ウマ娘 コノハナレッド   作:takapon960

94 / 100
最終回「この花、レッド」が始まります。
ダート世界にも年末には大きなレースがあります。
そこでは、コノハナレッドとこの物語を名付けたウマ娘がいました。

さて、誰でしょう


最終章 この花、レッド(東京大賞典編)
第93話


 

チャンピオンズカップが終われば、ついに今年残すG1はあと1つになる。

 

東京大賞典、大井の2000mはダートレースの総決算、大一番となるレースだ。

 

既に開催までは1カ月を切っている。

 

ジープベニザクラはここでしっかりと勝利を決めきり、悔いの無い締めくくりとしたい。

 

……ところだが、そう簡単に勝たせてはくれない存在が、やはりアールライズだ。

 

長らく王座に誰も寄せ付けなかったアールライズがついに陥落させられたのだ。

 

チャレンジャーとして挑んでくるアールライズの力は未知数だ。

 

 

と、その前に。

 

今日の放課後、カフェテリアでジープベニザクラは意外な人物と一緒にいた。

 

テーブルに同席していたのはメジロアルダン。

 

「ベニザクラさんとお話がしたいのでお茶でもいかがですか?」とメジロアルダンがお茶会をセットしてくれたのだ。

 

メジロのご令嬢がセッティングしてくれたアフタヌーンティーだ。

 

きっとテーブルの上は一流パティシエが腕によりをかけた絶品スイーツをお茶請けに。

 

極上の茶葉で抽出された至高の一杯でおもてなししてくれる……。

 

……と、想像してしまいそうなものだが。

 

なんと、メジロアルダンが持っていたのはスーパーやコンビニに行けばどこにでも売ってる2Lペットボトルの緑茶だった。

 

しかも半額の割引シールが付いている。

 

テーブルの中央に置かれてあるお茶請けは10円ちょっとで売ってある一口チョコやスナックを詰め合わせただけだ。

 

このお茶会をセッティングするのに、おそらく500円もかかっていない。

 

メジロのご令嬢が用意するセッティングにしてはあまりに庶民的すぎる。

 

「粗茶ですが」

 

メジロアルダンは使い捨ての紙コップ2つにペットボトル緑茶を注ぎ、1つをジープベニザクラに差し出した。

 

普通は目上の人にできる限り謙遜してお茶を出す謙譲語だが、今回は"わざと"本当に粗茶というか安物を差し出してジョークにしている。

 

「これ言われて本当に安そうなことあります?」

 

メジロアルダンの冗談がウケたのかジープベニザクラは半笑いになりながら緑茶を受け取った。

 

どうやら、スーパーの緑茶に駄菓子のセットを、ジープベニザクラは大層喜んでいる。

 

 

メジロアルダンは何も嫌味でこんな安物を用意したわけではない。

 

先ほど庶民的なセッティングと言ったが、ジープベニザクラは庶民だ。

 

高価な代物には触れたこともなければこれから触れたいとも思わない。タマモクロスよろしく、高級耐性が皆無だ。

 

例えば、回転寿司は好きだが、回らない方に連れて行ったら入店前から後ずさるだろうし。

 

カニカマは好きだが本物のカニは見ただけでドン引きするだろう。値札を見て。

 

ドレスや着物なんて着ようものなら汚すのが怖くて動けなくなってしまうだろう。

 

鋼を超えるほどのメンタルを持つジープベニザクラ唯一の精神的弱点かもしれない。

 

そんなジープベニザクラにメジロのお屋敷で行われているようなティーパーティーを用意してしまったら?

 

おそらく値段とかマナーとかいろいろ気になってしまい、ジープベニザクラは楽しい会話どころではなくなってしまう。

 

それをどこで聞いたのかは不明だが。

 

だから何も気にせず、ただ気楽にいてもらおうと、気配り上手なメジロアルダンはあえてチープなおもてなしを用意したというわけだ。

 

「今日はベニザクラさんとお話ししたいだけですから。お気に召しましたか?」

 

「ええ、とても素敵なお茶をありがとうございます」

 

そう言うと、2人は緑茶入りの紙コップを手に取り。

 

グイっと片手で一気に飲み干した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。