やる気スイッチがぶっ壊れてました。遅くなってしまいすみません。
「よし、第二ラウンドの始まりだ」
俺の作戦はこうだ。まず、今の状態では正面からじゃ絶対に勝てない、だからミカから放たれた銃弾をバブルで包み込み、そしてそれを触りコピーする。……まぁ、それが簡単にできたらいいんだけど……。そもそも神秘のコピーができるかどうかなんだがな。
「すぅふぅ……ッ!!」
ダッ!!
一呼吸つき、俺はミカに向かって走り出す。
「正面から来るつもり?何をするか分からないけど、貴方では私には勝てないよ!」
ダラララララ!!
ミカがセイラに向かって銃弾を放つ。
今だ……ッ!!
持っているシャボンスティックを振りかざしバブルの能力を使用しようとしたが。
チッ
「ぐっ!?」
ミカから放たれた銃弾をバブルでつつみ込もうとしたのだが、銃弾はセイラの頬をかすり、コピーをすることに失敗してしまった。
銃弾、速すぎるだろ……発砲されてからじゃ遅いな。狙うんだったら引き金を引いたその瞬間……でもこの距離じゃ引き金を引いたかどうか分からんな……。
「なら……もっと近づくしかねぇッ!」
そう言い放ち痛みに堪えながら、頬を伝う血を拭い、そしてミカにダッシュで近づき始める。
「おっ!さっきまで逃げ腰だったのに近づいてくるの!ホントにその武器で戦うつもりなんだ?」
「そういうッこったぁッ!」
「何をするか分からないけど近づけさせないよ!」
ガチャッ
ミカが銃の引き金に手を掛け、引き金を引く。その瞬間をセイラは見逃さなかった。
!!ッここだ!
ブンッッ!!
銃弾が来る瞬間にスティックを縦に振る。
(!?一体何をするつもり……)
セイラがスティックを振った瞬間、スティックの先端からシャボン玉が一つ二つと出る。そしてそのシャボン玉が銃弾を包み込む。
(あれは……シャボン玉?それにシャボン玉が弾丸を包み込んだ!?)
ミカが目の前の出来事に驚愕する。
よしっ!!成功だ!後はこれに触って……!
(何だか嫌な予感がする……。あいつにあのシャボン玉を触らせちゃいけない気が……それじゃあ!)
セイラがシャボン玉に触れそうになった瞬間、セイラが触れようとしているシャボン玉に向かって引き金を引き、弾丸を発射。その弾丸のせいで、セイラが触れてコピーをしようとしていたシャボン玉が目の前でパンッと割れる。
「いいっ!?」
「あはっ!何を企んでたのか分からないけど、企みは失敗したって顔してるね!そのシャボン玉に触ったら何か起こるんでしょ?」
ミカがセイラに向かって走ってくる。
「クソッ!!」
セイラが取り乱す。
「その乱暴な言葉遣い、やっぱりゲヘナじゃんね!」
ミカがセイラの目の前に近づき、右ストレートを放とうとする。
「……なんてね」
「!?」
その瞬間、セイラがニヤリと笑う。
「弾丸を閉じ込めたシャボン玉は一つじゃなかったってことだ!」
ミカの拳が届く前に、セイラが隠しておいたシャボン玉に触れる。
パァン!
一かバチか!!神秘のコピー!!
「コピー能力……!」
このコピーができなかったら終わる……!
ドォン!!!
セイラの想いと同時にミカの拳がセイラに着弾。セイラが吹っ飛び、ミカの攻撃で土煙が上がる。
「ふぅ……やっと終わったかな?はぁ……疲れた、ホントにてこづらせるんだから。だからゲヘナはイヤなんだよね」
ミカが戦いは終わったと思い愚痴をこぼした次の瞬間。
ビュンッ!!
「ッ!?」
土煙の中から弾丸が飛んできて、ミカのすぐ横を掠める。そしてやがて土煙が晴れ始め人影が見え始める。
「ふぅ……まだ終わってねぇよ」
銃弾を撃ったのはふっ飛ばされて、数メートル遠くにいるセイラだった。
「はぁ……まだ生きてたの?いい加減しつこいんだけど。しつこい男は嫌われるよ?」
(……いや、まって?そういえばなんでまだ立ってるの?私の攻撃まともに食らってなかった?)
ほんの少し前、セイラが拳を食らう直前まで巻き戻る。
『コピー能力……!』
このコピーができなかったら終わる……!
『聖園ミカ!!!』
拳を食らう直前ガードの姿勢をとり、ミカの拳が着弾する。
ドォン
『ガぁッッ!!』
セイラが少し吹っ飛び、数メートル離れた場所に落ちる。
『ぐうっッ、いっでぇぇ……痺れ……』
痺れ……?無事……痛みはあるが……。あ!まさか、コピー……できたのか……?
