異世界転生モノだと思ってるバカ   作:さぼさぼさん

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なにこれ(出来上がったものを見て)


帰路

「あ゛ぁ゛ぁ゛!!! 痛いっ、痛てぇっ────! はっ、はっ……はぁっ……!」

 

 チェリーニアを吹き飛ばし、劣勢を覆したかのように思えたアッシュ。数十分にも満たず、一瞬で過ぎ去った苛烈な攻防。

 

 負ったダメージの修復を中断した反動、混濁した自我が混ざり反発し合っていることによる脳への負荷。それらが一手に押し寄せ、アッシュは膝に手を付き苦しみ悶えた。

 

 綺麗に敷き詰められたレンガとレンガの隙間、土くれが覗くそこにアッシュ自身から流れ出る血がその奥へと染み渡っていき、赤い血の池が気泡を吐いている。

 

 忙しなく左右上下に揺れ続ける瞳の動きは、まるで統合されつつある記憶に対しての処理の重さを語っているようだ。

 大きすぎる負荷は中途半端に意識を引き戻すのか、アッシュの混濁した自意識は少しの纏まりを得た。

 

「…………はやく、動かなきゃ。 ど、どこに……? あれ……?

 俺は何をして、いやっ、いいんだ。 落ち着け、落ち着け俺っ……!」

 

 上手く思考を練ることができない脳内を、無理やりぶつぶつと喋り続けることで稼働させてボヤけた視界を頼りに辺りを見渡すアッシュ。

 

 クルビアの先進的な構造とは真逆の、古めかしくも美しい大屋敷が、ごうごう燃えている。燃え盛る大屋敷の足下、ちっぽけなシルエットが映る。どうやらそれは人の姿であるらしい。

 

 よく目を凝らせば、特徴的な髪色をしたループスの若者、少年と見紛うような小さな体躯をした色黒のリーベリの若者の二人が、力のかぎり大声でがなり立て、混乱している人々を避難させている。

 

 不味い。何かが……おかしい。パッチワークのように途切れ途切れな記憶の中では、こんな凄惨な出来事は起きていなかったはずだ。自分はこれを防ぐためにここに居るはずで……こんなことを誰が……やった?

 

 ごろごろと転がっている死者も散見でき、間違いなく望まない光景が広がっている現状を誤魔化すように、勢いをつけ後ろに振り向き直したアッシュ。

 

 その瞳の先、慌てふためく人々の荒波の中心でシン……と足を組みながら腰がけ、優雅に佇んでいる壮年のループスの男性が映った。

 

 彼は愉しそうに笑い、誰にも悟られないほど小さい唇の動きでアッシュに向けて何かを伝えている。ただ一人に贈られたその祝詞に、本来意思疎通もままならない精神状態のアッシュは、鮮明に聴き取れてしまった。

 

 

 ──────この災禍はおまえの仕業だ、アッシュ。

 

 

「……な。なにを、言って」

 

 ぐわんと視界が歪むような錯覚に陥り、失明している訳でもないのに目の前が真っ暗に見え出す。やがて耳に届く音もくぐもって聴こえるように思え、自分の息の荒さがやけに際立って聴こえ始める。

 

「────あんな外道に耳を貸すのはやめて、とぉーっても親切なボクらの言葉に耳を貸してよ……ね? アッシュ」

 

 壮年の男性との長い距離、その空間に一つのノイズが走った。その違和感と同時、中性的な鈴の音が聴こえたかと思えば、突如目の前に銀色の少女が現れ、予備動作を見せずしてアッシュの左腕を刎ねた。

 

 綺麗な切断面が見えるが、丁寧に回転をすることなどはなく、大きな肉塊として重そうに飛んでいく。しばらくして、肩から先の左腕がべちゃっ!という音を立てて遠くに落ちた。

 

 片腕分の重量を失ったことで、バランス感覚が大きく損なわれたアッシュは、苦し紛れに残った右腕で彼女へ掴み掛かろうとする。

 

