憑依転生きよぽん   作:笑っちゃうよね〜たはー

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びっくらポンだぜ…

禪院信朗


第四話 三つの秘訣

茶道部に入部した次の日。

最初の部活動を終えた俺は同じ部活仲間である女子生徒──椎名ひよりと帰宅していた。

 

「なるほど、綾小路君は茶道を習っていたんですか」

 

「ああ。とは言っても小学生の頃の話だが」

 

ホワイトルームではあらゆる芸術も叩き込まれる。俺がピアノを弾けるのも、書道ができるのも、茶道が得意だと自己紹介で話したのもそれが起因だ。

 

まさかそれがこんなところで役に立つとは思わなかったな。これだけはホワイトルームに感謝してもいいかもしれない。

 

「そういえば椎名は部活の自己紹介で読書が趣味って言ってたな。どんなジャンルを読むんだ?」

 

「どのジャンルも読みますが、特に好きなのはミステリーですね。綾小路君も読書をするんですか?」

 

「ああ。基本雑食だが、最近はミステリーにハマっている。椎名と一緒だな」

 

「ABC殺人事件」や「四つの署名」といった有名どころは前世で既に読んだ作品だが、ふと懐かしく思って読み返したところ、その面白さにのめり込んでしまったというわけだ。

 

それにこの学校に設立されている図書館の蔵書数は凄まじく、古今東西大抵の本は探せば見つかる。それもあってか、最近は図書館の常連となりつつあるのだ。

 

そのことを話すと、椎名は心なしか目を輝かせていた。同好の士を見つけたのがさぞ嬉しいのだろうか、普段の無表情とのギャップがものすごく可愛い。

 

「なるほど、それでしたら幾つかオススメの本があるのですが……」

 

そう言って椎名は一冊の本を取り出した。

 

「こちらは読まれましたか?」

 

「ローマ帽子の謎」──エラリー・クイーンのデビュー作にして、”国名シリーズ”の第一作品でもある名作だ。

 

「エラリー・クイーンの作品は、まだ手を付けていなかったと思う」

 

「なるほど、それでしたらこちらをお貸ししましょうか?」

 

「ありがたいが、その本は図書館の本じゃないのか?返す時の手続きは本人じゃないと出来ないと思うが」

 

「ええ。ですので代わりと言ってはなんですが、今度一緒に図書館に行きませんか?」

 

なるほど、どうやら一本取られたようだ。

 

「ああ、是非とも同行させてくれ。椎名とは本の趣味も合いそうだしな」

 

だがそれを不快に思うことなど微塵もない。これは本心だ。

推しと一緒に過ごしたいという下心も若干あるが、少し話しただけでも分かる読書に対する”熱”。それを受けた読書好きが首を縦に振らない、なんてことはそうそう無いだろう。

 

「はいっ」

 

俺の返事に嬉しそうにしながら、椎名は最近読んだと思われる本の感想を交えてオススメの本を差し出してくる。

 

それに俺は相槌を打ちつつ、勧められるがままに本を受け取った。

 

友人と趣味の話をしながら共に歩く。そんな青春の1ページを送れることに嬉しみを覚えながら、自分の部屋へと戻る椎名を見送る。

 

少し名残惜しい気持ちもあるが、明日また会うことができると──そう考えて。

 

ちなみに腕に抱えた本の数が多すぎて、すれ違う生徒達から奇妙な目で見られたのはここだけの話だ。椎名さんまじパネェっす……

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

「よう綾小路」

 

入学してから一週間ほどが経ち、徐々に新生活にも慣れてきた今日この頃。周りがグループで仲良く話しながら歩いている中、一人でのんびりと通学していた俺にとある生徒が話しかけてきた。

 

「須藤か。おはよう」

 

須藤健──鍛え上げられたアスリートの身体と強面、荒々しい言動からクラス内では若干怖がられている存在ではあるが、初日にポイントを貸した縁で俺とはそれなりに仲の良い生徒だ。

 

「今日は遅刻しないんだな」

 

「あー……なんか寛治と春樹が早く来いってメッセージ送ってきてな。流石にそう言われたら遅刻するのも申し訳ねえと思ってよ」

 

なるほど、それなら遅刻せずに来たのも頷ける。でもなぜ山内達が……?

