綾小路の友達   作:初期小路おもろすぎて

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6.

 

 

 ◇

 

「よーし、みんな集まったね。じゃ、これから追加の説明をしていくから。よく聞いてね」

 

 Bクラスの生徒全員が集まったことを確認した後、星之宮先生から追加の説明がされていく。

 大体はあまり覚えておかなくても問題ない範囲の話だったが、一つだけ無視できない箇所があった。

 

 マニュアルの最後のページにある、ポイントとマイナスを受ける行為の項目だ。

 

『著しく体調を崩したり、大怪我をし続行が難しいと判断された者はマイナス三十ポイントとし、その生徒はリタイアとなる』

 

『環境を汚染する行為を発見した場合、マイナス二十ポイント』

 

『毎日午前八時、午後八時に行う点呼に不在の生徒が居る場合、一人につきマイナス五ポイント』

 

『他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損を行なった場合、該当生徒の所属クラスは失格とし、該当生徒のプライベートポイントを全て没収する』

 

 マニュアル上書かれているルールはこの四つ。

 もちろん、これ以外でも一般常識から逸脱した行為をした場合等のペナルティはあると思われる。

 

 なるほど、この試験はポイントを節約すればする程、以降のクラス間での争いにおいて有利となる。が、節約のしすぎは体調管理の難易度を上げ、かえって一つ目のルールに引っかかる可能性もある、と。

 

 まあつまり、いい塩梅で頑張ろうね、ということだ。やる事自体は単純といえる。

 しかし、実際にそれをどの程度行えるのかは話が別だ。

 

 年頃の男女の共同生活ともなれば、反りが合わないなんていうことはいくらでもある。それをどこまで抑えれるかでこの試験が成功する確率は大きく変わる。

 

「それとね、トイレについてなんだけど……」

 

 そう前置きして、星之宮先生は傍に積み上げられたダンボール箱の一つから、ガムテープを剥がし折り畳まれたダンボールを取り出す。

 

「みんなに支給されるのはこの一つの簡易トイレだけなの」

 

 その説明に男女共に驚きを隠せない。もちろん俺も。しかしながら、流石に女子の方が驚き、そして困惑は強かっただろう。

 

「うーん、流石にそれはちょっとね……」

 

 これには、流石の一之瀬も厳しい表情を浮かべている。

 衛生的な観点から見て、トイレがこの簡易トイレ一つというのは流石に問題だろう。災害時等でその場を凌ぐためなら問題ない性能なのかもしれないが、流石にこの一週間をそれで乗り切れと言われても厳しいだろう。

 

 やはりここは一度クラス全体で必要なものの意見を取り、一つに纏めた方が良さそうだ。

 ということで、まず近場に居た神崎に伝えておこう。

 

「神崎」

「どうした?」

「やっぱり、ポイントを全く使わず、なんていうのは無理そうだし、ここは一先ずクラス全体で必要なものに関して意見をとった方が良いと思うんだ」

「……そうだな。それについては俺も考えていた。なるべくポイントは温存していきたいが、それでリタイア者が出ても問題だしな」

「うん。Bクラスならそこまで心配は要らないと思うけど、言い合いとかになったら困るからね」

「であれば、男子からの意見は俺が、女子の意見は一之瀬が纏めよう」

「助かるよ」

 

 と、神崎とそんな話を終えたタイミングで、星之宮先生が一つ手を叩き、全員の注目を集めた。

 

「うん、みんな真剣に試験について考えてくれてるし、今のうちに追加のルールも説明しちゃうね」

 

 追加ルール、まだ何かあるのか。

 

「そろそろみんなはこの島を自由に移動できるようになるんだけど、島内の各所にはスポット、と呼ばれるものが幾つかあってね。それらに対しては占有権というものが存在していて、そのスポットを占有したクラスだけに使用できる権利が付与される。どう活用するかはみんな次第なんだけど、占有権が有効なのはスポットを占有してから八時間だけ。八時間経ったら自動的に権利は取り消されるから注意してね。あ、この占有権がリセットされたタイミングで連続して占有することもできるから。複数のスポットを同時に占有することも可能よ。