 荒い軌道を描くアッシュの腕を、彼女は半歩後ろに退くだけで躱してしまう。勢いのまま崩れ落ちそうになるアッシュをさりげない所作で抱き抱え、彼女は耳元で優しく囁く。

 

「もう、疲れたでしょ? 帰ろうよ、ボクらのシラクーザに。アッシュはよくやったよ。大丈夫、だぁれも君を責めたりなんかしないさ」

 

 胸の中で暴れるアッシュを、その女性的な肢体からは想像のつかない力で押さえつつ、とんとんと子守唄を歌いながら寝かしつけるような、そんな優しさでもって背中を叩く彼女。

 

「……っ、さっきの女もそうだったけどよぉ、お前ら一体どこの誰なんだよっ……!!」

 

 返答は求めていない。知らない人間である。それだけで攻撃をするのに十分だと判断した。ぐずぐずに蕩けたアッシュの脳には、もう冷静に対話できるほどの余地は残されてなかった。

 

「忘れたり思い出しかけたり忘れたり……忙しないねぇ。もう、メンドくさいなぁ。とりあえず名前だけでも覚えてよ。ボクの名前はラップランド、十回呼んでみて? いくよ? せーの……」

 

 アッシュの左腕を難なく刎ねておいて、殺伐とした空間とは真反対の和やかな雰囲気で喋りかけるラップランド。煽られているように感じた彼は、血走った眼で名前の知れた敵を睨み、その白く柔らかな首筋に深く牙を突き立て噛みちぎろうとする。

 

 アッシュの荒れたアンサーに、夜泣きの酷い赤子をあやすような、困った顔をしているラップランド。そこに痛みに悶えるといった硬直は無かった。

 ただ愛おしそうに彼の頭をひとしきり撫でたのち、最後の質問と言うようにその口をゆっくり開いた。

 

「チェリーニアも言ってたけどさ。 アッシュって……今誰を護りたいと思ってるの?」

 

「ぷはっ……! 決まってんだろうが、家族……俺の大切な……あ゛……?」

 

「家族の顔。それすらも忘れてるのに、()を……護ろうとしてるの? もうさ、十分護れたんじゃない? キミの言う家族ってやつは、キミがそんなに傷つくことを良しとはしないと思うよ」

 

「……るせぇ。 うるせぇっ!! 見ず知らずのお前に、俺の全てを知らないお前にっ! 何が、何がわかるってぇっ─────」

 

「わかるよ……だって、キミを愛してるから」

 

 ラップランドは彼と恋仲になったいつかの時のように。自らの額をアッシュの額にぴたと触れ合わせて、乳白色に透き通る双眸をアッシュの双眸と合わせ鏡のように向かい合わせにした。

 

 頭の奥に眠る強い感情を呼び起こされたアッシュは、蘇る思い出に困惑して、硬直している。ぽかんと開いたアッシュの口元から垂れた血が艶かしく光を反射して、乱れた装いのラップランドの胸元に滴り落ちた。

 

 この血はアッシュのものなのか、はたまた先程噛みちぎろうとしたラップランドのものなのか。もしやすると、その両方なのか。どちらにせよ、何とも言えない背徳がそこに走っていた。

 

「…………ぁ、ぇ? ラ、ラップ……ランド、なのか?」

 

「……おはよう、ねぼ助さん。 朝になるまでよく寝たねぇ」

 

 自分の知るアッシュが戻ってきたことを心から嬉しそうに微笑むラップランドは、ただの恋をしている乙女の顔をしていた。端正な顔立ちをくしゃくしゃにし、やっと逢えたと目尻に涙を溜めて、抱きしめる力をより強めている。

 

 それでも残念ながら、アッシュの死は間近であることは覆しようがない。努めて健気に、ラップランドはアッシュにその事を悟られないよう、内心共に穏やかであるフリをしつつ……彼を撫でる手とは反対の手に、剣を携えた。

 

 アッシュの背に剣先を向けて、後ろから刺すように持ち替えたラップランド。隠し通そうと思っていても滲ませてしまった悲哀を笑顔の影に落とし、自分まで貫くように振り下ろし────

 

 

「────ありがとう、アッシュ。 いっしょに地獄へ逝こっか」

 

