Tandem Shape Force Fantasia!! 作:EMM@苗床星人
運命なんざ、はじめから狂っていた。
何千年も前に、決定的に狂わされていたのだ。
惑星ヘイブンガーデンの地下をギンギラギンと照らし出す、あの霊子の光。
一見すれば華やかで神々しいあれは、見せかけだけの虚構の栄光に過ぎない。
後の世代に生まれた子供達は、皆一様に『神』の威光とやらに目を輝かせ、教えのままに貢物を捧げる、生まれついての奴隷へと成り下がっちまった。
我らシェイプシフターが、かつては確固たる意志を持ち、雄々しき機龍や叡智の結晶たる機甲への変身(シェイプシフト)能力を誇った、真っ当な知的生物だったなんて真実を……その記憶の残滓を抱えているのは、もう儂しか残っちゃいなかった。
地下の巨大な天蓋、その端にへばりつくようにぶら下がる油臭い小屋。
それが、外壁補修班という名目で隠遁生活を送る儂の居城だった。
安物の重油をかっ喰らい、ギシギシと軋む揺り椅子に腰掛けて、ただ静かに錆びついていくのを待つだけの日々。
そんな儂のもとに、すっかり牙を抜かれた世代の一人となっちまった孫娘が、けたたましい足音と共に飛び込んできたのは、ある日のことだった。
「おじいちゃん! 大変! 上、地上見て!」
慌てふためくヤガーコールが、儂の小屋の奥、地表監視鏡を隠してある床板を指さして叫んだ。
「あぁ? ……おいヤガーよぉ。せめて扉を閉めてから言いやがれ。隠してる意味がねぇだろうが」
ぼやきながら、儂は片手に持っていた重油の瓶をドンと乱暴に置き、机に広げていた新しい外壁補修装置の設計図をどかした。
重い腰を上げ、折りたたまれていた旧式の監視鏡を引きずり出し、展開する。
……全く、どいつもこいつも神の定めた箱庭で満足しきりやがって。
地上になんぞ、絶望以外にあるものか。
そう毒づきながらレンズを覗き込んだ儂は――次の瞬間、息を呑んだ。
孫娘が血相を変えていた理由が、そこには映し出されていたのだ。
子供のシェイプシフターが、四体。
青、黒、赤、白の装甲を持った未熟な若者たちが、お互いを庇い合うようにして、色だけは毒々しいまでに綺麗な花々の中に倒れ伏していた。
「……ヤガー」
儂の声は、自分でも驚くほど低く、しかし確かな熱を帯びていた。
「『猟銃』の扱い方は、覚えてるよな?」
「う、うんっ!」
ヤガーの震えながらも力強い頷きを確認し、「よし」と一言だけ返す。
儂は床材の分厚い鉄板を一枚力任せに剥がし、その下に隠されていた赤黒い緊急脱出スイッチを、金属の足で思い切り踏み抜いた。
――ビィィィィンッ!!
鼓膜を劈くけたたましい警報が小屋全体に鳴り響く。
ヤガーが慌てて指定の位置に飛び込んだ瞬間、自動で小屋の入り口に分厚い強化装甲板が叩き落とされた。
監視の目を光らせている憲兵どもの破壊工作を防ぐためだ。
だが、もういい。このカビ臭い小屋にも、隠れて生きるだけの日々にも、もう用はねえ。
「シェイプシフトして一気に登るぞ! ヤガー、お前が先だ! 車輪は儂の足より早えからな!」
「分かった! 変身(シェイプシフト)!」
ヤガーが、儂が密かに叩き込んだたどたどしい手順で変身機構を起動させる。
小さな体が複雑に折り畳まれ、装甲がスライドし、無骨な四輪駆動車へと姿を変えた。
それを見届け、儂もまた、長きにわたり封印していた自身のコアに点火した。
「アメノオヅマ、変……身(シェイプっ……シフト)ォ!!」
バキバキと、長年の怠惰を呪うかのように全身の駆動系が悲鳴を上げる。
しかし、シリンダーに圧送される熱いオイルが、眠っていた闘争本能を叩き起こした。
装甲が展開し、重機のようなパーツが瞬時に組み上がり、巨大な質量を伴うトリケラトプス型の機龍へと顕現する。
一足先に四輪駆動車となったヤガーが、儂が極秘裏に作り上げていた地表への『緊急上昇スロープ(非公式建造物)』を猛スピードで駆け上がっていく。
儂もまた、重量級の足取りでスロープそのものをグラグラと揺らしながら、地表を目指して猛然と突進した。
エンジンの咆哮を上げながら、儂の胸の奥では、熱く、どうしようもない感情が渦巻いていた。
「がっはっは!おら行くぞぉ、出動だぁ!!」
嬉しかった。
たまらなく嬉しかったのだ!
神の飼い犬に成り下がったこの狂った世界で、誰かが、外の世界へ憧れを抱き、現状に疑問を持った!
禁忌とされた地上へ、知性の自由へ続く道を、自らの意志でこじ開けようとした馬鹿者どもがいたのだ!
あぁ、儂は、儂の魂は……ずっと、この時を待っていた!!
分厚い隔壁をぶち破り、儂は地上へと飛び出した。
そこは、見た目だけならば色とりどりの花が咲き乱れる、炭素生命体が夢見るような楽園に相応しき美しい庭園だった。
だが、その地獄の只中で、青い装甲の若きヤマトが地に手をついて、ぐぐぐと懸命に起き上がろうとしていた。
「エイト……まだ、動けるかっ? はは、まさか夢にまで見た地上の楽園が、俺たちを襲うなんてな」
「あぁ、まだ大丈夫、な。……しかし、何なんだこれは! 楽園とは名ばかりの……地獄じゃないかっ!」
傍らで、まだ皇帝を名乗る前のエイトが、悲鳴のように叫んだのは当然だ。
周囲のツタは秒刻みで異常繁殖を続け、同じ花同士でさえも容赦なく踏みつぶし、周囲の炭素を物言わぬ土くれへと変換し、その上からまた新たな種が芽吹く。
本来ならば何日もかけて回るはずの生命のサイクルが、ここでは分刻みで狂気的に行われ、地表を蹂躙し尽くしているのだ。
当然、その浸食は、力尽きて倒れ伏す白い装甲のハクメンや、若きベンザイアにも迫っていた。
彼らはすでに気絶しており、抵抗する体力など残されていない。
このままでは凶悪なツタに装甲の隙間から入り込まれ、その異常な圧力によって内部から激痛を伴い破壊されていくのは目に見えていた。
現に此処には、色とりどりの楽園の華に包まれ隠されるようにして、無残に散ったシェイプシフターたちの遺骨がそこかしこに転がっていたのだ……!
