ミラクルトリガー   作:アルピ交通事務局

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第8話

 

「虹村は分かるけど、なんで君も?」

 

「なに言ってんすか?俺達が日本一目指した時のスタメンっすよ?」

 

 GWを利用して圧倒的な大差でバスケのU-19日本代表を倒した……その結果、U-19日本代表の内の8名が代表から脱落した。

 PG、SG、SF、PF、Cとバスケの基本的なポジションの選手である……そしてまぁ、大学にその話が通ったので学長に呼び出しを受けた。

 

 過去の経歴とかを見て、虹村が日本代表に入るのはまだ分かるけれどもなんでお前もなの?と言う意見をぶつければ虹村は呆れる。

 一応は俺は虹村達と日本一を目指した時のスタメンだ……その事を学長は聞けば驚いた。

 

「君もなのか……」

 

「まぁ、他の奴等と違う感じのプレイですけど一応は……」

 

「出来れば大学のバスケ部に入ってほしいんだけど」

 

「嫌です」

 

「無理」

 

 取り敢えず三門大学からU-19日本代表が出ることが決まった。

 それだけに留まらず、三門市の複数の高校から日本代表入りする選手が現れた……学長の話を断った。

 

「黛くん、学長から呼び出されてたけどなにをしたの?」

 

「遠征の権利を勝ち取ったけど、なんでお前なの?とツッコミを入れられていた」

 

「……………………」

 

 学長直々の呼び出しを受けたのを何処かから加古が聞きつけた。

 問題児とつるんではいるが、問題児と言えるのかが怪しいオレに対して疑問を抱いているのでちょっと雑に対応をする。加古は一瞬だが固まった。

 

「黛くん……ボーダーじゃないわよね?」

 

「ああ、ボーダーの人間じゃない……が、ボーダーをクビになった灰崎を拾ったりボーダーの人間からコンタクトはあった」

 

 遠征という言葉から本当に遠征をする事を連想しそれが何を意味するのかが分かっていない加古。

 ボーダーの人間で遠征と言えばあの遠征だろうが、オレはボーダーの人間じゃない。念のために確認を入れてくるので嘘偽りなく答えた。

 

「海外に行くんだよ」

 

「…………え、なんで?」

 

「バスケの日本代表になったからだ……この前のGWでバスケの日本代表相手に大差で勝ってオレ達とメンバー一部入れ替え……つーか、基本的にはオレ以外はスタメンだろうな」

 

 海外に行く話をすれば加古がなんで?と最もらしい疑問をぶつけるのでバスケの日本代表になったこと、どういう経緯で選ばれたかについて教える。一瞬だけ思考が停止している。

 

「黛くんって、3年生の最後にバスケでいい所まで行けただけじゃないの?」

 

「え、加古さん知らないんすか?」

 

「あら、柿崎くん。知らないってどういう事?」

 

「三門第一高校、全国制覇してますよ」

 

 どうにも話が引っかかっている状態になっていると学食の牛丼を持った柿崎が現れた。

 柿崎は……まぁ、現場に居たから知ってるか。全国制覇している事を伝えたら加古は驚いた。顔が僅かにピクッと動いた。

 

「ちょっと黛くん、どういうこと?バスケでいい所まで行けたって言ってるのに日本一じゃない」

 

「いやだから、文字通りいい所まで行けたんだよ。途中で負けたから日本一じゃねえ」

 

「……?」

 

「加古さん、バスケで全国制覇した学校は高校日本一の称号以外にも文字通りの日本一を決める大会に出れるんすよ。社会人チームとか実業団とか大学とかプロチームとかクラブチームとかの……決勝リーグにまでは行けたんですけどそこで負けました」

 

「灰崎と虹村の二枚看板でオレがサポートするスタイルのバスケだったけど、相手はプロアスリートだからな……」

 

「なにそれ、物凄いじゃない……でも、確かにそれじゃあ日本一じゃないわね」

 

 全国制覇した先にある大会に向けて頑張ったが正月返上とかしなきゃならなかったし、虹村と灰崎以外は普通の選手だ。

 相手は使える選手だけを厳選して徹底的に鍛え上げている選手達だ。灰崎の強奪で誤魔化したりは出来たが普通に限界はある……虹村と灰崎は常に試合に出続けなきゃいけなくて、残りの3人が基本的には穴になっている。

 

 加古は確かにそれじゃあ日本一じゃないと納得をする。

 

「さっき虹村から聞いたんすけど、おめでとうございます。頑張ってください」

 

「ああ、まぁ、やれることはやっとくわ」

 

「…………日本代表に選ばれたりしたのに全然喜ばないわね。黛くん、志が高いって言うより何処か諦めてない?」

 

 日本代表に選ばれたのにリアクションが物凄く薄いことに対して加古は疑問を抱く。

 ここを通過点と思っているのでなく、何処か諦めの境地に至っているのを気付いている。

 