ああ、そういえば今日はあの日だったか。

 

「それにしても珍しいよな、この時期にプールなんてよ」

 

「そうだな。一般的には5月〜6月あたりに行われるイメージが強いが……」

 

夏の暑さを紛らわすかのように、時々現れるプール授業。

水泳が不得意だった俺はあまり好きではなかったが、冷たい水を浴びて友人とはしゃいでいた前世の記憶が朧げながら残っている。

 

この学校も例に漏れずプール授業が行われるようだが、室内に専用の施設があるという関係上、4月に終わらせておくというカリキュラムにしたのかもしれない。

 

まあ十中八九”特別試験”が行われるというのが理由だろうが、これは俺だけが知っている知識なので、口には出さないでおく。

 

そんな風に須藤と他愛もない話をしながら校舎内に入り、上履きに履き替えて教室へ向かう。

 

すると目的地である教室の扉付近から、数人の男子生徒の話し声が聞こえてきた。

 

「ようお前ら、何話してんだ?」

 

「遅いぞ須藤!それに綾小路も。今男子で賭け事やってるんだよ!お前らも参加しろよな!」

 

意気揚々とタブレットをこちらに見せながら、山内は賭けのルール説明を始めた。

曰く、女子の胸の大きさをこの後に行われるプール授業で測り、一番大きかった生徒に賭けた生徒の勝ちというルールらしい。

 

恥ずかしげもなく堂々と話すその様に、数人の女子が殺気を放ってくるが、残念ながら山内はそれに気付いていなかった。

 

うーん……バカ。まじでなんなん君ら(震え声)

 

流石の須藤もちょっと引いてるぞ。というか須藤はこういうのには忌避感を覚えるタイプなのか……新しい一面を知った気がする。

 

話を戻そう(閑話休題)

 

俺個人としては、別にこの賭け事を適当に流しても良いのだが、ここで男子の不興を買うのは出来れば避けたい。

かと言って堀北さんや、まだ話してはいないがその他女子からの好感度も下げたくはない。

 

仕方ない、クラス内の雰囲気を険悪にしないためでもある。ここは一肌脱ぐとしよう。

 

「山内、池。二人は確か自己紹介で”女の子にモテたい”という発言をしていたよな?」

 

俺は自己紹介で二人が話していた内容を思い出しながら話しかける。

 

「そうだけど、それがどうかしたか?」

 

ヘラヘラといつもの調子で池が返した。

だが、それに俺は応えず沈黙し、出来る限り真剣な表情を作り出す。

すると妙にピリピリとした雰囲気を感じ取ったのか、周りの男子の会話は止まり、件の二人もこちらへ意識を向けた。

 

それを見た俺は言葉を慎重に選んでゆっくりと話し始める。

 

「こういう女子のセンシティブな話題を面白おかしく取り扱う奴はな……」

 

ごくり、と誰かが喉を鳴らした。俺の次の発言を皆が待ち侘びているのがひしひしと感じられる。

 

「──めちゃくちゃ嫌われるぞ」

 

『!?』

 

世の中にはセクシュアルハラスメントと言う単語があるように、女子のデリケートな話題に触れることは禁忌である。それが年頃──高校生ともなれば尚更のことだ。

 

それを理解していない奴は最早モテるモテないの土俵にすら立っていないと言っても過言ではない。逆に、それを理解している奴からドンドン異性からの信頼を勝ち取っていく。

 

その旨を出来るだけ丁寧に、そして優しく説明してやると、賭け事に参加していた男子達は顔を青ざめていた。

 

「ど、ど、どうすれば良い綾小路!」

 

「俺、彼女できなくなっちゃうじゃん!?」

 

「落ち着け二人共、今ならまだ巻き返せる。だからこれから俺が言うことを遵守するんだ」

 