 それと、一度スポットを占有することで一ポイントのボーナスポイントがゲットできるよ。これはこの試験中には使えないけど、試験終了時に獲得ポイントに加算されるから安心してね。このルールの詳細な説明はマニュアルにも載ってるから、ちゃんと確認しておくように。

 説明はこんな感じかな。何か質問があったら遠慮なく言ってね。……あっ、私ちょっと席外すね。すぐ戻るから!」

 

 一通り説明を終えた後、星之宮先生はどこかに……いや、茶柱先生の方へと向かっていった。哀れ、茶柱先生……。

 

 さて、星之宮先生は茶柱先生に任せるとして、詳細なルールについて一先ず確認しておこう。

 神崎も先生の話を聞き、一先ずルールの把握を行ってからポイントの使用用途を考えた方が良いと結論付けたらしい。お互いに目配せしてから一つ頷く。

 

 そして、マニュアルを持って難しそうな顔をしている一之瀬の方へと向かう。

 

「一之瀬。難しそうな顔をしていたが、どうかしたか?」

「あ、二人とも。うん、ちょっとスポットの占有の項目で少しね」

「見せてくれ」

 

 一之瀬が見せてくれた見開きのページには箇条書きで詳細なルールが記されていた。

 

 一、スポットを占有するには専用のキーカードが必要である

 

 二、1度の占有につき1ポイントを得る。占有したスポットは自由に使用することができる

 

 三、他クラスが占有しているスポットを許可なく使用した場合、マイナス50ポイント

 

 四、キーカードを使用することが出来るのはリーダーとなった人物に限定される

 

 五、正当な理由なくリーダーを変更することは出来ない

 

 記されていたのは以上。

 スポットを占有するのにはリーダーのみが使用できるキーカードが必要である、と。なるほど。それにこのルール……早めに動いた方が良さそうだな。

 

「このルールだとスポットの占有は早い者勝ちみたくなりそうだね」

「ああ。となれば、なるべく早めにスポットの位置は抑えておきたいものだが……」

「みんなどう? 何か聞きたいこととか出てきた?」

 

 恐らく、いつもの茶柱先生弄りを終えてきた星之宮先生から声がかかる。

 丁度良いタイミングで来てくれた。

 

「先生、このリーダーについてなんですが……」

「あっ、リーダーね。それについてはみんなで話し合って決めて欲しいんだけど、試験最終日の点呼の時、リーダーの生徒は他のクラスのリーダーを指名する権利が与えられるの」

「リーダーの指名、ですか」

「そう。的中させたクラス一つにつき、そのクラスはプラス五十ポイント。逆に、指名して外してしまった場合はペナルティとしてマイナス五十ポイント。そして、リーダーを当てられた場合もペナルティとしてマイナス五十ポイント。みんなはこの重要性を理解して慎重にリーダーの決定、そしてスポットの占有を行ってね。リーダーは今日の点呼の時間になったら聞くから、それまでに決めておいて」

 

 おっ、と……。これは中々重要な情報を後出しにしてくれる。

 なるほど、メインのポイント変動の可能性はここか。となると、先生の言う通りリーダーは慎重に考えた方が良さそうだ。

 

「……沙羅式」

「ん? どうかした? 神崎」

「ポイントで購入するものについて等はこちらで纏めておく。お前は一足先に島内に入ってベースキャンプに良さそうな場所とスポットを探っておいてくれないか?」

「あー、別に良いけど、一人じゃキツイしもう二人くらいは欲しいかな」

「そうだな。……柴田は連れて行っていい。あいつは考えるより身体を使う方が得意だ」

「そうだね。颯に考え事は無理だ」

「おいっ! 聞こえてるぞ千聖!」

「それで、あと一人だけど」

「無視!?」

 

 何やら落ち込んでいる颯は無視して、もう一人を誰にするかと辺りを見渡した時。話を聞いていたのか、一人の女子生徒が手を挙げた。

 

「わ、私が行きます」

「え、白波さんが?」

「問題ありますか?」

「あーいや、大丈夫。助かるよ」

 

 白波千尋。あまり話したことは無いが、クラスメイトの名前は頭に入れているため問題はない。

 しかし、彼女は一之瀬によく懐いていた。わざわざこちらに来るとは思っていなかったが……まあ、本人が良いと言うなら良いんだろう。深くは考えないことにする。

 

「よし、じゃあ行こうか」

「へいへい。どうせ俺には考え事は無理ですからね〜」

「実際そうだろうに」

「うるせー! 自分で言うのと他人に言われるのとじゃあ全然ちがうんだよ!」

「はいはい。よろしくね、白波さん」

「……よろしくお願いします」

 

 おっと、何故か警戒されてる? 俺と彼女に殆ど接点は無かった筈だが、気づかない内に何かしてしまったのか? 