「灰崎については知ってんだろ……俺以外は灰崎をボコれるヤベえ奴だ」

 

「……それは、バスケに限った話で?」

 

「仮にボーダーの剣を使っても全員、灰崎に勝てるだろうな」

 

 灰崎をボコボコに出来る奴と言えばバスケに限った話で?と聞くが答えはNO

 仮にボーダーのトリガーを持っていたのならば、全員灰崎をボコボコにすることが出来る。それを聞いた加古はスゴく興味を抱いた顔をした。

 

「どんなの?どんな子達なの?」

 

「あの、加古さん……止めといた方がいいですよ」

 

「なにを言ってるのよ、灰崎くんをボコボコに出来るぐらいにはスゴい子たちなのよ?気になるじゃない」

 

「全員が全員、問題児だ」

 

 灰崎をボコボコにすることが出来る、これだけでとんでもない事であり加古は物凄く興味を抱いた。

 柿崎があんまり関わらない方がいいと勧めるが灰崎をというのが加古の興味を抱き、オレは全員が問題児である事を告げる。

 

「1回、試合をしてたの見たことあるけど……アレはヤバい。多分、人間の頂点に居る感じです」

 

「だろうな……最強の称号は彼奴等にこそ相応しい」

 

「なんとかして見れないかしら」

 

「唐沢さんに進言すれば……例えば、キセキの世代を今の内に青田買いしてボーダーの資金源にするとか」

 

「資金源……」

 

「ボーダーは国連の組織じゃなくて民間の企業だ。だから、色々な所からスポンサーを募っている。スポンサーって事は金を出してもらう代わりになんか寄越せの関係性だ。バスケの知名度及び人気を確実に上げるキセキの世代とそのマネージャーが世間に広まる前に青田買いしてBリーグに送り込んでボーダーの広告塔に……なんてな」

 

 キセキの世代がどれくらいヤバい奴なのかが気になっている加古だが見たいと思っても見れることじゃねえ。

 見る方法があるというのであれば……キセキの世代を青田買いすること。中学の頃に盛大なまでにやらかしている馬鹿共は日本バスケ協会に嫌われている……が、キセキの世代が居なければ、日本のバスケは絶対に強くなれねえ。

 

 少子高齢化で何処もスポーツに関して力を入れているのはいいが、体育会系の子供に対してスポーツで接するやり方がクソ過ぎるから子供のスポーツ及び体育嫌いは年々増えていて全てのスポーツ団体が困っている。

 そんな中でトップを走り抜けるスター選手がポンポンと出てきたのであれば誰だって心が動く……その中核を担う存在を今の内に青田買いするのもありと言えばありだろう。

 

「ところで黛くん、今日の夜は空いているかしら?」

 

「唐突だな……今日はなにも無いぞ」

 

「なら、一緒にお好み焼きを食べに行かないかしら?奢るわよ」

 

「え?加古さん!?」

 

 飯を食っている途中に次の飯の会話をされたのならば食欲があんまり出ねえ。

 加古からお好み焼きを食べに行かないかと誘われたら柿崎は驚いた顔をしているが加古はキラーンとなんかを輝かせている。

 

「別に構わないが……お前のことだ、なんかあるんだろ?」

 

「酷いわね。純粋に奢ろうと思ったのに……でも、あるわ」

 

 そこは嘘でもいいからお好み焼きを純粋に奢りたいと言えば可愛げがあったのに。

 だが……悪い思いはしない。オレはオレのクソみたいなスペックは知ってるからな。加古みたいにセンスがあったり独創性がある所謂持っている奴がこういう風に意図的にお膳立てしてくれるのならば、それはそれで心地良い。

 

「いらっしゃ……っげ!」

 

 そんなこんなで夜になり、お好み焼きを奢ってもらう為にはお好み焼き屋のかげうらにやって来た。

 お好み焼き屋の次男である影浦雅人がいらっしゃいませと言おうとするとあからさまに嫌な顔をしている。

 

「酷いわね。こうしてしっかりとお客としてやって来たのに、その態度は無いんじゃないかしら?」

 

「なんの用事……って、あんたか………………あんたが!?」

 

「あ、影浦くんは流石に気付くのね」

 

 加古を見た途端に嫌そうな顔をしている影浦がオレの存在に気付いた。

 普通ならば物凄く目立つ加古の影に隠れているものだが、影浦は他人の視線に込められている感情を受信する特殊体質の為にオレの微弱な感情をキャッチして気付き……なんでお前なの?と言うリアクションを取った。

 

「言いたいことは色々と分かる。だが、加古がお好み焼きを奢ってくれると言うから来た」

 

「……あんた、物で釣られるタイプじゃねえだろ」

 