そう言って俺は三本の指を立てた。

 

「一つ目、今やっている賭け事を全部白紙にして、女子達に誠心誠意謝ること」

 

失った信用はすぐには取り返せない。だが謝罪をしないことには信用回復の機会すら手に入れることもできない。だからまずは謝罪を最優先でさせる。

 

そうすれば、少なくとも多少はこちらの印象もマシになるだろう。マイナスであることには変わりないが……そこは伏せておくことにしよう。

 

「二つ目、授業中は出来るだけ静かにすること。出来ればきちんと授業も受けてほしい」

 

「一つ目は分かったけどさ、なんで授業を真面目に聞く必要があるんだよ?」

 

俺の言葉に不服そうな顔をしてこちらを見る池。それに同調するように、数人の生徒も頷いていた。

 

だが俺から言わせてみればその認識は甘い、甘すぎるぜ男子諸君。

 

「さっき話したのはモテる秘訣じゃない。モテるための最低限のこと、言うなれば女子からの評価の足切りラインというわけだ。そこからどうすればモテるようになるか。それは……」

 

『それは?』

 

「──周りに迷惑をかけないこと。更に言えばどこかしらに長所を持つことだ」

 

結局の所これに尽きる。顔がイケメンでも周りを鑑みない奴は普通に嫌われるし、女子からの熱も余程のイケメン好きでなければすぐに冷めることが多い。

 

逆に顔は普通でも、周りにしっかり配慮できる奴は好感度は高いことが多い。そこに運動や勉強といった何かしらの長所があれば、文句無しである。

 

「モテるかどうかは保証できないが、少なくともこの三つを守っていればそうそう嫌われることはないと思うぞ。まあ露骨すぎてもアレだが」

 

そう締め括ると、周りの男子達は目を見合わせて、どうするかを考えていた。

具体策は示したが、これを実行するかは結局の所本人達だ。俺は強制もしないし、やらないからといって制裁を加えるようなこともしない。

 

ただ、言外に実行しなければこの三年間どんな青春を送ることになるかは分からないぞ、と暗に伝えるだけだ。

 

個人的にはプライドを捨てて一分一秒でも早く謝りに行くことをおすすめするが。

 

「綾小路……ちょっといいか?」

 

すると、この重い沈黙を破った生徒が居た。

 

「山内か。どうかしたか?」

 

何か気になることでもあるのだろうか。だがあの山内が自分から積極的に質問しに来たということは、これはかなり好感触な演説だったということに違いない。

 

そう考えながら、俺は山内の発する言葉に耳を傾ける。

 

だがそこから発せられた言葉は、ホワイトルームという地獄のような環境を乗り切った俺でさえ、予想だにしなかったものであった。

 

「さっき言ってたジュンシュ?って言葉。どういう意味なんだ?」

 

ジュンシュ──遵守。守り、従うこと。定められたルールを決して破らないこと。

 

少し前に中学校を卒業した人にとっては聞き慣れない単語ではあるだろう。だが、その意味を全て理解できないというわけでもない筈だ。現に池や外村といった生徒でもその意味をなんとなくではあるが理解しているように思える。

 

しかし、あろうことかこの男は全くと言っていいほどその言葉を理解していなかったのである。

つまり先程俺が懇切丁寧に説明した行動指針をどうすればいいのか分からなかったということだ。

 

山内春樹、か。流石はブラックルームの最高傑作と言われるだけはある。

 

びっくらポンだぜ……(震え声)

 

 

 




こいつら良くも悪くも純粋 (純粋か?) だから、モテる秘訣 (本当かは知らん。ぶっちゃけ適当)
みたいなので上手く釣ってあげれば結構簡単良い感じになるんじゃないかな…と思ったり思わなかったり…

まあプール賭け事に私がツッコミしたかっただけですが…たはー



構想は出来てるのに…文章が書けない(´・ω・)

ざけんなや
   文章が書けん
       ドブカスがぁ
                  執筆者、心の一句

ということなので、申し訳ありませんが更新頻度落ちます。気長にお待ちください
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