 えー、分からん。だって喋ったことすら殆ど無いし。マジでなんなんだ? 

 

 ……いや、今は頼まれたことをやるだけだ。

 

 頭を振って余計な思考を振り落とす。

 一つため息を吐いて、木々の生い茂る島の中へと先陣を切って入っていく。

 

 足場は、まあ悪くはない。普通に歩くのだったら問題はなさそうだ。

 

「でもよーベースキャンプとかスポットを探すとかって言っても、どこら辺にあるか分かんないから探すのは難しくないか?」

「私もそう思います。闇雲に探しても……」

「いや、ベースキャンプにならある程度目星はついてるよ」

「え?」

「船に乗ってる時、島の周りをぐるっと一周したときがあったと思うんだけど、あの時にある程度雨風を凌げる場所とか水のある場所とか、そういった所に目星はつけておいたんだ」

「へー! 流石千聖だな」

「このくらいだったら他にもやってる生徒は居そうだけどね。Aクラスとかは動きが早かったし、彼らもある程度の目星はつけてから動いてるんじゃないかな?」

 

 そう、だからこそ、スポットの位置の特定は早めに行っておいた方が良い。リーダーの決定までまだ時間は残っているが、リーダーの決定後、なるべく早くスポットの占有を行いたい。

 そのため、ベースキャンプはスポットの近くにあることが望ましいが……。

 

「でも、地図も無いんじゃ場所の把握は結構難しいな。ちゃんと目印つけとかないと」

「ん? 地図ならあったよ、マニュアルに載ってた」

「え!? ならなんで持ってこなかったんだよ!?」

「今後の方針を考える時にマニュアルは必要だろうからね。それに、地図といっても殆ど白紙の様なものだったし、あってもなくてもそこまで変わらないよ」

「な、なんだ。それなら良かった……? 良かったのか?」

「でも、この島で過ごす上で、食料の調達等も必要ですし、その時に地図があった方が便利です。また後で地図を埋めていく作業も必要、ですね」

「そうだね。それに関しては後で僕がやっておくよ。……おっと。二人とも、少し静かに」

「「?」」

 

 咄嗟に出た指示に二人は困惑している様子だったが、指示には従ってくれるようで、その場に屈み、息を潜めた。

 丁度よく目の前にあった木に身を隠し、バレない様に顔だけを覗かせる。

 

 視線の先、一番最初に目星を付けていた場所に立っていたのはAクラスの生徒だった。未だこちらには気づいていない様子だ。

 

 ふむ、最有力だった洞窟はとられたか。なら次だ。バレてない内に、さっさとずらかろう。

 

 息を潜め待機してあた二人にジェスチャーで指示を出し、足音を立てないようにその場を離れる。

 

 ある程度、少なくとも声は聞こえない程度に離れたことを確認し、息を吐く。それに釣られる様に、二人も同様にため息を吐いた。

 

「さっきのが一番の候補だったんだけど、Aクラスに先を越されたみたいだね」

「あー、あいつらAクラスのやつらか」

「流石に優秀、といった感じですね」

「まあ、他にも候補はあるし、そこまで気にすることでもないよ。ここからそんなに遠くないし、一先ずそっちに向かおうか」

 

 その言葉に、二人が頷いたのを確認し、また歩みを進める。

 島の中心に進む前、動いていたクラスは俺たちとAクラスだけ。CクラスとDクラスはあの場に少し留まっていたし、二番手に人は居ない、と思いたい。

 

「そういやさ、白波さんはなんでこっち来たんだ? いや、来ちゃダメとかじゃないんだけど、あんまり身体動かすの好きじゃないって前言ってたし、気になって」

「……それは、その」

 