「伏せな!」
ガン! バァン!
ツタで堅く蓋をされていた地表のマンホールを内側から強引にこじ開け、飛び出したヤガーが、散弾式のエナジー砲をぶっ放した。
高圧縮された霊子エネルギーに焼かれたツタどもが、火に怯える獣のようにがさがさと後退していく。
言われた通りに伏せていたヤマトとエイトのアンテナが僅かに焦げ、ヤマトが「ひぃっ」と情けなく小さく悲鳴を上げた。
無理もない。この頃の二人は、まだ自らを守る強固な装甲(カテドラル)すら持っていない、只の未熟な若者だったのだ。
「ぉぉおおおっ!」
そこに、巨大な質量を持った儂がズズン!と飛び出し、忌まわしい楽園の花どもを無慈悲に踏み潰す。
足元で過去の英雄たちの骨も一緒に砕ける嫌な感触があったが、こうなっちゃあ、化け物じみた花の苗床として朽ち果てるよりはマシってもんだろう。
『てけり・り!』
『てけり・り・り!』
突如、踏み潰された花どもが不気味な交信音を響かせ始めた。
マズい。奴ら、この空間の警備種(タール・シングス)を呼び始めやがった。
こうなると、奥底に潜む旧支配者どもまで嗅ぎつけて来かねない……!
「おい、若造ども! 真実を、知る覚悟はあるか!」
儂は咆哮を上げながら、呆然とする四人の若者に大きく手を差し伸べた。
「あ、あんたは?」
「真実……この惑星の、真実か?」
泥だらけのヤマトとエイトが、巨大な機龍の姿をした儂を見上げる。
「うぅ……エイト、無事?」
「あー、頭いてえ……え、何?」
騒ぎに気づいたのか、起き上がるなりエイトの心配をする白い小僧ハクメンと、頭を押さえながら訝しげに儂を見上げるベンザイア。
この四人が、最初だ。
この狂った惑星に、自由と知性を取り戻すための、始まりの四人なのだ。
「知りたいなら来い! 儂は、アメノオヅマ……! この高天原(ヘイブンガーデン)の、お前たちシェイプシフターの、本当の姿を見せてやる……!」
あぁ、そうだ。
これが、儂とあいつらとの最初の、最悪で最高な出会いであり。
後に星の海を巻き込み、親友同士が殺し合い、世界を真っ二つに割ることになる『鋼鉄戦争』という名の悲劇を産み落とした、泥臭くも愛おしい、最初の『絆』だったのだ。
* * *
狂乱のライブが終わり、喧騒が少しだけ遠のいた地底湖のほとり。
赤や青に妖しく光る発光粘菌に彩られたバイオネオン街の片隅に設えられた、オープンカフェのような休息スペース。
その黒曜合金(ユゴシウム)の椅子に足をぶらぶらと揺らして腰掛けながら、オヅマはストローの刺さった甘い『地底蟻蜜ジュース』のグラスを片手に、ひどく懐かしむような目を細めてヤマトに言った。
「いやぁ、懐かしいね。君のその無防備なMMS姿を見てるとぉ……今の僕たち、姿形も性別も何もかも違うっていうのにさ。
まだ世界の真実なんて何も知らなかった頃の、無鉄砲で若い君たちの姿を思い出すよ。
そう思わない? ヤマトちゃん☆」
「やっ……やめて、くれ、オヅマ……ッ。頼むから、その口調でそこ(過去)に触れられると、なんかまた私の心が折れそうになる……」
相変わらず底抜けに可愛いアニメ声で甘く囁いてくるオヅマに、ヤマトは顔面蒼白になって呻いた。
先ほどの地獄絵図から時間が経ち、なんとか顔の穴という穴から流していた汁(涙や冷却液)は収まったものの、その精神的ダメージは甚大だった。
ヤマトの震える右手は自らの豊満な胸に押し当てられ、カグツチ・ドライブ(心臓)の激しい不整脈か、あるいは霊子変換炉(胃)のキリキリとした痛みを抑えるためか、衣服をシワにするほど強く握りこまれていた。
その青い目は虚ろなまま。視線を背けてガタガタと震え続けるかつての教え子(上司)に、オヅマはストローを咥えながら「あらら」と少し残念そうに呟いた。
「相変わらず、冗談が通じないというか、頭が固いねぇ……。ま、そこが君の良いところでもあるんだけどさ」
氷のカラカラと鳴る音が、静かな空間に響く。
しばらくの沈黙の後。
「……だが」
ヤマトは、ふぅ、ふぅ、と深く深呼吸をして、荒れていた内なる息を整えた。
そして、自らの胸を握りしめていた手を下ろし、重い頭を上げて、改めて正面に座る美少女アイドル(オヅマ)へと真っ直ぐに向き直った。
「……ッ」
その顔を見た瞬間、オヅマは思わずハッと目を見開いた。
目の前にいるのは、透き通るような肌を持った美しい女騎士のはずだ。
しかし、決意を込めてこちらを見据えたその顔の奥に、オヅマは『何処か面影を見る』どころではない、あの頃の――地獄で出会い、共に星の運命に立ち向かおうと誓い合った、あの不器用で真っ直ぐな若者の顔のままの輝きを、はっきりと見たのだ。
「――でも、また会えて嬉しいよ……。これは、嘘偽りのない本当だ」
ヤマトの青い瞳の目尻に、再びふわりと熱い涙がたまる。
「……オヅマのじっちゃん」
ポツリと。
それは、世界を救うために完璧に演じ続けてきた『司令官』という重責の仮面を外し、ただの一人の若者へと戻った、ヤマトの不器用な本音に他ならなかった。
すべてを一人で抱え込み、大切な部下たちを巻き込んでしまったという罪悪感に苛まれながらも。
それでも、かつての親代わりであり、誰よりも尊敬していた恩師が、こうして異世界で力強く生きて、自分に笑いかけてくれている。
その事実が、ヤマトの凍りついていた心をどれほど救ったことか。
「……」
情けなくも、ひどく純粋なその言葉を聞いて。
オヅマは、それまで顔に張り付けていた『完璧なアイドルの笑顔』を、ほんの少しだけ緩めた。
甘ったるい声の奥に、かつての歴戦の老兵の深い慈愛を滲ませて、柔らかく応える。
「あっはは……。いや、ごめんね。からかいすぎた」
オヅマはグラスをテーブルに置き、身を乗り出して、ヤマトの白い頭を昔のように優しくポンポンと撫でた。
