偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
夏休みには合宿。それも海のある街(石川にも海はあるけど)に遠征ということで、物語の中にあるような楽しい夏休み像が現実のものとなる。そんな未来を掴むために、補習を免れるために割と勉強を頑張っているのだけど、どうしても部屋のレイアウトとかパソコンの乱雑に並んだファイルとかそういうのが気になって気になってしょうがない。
「みおん、またソワソワしてる」
「みおんちゃんは反応が分かりやすいから見てなくても伝わるね」
ローテーブル向かいに座るマイカさんがジト目で溜息を吐いて私の集中が途切れているのを咎め、葵さんがおちょくってくる。
「面目ないです。こう、たまたま人間がいたからついでに刺しとくかって感じでスズメバチが飛んでくる感じに不意に来るんすよ」
「例えが物騒だなぁ」
まったく、とマイカさんはまた自分の勉強に意識を戻した。
マイカさんは学校の授業やテストで苦労しているようには見えないし、葵さんに至っては片手間でものにしている。で私はといえば苦労しながらなんとかやりくり出来ているタイプなので期末テストもまた苦戦を強いられるのは見えていた。そこで余裕のあるマイカさんと葵さんが監視と監督のため私の部屋に来てくれている次第だ。あったけぇですよ、本当に。
ここまでの付き合いでの感覚だけど、たぶんマイカさんは人と自分から接するタイプではないのだろうけど、スクールアイドルクラブという縁があったお陰でなんとなく気にしてもらっている。一度関係が出来ると面倒見が良いタイプだ。
葵さんはコミュニケーションも自分から分け隔てなく取るけどたぶん人そのものよりと展開を楽しんでいるようなタイプだと思ってる。だから今回もの私のためというよりはシチュエーション萌えしに来ているのだろう。
「みおんちゃん」
「はいぃぃ!」
また雑念が入り込んでいたのを今度は葵ちゃんが、声を掛けてくれた。
「ちょっと集中途切れがちだし、いったん休憩しよっか」
「面目ないです。麦茶いれますね」
蓮ノ湖の美味しい水(水道水)で作った麦茶を透明なグラスに入れて氷を数個落とす。ノートや教科書広げているので本当は水滴のつかないステンの方がいいのだけど夏と行ったら水滴のついたコップに麦茶だと思うのだ。
「みおんちゃんの部屋季節ごとにアイテム変えてるの?風鈴とか蚊取り線香があるけど」
「ですです。春にはちょっとした雛人形と鯉のぼりを飾ってましたね。最近は100均で何でも揃うので街に出た時にちょびちょび集めてるんだ」
「一応言っておくけど、寮内裸火はだめだからブタさんの容れ物あるからって蚊取り線香使っちゃだめだからね」
「裸火もだけど普通にこれ思ってるより臭うんで使えないです。DOLLCHESTRAの村野先輩が一度臭害で寮長に怒られたそうですので、臭い系は怒られます」
「あの村野先輩が臭害!?」
何でも徒町先輩が何かを成す度に缶バッチを送っていたそうなのだが、一度塗装で作ろうと試みてやってしまったらしい。
村野さんの部屋、シンナー臭くない?なんて近隣の寮生からも苦情があり、大変迷惑を掛けたのと恥ずかしい思いをしたと徒町先輩に語っていたそうだ。
「103期の人達ってそういうところあるよね」
私がその事件を説明するとマイカさんと葵さんはしみじみとそう言った。
2人はBloom Garden Partyの折2卒業していった先輩達とも会っているからこその実感なんだろう。
私もいつか会ってみたい。ラブライブ!フェスが開催されたらそれも叶うのだろう。そう思うと開催に向けて動く夏休み期間をフルに使うには無事に期末テストを乗り切るしかない。
「やる気出たみたいだね」
「みおんちゃんは反応が分かりやすいね〜」
気分も切り替えられたので私達は再び自分との戦いに戻るのだった。