 歩いている途中、颯が白波さんに聞いていたことだが、これは俺も気になる。

 俺の記憶している限り、白波千尋という生徒の身体能力はお世辞にも高いとは言えない。本人もそれを自覚しているし、他の生徒にも言っていた。そんな彼女がわざわざ自分から肉体労働に申し出た理由、それが分からなかった。

 

「少し、沙羅式君と話したいと思いまして」

「僕?」

「……はい」

 

 嘘、ではない。俺と話したいと思っているのは本心だ。だが、それは決して良い理由からではない、と思う。勘ではあるが。

 だから颯、その顔をやめてくれ。ニヤニヤしながらこっちを見るんじゃない。

 

 と、そのタイミングで、水が勢いよく流れる様な音が微かに聞こえてきた。どうやら、目当ての場所はもう少しらしい。

 

 そのまま一分、二分程度程で目的の場所である滝の近くには辿り着いた。幸い、こちらに人は居らず、問題なくベースキャンプとして使用できるであろう広さもあった。

 一先ずここで確定で良さそうだ。辺りにスポットがあれば嬉しいが……。

 

 そう思い、周囲を軽く見渡す。

 すると、他よりも数回り大きい巨木の傍、木の根元の近くに、恐らくスポットであろう物を発見できた。

 

 洞窟も良かったが、こちらも悪くない。

 

「よし、一先ずここで良さそうだね。後はみんなに報告しに行かないとなんだけど……」

「あー、じゃあ俺が行ってくるよ。足結構早いし」

「有難いけど、ここまでの道筋はちゃんと覚えてる?」

「流石に舐めすぎだぞ? それくらいは分かる。じゃあ行ってくるから、お二人さんごゆっくり〜」

 

 そう言って、手をヒラヒラと振りながら、颯は駆け足で先程の道を引き返して行った。

 

「ふぅ……」

 

 ようやく一息といったところか。砂浜は暑かったが、ここは水辺で木陰も多いからかそれなりに涼しい。先程までより格段に過ごしやすい場所だ。

 颯がわざわざ行ってくれたんだ、有難く一休みさせてもらおう。

 

 そう思い、木にもたれかかるようにして腰を下ろす。

 

「……あの」

 

 そんな時、頭上から声がかかる。見れば、白波さんが俺の前に立っていた。ああ、俺に話したいことがあるとか言ってたっけ? 

 

「どうかした?」

「……一つ、聞きたいことがあるんです」

「うん?」

「沙羅式君と帆波ちゃんって、仲が良いですよね?」

「えっと……そうなのかな? ごめん、よく分からないかも」

 

 あー、なんでここで一之瀬の話が出てくるんだ? というか、一体どこを見て俺と一之瀬が仲良しとかいう思考になったんだ……? 

 

「う、嘘です。だってこの前、同じお弁当食べてましたよね? しかも手作りの」

「あー、僕が作ったやつね。一之瀬が気に入ったっていうからたまに作ってきてるけど……えっと、食べたいの?」

「ち、違います!」

 

 違うんだ……。急にお弁当の話してくるからてっきり食べたいのかと。

 

「えっと、その……! さ、沙羅式君は帆波ちゃんとどういう関係なんですか!?」

「……????」

 

 えーっと? どういう関係? ……どういう関係って何? えーっとそれは、どういう関係なんですか? 

 

「……? う〜ん……? ……???」

「こ、答えて下さい!」

「あ、ああ、ごめん。その、悪いんだけどさ、どういう関係っていうのは、どういうこと……?」

「と、惚けないでくださいよ! 男女でどんな関係かって話なら、こ、恋人かどうかって話です!」

「あー! 恋人! そういう事か! ごめんね、昔からそういう話には疎くって」

「……い、いえ。その、私も声を荒らげてしまってすみません。それで、その」

「ああ、僕と一之瀬ね。ただのクラスメイト……以外に無いんじゃないかな?」

「く、クラスメイトですか? お友達、とかでもなく……?」

「うん。何か変なこと言った?」

「い、いえ。仲が良さそうだったので、お友達ではあるのかな、と思っていたんですが……」

「……友達、なるほど。白波さんから見て、僕と一之瀬って友達に見えてたのか」

「は、はい」

「ふむ。じゃあ友達だ。僕と一之瀬は友達」

「え!? ど、どっちなんですか!? もしかして揶揄ってます!?」

「いや、真剣そのものだよ。にしても、友達、友達かぁ」

 

