暴れ狂うような夏の酷暑はすっかり鳴りを潜め、むしろ肌の乾燥が気になるようにすらなってから久しい冬のある日。久しぶりに開催された女子会には4人の人影があった。
「これ美ん味ぁ~~ッ!」
「よかったねぇ」
朗らかな昼下がり、カフェの隅の日当たりが良いテーブル席でのことだった。
「ずっと、飲みたがってたもんね」
「いやぁお手柄ですな。酒寄博士~」
「ふふん。結構、苦労したんだよ?」
そう言って自慢げな顔でハーブティーを啜る彩葉。カップの水面に揺らめく天井の明かりでさえ誇らしそうだった。
「結構どころじゃないでしょ。前ツクヨミで味覚が実装されたのもその一環だったって話、聞いたよ? 最近久しぶりにアイシャドウ濃くしたな~って思ったし」
「え嘘、分かる⁉」
「冗談です〜」
「もー」
「でも本当に気を付けてね? もう昔みたいな無茶しないとは思ってるけどさ」
「最近はちょっと立て込んでただけだよ。今回の成果報告が終わったらちゃんと休むつもり」
そう言う彩葉に向かって、真実はキャラメルマキアートを吸う口を止めて聞いた。
「そういえば、もう2人でご飯はしたの?」
「ああそれは……」
「したよ! おうちごはん!」
かぐやは片手をマグで温めつつ、もう片手でVサインを作ってみせた。
「おぉ」
「かぐやが作ったの?」
「いんや、それじゃいつもと同じだしぃ……」
2人の視線が一斉に同じ方を向いた。
「え、じゃ彩葉が作ったの?」
「かぐやが言って聞かなくて、それで仕方無くよ仕方無く」
「羨ましー」
「何作ったげたの?」
彩葉は持っていたコップをソーサーに置いて、一拍置いてから答えた。
「粉と水のパンケーキ」
「え?」
「粉と水のパンケーキ」
「いや別に聞き取れなかったわけじゃなくて」
「かぐやちゃん、本当?」
「うん。くっそまずかった!」
「違うからね。ちゃんと料理は後で作ったから! オムライスとパンケーキ! 作ったから!」
これも仕方無くだよと言う彼女に対して2人は疑念を含んだ視線を向ける。そんな様子を眺めながらかぐやは面白そうに再びホットレモネードに口を付けた。
「あ!」
「ん?」
「どしたん真実」
「……いやぁ」
そんな雰囲気をひっくり返すように突然声を上げておきながら、しかして真実は口を噤む。太めのストローをぐるぐる回してふわふわのクリームを台無しにしながら何かを言いあぐねるかのように視線を泳がせている。
「かぐや、私食べに行きたいと思ってた店があんだけどさ」
「何何! どこいくの?」
「私気になるかも」
「私も」
「いやぁ……、でもあれは……」
首どころか体全体を傾げながら片手でおでこの辺りを押さえて考え込む真実。
「あれはご飯というよりは……」
「というよりは?」
「……耐久試験?」
真実が絞り出すようにそう答えると一同の頭上には疑問符が浮かぶ。誘われた当人のかぐやは一番意味が分かってなさそうな顔をしながらカップの残りをグイっと飲み干した。
また別の日。少しばかり電車に揺られてたどり着いたその場所で、真実とかぐやは既に一時間以上の待ちぼうけを食らっていた。
「さ、寒い~」
「あとちょっとの辛抱だよぉ」
両肘を抱えるようにして寒さに震えるかぐや。対して真実はいつもの緩い口調で応えるも、だからこそかぐやは若干の異常を見逃さなかった。
「ま、真実? なんかいつもと雰囲気、違くない?」
「え? ……あ~、ちょっち気合入れ直してたかも」
その双眸は覚悟に満ちていた。
不退転だ、それは並大抵のことでは揺るがぬ確かな鋼の意志だった。
「お、おぅ」
