ウマ娘 コノハナレッド   作:takapon960

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実はこのエスポんとの話は執筆中に急遽エスポんが実装され、JBCスプリントが目標になっていたことを知って追加したシーンになります。


第84話

ーーー84ーーー

 

今日はチャンピオンズカップの日だ。

 

ここで現時点での人気予想を伝えておこう。

 

なお人気というのは愛されているかどうかは一切関係ない。1位になれそうかどうかだけで判断されていることを念のため伝えておく。

 

やはり1番人気はアールライズでほぼ全員が◎や〇といった高評価の印をつけている。

 

ジープベニザクラは〇や△といった最高から1段階落ちる評価を受け、2番人気となっている。

 

南部杯の時よりも差は大きい。

 

やはり南部杯で追いつけないことを証明してしまったことや。

 

JBCスプリントに行ったことでアールライズから逃げたと判断されてしまったことが響いているのだろう。

 

惜しいところまではいくんだろうが、ジープベニザクラといえどもアールライズは止められないのだろう……。

 

誰もがそう予想している。

 

 

「……読むか?いらんか」

 

控室で予想新聞を読んでいた石原トレーナーは、ジープベニザクラにもこの予想を見せようかと思ったが。

 

すぐにジープベニザクラの答えを察して新聞をぐしゃぐしゃに丸め、ゴミ箱に投げ捨てた。

 

「新聞なんて読んだところで人気が変わったりはしませんから」

 

ジープベニザクラは勝負服に着替え終わったのでもう出発だ。

 

「そうだな。今更俺が何かを伝えることもない。JDDの時のように、どうにでもなれと思っていけ」

 

「はい。と、言いたかったのですが」

 

ジープベニザクラは顎に人差し指を当てて少しだけ首を傾げた。

 

そうしたいのはやまやまなのですが、と言いたそうだ。

 

「私は変わり者ではありますが、それでも一応私はウマ娘、みたいです」

 

……お前はウマ娘じゃなかったのか?と言いたいところだが。

 

ここで言いたいのは「ウマ娘ならみんなこうなのだからお前もそうなんだろう」という常識で自分を測られたくはない、という意味。

 

だからジープベニザクラはどうにでもなれと思いながら走ったり、驚かせたりドン引きさせるような行動をしたり、変なローテーションを組んだりしていた。

 

ただ、ウマ娘という種族は通常の人間とは違う本能を誰しもが持っている。

 

例えば他のスポーツは好きじゃないけど走ることだけは大好きだとか、走る勝負では絶対に負けたくないだとか。

 

本能の強さやそれを理性で抑え込めるかどうかはウマ娘によるが。

 

これはジープベニザクラも例外ではない。

 

というか別にジープベニザクラは、別にこういった本能が弱くもなければ理性で抑えているつもりもない。

 

特にこの"絶対に負けたくない"という本能。

 

目の前に負けてしまった相手が明確に表れてしまったことで、その気持ちはより強くなってしまったようだ。

 

「ですから、どうにでもなれ、なんて気持ちではもう走れないかもしれません」

 

目の前に仇敵がいながら、どうでもいいや、なんて気持ちには流石のジープベニザクラにすらなれなかったようだ。

 

今度は、悔しいという感情をちゃんと持って走る。

 

今度こそ、リベンジしてやるという感情をちゃんと持って走る。

 

「そうか。それでいい。ただし気負いすぎるなよ」

 

感情は行き過ぎればデメリットだが、ジープベニザクラがコントロールできない、なんてこともないだろう。

 

「ベニザクラ自身の走りは忘れるな。そのうえで、息をするようにアールを仕留めてこい」

 

石原トレーナーはそう言って椅子から立ち上がった。

 

ジープベニザクラ本人にはないが、石原トレーナーには送り出す前にやる最後のおまじないがある。

 

石原トレーナーは控室の扉を開け。

 

ジープベニザクラの背中をドンドンと2回叩いた。

 

「--アクセル全開で行ってこい!」

 

「はい!」

 

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