 やはり、自分の事を他人から見た時の評価というものは重要だ。自分の視点のみでの評価だと主観を多分に含み、客観的に物事を見ることは難しい。

 だが、他人からすれば俺は知らない人間だ。主観の入らず、客観的な視点で物事を見れるだろう。

 

 そんな第三者である白波さんから下された、俺と一之瀬の関係の評価は友達。他人から見ても友達に見えるなら、それはもう友達と言っていいのではなかろうか。

 ふっふっふ……清隆以外で胸を張って友達と言える人間は二人目だな。船上では清隆にあんなこと言ったが、俺だって別に友達は欲しい。

 

「さ、沙羅式君ってもしかして……」

「ん?」

「い、いえ、なんでもないです。でも、分かりました。安心、とまでは行きませんが、今の沙羅式君の様子を見てたら大体分かりましたし……」

「あ、そうなんだ。まあ、なら良かったのかな?」

「はい。すみません、変なことを聞いてしまって」

「僕は気にしてないから大丈夫だよ」

 

 会話が一息ついた所で、そこそこの人数の足音が聞こえた。

 先頭から聞こえてくる足音から察するに、Bクラスの面々だろう。

 

「おーい! 千聖ー! 白波さーん!」

 

 予想通り、先頭の颯が手を大きく振りながらBクラスを率いてやって来た。それに軽く手を上げ、返事をする。

 

 そのまま颯と神崎、一之瀬はこちらの方へ向かってきた。

 

「良いところを見つけてくれたな」

「本当は洞窟が一番手だったんだけどね。思っていたよりこっちも良かったから、まあ勘弁してよ」

「ふっ。この仕事ぶりで文句はつけられん」

「ほんとほんと! 理想の拠点、って感じだね! ベースキャンプもここで良いんじゃないかな? みんなはどうー?」

 

 一之瀬の問いかけには、殆どの生徒が肯定的な返事を返す。俺たちBクラスの拠点はここで決まりだ。うん、ここじゃなかったらちょっと困ってた。

 

「それで、ポイントで購入するものは決まった?」

「ああ。一応白波と沙羅式の二人にも確認をとろうと思ってまだ購入はしていないが……」

 

 そういって、神崎は一枚の紙を差し出してくる。それを受け取り、白波さんにも見える位置に持ち、確認する。

 

 ……うん。殆どは生活に必要な必需品。仮説トイレや簡単な医療道具等、あって問題無いものが多い。ここにある食料は、恐らく現地調達が出来なかった時の保険、といったところか。調理器具もある程度揃えてある、と。

 

「良いんじゃないかな。僕からは特に何も無いよ」

「私も大丈夫です」

「分かった。なら今日の点呼の時にでも先生へ提出するとしよう」

 

 諸々の確認が終わり、ようやく一息ついたのだろう。颯と神崎は俺と同じように木にもたれかかりながら腰を下ろした。

 

 白波さんは一之瀬を連れて女子グループの方へ歩いていった。別に居て悪い訳じゃないが、やはりそこまで話したことのない人と一緒に居ると緊張したからな。話慣れてる神崎や颯が居ると気が楽だ。

 

 ……ん? 傍から見れば俺と一之瀬の関係は友達。そんな一之瀬より、神崎や颯とは話す機会が多い。

 これは、もしかしたら、もしかするのか? 

 

「……二人とも」

「ん?」

「なんだ?」

「もしかしてさ、僕たちって、友達だったりする?」

「え、違うのか?」

「俺はそうだと思っていたが……」

「……いや、そうだよね。うん。僕らは友達だ!」

 

 なんということだ、清隆。俺は自分が思っていたより友達が多いらしい。

 思わず笑みがこぼれる。

 

 うん、今日は気持ちよく寝られそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ隆二、ちょっと前から思ってたんだけどさ、千聖ってたまに馬鹿だよな」

「……まあ、否定はしない」

(ちょっと分かる……)

(にゃははは……分かっちゃうな〜)






はい。綾小路君に
「俺友達なんか要らねぇし〜?お前みたいに夢もってねーから!!」
とか言ってイキってた沙羅式君ですが全然友達は欲しいです。青春キャピキャピもしたいです。ガキなのでスカしてるだけでした、はい。
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