ガチャッ
セイラの手元に固い物がある。そこにあったのはミカの愛銃、Quis ut Deusがあった。
『あ……!多分コピー成功ッ……!一かバチかだったが、成功して良かった……』
そして少し気になることがある、このコピーはミカの銃をコピーしたのか、ミカの神秘をコピーしたのか。今までは銃弾をコピーしたら、その銃弾を発射した人の銃になることはなく、そのままレンジャーをコピーしていた……。だけど今は、ミカの銃弾をバブルでコピーし、ミカの銃を持っている。そして……まぁ今はいいか、後で考えよう。
『そんなことよりも今は目の前のことだ』
セイラが少し歩く。
……あれこんなに体軽かったっけ……?
体の奥底から、力が湧き上がってくる。ドクン ドクンと、心臓が強く脈打つ感覚がある。持ち上げた銃が、ものすごく軽く感じる。
銃ってこんなに軽かったっけ……?レンジャーの銃はもっと重かったぞ?
これが神秘の影響なのか?考えている暇はないな……。確かミカは……。あっちか。
「あ〜……外れたのか」
「あなた……いったい何なの?」
「……?俺は天川セイラだが……?」
「そういうことじゃなくて!私の攻撃を耐えたことも!それに今のあなたの姿も、私の髪の毛と同じ色になってるし、私のと似てる銃持ってるし」
髪の毛の色も変わってるのか……?だとしたら、ホントに銃だけのコピーだけじゃないのか?
「なぁ、鏡持ってない?確認したいからさ」
「渡すわけないでしょ!?」
ミカがキレ気味で返してくる。まぁそりゃそうか。
「ホントにわけわかんない……」
「俺もよくわかんねぇや」
「………」
「………」
しばらく、ミカとセイラの間で睨み合いが続く。
ダッッ!!
その瞬間、最初に動き始めたのはセイラだった。
ビュンッッ
「うおっっ!?」
セイラが予想していた以上の速度で、勢いよくミカに近づく。
「えぇっ!?」
「ッ!だりゃあ!!」
ミカにその勢いのまま拳を放ち、セイラがミカの横を勢いを抑えきれず、走り抜けてしまった。
「ぐっ!?」
ミカがガードし、後退りをした。
「いたた……ちょっと!急に来たら危ないでしょ!?」
ミカがセイラの方を向きながら愚痴を言う。
……?なんだこの速さ!?コピーしたことで身体能力も変わったのか?じゃあやっぱりこのコピーは神秘を……?
「聞いてるの!?」
もしかしたら、勝てるかもしれねぇ……この戦い!
「来ないんだったら私から行くよ!?」
「ッッ!!」
しびれを切らしたミカの横蹴りが飛んでくる。
シュッ!!
セイラが咄嗟にガードし、下に受け流す。それから体勢が崩れたミカに回し蹴りを繰り出した。
「たぁっ!」
セイラが放った回し蹴りがミカに直撃し、ミカが数メートル飛ばされる。そして吹っ飛ばされて無防備になった所を、すかさず銃で撃つ。
「ぐうッ!」
俺……ミカと戦えてるのか!?マジでコピーできてるじゃないか!!神秘を!!
「ホントにあなたなんなの!?さっきまで逃げ腰だったのに急に戦えるようになったりするし!似てる銃だなって思ったら、私と同じ銃だし!もう!」
愚痴を吐いてミカがセイラに向かって銃を撃ちながら走ってくる。
銃撃!避けねぇと!
セイラが動こうとした瞬間、体に違和感が走る。
あれ、なんだ、体が言うことを聞かな……。
「せいっ!!」
「!!!がアッ!!」
ミカの拳が胴体に直撃し、またもやふっ飛ばされ、転がり落ちる。
「ぐぅ……ッ」
セイラが体の急な違和感を抱えながらも、何とか立ち上がる。
なんだ……急に体が鉛のように重くなって……。あれ……なんだ、目眩も……する……。頭痛もする……は……吐き気もだ……
「急にどうしたの?動かなくなって。今更怖気づいたの?」
「んなわけ……ないだろう……」
「もういい加減諦めたら?あなたの体、見るからにもう動きそうにもないけれど。顔も真っ青だよ?」
「諦める気なんて毛頭ねぇから……勝手に決めんなって……」
足に力を入れる。
「そう、なら私優しいからさ?苦しいなら終わらせてあげる」
ガチャッ
ミカがセイラに向けて銃口を向ける
「ゼェ……ゼェ……ぐっ!」
セイラが最後の力を振り絞り、ミカに殴りかかろうとするが、あっけなく避けられる。
「バイバイ、ゲヘナの人」
クソ……。
「ん?」
あれ……?中々撃たれないな……?
「あれ?何か落ちてきてる……?」
キィィィィン
「あ、ヤバっ」
ミカがなんか不穏なことを……何か嫌な予感が……。
「キェェェェ!!!!!」
ズドォン!!!