少し探りを入れるぐらいのつもりで聞いたのに、返ってきたのが嘘でも否定でもない紛れもない肯定でむしろ困惑する。10年前は何度も一緒にグルメ巡りをした仲だけど、彼女のこんな顔は一度として見た覚えが無い。一体何が真実をこれほどまでに駆り立てるのか、そう思って今回訪れた店の名前を今一度確認する。
ラーメン次郎 美田本店。
黄色地にブロック体で書かれたシンプルな看板。映えやバズを意識して見てくれを洗練させていく現代において、真っ向からその流れに逆行するスタイルのデザインはむしろ際立っていると言えるのかもしれない。
見た目だけで言えば少し特徴的な程度、だというのにそれだけでは説明ができないほどの威圧感をかぐやは感じていた。これが正体か、そう直感した。
今更のことながら、今回真実と食べに来たのは次郎系と呼ばれるジャンルのラーメンである。かぐやも見た目と多少の関連情報は把握している。しかし、それ以外で知っている情報は多くなかった。多分なネットミームの知識と若干量の世間の評判を併せて考えるに、次郎系というのは相当にハードルの高い食べ物であるということまでは分かっていた。あの真実が”結構スゴいよ~”と評していたのはそういうことだし、彩葉と芦花が仕事ガー配信ガーと言って同伴を断ったのもそういうことだろう。乙女的にダメそうだというのは頭では理解できたものの、数千年間五感を封印されていた身としてはまだ感覚的な理解ができていなかった。かぐやの舌はいまだに彩葉の手料理にチューニングされたままのピュアピュア状態だったのである。
それからしばらくして、ようやく列が動き出した。かぐやの心も動いた。退屈の多い人生を歩んできた彼女も慣れているというだけで決して退屈が好きなわけではない。むしろ嫌いまである。だからかぐやは期待していた。ようやく、ようやく食べられると。
「食券の購入をお願いいたします」
だのに、これである。
手の平に置かれたシンプルな色の軽いプラスチックタグを見つめる彼女の表情は虚無。列がある程度動いた段階で案内に来た店員に促されるまま期待して入店したかぐや。しかしそれこそが始まりの合図だった。次郎とは食券を購入してから並ぶタイプの店だったのだ。それが今回は偶々列が長すぎたために途中で買うことになったというだけ。彼女達はそこからさらにしばらく店の外の列に並んで待機した。寒さに加えて飢えも重なり、かぐやはかなり限界が来ていた。
十数分後やっと入店することが叶った。店の外で形成されていたような待機列はなんと店の中にまで繋がっていた。だというのに、彼女の心は特別動かなかった。嫌気が差したわけでも呆然とした訳でもない。ただ、それ以外のことに気を取られていただけだ。先ほど食券を買ってから入店するまでと同じぐらい待たされた筈なのに、そのときはどうしても一瞬のことのように思えて仕方無かった。
案内された席に着いた後食券をカウンターの上に置いて、あらためて辺りを見渡す。充満する肉の匂いを押し返すぐらいの濃い雰囲気。通常のご飯屋さんで見られるような和気あいあいとした雰囲気は一切無く、あえて形容するなら修行場と言ったところか。決して陰険な感じがする訳じゃない。むしろその逆、清々しいまでにストイックな心意気が感じられた。
あまりにも普段の食事とギャップがあるせいで窮屈に思えてきたかぐやは助けを求める真実へ視線を向けるも、そこにはより一層真面目な顔をした親友の姿があるだけだった。昔よりずっと短くなった髪を緩いポニーテールにして、そしていつになく真剣な瞳。それは声をかけるのも憚られるというよりは、きっと今は何を言っても返ってこないだろうと確信させるもののように思えた。だからかぐやは大人しく前を向いて、他の人もそうしているように、ただ無心で厨房で組み立てられていく作品の様子を眺めているしかなかったのである。
(……? この感じ、確か前にも……?)