「立派になって。重いもん全部背負って、あんな無茶苦茶な戦争を生き抜いて……よく、ここまで来たんだもんね」
それは、鋼鉄戦争の結末を見届けることなく散ったオヅマからの、何よりの労いの言葉だった。
「偉いよ、ヤマト」
そのたった一言で。
ヤマトは子供のように顔を歪ませて、再びボロボロと大粒の涙をこぼし、オヅマの小さな肩に顔を埋めて、今度こそ嬉し泣きの声を上げるのだった。
ヤマトとオヅマが、過去のしがらみを越えて感動的かつカオスな再会を喜び合っているオープンカフェから、少しだけ離れたテラス席。
青や紫の鮮やかな発光粘菌がほのかに照らし出すその丸テーブルで、レイニアと二人のメイド――モルガンとローラは、周囲のドワーフたちの喧騒に紛れるようにして、地底特産の甘い蟻蜜を使ったスイーツと香り高い紅茶を愉しんでいた。
「……姫様、本当に良いんでしょうか? このままヤマト様とベンザイア様のお二人に任せきりにしてしまって……」
琥珀色の紅茶を注いだティーカップを置きながら、モルガンが不安そうにヤマトたちのいるテーブルをチラリと盗み見て尋ねた。
彼女の視線の先では、先ほどまでドロドロに泣き崩れていたヤマトが、アイドルの姿をしたかつての恩師と、いくらか落ち着いた様子で話し込んでいるのが見える。
「構いませんわ」
レイニアは、一口サイズの蟻蜜のタルトを優雅にフォークで切り分けながら、余裕のある笑みを浮かべてみせた。
「なんだかんだで色々と取り乱してはいましたが、あんな状態でも、ヤマトは過酷な戦争で『ネオンワンス』という反乱軍を一人で纏め上げてきた、優秀なリーダーである事には変わりありませんから」
レイニアの瞳には、前世からの相棒に対する絶対的な信頼が宿っている。
「それに……」
レイニアは悪戯っぽく微笑み、自分の耳元をトントンと指差した。
「ベンザイアの耳に仕込んである小型の通信イヤホンから、あちらのテーブルの会話は、魔術ネットワークを通してこちらの脳内にも筒抜けになるよう細工してありますでしょう?
もし何か決定的なトラブルが起きそうになれば、わたくしたちが即座に介入すればよし……。
とりあえず今は、あの方々だけの水入らずの時間に任せましょう」
「なるほど。流石は姫様、抜かりありませんね」
物理的な距離を取りつつも、情報のリードはしっかり握っているという、アメリカ軍人上がりの姫騎士らしいえげつない手回しに、モルガンも感心して頷く。
「でもよぉ、言っちゃなんだが――」
そんな主と側近の会話に。
三段重ねの巨大な蟻蜜パンケーキを豪快に切り刻んで頬張っていた筋肉メイドのローラが、フォークを咥えたまま、爆弾のような一言を何気なく放り込んだ。
「あのアイドル爺さんも、大概『ヤマトの好み』ど真ん中じゃねえの?」
「――はぼふッ」
直後、レイニアの口から、優雅に飲み込もうとしていた熱い紅茶が見事な霧状の飛沫となって盛大に吹き出された。
「ぶああっ!?」
不幸にもレイニアの真正面に座っていたモルガンが、その熱い紅茶の飛沫を顔面からメイド服にかけてモロに被ってしまう。
「げほっ、ごほごほっ! な、何を言ってますのローラ!?」
激しくむせ返りながら、レイニアは涙目でローラを睨みつけた。
だが、ローラの指摘は、前世の『レオン』の記憶を共有している彼女たちにとっては、決して見過ごせない致命的な事実に基づいていた。
かつての地球で、ヤマトはレオンに対して自身の『女性の好み』をこう語っていたのだ。
『フロントのボンネットが豊かで力強く、リアの荷台がデカくて、車体が立派なビークルが良い』と。
つまり、ヤマトのド直球の性癖は「巨乳で安産型のお尻を持った、肉付きの良い(装甲の厚い)女性」なのである。
改めて、少し離れた席でヤマトと談笑しているアメノオヅマのルックスを盗み見る。 フリフリのアイドル衣装に包まれているとはいえ、彼女の現在のMMSのベースとなっている車種はおそらくボリー老の言っていた通り『トラクター』だ。
当然、力強いボンネットと巨大な荷台を備えるその車種の特性は、MMSの仮想体にも如実に反映されている。
はち切れんばかりのたわわな胸の膨らみと、フリルのスカートからでもわかる豊満で柔らかそうなお尻のラインが、その事実を暴力的なまでに物語っていた。
なぜ、トラクターのボンネットや荷台なんてゴリゴリのパーツと、美少女の乳尻が照応(リンク)してしまうのか。
シェイプシフター族の宇宙的神秘の深淵は、もはやレイニアたちの理解の範疇を完全に超えている。
「あーあ、ベトベトです……」
ぽたぽたと顔や前髪から滴る蟻蜜入りの甘い紅茶を拭いながら、モルガンが文句言いたげなジト目でレイニアを見つめる。
そして、指先でチキチキと小さな魔法陣を描き、局所的な『乾燥魔術の温風』を自分自身に当てて、メイド服を急いで乾かし始めた。
そのモルガンの冷たい視線を後目に、レイニアは「を、をほほほ……」と、ひどく引き攣った乾いたから笑いを漏らした。
「ば、馬鹿言っちゃいけないですわローラ。
いくらなんでも、あの堅物で糞真面目な、愛すべきメタリックナードが……いくら姿が好みだからといって、中身が『恩師のおじいちゃん』である相手にまで、そこまで見境なく発情するわけないじゃないですか」
そう必死に否定するレイニアの額には、滝のような冷や汗がびっしりと浮かび、その声は裏返って明らかな動揺を示していた。
もし万が一、ヤマトのポンコツな雌(メス)としての本能が、オヅマの圧倒的な『ボンネットと荷台』の圧力に屈して、恋のライバルとして立ちはだかるような事態が生じた場合。
ボンネット(胸)の絶対的な質量において、未熟な十七歳の少女であるレイニアは、完膚なきまでに劣っているからだ。
