松雄栄一郎に転生した男。   作:一般通過害悪

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入学

初日の朝。

 

俺は陽の光と透き通る声で目を覚ます。

誰の声かと言えば、七瀬翼だった。

 

家のスペアキーを渡した時からこうやって七瀬に起こしてもらうのが普通になってしまった。

 

欠伸をしながら七瀬に挨拶をすればにこやかな表情とともに既に朝食の準備が整っていること、そして、清隆も既にリビングに降りており俺を待っていることを教えてくれた。

 

そのまま、七瀬を部屋から出して、姿見で確認しながら今日から身に着けることになる制服に身を包む。

 

赤いブレザーに緑色の長ズボン。

よく見なくとも、やたら派手な制服だと感じる。

 

それ以外に思うことはない。

 

2階からリビングに降りれば、清隆と七瀬が向かい合うように座っている。

 

こちらに気付いた七瀬は隣の椅子を流れるように引く。察するに、自分の隣に来てほしいのだろう。

 

特に断る理由はないので七瀬の横に座る。

軽く挨拶をしたあと、食事を始める。

 

因みに言うと、朝食はいつも七瀬の手作りである。

 

あいも変わらずうまうまだ。

 

食事と支度を終えて玄関に。

ここで、七瀬とは少しの間お別れである。

 

清隆に何かのノートを渡すと、七瀬は俺に抱き着いて一言。

 

〝浮気は許しませんから〟

 

うん。付き合ってないよ?

 

そんなこんなで清隆と共にいざ、学校へ向かうバス停までレッツラゴー。

 

 

 

 

バスに揺られながら、俺と清隆は学園に着くのを待つ。

 

さっきから落ち着きなく右に左に揺れる清隆が鬱陶しいことを除けば気にすることはそんなにない。

 

軽い会話を交わしながら待っていると、車内で口論が行われていた。

 

状況から察するに、優先席に座る金髪オールバックの生徒にサラリーマン風の女性が老婆に席を譲るように言っているが金髪はそれを一蹴。それを察した心優しい胸部がデカい女子生徒が話に入ってくる。

 

という感じ。

 

その状況を見て、清隆にどうするのか聞かれたが答えはもう決まっている。

 

そう、老婆に席を譲る。

 

清隆にその旨を伝えると、そうかと言い、俺と一緒に立ち上がった。

 

〝栄一郎がそうするならそれが最善なんだろう〟と言う理論らしい。

 

そんなこんなでバスでは学園に着くまで立って待つことが決まったのだった。

 

 

 

高度育成高等学校に着きバスから降りると見えたのはそこそこのデカさの門だった。

 

なぜか、固まっている清隆に声をかけようとした瞬間、後ろから声がした。

 

先程の胸部が発達した女子生徒だった。

話を聞くに、彼女の名前は櫛田桔梗。老婆に席を譲ってくれたことについての感謝を伝えたかったようなのだ。

 

なんとも、律儀な女性だと思った。ただ、その瞳の中には少しの濁りが感じれたので、100%善意というわけでもなさそうだ。

 

そんなことを思っていると、一緒に行ってもいいかと提案される。断る理由もある訳もないので一緒に行くことになった。

 

 

清隆、俺、櫛田の三人でクラスの写された掲示板まで、移動。

 

確認する。

俺はAクラス。

清隆と櫛田はDクラスらしい。

 

目に見えて、落ち込む清隆。

 

〝神は居ないのか〟〝ナゼェナンダァァァ〟などと妄言を吐きながら絶望している。

 

聞くに、俺との青春を夢見ていたよう。

慰みの言葉として、〝クラス替えはあるかもだしそう気を落とすなよ〟と言っておく。

 

絶望している清隆を櫛田に任せて(丸投げ)、俺は一人教室へ向かう。

 

教室に着けば、人は疎らだが居る。

加えて、見知った人物を確認した。

 

その子とは、隣の席。

 

〝お久しぶりです。栄一郎くん〟

 

少女は屈託の無い笑顔でこちらに向かって言う。

彼女の名前は坂柳有栖。

 

中学時代に転校してきたと思ったら数カ月でどっか遠方に引っ越した足の不自由な女の子だ。

 

関わりとしては、先生と他クラスメイトに押し付けられ、一次的な世話係をした仲と言えば良いだろう。

 

障害を持つ人間との交流はこちらとしても良い経験が出来たので感謝している。

 

時偶に、チェスをしたことを覚えている。

 

因みに言うと戦績は以下の通り。

154戦2勝5分147敗。

 