じっと待つこと数分、何かを思い出しそうになった辺りでかぐやは現実に引き戻された。
「ニンニク入れますか?」
思わず顔を上げるけど、そこには誰もいない。当然だ。ずっと前を向いていたのだから目の前に誰かが来れば気が付くはずだ。ならばどこからと思う前に答えの方がこちらにやってきた。
「全部でお願いします」
最初、真実の声だと気付けなかった。雰囲気が違った、気合が違った。見てようやく真実が返答したのだと気付けた。注文の直前でオプションを追加注文できる店はいくらでもあるだろうけど、この儀式にも思えるコールはまるで別世界での出来事のように思えて、それにまるで順応している親友もいつもの知っている真実の姿からはかけ離れているように見えた。
「そちらの方は? ニンニク入れますか?」
そんなことを考えているうちにかぐやの番だ。隣に向けられていたように見えた視線はいつの間にかこっちに移動している。突然のことに一瞬気が動転するけれど、すぐに店の外で並んでいたときに真実から教えてもらったことを思い出す。曰く、私達はほぼ初心者みたいなものだからミニの全部で十分。そしてミニは食券、全部はコールのときに言えば大丈夫だと。正直耳で聞いただけだと訳が分からなかった。ただ、真実ほどの者がそう言うんだから間違い無いんだろうと、かぐやはそのまま従うことにした。
「全部、でお願いします」
これでいいんだよねと隣に視線を向けると、そこには綺麗なサムズアップと共に笑みを作った真実がいた。きっと今行ったコールというのが正念場の1つだったのだろう。とりあえずなんとかなったということでようやく気が抜けたということのようだ。かぐやは今日初めて真実の目を見ることができた気がした。
しかし言葉が交わされることは無い。真の正念場はこれからなのだ。店の中では客が麺を啜ったり咀嚼したりしている音がこだましているだけ。むしろコールを終えて静かになった今ではかえって緊張の糸が張り詰めたようにすら思えた。
(やっぱり、どこかでこんなことをした覚えがあるんだよなぁ……。どこだっけ?)
ここまで来てようやく、かぐやは初めて来ている筈のこの店に対してさっきからずっと抱いていた既視感が気のせいではないということに気が付いた。10年前、正確には8000と10年前に真実と一緒に訪れた店に雰囲気が似ている。店の外装こそ大きく異なるけど、券売機も食券も、緊張しながら唱えたコールのそのどれにも馴染みがあった。そしてこれからやってくるであろう料理も恐らく……。
「お待たせしましたー」
そのときが来るのは案外早かった。
ドンという重い音が連続で響く。顔を上げると、そこに鎮座していたのは質量だった。ネットで知っていた見た目、10年前の記憶を呼び覚ます温度とにおいの感覚、そして今こうして目の前に現れたという実感。その全てが集合して自らの存在を全力で主張していた。確かに前食べたラーメンと雰囲気は似ていたけど、圧が段違いだった。
「す、すんげぇ……」
素朴な白地の器、その縁のギリギリまで褐色の旨味の海がたたえられている。うずたかく盛られたキャベツともやしのせいで軽く向こうが見えない。さりげなく盛られたにんにくも冷静に考えるとものすごい物量だ。そんな具材達の脇を縫うように極太の麺が顔を覗かせ、別皿のアブラが隙を完全に無くしている。そして何より、この豚である。外側を見ればほろほろと崩れ落ちてしまいそうで、それでいて内側はぎゅっと締まっている魅力的な躯体。それがなんと3枚もだ。
「い、いただきます」
垂れそうになる涎を必死に押しとどめ、まずレンゲに一口分掬ってみる。物理学に素直に従うようにスープは一気になだれ込んできてレンゲをすぐ満杯にした。乳化しきれなかった油分が天井の光をてりりと反射していた。
もう辛抱たまらん! 我慢の緒が切れたかぐやはぱくりとレンゲの中身を一挙に口内に運んだ。
「ふむぅッ! ……~~ッッ!!」
爆発した。何がかは分からない。豚の味? 醤油の味? あるいはその他も含めた素材全ての味? そんなのどうだっていい。美味しい、それが真理だ。