 

「…………おいばか、んな哀しそうに笑うなって…………」

 

 

 

 

 どれだけ愛する人に手をかけることに躊躇いがあるとしても、ラップランドはやはりサルッツォの執行人と言われるだけの所以があった。

 

 チェリーニアが仕掛けた自身を透過して射出する『雨』の一撃により、アッシュはその腹に風穴は空いてはいないものの結構な深手を負っていた。

 

 その箇所を確実に把握していたラップランドは、この後アッシュが再び記憶の混濁を起こし暴れるかもしれない可能性も考慮して、確実に深手となるその部分に追い打ちをかけるようにして心中した。

 

「じゃ、あとはヨロシク。あとはボクごと真っ二つにするなりなんなりご自由に〜?」

 

 口から血が止めどなく溢れ落ちていることなどなんとも思っていないと、死ぬことに向けての恐怖心を一切見せもせず、誰もいない空間に向けて独り言のような置き土産を遺すラップランド。

 

 自分とアッシュを斬り離し、助けられるものなら助けてみなよ。ボクとしては(アッシュ)と死ぬほうが本望だけどね。……言外にイングリッドにそう主張しているこの心中。

 

 ここで見殺しにするということは、結局のところ掬い上げなければならなかった子供を犠牲に、大人たちは問題を解決に導いたということ。それでは今までのシラクーザと同じなのだ。

 

「────侮られては困るな。君を斬らずに助け、アッシュのみを斬ることなど容易いよ」

 

 イングリッドのその呟きを聴くことなく、ラップランドはその意識を早々に手放していた。好きに暴れておいでと言ったは言ったが、こういった奇抜な暴れ方をするとは考えておらず、イングリッドは大きなため息が出てしまう。

 

(……私はこの地獄から目を逸らしてはいけない。 彼ら彼女らがこうせざるを得なかった責任を、私は少しでも償わなければいけない)

 

 だから、しっかりとアッシュの顔を見て剣を振るうのだ。すぐさま認識阻害からその姿を現したイングリッド。彼女の強い想いと同期(リンク)して、踏み締めた大地に深い亀裂が走っている。

 

 哀しげに湛えた笑みのままぐたりと項垂れたラップランドを見つめ、片腕一つで抱き留めて、静かに涙を流しているアッシュの顔を仰ぎ見た。

 

「……やっと、最期に君は戻ってこれたんだね。それはなんて残酷……本当に悪趣味だ。 テラに神がいるとするならば、一生涯、私は神を赦すことはしないだろう」

 

 イングリッドは我々を愉しそうに見下ろす高尚な双月を射殺さんばかりに睨みつけては、お門違いの怒りでアッシュを殺してはならないと、すぐ無心に徹して横一直線にアッシュの胴体を薙いだ。

 

 

 

 サルヴァトーレの遺した特大剣により、疲労を除く身体の全ての損傷を癒したチェリーニアは、もう脚が動くことを確かめてすぐにアッシュの元へと舞い戻ろうとしていた。

 

 身体強化をもう一度自らにかけ直し、イングリッドと遜色ないほどの脚力で地面を蹴り上げようとしたその時────赤黒い閃光がチェリーニアの頬ぎりぎりを掠めてどこからともなく飛んできた。

 

「……ふん、観客(オーディエンス)気取りで見守るんじゃなかったのか? ジュセッペ」

 

「産みの親に対してその呼び捨ては無いのではないかね、チェリーニアよ。 安心しろよ、今のはこちらに気を向けてもらうための児戯に過ぎん」

 

 警戒を緩めることはなく、しかし確かにジュセッペから放たれる『殺意』にはこちらに害をなす意志が込められていなかったと気付いているチェリーニア。

 

 ジュセッペは腐りゆく右手の膿みを興味深そうに観察している。自身の終わりになんの頓着も無いようだ。しばらくして、ちらとチェリーニアへ向き直り、首につけていた首飾りを引きちぎって投げ渡した。

 

「オレはこの一夜においてどうしたって『悪』を為した外道なわけだが、最期にちょっとした……混沌としたささやかな『善』を遺してやろうと思ってな」

 