「ごふぅぁ!!!!」
ポンッ
「あちゃぁ〜」
嫌な予感がしたと同時に奇声とともに落ちて来た謎の人物に勢いよく背中を踏まれ、俺は意識を失ってしまった。
なんで……なんで、こうなるんだよ……。
ガクッ……
それからしばらくして……。
「ホントにすみません!!ミカさんが本当に!!」
「い、いえ……もう大丈夫ですから」
あの後、セイラはトリニティの医務室に運ばれ目を覚ました後、ミカの友人でありティーパーティーの桐藤ナギサが謝罪に来ていた。
「本当どうお詫び申し上げればいいのか……。怪我などはどうなのでしょうか……?」
「怪我ですか?怪我なら大丈夫ですよ」
ちなみに騒ぎの後、騒ぎが始まったケーキ屋の店主が何があったのかを説明してくれており、俺の責任にはならなかったらしい。
「そうなのですか……?話を聞く限り、ミカさんにやられた後、正義実現委員会のツルギさんがセイラさんの背中に落ちてきたと伺っているのですが……」
俺が話を聞いた所、俺の背中を踏んだのは正義実現委員会の剣先ツルギだった。恐らく騒ぎを見た人が通報でもしたのだろう。
「それに関してなんですが検査の結果、特に外傷も異常もないらしいんですよね」
少し前の話だが俺が医務室で起きた後、軽く検査を行なったのだが、特に外傷も異常もなく、すぐにでも退院できるらしい。
まぁ、すぐに退院出来るのはありがたい。そういや俺あの時意識失った原因ツルギが落ちてきて俺を潰したからなんだよな……。あはは……よく俺無事だったな?それに俺、さっきの急な体調不良は何処に行ったんだろうか?後、怪我も何処に……?
「本来、ミカさんもここにいなければならないんですが……。先輩からのお説教と、後始末に駆り出されていまして……失礼も承知の上ですが、ミカさんからの謝罪はまた後日ということでも、よろしいでしょうか?」
「えぇ。というか謝罪なんて大丈夫ですよ……?俺も勘違いさせてしまうような発言してしまいましたし……」
あの時不用意にあんな事喋らなければよかったな……。
「いえ、あの人……ミカさんもティーパーティーの1人です、然るべき謝罪は必要かと」
しっかりしてるなぁ……。
「そうですか……なら後日お願いします」
「えぇ、時間ができ次第ご連絡させていただきます」
それからしばらくして……。俺は許可が出て、医務室から出れるようになり、医務室から出た。その直後、隣から声をかけられた。
「そ、その……あの…」
あれ、ツルギじゃん、どうしたんだろうか。あれ、ツルギが何か持ってる。
「キ、キぇ……」
……あ、あぁ来るなこれ。
「きええぇぇぇぇ!!!これェェどうぞぉぉぉ!!」
ツルギが奇声を上げながら持っている物を渡してきた。
「あ。ど、どう「きひゃあぁぁぁ!!!」も……」
奇声を上げながら走り去ってしまった……。これなんだろう?……まぁ、いいか。
「まぁ、こんな事がありましたね」
「「まぁ」じゃないでしょ!?まぁ、じゃ!?」
あれからしばらくして、フウカの自宅に戻り、今日あったことを夕飯後、少々端折りながら話している。
「なんでそんなことが……。というかトリニティの偉い人と戦ったんでしょ確かティーパーティーだっけ?大丈夫なの……?それは……」
「まぁ大丈夫じゃないんですか?」
「セイラって意外と能天気なの……?」
「それよりも、このケーキ美味しいですね」
「あ、話そらした。まぁ、そうね本当に美味しい」
あの時にツルギから渡された箱の中には、今日買おうとしていたケーキ、「ミラクル5000」が入っており、夕飯後のデザートとしてミラクル5000を食べている。
「はぁ、セイラもあまり無理はしないでよね?」
「あはは……分かりました。」
「今、お金貯めてる最中なのに、怪我しちゃって治療費とかでお金なくなっちゃ嫌でしょ?」
「そうですね。それにこれ以上フウカさんに迷惑かけないようにも、早くお金を貯めて住める場所を借りれるようにならなく……ちゃ……」
「……」
……?急に俯いてどうしたんだろうか?
「別に迷惑なんてかかってないのに……」
「フウカさん?どうかしました?」
「!な、なに?」
「いえ、急に俯いて黙り込んでしまったので……」
「あ、あぁ……。ごめんね、ちょっと考え事をしちゃってた。……さて!この話はもうおしまい!食べ終わったなら食器を流し台に持ってっちゃって、洗うから」
「分かりました。そうだフウカさん、食器洗うの手伝いますよ」
「そう?ありがとね」
この会話の後、フウカと一緒に食器を洗った。