2回も勝てたのは色々な運が混ざり合ったもの。

身体能力を犠牲にしたタイプの天才だ。

チラリと、彼女の髪をみれば白黒のシュシュでまとめられている。

 

どうやら、贈ったものは使ってくれているらしい。

 

 

〝えっと、学校が終わったら一緒に店を回りたい?もう一人居るけどいい?あっ、そう。それじゃあ、放課後はそうしよっか〟

 

〝チェスの腕前は上がったのかって?もちろん。さっきも言った奴に鍛えてもらったからな。

 

 

 

そこから、会話を咲かせていき、担任だろう先生が入ってきた。

 

 

名前を真嶋智也と言うらしい。

ここから、簡単に事前に説明があった以外の話をまとめていくとこんな感じ。

 

1.クラス替えはない

2.プライベートポイントの存在

3.学生証=クレジットカード

4.10万が支給された。

5.卒業と同時使用されなかったプライベートポイントは没収、現金化は不可

 

これぐらいか。

一番上については、清隆にとって最悪と言えるだろう。あーあ。クラス替えがあるかもなんて期待持たせて悪かったな……。

 

合流したら謝るとしよう。

 

 

真嶋先生は言い終わると質問タイムを取ってくれる。疑問のまま放置するのはいけないことだと思っているので質問をすることにした。

 

〝来月支払われる金額は10万ってことでいいんでしょうか?〟

 

そう聞いてみれば、真嶋先生は言いづらそうにしながら答えてくれる。

 

なんと言うか、煮え切らない感じ。

生徒の実力云々とか小難しいこと並べていた。

 

そこから、大体、10万ってことじゃない、所謂、増減があるということが察せれた。

 

その後他にあるか?と聞かれたので聞くことにする。

 

〝支払われる金額が増えることはありますかね?〟

 

この問いには、部活動や敷地内でのアルバイトなどであると答えてくれた。

 

部活はまぁ、気が向いたら。

アルバイトは、社会勉強としてやってみるのもアリよりのアリだろう。

 

俺の質問が終わり、先生が他にないかと生徒達に聞くが質問が無かったので打ち切り、そのまま、出ていった。

 

担任の退出と共に、生徒達は会話を始めてい

く。

 

俺も隣人に話しかけられるので適当に相手をして取り敢えず、入学式前にやれることをするため、会話を打ち切り、ゆっくりとした感じで教卓に向かう。

 

自然と視線が俺に集まる。

 

ここで、やるのは、自己紹介タイムの時間だ。

クラス替えが無く、これから三年間やっていくので名前を知っておかないと色々と不便だろうから。

 

〝自己紹介しませんか?〟

 

そういう理由を織り交ぜながら、そう皆に問いかけると割りかし乗り気なようで助かった。

 

さて、言い出しっぺの法則を守るとしよう。

 

「僕の名前は松雄栄一郎と言います。………………っと、すみません。色々と考えたつもりなんですが全部吹っ飛びました。取り敢えず言いたいことは皆さんと一日でも早く仲良くなりたいと考えていますので、話しかけてくれると嬉しいです。もちろん、こちらからも何気もない会話を投げかけると思いますのでどうぞよろしく」

 

拍手が起きたところから見るに民度は高いように思える。

 

 

 

 

ーーー高度育成高等学校データベースーーー

松雄栄一郎

【学力:A】

【知性:B+】

【判断力:B+】

【身体能力:C】

【協調性:A】

面接官からのコメント

学力は言わずもがな、人を動かす実績と経験値において同世代の受験者の中でも上位に位置する人物。

保育園・幼稚園・小中学校を通じて一貫して集団の中心を担っていることが資料から確認できる。

小学校では委員長や調整役。

中学時代では生徒会長を自然にこなしてきた経歴は、単なる優等生とは異なる地に足のついたリーダーシップの証左といえる。

感情的になりにくく、合理的な判断を好む一方で、他者への配慮も十分に備わっている。

以上の結果からAクラスの配属が妥当です。

 

特記事項

面接中、終始落ち着いた受け答えであり動じる素振りがなかった。

少々、圧迫気味の質問を投げかけてみたものの表情を崩れず、適切な距離感を保って応答をしていた。

そこから、年齢不相応な「経験の厚み」のようなものが随所に感じられ、身辺調査をしてみたがこれと言ったものは出てこず、その出所は不明である。担当の先生はそれを念頭に入れておいてください。




七瀬ちゃん可愛いね。出したいけど出番が遅めなんだ。
あと〝ご都合主義〟のタグをしっかりと確認しといてください。
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