「……それと、この首飾りになんの因果関係があるというのだ? くだらん言葉遊びならあの世でやれ」

 

「は、せっかちな餓鬼どもだ。まあ聞けよ。

 ……それには我が父サルヴァトーレが『絆』を遺物化したように、オレの『混沌なる殺意』を込めてある」

 

「……お前の悪辣な力など誰が頼るか。私たちは私たちの力で乗り越えてみせると、観ていて気付かなかったのか?」

 

「……クハッ。随分と嫌われてしまったなぁ……。しかし、当然ではあるか。…………なぁ、使うも使わないもお前の自由だが、これはオレなりの親心なんだぜ。

 『混沌なる殺意』は、貫いた相手の性質・概念を貪り、吸収する。アッシュの定まりかけている『死』という概念を、オレが喰ってやると言っているのだ」

 

 ジュセッペはアッシュの混沌に満ちた歩みに魅せられた。彼が生きているだけで、周囲の人間を狂わせ大きく精神を変容させていく。

 

 闘争に身を溺れさせ、血が飛び交う混沌もまた美しい。しかし、こうやって人を魅了してやまない人間の行き着く成れ果てを眺めることのなんと愉悦なることか。

 

 自分はもうじき腐り膿んで醜く死に向かうだろう。元より彼奴(アッシュ)に負けて死ぬはずだった命だ。弱者である自分が思うことなど何も無い。

 

 

 しかし、借りは返す。恩は忘れない。

 

 

「一夜だけだとしても。死から、傀儡から、逃れられた。この借りはアッシュに返さねばならん。だが一人娘の愚かにも可愛らしい逢瀬を邪魔するほど観客(オーディエンス)としての矜恃を捨てたわけでもない」

 

 困惑するチェリーニアを置いてけぼりに、背を向けてさっさと去ろうとするジュセッペ。喧騒の真ん中で滑稽に死ぬのも混沌として良いが、それは自分自身に対し、常にスポットライトが当たっているものと傲慢な考えが過ぎる。

 

「なっ……待て! 勝手に話を進めて、勝手に去ろうとするなっ!」

 

 ジュセッペは、今この舞台の壇上にいる役者ではないと自覚をしている。だから、最期の死は誰にも看取られることなく、どうしようもない悪役として寂しく死んでやろうと意気込んだ。

 

 それに、老いさらばえて死ぬよりは、遥かに美しい幕引きではないか。波乱に満ちた、混沌の生き様。それでいい。それがいい。

 

 ふと、言い忘れていたことを思い出した彼は、立ち止まってチェリーニアにわざとらしく聴こえるよう言葉を零すのだった。

 

「お前はクルビアに居ては息苦しそうだ。彼奴と共に陽の当たる帰路を歩んでやれよ、チェリーニア。 オレは……お前たちの往く生き地獄を、死者が赴く地獄で嘲笑って観ておいてやるとする」

 

 

 

 よくある漫画で主人公の暴走シーン、なんで暴れた時の記憶があんだ?とか思ったけど、ありゃ別に心神喪失状態じゃないからなのね。俺ちゃんがその第一人者になってよーくわかったわ。

 

 ラップランドと付き合ったあの時、デコぶつけ合ってあまったるいやり取りをした記憶は俺にとってすげー大事だったみたいだ。

 

 土壇場であれの再現を演出したラッピーは主演女優賞狙えると思うね。え?いつかのときラップランドは役者より監督をしたいって言ってた?それドコ情報よ。

 

 しっかしまあ、ラブロマンス的方面はすげーセンスがあると思うけどね?隠し事がやっぱり下手なもんでこの娘。なぁーんでそんな哀しい顔すんのよ、わかっちゃうでしょーがやりたいこと。

 

 そんでもって「ごめんね」とかじゃなく「ありがとう」だってさ。ばっかだなぁ、ほんとに。んや〜……ラップランドだけでも生きてて欲しいんだけどさ、俺の『逆転』が便利なモンじゃないって気付いちゃったから、下手に他人に振り翳せないよね、怖くて。