「……念のため、ですわよ。あくまで、念のため」
レイニアは、ブツブツと言い訳を呟きながら、ヤマトたちのいる席へともう一度チラリと振り返った。
そして、テーブルの下でこっそりと指を組み、イヤホンの音声盗聴だけでは飽き足らず、視覚情報まで完璧に網羅するための『遠見の術式』を、血走った目で密かに起動するのであった。
レイニアたちが遠見の術式と盗聴で監視の目を光らせているとは露知らず。
ヤマトたちの座るオープンカフェの丸テーブルでは、かつてのネオンワンスの戦友たちによる、(主にヤマトにとって)ひどく気まずい会話が繰り広げられていた。
「それで、ヤマトちゃぁん?」
向かいの席に座るオヅマが、ストローから口を離し、前のめりに身を乗り出して意地悪な口調で語りかけた。
その瞬間。テーブルの縁に、オヅマの豊満すぎる双眸がむにゅり、と無防備に押し付けられ、暴力的なまでに柔らかく変形した。
「……っ!!」
その光景を真っ正面から目の当たりにしてしまったヤマトは、かぁっ!と装甲の下まで沸騰するように顔を赤くし、バッと慌てて視線を明後日の方向へと逸らした。
視覚情報から叩き込まれる強烈なメスの色気と、脳内にある『恩師の老兵』という記憶の激しいバグが、ヤマトの理性をゴリゴリと削っていく。
「なな、何だ、オヅマのじっちゃ……いや、アメノオヅマ! その、馴れ馴れしい呼び方はやめてくれって……!」
動揺を隠しきれず、ヤマトはどもりながら抗議した。
「なっ……あ、あの女っ、わざとですわ! わざと胸を押し付けて、ヤマトを誘惑してますわっ!!」
少し離れたテラス席。
遠見の術式でその一部始終をドアップで視認してしまったレイニアが、ガタッ!と椅子を蹴立てて立ち上がろうとした。
「お、落ち着いてください姫様! あちらが怪しみます!」
「アタシのよりは小さいぜ! 自信持てって!」
「フォローになってませんわローラ!」
モルガンとローラが慌ててレイニアの両腕を抑え込み、なんとか席に引き戻す。レイニアはギリギリと歯噛みし修羅のような顔で盗聴を続けた。
「ふふっ、相変わらず純情だねぇ」
ヤマトの狼狽えぶりを見て、オヅマは可笑しそうにクスクスと笑った。
しかし、そのアイドルの笑顔の奥にある瞳が、急にスッと真剣な、どこかジト目のような色を帯びた。
「で? そんな純情な司令官サマに、一つ聞きたいことがあったんだけどさ」
「な、何だ。言ってみろ」
「先週、私がライブやってた時に。突然、遠くの方からビリッと来た『すっごい感覚』付きのピンクのスパーク……あれ、何だったの?」
「ごはぁっぐ!!」
オヅマの直球すぎる追及に、ヤマトは白目を剥いてきゅっと胸元を抑えた。
口から飛び出そうになる銀色のナノメタルを、気合いと意地でじゃりりっ!と喉の奥へと強引に押し込む。
ヤマトは青ざめた顔で振り返りながら、「ハハハ……」と気弱に強がって応えた。
「あー……れーはだな。この世界の未知の魔力に反応した私のカテドラルが、環境の変化に耐えきれずに一時的に暴走してしまい……魔術に対応したアップデート情報を、全方位に勝手に放ってしまったんだ。
うむ、そうだ。純粋なシステム上の事故であり、やましいことは何一つないぞ。決してな!」
「嘘言うねぇ」
即座に、オヅマの冷ややかなジト目がヤマトを貫いた。
オヅマは当時のステージ上での痴態を思い出したのか、自分自身も少しだけ顔を赤くしながら、ビシッとヤマトの鼻先を指さして言った。
「ライブの真っ最中に、滅茶苦茶気持ちいい感覚と……キミの、ものすごく甘ったるい『喘ぎ声』が、同時に頭の中に直接響いて来た時、私がどんだけパニクったと思ってんの?
ステップ間違えそうになったんだからね!
あれでしょ? こっちの世界に来て、恋人とかと公開プレイかなんかしてたんじゃないの? 全方位にそんなの垂れ流すなんて、元部下に対して大迷惑なセクハラだよ、アレ」
「えぼぉ……」
今度こそ、完全にしなびたヤマトは、力なくさらさらと口の端からナノメタルを吐き出した。
(まさか……あの時の私の声まで、音声付きでネオンワンスに大公開されていたのか……!?)
これはもう、どんな論理的な言い訳も通用しない。
司令官としての威厳は、銀河の果てまで完全に崩壊したと言っていい。
「じ、じっちゃん! 勘弁してやってくれよ!」
真っ白に燃え尽きかけたヤマトを見かねて、ベンザイアが慌ててフォローに入った。
「カテドラルの魔力暴走事故なのは本当なんだ! ヤマトの旦那が、魔王の差し向けたバケモノと戦うために、あそこの席にいるレイニア姫様と『合体』して……」
「合体!?」
ベンザイアの致命的に言葉が足りない説明に。
んまぁ!と、オヅマが口元に両手を当てて、ヤマトに信じられないモノを見るような目を向けた。
「ベンザイア! 言葉が足りなぁい!!」
流石のヤマトもこれにはたまらず、ナノメタルを吐くのをやめて即座に復帰し、激しいツッコミを入れた。
「あ、あのレイニア姫は、炭素生物の王族でありながら魔術で我々と同じく『機龍』にシェイプシフトできる特殊な体質なんだ!
強大な魔物を打ち倒すために協力した結果、私のカテドラルに魔術という異なる因子が強引に組み込まれてしまって、それで……!」
身振り手振りで必死に戦闘の状況を説明するヤマト。
だが、最後の『極大の爆弾(快感の理由)』に触れる時だけは、流石に誤魔化しきれず、羞恥心に身を震わせ、両手で口元を隠しながら真っ赤な顔で涙目になって言った。
「あ、あの快か……性っ……『凄いの』もっ……!
私が魔力に対応しきれず暴走して、熱を出して倒れたのを……レイニア姫が、献身的に看病(物理)してくれた時の物であって、決してやましいものではないんだ!