あぁ駄目だ、動けなくなる。存在し得るスイッチをすべて押されたかのように味蕾が飽和した味覚情報を伝える。これだけでもう頭が馬鹿になる感覚だ。普段の手料理と比べるとか、そういう次元じゃない。まるでものが違っていた。
もう一口、もう一口と掬ってみる。暴力的なまでの味の濁流、飽きる筈も無く毎口毎口が美味しかった。まさに幸せだった。
これほど美味しいものが存在していいのか? そんな疑問をぶつけるべく隣に視線をやれば、目を輝かせながらも黙々と目の前の次郎を喫する親友の姿があった。
そうだ、彼女には彼女の戦いがあるのだ。よそ見をしていてはいけない。かぐやは軽く反省してから再び目の前の丼に正対する。やはり数口すすった程度では目の前の巨山は一切動じていない。これは、全力をぶつけなければいけないな。かぐやは少しく気合を入れ直した。
すごいぞこの料理、全部が美味しい。下の方からなんとか掬い出した麺は啜ってみればまるで小麦の塊を咀嚼しているかのようで、口の中で大いに暴れ狂いながらスープを運んでくる。煮豚は予想を裏切らない安定の旨さ。土台タンパク質が不味い筈も無いのだけど、恐らく腕肉を煮たものと思われるそれは普通の肉類と一線を画すほど豪快でかつ洗練されていた。興奮が止まらなかった。対して上の野菜は茹でられているだけで特に味付けとかはされていなさそうな感じだったけど、それがむしろ良い。味覚を飽和させにくるこの料理において清涼感のあるオアシスは欠かせない存在だ。途中真実がやっていたもやしをアブラにディップするという食べ方も真似してみたけど、それも最高だった。なんかもう、頭の先から爪先までが幸せに満ちていく感じだった。
かぐやは突き動かされるまま箸を進める。スープ肉麺野菜肉麺スープ野菜スープ麺野菜麺……。好き勝手に食べて食べて食べまくった。
様子がおかしいと思ったのは数分後のこと。最初は気のせいかと思っていたが、それもすぐに否定された。
なんか、量が減っていない気がした。いや確かにシルエットで言えば確実に減ってはいるんだけど、食べきれるビジョンがまったく浮かんでこない。ここまで食べ進めてきたのに目の前にあるのはまるで不動の山、決して壊れることのないサンドバッグ、いやそれ以上に恐ろしい何かにすら思えた。
なぜここまでお腹がいっぱいになっているのか、少しだけ考えを巡らせる。思うに仮説が2つ。1つは当然その物量だ。麺や豚、スープの味の濃さが尋常でないためにこうなっているのではないか。そしてもう1つは、丼の各パートを三食食べよろしく交互に食べているために満腹中枢が効率よく刺激されてしまっている可能性だ。なるほど確かにどちらも論理的には成り立っていそうなものだけど、今この状況においては至極どうでもいい。課題を少しでも解決してくれるわけじゃない。何か他のことに目を向けないと先が無い気がした。
咄嗟に、かつて浴していた古き良きネット掲示板時代に得た情報が思い浮かんでくる。曰く、数多く存在する次郎マナーの中でロットを乱すという行いは最も恥ずべき悪徳だったか。まずい、このままゆっくり食べていては輪を乱してしまう。たくさんのご飯を食べているときにできるのとはまた違う、嫌な汗が顔の横を滴り落ちていく。
思わず隣の真実に目を向ける。何か、アドバイスが欲しかった。言葉が返ってくるとは思っていない。ただ先達として姿を見習わせて欲しかった。
しかし、真実は特別なことなど何もしていなかった。真摯に目の前の壁に向き合う、それだけ。つまりそれ以外にできることなど無いという何よりもの証拠であった。
……いや違う、そんなことじゃない。彼女が暗に示してくれているのはそんなことでは決してない。彼女がこの店に誘ってくれたのは苦行のためではない、焦りを感じながらひいこらカロリーを詰め込むためではない。この店に来たかったというのもあるけど、それ以上に食事を楽しむためだ。
一緒に過ごすこの一瞬を楽しくするためだ!