 

 え?イングリッドには『逆転』使ってたじゃないかって?あいつは筋肉バカだからどーにかなんのよ、どーにか。嘘だって、あん時は初回限定無料ガチャみたいなもんだったのよ、ほんとーに。これも嘘。なんで治せたのかしーらね、あの時の俺にインタビューしたいよね。

 

 てかさぁ聞いて?俺がアホほど大暴れしてて、なんでか皆怒ったり嫌悪したりせずに、ちょ〜哀しそうな顔してたじゃん。

 こうして俺と心中しようと、自分を傷つけて死に向かおうとするラップランドと直面してみてわかったんだけど、すっげー心が痛いしやるせないのな。

 

 そりゃあ哀しくなるのも当たり前だわな。なんつーの?俺のせいだなー……とか、でもそんな俺が「やめてよ!」なんて声を大にして言えねーなー……とか色々浮かんでは、でも哀しいのは止めらんなくて。

 

 実はさー。さっきまでの俺ちゃんって暴走状態ではありながら、でも俺ちゃんの最初で最後の覚醒状態でもあったわけ。だからね、今でも感覚が研ぎ澄まされてんのよ。

 ちゅーことで、後ろらへんで俺をぶった斬ろうとしてるイングリッドが居ることも把握できてたりすんのよね。

 

 抵抗?するわけねぇーじゃん、散々迷惑かけたし。生きてたいとも思えないし。……あ、でもテオドラとアダムたち大丈夫かな。あいつらやってけるかなぁ……二人ともリーダー気質じゃねぇしなぁ。

 

 ま、ジョヴァンナが引っ張ってくれるか!ああいう優しいだけじゃない強い女ってイイよね!チェリーニアは強いだけの女だし、ラップランドは不器用すぎて優しいとは言いきれない女だし、新鮮!

 

 現在進行形で剣がぶっ刺さってるから結構腹ん中スースーしてるんだけど、泣き別れになったらどんな感覚するんですかね?

 ジュセッペに達磨みたくされたときは痛すぎてそれどころじゃなかったんですけど、なんか脳がぶっ壊れてんのか知らねぇが痛みがしないんだよな〜。

 

「あ〜あ、クソみてぇな第二の生だったなぁ……」

 

 二度あることは三度あるっていうし、三回目の転生とかねーかなぁ。前世か今世、どっちの世界がいいか?うーん、意外にも今世かも。前世退屈だし、刺激的なテラでドキドキ(死と隣り合わせ)したいよネ♡

 

 あと前世含めて初めての恋人だったラップランドちゃんの子孫とか顔見ておきたいじゃんね、二度と付き合えることないだろうってくらい美人の元カノにそりゃ未練タラタラなんですわこちとら。

 

 ラップランドと結婚した夫さんに嫉妬しながら、でもお孫さんまでいて大往生したんだね!(血涙)ってなりたいじゃん。なった上でやっぱつれぇわ……つって帰り道ギャン泣きするんだから。任せとけ。

 

 孫または孫娘の顔を見てきれーなばぁちゃんになったラップランドが鳴りを潜めた穏やかな笑顔で家族団欒を……そ、存在しない記憶がっ……これが、脳破壊!?てかこのままだとラップランドも死にそーじゃね?皆こいつだけでも助けてあげてね〜?

 

 あ!!!独白長ぇよはよ死ねやと思ったそこのキミ!いいじゃんかよ結構長い間脳内お喋りできなかったんだからよぉ!いっぺー喋らせろよってんだこんにゃろてめぇ!!

 

 16歳でこの世を去るのほぼ確の男の子にひどい仕打ちだと思わねぇのか!?最期くらい好きにやらせろよほんとによぉ!実は『アーツ』も練れそうにないし、呂律も上手く回らなくなってるから話せそうにないってのはここだけのナイショね♡

 

 普通にイングリッドにぶった斬られなくても死にかけで草なんよ。ほっとけば死ぬんじゃない?俺。

 いやまぁもうぶった斬られてて、あとは死ぬだけみたいな感じなんですけどね?もうね?