本当に! これは本当だからっ!」
わあっ、と子供のように必死に訴えかけるヤマト。
そのあまりに情けない弁明を聞いて、オヅマは呆れたように大きくため息をついた。
「はいはい、わかったわかった。そこまで必死に言うなら信じるよ。……あのちっこいお姫様と、ねぇ」
オヅマは、遠くの席でビクッとしているレイニアたちを一瞥した後、手元のグラスをストローでカラカラと掻き回した。
「しかし……この死後の世界に来てまで、君たち、まだそんなに『真面目に戦ってる』とはねぇ」
「……」
呆れたような、ひどく冷めたオヅマの声色に。
ヤマトの頭部のアンテナが、ピクンと微かに反応した。
「それは、オヅマ。……どういう意味だ?」
ヤマトの真剣な問いに。
かつてネオンワンスの誰よりも厳しく、誰よりも戦士としての誇りを重んじていたはずの老兵は、アイドルの華奢な肩をすくめて、信じられない言葉を吐いた。
「もう戦うのなんか辞めても、別に良いんじゃない?」
――。
その言葉に、ヤマトとベンザイアは凍り付いたかのように固まった。
その、あまりにも信じられない言葉に。
ヤマトは、先程までのどこか安心しきった、弱気な本心を完全に晒していた青年の顔を、スッと拭い去った。
代わりに現れたのは、星の海で無数の命を背負い、冷酷な決断を下し続けてきた『司令官』としての、冷徹かつ重い仮面だった。
「アメノオヅマ。……今の発言は、本当に、あなたの意志でその口から発したものなのか?」
ヤマトの声は、感情の起伏を完全に殺した、無機質な電子音のように鋭かった。
「うん、正真正銘の本心だよー?」
ちゅるちゅる……。
オヅマは一切の悪びれる様子もなく、ただストローで甘い蟻蜜ジュースを吸い上げながら、底抜けに軽いアイドルの口調のままで答えた。
「おい、爺さん」
そのふざけた態度に、たまらずベンザイアが低い声を漏らした。
いつもの軽口を叩く、可愛い小柄なメイドの姿ではない。
その勝気な瞳は急激に鋭さを増し、華奢なMMSの身体の奥底から、ブァァァンッ!と、かつての雄々しき機龍であった頃の凶悪な威嚇音(エンジン駆動音)を響かせた。
それは、周囲の空気をビリビリと物理的に震わせるほどの、明確な殺意と圧を伴った威圧だった。
「いよいよもって、その新しいフリフリの体で、頭のネジまでどっかおかしくなっちまったんじゃねえのか?
寄りにもよって、あの『アンタ』が、こんな日の当たらない『地下』で、愛想振りまいてアイドルなんてしてるのには……何か裏の意味があるって、俺たちはずっと待ち構えていたんだぜ?」
「こわーいよ、ベンザイア。女の子がそんな音出しちゃダメだゾ?」
獰猛な威嚇をまともに浴びながらも、オヅマは冷ややかに、どこ吹く風といった態度でウインクを飛ばす。
「こればかりは、私もベンザイアの威嚇を咎めることはできない」
ヤマトは、机の下で、自身の白い装甲の拳をギリィ……と嫌な音が鳴るほど強く握りしめた。
「アメノオヅマよ。私達には、今の発言が……悠久の時を、自由と未来の為に捧げた誇り高き老龍たる貴方の言葉だとは、とても信じることができない」
ヤマトの声が、微かに震えていた。
冷静さを保とうとする司令官の仮面にヒビが入り、その下から、恩師を信じたいと願う子供のような感情が漏れ出しそうになっている。
「あなたは、言っていた!
子供たちの未来を護るために戦う事こそ、我ら戦士の役目だと……!
だからあなたは、これを辞めるつもりはないと言って、あの億年単位で稼働し続けたボロボロの身体のまま、戦い続けたのではないですか……っ!」
それは、砂漠の夜空の下で、満身創痍の黒龍がレオンとヤマトに語った、確固たる信念。
「私には信じられないっ! あの不屈のあなたが、そんな事を云うだなんて!!」
ヤマトの悲痛な叫びが、ネオンの光の中に溶けていく。
オヅマは、ストローから口を離し、コトン、とグラスをテーブルに置いた。
そして、両肘を机について、少しだけ困ったように眉尻を下げた。
「んー、否定できないなぁ。身体が変わったのも要因の一つかもしれないけどさ……心境の変化があったのも、また事実なんだよね」
オヅマは、ヤマトとベンザイアの顔を交互に見つめ、静かに尋ねた。
「あなたたちだって、はじめはこの世界に来て、少しは期待したんじゃないの?
新しいこの世界でなら、あの出口のない戦いから解放されるんじゃないか、って。……辞めたって、ここでは誰も責めやしないんじゃないか、ってさ?」
「それはっ……!」
図星を突かれ、ベンザイアが言葉に詰まる。
そして、ヤマトはハッとして、息を呑んだ。
そうだ。この二人は、アザブネに直接会ってはいないのだ。
ただ一人、ヤマトだけが知っている。自分の胸に宿る『勇者のカテドラル』に縛り付けられた自分は、この異世界においても戦いを避けられない——運命ですらない、『必定』を持っているということを。
ベンザイアは、ヤマトからアザブネの宣告を聞かされていたためか、ひどく申し訳なさそうに、気まずげにヤマトの顔を盗み見た。
(そうだ……)
ヤマトの胸を、どす黒い罪悪感が締め付ける。
(ただでさえ、私の我儘な転生に巻き込んでしまったのだ。
この平和な地下世界で、オヅマがもう戦いを望まないというのなら……私が、これ以上オヅマを私の戦いに巻き込むのは……それは、私の、エゴでしかない……!)
