向かってきた先頭は、あのアールライズ。
JBCスプリントの優勝レイを自慢げに肩に掛けているジープベニザクラを見て、アールライズは無表情を一切崩さなかった。
「……私のこと、怒らないんですね」
ジープベニザクラはJBCでアールライズから逃げたことを認めた。
せっかくライバル扱いしてもらったのに、次戦をのらりくらりとかわしてしまったから、鉄拳制裁くらいまで覚悟していたジープベニザクラだったが。
「別に。約束した覚えはないわ」
アールライズは興味なさそうに呟いた。
たしかに「残り3戦"どこでも"いらっしゃい」とは言ったが、「残り3戦"絶対に"来なさい」とは言ってない。
アールライズにとっては、ジープベニザクラがかかってこないのなら、今までやってきたように残りの相手を塵にするだけだ。
「ん」
すると、アールライズはおもむろに手のひらを見せた。
JBC組の11人、3チームでハイタッチでバトンを渡そうと誰かが粋なことを言って、メティキュラスもジープベニザクラもそれに応えた。
が、まさかアールライズすらもノッてくれるとは。
ジープベニザクラの後ろで何人もの後ずさりが聞こえた。
ジープベニザクラが振り向くと、メティキュラス含め残り10人は数歩引き気味に後ずさっている。
粋なことはしたいが、アールライズとハイタッチはやっぱり誰もしたくないらしい。
ただ1人を除いて。
「……では今度は約束しましょう。まずはJBCクラシックをちゃんと走り切ってください」
「そして、チャンピオンズカップはどうぞご期待くださいな!」
わざと大きな音を鳴らして、ジープベニザクラはバレーボールのスマッシュみたいにアールライズの手を叩いたが。
アールライズの身体はびくともしていなかった。
アールライズとジープベニザクラのハイタッチを皮切りに。
JBCクラシックに出るウマ娘たち11人が次々と、JBCスプリントを走ったウマ娘たち11人にハイタッチで送り出されていく。
「いいレースだったよメティ!」「ありがとうございます!」
「私がアールに一泡吹かすから!」「落ち着いて走れば行けるかもよ!」
ただし、JBCクラシック組10人の健闘もむなしく、アールライズが7連勝を決めたニュースは翌日の朝刊20面に載った。
チャンピオンズカップ、そして東京大賞典。
序破急で構成されたジープベニザクラの物語は、急の章へと入る。