 

 こういう時さ、ぽーん!と上半身吹っ飛んだりしないのな。そりゃそっか、結構な重さしてるもんな人体って。今ねぇ、イングリッドの神業で俺だけ真っ二つなんですけど、下半身の支え無くしてラップランドをクッションに地面に倒れこんじゃった♡

 

 おっ♡ラッピーの剣刺さったまんまやないかーい!地面に押されてずるって抜けそうだよ♡なんだかえっちだね!

 俺はともかくラップランドの腹が心配です。一思いに抜くかまたぶっ刺すかしてあげて?中途半端にぶっ刺さったままって一番痛いのよ!?

 

「チィッ──! 不服だが、使わせてもらうぞ。 ジュセッペッ!!!!」

 

 およ?なんか不機嫌そうなヤニカスの声が聴こえる。てか記憶の中のチェリーニアちょっとぺしょってたね。心なしか耳垂れてたし、しっぽしなしなだったし、いっつも強気なやつが落ち込んでんのざまぁ!wって感じだよな。

 

 わかるわかる? え、お前ら性格わるっ。俺はそうは思わへんけどな。

 

「チェリーニア……? 君は一体何を……」

 

「一人で勝ち逃げされるのが気に食わんのでな、まだ私たちのためにこのバカには生きてもらうことにした!」

 

 え、女の子の握力がしていい音じゃなくない?ぱきゃっ!!って聴こえたよ?なにを握りつぶしたの?いや、ナニを握りつぶしたの!?ナッツ(意味深)クラッカー!?

 

 満足だぜ……風に目を瞑ってイングリッドに為されるがまま死んでやろうと思ったから、今更目を開けるの嫌なんですけど。ちょ、ちょっとだけ目をうっすーら開けてみる?そうする?いくよ?

 

 ちょこーっと目を開いて、まず見えたのが、赤黒い色をした伏〇宿〇の不定形状態の玉犬みてぇな狼のデケェ口でした。ん???? あ、死にますねー?

 

 流石の俺も呂律とか死に体の体とかかなぐり捨てて大声出しちゃうよね。必死に。これを呼び出しただろうチェリーニアに振り向いて。

 

「う、うわぁぁぁぁぁ!?!? ……てめっ、おいゴラバカ女ァ!!! 殺す気かァ!?!?」

 

「うるさい! 私だって博打なんだからこちらに八つ当たりするな!」

 

 あれ、ラップランドちゃん俺らがうるさすぎて魘されてますがな。失血してるのもあって顔が青白くなってるし、しかも表情見て!「うっさいなぁこいつら……」みたいなイライラ顔ですよ!笑える。

 

「っ痛……あのさぁ、こういう時まで締まらないのってどーいう了見なワケ? もっとこうさぁ、シリアスになるところでしょ……? アッシュなんて、キミ下半身無いんだよ? どこからそんな元気出てくるのさ……」

 

「あ、おはようラッピー。コメディガチアンチだもんねお前。ラブコメは好きなのに。めちゃくちゃ痛烈にコメディ調のオペラの批判記事ネットに書いてたもんね。ラブコメは好きなのに」

 

「もっかい殺されたいのかなぁ? キミってやつはさぁ!!」

 

 このふざけ倒したやり取り、時間にして数秒。俺らって漫才のプロフェッショナル。デケェ口に喰われるのは嫌だけどチェリーニアが言うには賭けらしいよ。

 

 なら喰われてみるのが世の情け、ムサッ……世代じゃないよね、今の若者はね。俺は好きだよ、ロ〇ット団。コジ〇ウのヤンデレマ〇キッパが癖でした。

 

 心中失敗しておこなラップランドをチェリーニアの首根っこを掴み投げ、食べられちゃってみる俺ちゃん。

 あ、イングリッド〜、さっき斬り飛ばした俺の下半身持ってきて〜!……あそれ多分違う人の下半身〜。あ、うんうんそれやね〜!