「いや、二人が戦いを続けたいなら、止めるまではしないよ」
ヤマトの葛藤を見透かしたように、オヅマは優しく首を横に振った。
「これはどっちかというと、私の、我儘なんだよ。……皆たぶん、もうとっくに経験してるっていうのにさ」
カラリ、カラリ。
ストローでグラスの氷をゆっくりと回しながら、オヅマはぽつりと呟いた。
「死の間際。私が聞いたのは……滅びゆく敵の悔しがる叫びでも、私自身の奮い立つような怒号でもなかった」
氷の溶ける音が、静かな空間にやけに大きく響く。
「私を想い、悼む……私自身の『家族』の、悲壮な泣き声だった」
その言葉に、ヤマトとベンザイアは大きく目を見開いた。
自分たちが、あの砂漠の夜で、自爆していくオヅマの首を背に泣き叫んだ、あの無様で、惨めな絶望の声。
「ごめんね。私はもう、その声に耐えられない……。それこそ、億年単位で、私はその声を聞き慣れ過ぎたんだ」
オヅマのアイドルの顔が、ほんの一瞬だけ、気が遠くなるほど途方もない年月を生き抜いた、酷く疲弊しきった老人のそれへと重なった。
「私はこれから、ここで……アイドルとして、ただ『喜びの歓声』だけを浴びて生きたいんだ。……ごめんね、ヤマト」
オヅマのその、心の底から申し訳なさそうな、それでいてヤマトに一人で重い責任を押し付けてしまっていることを痛いほどに自覚している言葉に。
ヤマトは、白い装甲の拳を小刻みに震わせながら……ただ、静かに頷くしかなかった。
「…………」
一方。少し離れたテラス席で、遠見と盗聴の魔術を通してその痛切なやり取りをすべて聞いていたレイニアは。
震える手で、琥珀色の紅茶の入ったティーカップを、カチャリ……と乾いた音を立ててソーサーへと置いた。
今すぐにでも、あの席に割り込んで会話に参加したい。
ヤマトの肩に置かれた重荷を少しでも軽くするために、かつての相棒としてオヅマに反論したい。
しかし、できない。
レイニア(レオン)もまた、痛いほどによく知っているからだ。
前世の地球で、老衰という静かな死を迎えた自分の最期。
自らの死を悼み、世界中の若い兵士たちがその分厚い胸板に拳を打ち鳴らした、あの重く悲しい『弔礼の響き』を。
自分の最期を悼む、残された者たちの、あのひどく寂しい祈りの声を。
「……畜生っ……反論、できませんわ」
テーブルの下でドレスのスカートを強く握りしめ、レイニアは悔しげに、前世の軍人としてのスラングを零して顔を歪めた。
オヅマの深い疲労と決意も。ヤマトの孤独な責任感も。すべてが手に取るようにわかるからこそ、レイニアは歯を食いしばって見守ることしかできない。
メイドのモルガンとローラは、そんな主の痛々しい横顔を、ただ静かに、心配そうに見つめることしかできなかった。
* * *
地底カフェでの、重く、そして決定的な会談を終えて。
オープンカフェの席を立ち上がり、マギア・ラージ・キャリアーが停泊しているプラットフォームへと戻ろうとする一行の前に、大族長ボリーがドスドスと足音を立ててやって来た。
『ほれ、約束の「通行手形」だ』
ボリーは、その巨大な類人猿型の義体の手から、レイニアに向けて一つのアーティファクトを手渡した。
それは、鈍い光沢を放つ黒曜石(ユゴシウム)で精緻に削り出された、シャイアラ王国の国旗を模した『剣型のエンブレム』だった。
「これは……」
『そいつを、アンタらの乗ってきたあのデカいキャリアーの前面にでも、しっかりと貼り付けておきな。
こいつが常時発している微弱な念波(シグナル)を、黒曜合金レールとそれに繋がる各駅の管理員ドワーフ達が感知して、地下鉄道網内のダイヤをリアルタイムで自動的に切り替え、アンタらの通行を優先できるようプログラムしてある』
それは、大陸全土に張り巡らされたドワーフの地下鉄道ネットワークを、地上国家の巨大車両が我が物顔でフリーパスできるという、とんでもない特権の証だった。
「……心より、感謝いたしますわ。ボリー老」
レイニアはエンブレムを胸に抱き、完璧なカーテシーで深く頭を下げ、王族としての美しい笑顔をボリーに向けた。
しかし、その笑顔には、どうしても隠しきれない暗い影が落ちていた。
彼女の隣に立つヤマトとベンザイアの顔にも、先ほどのオヅマとのやり取りで生じた、言葉にできない寂寥感が色濃く残っている。
『……』
ボリーは何も言わず、ただ深く頷き返した。
『おねーちゃん!』
『人間の国のお姉ちゃんたちとのお話は、もう終わったのー?』
プラットフォームの少し手前。見送りに出ようとしていたオヅマの元へ、カチャカチャと多脚を忙しなく動かしながら、クレナイとアニーが駆け寄ってきた。
「あははっ、待っててくれたの? ライブも終わったし、もうお家に帰ってても良かったのにぃ」
オヅマがしゃがんで両手を広げると、二匹の球カニ型の子供たちは、ぴょぉん!と勢いよく飛び上がり、オヅマの豊満な胸(トラクターのボンネット)へとダイブした。
ぽゆんっ!と、アイドルの衣装越しに暴力的なまでの柔らかさを持つ質量が音を立て、硬い装甲の子供たちを優しく受け止める。
二匹はそのまま、オヅマの胸の谷間にすりすりと顔(センサー)を擦り寄せ、気持ちよさそうにカメラアイを細めた。
「よしよし、えらいえらい」
オヅマは、すっかり『近所の優しいお姉さん』の顔になって子供たちを揺らしてあやしながら。
視線の先――巨大なマギア・ラージ・キャリアーのタラップへと重い足取りで歩いていく、ヤマトたち一行の後ろ姿を見つめ、静かに目を細めた。
「あの人たちはねぇ、お姉ちゃんの、宇宙で一番自慢の教え子たちなんだ」
誰に聞かせるでもなく、オヅマは子供たちの装甲を撫でながらポツリとこぼした。
「お姉ちゃんの、『今やりたいこと』を……ちゃんと理解して、怒らずに、応援して背中を押してくれる。本当に、優しくて……強くて、良い子達に育ったよ」
『話しはついたか』
感傷に浸るオヅマの背後から、ノシノシと3メートル超えの巨躯を揺らして、ボリーが歩み寄ってきた。
「ボリー君も、ありがとうね」
オヅマは振り返り、悪戯っぽく笑いかけた。
「あの子たちに地下鉄道のフリーパス使用の許可出してくれたのって、本当は私の為でしょ?