「ああ、ここに来た以上は腹にイチモツは抱えてんだろうが……ああいうエリートがわざわざオレの意見に耳を傾けようとしてんだ。それはそれで面白い」

 

「似た者同士かよ……テーブル席、こっちっす」

 

 お好み焼きを奢ってもらえるからやってきたと言えば影浦がオレがそういうタイプの人間じゃないと言ってくる。

 否定する要素は無いどころかその通りだと頷けば影浦は何処か呆れながらもテーブル席に移動した。

 

「加古さんじゃん!カゲの所に来るなんて珍しいっすね!」

 

「そうかしら?私だってお好み焼きぐらい食べに来るわよ」

 

「でも、カゲの店にわざわざ来るなんて意外ですよ」

 

「犬猿の中……って、言っても一方的に嫌ってる感じだからな」

 

「お前等、色々とうるさいぞ……さっさと注文してくれ」

 

 影浦隊のオペレーターにヒカリ、影浦隊の絵馬、影浦隊の北添、荒船隊の荒船、鈴鳴第一の村上がいる。

 影浦の店によく行く常連客と言えば常連客で、加古がここに来ている事は珍しいと少しだけ興味を抱き影浦がジョッキに入った水を2つ持ってきた……

 

「うぉぁ!?」

 

「おい、カゲ。他のお客さんが居る席に案内するな」

 

「すみません……加古さん」

 

「っぷ……黛くん、ここまで来ると呪われてるんじゃないかしら?」

 

 ここでやっと加古の向かい側に座っているオレの存在に気付いた一同。

 既にオレが席に座っていたと思っていたのか一同は他の席に案内する事や影浦が犯したミスについて申し訳ありませんと軽く謝罪をしてくる中で加古が笑った。ここまで来るまで全くと言って気付かれていないオレの存在が面白いのだろう。

 

「お前等、黛さんはファントムばばあと一緒に入ってきたんだよ」

 

「……あ!よくよくみれば黛さん!」

 

 影浦がオレが加古と一緒にやってきた事を言えば北添がオレについて思い出す。

 北添は少しだけオレを知っているのでこの人はと思い出すが他の面々は誰だ?となる。

 

「誰なんだ?」

 

「灰崎を〆てた先輩だよ」

 

「それって虹村さんじゃねえのか?」

 

「その虹村さんすら恐れてる人だよ」

 

 灰崎を〆ていた人だと言えば虹村を出すヒカリ。

 北添が虹村さんすら恐れてる人だといえばありえないものを見るような目でこちらを見てくる。

 

「すまない、その虹村って誰なんだ?」

 

「俺達の一個上の先輩で、灰崎の野郎をボコれる人だ……素手でコンクリート破壊しやがるしダンクで学校のゴールぶっ壊すは、ゴリラだ」

 

 虹村について知らない村上が虹村について聞けば灰崎をボコれる事を影浦は言う。

 抑止力が居なくなったから若干だがヤンチャしている灰崎については知っているのかボコれる人と聞けば村上は驚いた。

 

「へ〜そんな人が……って、それよりも加古さんさぁ……」

 

「ふふ、どうかしら……あ、豚玉1つ」

 

「豚玉1つと豚平焼き1つ」

 

「うち、豚平焼き置いてねえよ」

 

「じゃあ、枝豆で」

 

「他のメニューならまだ分かるがそこからのじゃあ枝豆って……」

 

 豚平焼きが置いていないのならば仕方がない。

 先ずは軽く1枚目を頼めば影浦は後は焼けばいいお好み焼きを持ってくる。この店は自分で焼くタイプの店かと思いながらもお好み焼きを混ぜる。

 

「最近ね、行方が分からなくなったボーダー隊員が居るのよ」

 

「っ!おい!!」

 

「やらかした内容については一切知らないし知っている側も黙秘権はあるけれど、それを喋ってはいけない箝口令は出てないわ」

 

 あんまり良い話が出てこないだろうというのは覚悟していたが予想通り良い話が出てこなかった。

 行方が全くと言って分からずにクビになった鳩原未来……それについて色々と考察してくれないと頼んでくるので、オレはオレなりの考察を見せ、黙らせた。その間にお好み焼きを3枚、枝豆を4皿食った。

 

 鳩原未来は行方を晦ませたのは連絡が取れなくなったじゃなくて連絡が取れない場所にいる、例えば向こうの世界にとか……と言えば知らない顔をしていたが、ボーダーが異世界の侵略者の近界民への対抗組織というのは周知の事実で、異世界の侵略者だという事が分かっている事は誰かが異世界に足を踏み入れて異世界の存在を証明した。ボーダーはトリガーという未知のテクノロジーを知り過ぎているから近界民側からのコンタクトがなんかあった、何かしらの手段で向こうの世界に行く方法をある程度は確立して勝手に向こうの世界に行ったりしたと言えば空気が冷えたが……加古は面白い事が聞けたと喜んでいた。

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