 

「…………私の覚悟が踏み躙られている感覚がする」

 

「『感覚』って、実際のところ踏み躙られてるけどね。キミの当の息子、アッシュに」

 

 おお?この玉犬モドキ、ジュセッペの『殺意』か!え、ならもっとヤバくない?あれ防御無視貫通アホアホ攻撃じゃん。でもぱっくんちょされてるが、全然痛くないぞ?

 

 これはどっち?痛覚が麻痺っててバカになってんのか、それともこの『殺意』に害が無いのか。教えて!チェリえも〜〜ん!

 

「お前の方が詳しいはずだが……どうやら私が首飾りを握り潰して権限させたそれを、あいつは『混沌なる殺意』と呼んでいた」

 

 あ〜……貫通する『殺意』に、どんな害意も貪ってお返しする『混沌』を乗せたやーつね。じゃあ、あの地元最強(笑)インテリヤンキーさんは何かを『混沌』の性質で貪り喰おうとしてるね?

 

 頭良い俺ちゃんはわかっちゃったよ〜ん。てか泣き別れた身体がじくじくと合体ッ!一体どうなっちゃうんだ〜!?してるからわからなくてもわかるわ。あいつが持っていこうとしてんのは俺の『死』そのものか。

 

「最後に良いことすんじゃ〜ん。これからはテキサス一家のことヤンキー捨て猫理論家族って呼ぼっと」

 

 俺の『死』の概念をばくばくごっくんちょした『殺意』の化身は、筋肉ゴリラに握りつぶされた首飾りをよー分からん力で元に戻してチェリカスの手元へと戻っていった。

 

 うへ、ドラ〇エの呪われた装備みてぇだ。装備者は俺じゃなくて良かった〜!あれサルヴァトーレのおっさんみたいにジュセッペの魂の欠片が入ってるべ。

 

 あんな気持ちわりぃ混沌ドMおじさんの片割れが込められてる首飾りなんかぶら下げたくねー!取り憑かれてドンマイな、チェリーニア!

 

「どいつもこいつも……虚仮にしおって……!」

 

「キモい装備だけどつえー効果あるんだからキレんなって。おばあちゃんになったときにそういう皺残るぞ?」

 

「うっわ、アッシュデリカシー無っ……」

 

 うひゃ〜!死は回避したけど身体ボロボロで痛え〜!『アーツ』も雑魚状態に戻ってら〜!あれだね、復活呪文ってHP1で蘇らせるじゃん。こういうことなのね。

 

 とりまベラ姉の仇討ちもできたし、チェリーニアも生きてるし、結果オーライですかね!さ、帰ろか〜?

 は?つーかベラ姉殺しておいて俺助けんのなんだあのドM混沌ジジイ。

 

 許せねぇ〜〜……『逆転』による供給(パス)の繋がりが消えてるから死んでるんだろうけど許せねぇ〜〜!やりたいことやって掻き乱した挙句満足して死んだあいつの一人勝ちやんけ。

 

「……で、帰らせてくれるんですかってハナシ。ミズ・シチリアおばあちゃんや」

 

 子供たちの擦った揉んだを終わるまで見守ってくれたのは謝謝茄子ですよ。でもその後のお片付けは手伝うわよ〜ってスタンスなんでしょうね。いつの間にか居るわ。

 

 敵意が感じね〜や。感じ取れないくらい実力がかけ離れてる。いーや!?俺が疲労困憊なだけだね!こんなBBAにも勝てるね俺は!!ごめん取り乱した。

 

「そうね、少しだけ条件を設けましょうか」




なにこれぇ……


テレレテッテレー!

*チェリーニア は サルヴァトーレの特大剣 と ジュセッペの首飾り を てにいれた !

この二つのアイテム、統合戦略で秘宝として出てきそうじゃないですか?サルヴァトーレは多分四大属性を演出するために損傷系統強める感じ、ジュセッペは防御無視orナラントゥヤとかイネスみたいに攻撃力と攻撃速度奪取系統になるのかな。

え、損傷系って今何個あるか数えてみよう。壊死損傷、灼熱損傷、神経損傷……あれ、一つ足ら……あっ

あ、この話で【テキサスの死】は終わりにしようよ?(投げかけ)そうしよう?
理由は俺がもう書けないから
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