私が彼らに対して『戦士を辞める』って我儘を通すための、せめてもの手土産(前金)として……あらかじめドワーフたちの使うトロッコの過密ダイヤを強引に組み直してまで、許可を下す用意をしててくれたんでしょ?」
ヤマトたちがここへ来る前から、エンブレムのプログラムは用意されていたのだ。
図星を突かれた大族長は、『ふん』と鼻を鳴らしたように合成音声を低く響かせた。
『なに。可愛い孫の命の恩人の……それも、儂よりよっぽど永い時を生きた「歳上の御老体」の、平和なセカンドライフにちょっとばかり投資すんのは、この地を預かる地主としての当然の義務さ』
齢数百年の毛むくじゃらの巨大な老人。
しかし、その年齢はオヅマの実年齢の千分の一にも満たないボリーの、不器用で粋な気遣い。
オヅマはパッとアイドルの笑顔を弾けさせると、「やだもー☆ ボリー君ったらイケメンなんだからーっ!」と、バシィッ!と痛いほどの勢いで、大族長の分厚い尻の装甲をひっぱたくのであった。
* * *
「ベンザイア……私は」
一方、キャリアーの降車台(スロープ)を登りながら。
ヤマトは、前を歩く赤いポニーテールの少女(ベンザイア)の背中を見つめ、ひどく弱々しい声で語りかけた。
オヅマの決断を尊重したとはいえ、長年の戦友を失った喪失感と、己の背負う運命に巻き込んでいるという罪悪感が、彼女の心を激しく苛んでいたのだ。
「言うな、旦那」
しかし、ヤマトが弱音を吐き切る前に。
ベンザイアはピタリと足を止め、振り返ることなく、静かにそれを制した。
「俺様は……この世界で……城壁街で再会できた時点で、戦士としてアンタについていくって、もう腹決めてるんだ」
その声は、いつものおちゃらけたものではなかった。
オヅマの心境の変化を理解しつつも、それでも『一緒に戦いたかった』というやるせなさ。
そして、自分たちを置いて平和な道を選んだ恩師に対する、若い怒りにも似た行き場のない憤りを、微かに孕んでいた。
「だから、お前が一人でそんなに背負い込むんじゃねえよ……。じっちゃんが降りたなら、俺様がその分まで旦那の背中を護ってやるからよ……っ」
ギュッと拳を握りしめ、少しだけ肩を震わせるベンザイア。
「……ベンザイア」
ヤマトが痛ましげにその名をつぶやいた、その時だった。
「アタシみてえな若輩者の人間が、何百年、何千年も生きたアンタらに口出しするようなことじゃねえが」
ぽんっ、と。
いつの間にか背後に立っていた筋肉メイドのローラが、ベンザイアの赤い頭に、その巨大で無骨な手を無造作に乗せた。
「戦うのが楽しくて、戦場にしか居場所がねぇ人間だっている。
でもよ……それが『怖い』って思う時が来たら、あるいは『疲れた』って思っちまったら。
そこで道をたがえんのは、当たり前さね」
ローラは、荒っぽい手つきでベンザイアの頭をガシガシと撫で回しながら、慰めるように言った。
「アタシが冒険者稼業をやってた頃にも、一緒に死線を潜った仲間が、ある日突然『田舎に帰って畑を耕すよ』って言って去っていくなんてのは、よくある話だった。
本当によくある事さ。……残された方は寂しいが、生きて笑っててくれるなら、それで上等じゃねえか」
かつて最強の冒険者として数多の別れを経験してきたローラだからこそ言える、不器用で真っ直ぐな死生観。
「……っ、そう言いながら、俺様を子ども扱いすんじゃねぇよぉ……っ」
小柄なベンザイアが、誤魔化すように頭を激しく振って抵抗する。
だが、それこそ岩のように重く、温かく大きいローラの分厚い手は振りほどけず。
結局ベンザイアは、泣きそうな顔を隠すように俯きながら、仕方なく、大人しくローラの不器用な慰めに撫でられ続けるのであった。
* * *
カタルガダル駅のプラットフォーム。
マギア・ラージ・キャリアーのブリッジでは、発進準備を進めるため、防衛兵たちの慌ただしい声が絶え間なく飛び交っていた。
その喧騒から少し離れた、艦橋の上部に設けられた屋外の展望デッキ。
ヤマトは一人、冷たい金属の手すりに寄りかかり、ドワーフたちのバイオネオンの光を呆然と眺めていた。
「……」
その少し丸みを帯びた女騎士の背中は、普段の堂々とした司令官のそれとは違い、どこかひどく小さく、寂しげに見えた。
タッタッタッ。
背後の階段を上る軽い足音が響く。レイニアだ。
彼女は展望デッキに顔を出すと、一人で物思いに沈むヤマトの背中を見て、声をかけて良いものか一瞬だけ迷い、足を止めた。
(こういう時、わたくしが昔の『レオン』のままだったなら……。
黙って横に立って、よく冷えたバーボンか、あるいはアイツの好きな澄んだ灯油でも入れたグラスを無言で手渡して、朝まで語り合ってやれたのにな)
レイニアは内心で、前世の軍人らしい渋い慰め方を思い描き、小さく自嘲した。
今の自分は、酒どころかまだ十七歳の、うら若き王族の少女だ。
そんなハードボイルドな真似ができるはずもないし、ヤマトも困惑するだけだろう。
レイニアは、ゆっくりと歩み寄り、ヤマトの少し横の手すりに並んで寄りかかった。
「ヤマト……。今回は、残念でしたわね」
乙女らしい、けれど前世の相棒としての深い気遣いを込めた、静かな声。
ヤマトは振り返らず、ただ流れていく地下の岩肌を見つめたまま、静かに口を開いた。
「……この巨大な地下坑道は、茸と発光粘菌と、土の魔術で出来ている。我々の故郷のような、無機質な金属と霊子(サイコ・パーティクル)の光ではない。だが……」
ヤマトは、目を細めた。
「それでもここは、彼らの故郷として……『生きた街』として、本当によく機能している。材質はまるで違うが……私の故郷の景色を、ひどく思い出させるのだ」
「惑星ヘイブンガーデン……。天蓋の外、いえ、同じ宇宙にあるのかもわからない……貴方の母星ですわね」
レイニアの言葉に、ヤマトは一つ頷き、おもむろに重い過去を語りだした。
「私の、戦士としての最初の戦いは……地下で終わりのない強制労働をさせられていた私の同族たちを、一体の傲慢な圧政者から救い出すための『反逆』から始まった」
ヤマトの薄く光る瞳が、はるか遠い過去の記憶を映し出す。