「ふんっ!」
ぱちんと頬を叩く。真実がちょっとびっくりしているけど、これも必要なことだからごめんねと心の中で軽く謝るぐらいにしておく。今こそ気を引き締め直さなくちゃいけない。そのためにも儀式が必要だとかぐやは思った。
手始めに髪を結ぶ。正直これまではカジュアルにご飯を食べるつもりで臨んでいたけれど、それじゃあ駄目だ。あくまで苦行ではなく、それでいてなあなあにはせずに本気で挑まなきゃいけない。そのために必要なことだった。
あとは、なんだっけ、そうだ天地返し。かぐやが唯一知っている食べのテクニック、麺具スープを一体にするこの技術をもってすれば、ラーメンを一気にいただくことが可能になるだけでなく味を全体に散らすことで圧倒的に食べやすさを向上させることができる。あるいは今この場においてはただのテクニックである以上に紛れもない儀式だった。
ふぅと息を吐く。横を見れば真実と目が合う。さっきまででは何を思っているのか分からなかったけど、今はよく分かる。”かぐや、本気出したね”、そう思っているに違いなかった。
ずいぶんと少なくなったスープを一口、戦いのゴングが鳴る。かぐやと真実は互いに目の前の丼に集中し、ただひたすらに目の前の料理を食らう。麺スープ野菜を一体に消費していく。味変えにアブラやにんにく、卓上調味料を活用しながら、がむしゃらに啜る。どうせ死ぬなら前のめりに死ぬ! その一心で前へ前へ、ただ前を向いて必死に口を動かしていった。
しばらく意識が飛んでいた気がする。ここは天国か、あるいは今見ているのは走馬灯か? いや違う、現実だ。かぐや達は確実に、店を出て少ししたところの公園で呆けていた。
「すごかったぁ……」
「でしょ~?」
「なんかもう、ぶぅわーって感じだった!」
「8000年経っても語彙はそのまんまだね~」
燃え尽きたかのように天を仰ぐ主婦と8010歳児。今回の彼女らの目標が達成されたかは、確認するまでもないだろう。
「真実はどうだった? 来てみたかったんでしょ?」
「それはそれはもう、大満足でございましたよぉ」
腹をぽんぽんと叩く真実。かぐや同様にわずかに膨らんで見えるそこには、おそらく先ほどの丼の中身がすべて収められていることだろう。信じがたいことだが、彼女らは間違い無く乗り越えたのだ。
「でももう絶対食べたくねぇ……」
達成感と同時に襲い来る異常なまでの満腹感。かぐやは思わず顔をしかめて、誓いを立てるようにそう言った。
「て思うじゃん? でも絶っ対、明日あたりには行きたくなってるんだよねぇ」
「え~、絶対そんなこと無いと思うんだけど?」
「まあまあ、いずれ気付くよ」
いまいち腑に落ちなさそうなかぐや。結局解散までその真意が分かることは無かったのだった。
それから数週間後、真実の予想通りかぐやはすっかり次郎系ラーメンの虜になってしまっていた。あの日と同じく彩葉の作ってくれた体の耐久度チェックという名目、あるいは秘密裏で通い詰めること幾星霜、彩葉は遂に耐えかねていた。
「かぐや! また"行って"きたでしょ!」
「エ〜? ソ、ソンナコト、ナイデスヨ?」
「匂いで分かるんだっての! 大体なんでそんな月に何回も同じような店行く訳?」
「それはさ? 耐久度の定期チェック的な?」
「チェックなんて1回で十分! むしろメンテが大変になる分マイナスなんだからね!」
「……そうだ! 彩葉、彩葉も一緒に行こ? そしたらきっと良さを分かってくれるって」
「行きません許しません。私は仕事があるし、かぐやだってイメージが大事なんだから程々にしないと駄目だよ?」
「ぶーぶー!」
「とにかく! これからは月に1回まで!」
「え゛〜〜ッ⁉️」
「あと、前あんたがやってた家次郎? ってやつも月1だかんね!」
「そ、そんなぁ〜〜~~!!!」
かくして元の食生活に戻ることを命じられてしまったかぐや。濃い味に慣れてしまった舌の矯正になかなか骨を折ることになるのだが、それはまた別のお話。
誤字報告や感想などあらば、ぜひ書いていってください。