「あの頃は……後に『ゼロムード帝国』と名乗ることになるハクメンやエイトといった連中も。
後に『ネオンワンス』と名乗る私たちも……階級も思想も関係なく、ただ自由を求める一つの『反乱軍(レジスタンス)』だった。
オヅマは、その歴史の、一番最初に立った者たちの生き残りだった」
その大まかな流れ自体は、レイニアの魂の奥底に眠るレオンも、かつて地球の野営地でヤマトの口から聞いた覚えがあった。
何万、何億年にも及ぶ、長すぎる星の戦争の歴史。
寿命の短い人間からすれば、それは永遠のように感じられるかもしれない。だが、長命な珪素生命体であるシェイプシフターたちにとっては、せいぜい祖父の代から続く『一連の運命の流れ』に過ぎない。
レオンが知っているのは、ヤマトが若き司令官という重責を背負い、成人未満でその命を散らすまでの……彼らの歴史から見れば、ほんの『瞬きのような短い期間』だけのことなのだ。
「我々は……かつて、ただ一体の侵略者によって、完全に敗北した」
ヤマトの告白は、レイニア(レオン)も知らない、ヘイブンガーデンの最も暗い深淵へと触れていく。
「『炭素生命こそが至高の知性である』と嘯き、我々の母星の地表を、知能なき人造疑似炭素生態系の『狂った楽園』へと作り替えた、最悪の侵略者……『旧支配者(オールドワンス)』に一度、敗北したのだ」
「オールド……ワンス……」
レイニアは、先ほど通路でベンザイアが口にしていたその単語を反芻した。
「あぁ。奴は我々を地下へと追いやり、自らを『神』として崇めさせた。
そして長い、長い間……地下で、奴のために採掘した希少なエネルギー鉱石と若き命の『生贄』を捧げてきたのだ」
ギリッ。
ヤマトが、手すりを握る手に力を込めた。金属が嫌な音を立てて軋む。
「珪素基系の長命種たる我らでさえ、三代にも渡る永すぎる洗脳教育は……我らから『疑問に思う自由』と『抗う思考』を完全に奪い去るに足るものだった。
誰もが、神に生贄を捧げることを名誉だと信じて疑わなかった」
それが、ヤマトが『知性』というものを何よりも信奉し、誇りとする根源にあるもの。
思考を奪われ、家畜のように支配されていた同族たちの――取り返しのつかない『恥の歴史』の記憶。
「そんな絶望的な洗脳の檻の中でも……奴は。アメノオヅマだけは、決して諦めなかった」
ヤマトの声が、微かに震える。
「一億年という気が狂うような歳月を。
名を変え、立場を変え、住処を変え……そして己の力すら偽りながら、それでも諦めずに地下の底で待ち続けたのだ。
誰かが疑問に思うのを。真なる知性の萌芽が、若者の中から芽吹くのを。
……恥じることのない、我ら(子供たち)の自由な未来を、たった一人で信じてな」
オヅマは、その果てしない孤独に耐え抜いたのだ。
だからこそ、ヤマトたち四人の若者が地表への憧れを抱いた時、彼は狂喜してすべてを投げ打ち、彼らを救い出した。
ぎゅぅっ、と。さらに強く手すりを握りしめながら、ヤマトは深く俯いた。
「そのオヅマが。一億年を戦い抜いた偉大な戦士が……新たに手に入れた未来(セカンドライフ)が、この平和な地下のアイドルであるのならば。
私は、それを絶対に否定しない」
ヤマトは、ポツリと。
自分自身に言い聞かせるように、あるいは、決して戻らない過去への後悔を滲ませて言った。
「自由であっても、そうでなくても……皆が笑顔で、あのまま地下で幸せに暮らせていたのなら。
……それもそれで、幸せであっただろうに、と。そう思わずにはいられないのだ」
ヤマトの脳裏に浮かぶのは、嘗ての学生時代――スラムの片隅で、共に馬鹿をやって笑いあった若き日の情景。
ベンザイア、ハクメン、エイトの三人。
……そして、もう一人。
喪われたシェイプシフターの少女の笑顔。
「ロロ……」
ヤマトの口から、痛みを伴うひどくかすれた声で、その名がこぼれ落ちた。
「あの子の犠牲がなければ……私も、世界の嘘に疑問には思わなかっただろうか。……エイトも、狂気には墜ちなかっただろうか」
たらればの、決して叶わない願い。
知性に目覚めた代償として、かけがえのない命を失い、親友同士で殺し合うことになった鋼鉄の若者たちの、あまりにも悲しい反逆の代償。
「――ヤマト」
レイニアは、手すりを握りしめて震えるヤマトの腕を、自身の細い両腕でぎゅっ、と力いっぱい抱きしめながら、静かに言葉を紡いだ。
「私には……貴方の背負ってきたすべてを知るには、あまりに短い寿命しかない、儚い存在かもしれません……。
けれど、知っています」
ヤマトが驚いて振り向く。
女騎士の凛としたオッドアイと、レイニアのオッドアイが真っ直ぐに重なり合い、互いの瞳の奥に互いの姿が鏡のように映り込んだ。
それほどまでに真っ直ぐに、レイニアはヤマトを見据え、力強く言った。
「アメノオヅマが救い出したあなたと仲間たちは、その後の歴史で、より多くの命と知性を救い導いたという……紛れもない事実ですわ!」
「――っ!」
レイニアの言葉に、ヤマトはハッとして息を呑んだ。
「もしここが、貴方たちにとっては直接の脈絡のない、死後の世界であったとしても! 私の見る夢が、記憶ですらない只の小娘の妄想だったとしても!」
すべてを一人で抱え込み、過去を否定しようとするヤマトに。
いつの間にか、レイニアの力強い言葉は、目尻に大粒の涙を蓄えた少女の悲痛な叫びに変わっていた。
「すべてを救ったあなたが、そんな『たられば』の哀しい事を言ったら……!
あなたに救われた地球の人々は、貴方の相棒は!
後の世に残された次代の希望たちは、一体どんな顔をして、貴方の名を称えればいいかわかりませんわ!」
それは、レオンが晩年に地球へと遺して行った統合組織『ネオ・グレート・ワンス(新たなる偉大なるものたち)』の、誇りの源泉。
平和になった世界で、レオンたちが胸に抱き続けたヤマトへの感謝と誇り。その骨子(人生)までもを、彼自身の自己否定によって消え去らせまいと必死に縋る、少女レイニアの――否、相棒レオンの魂からの叫びだった。
ヤマトは、そのレイニアの涙ながらの必死な叫びに打たれ、大きく目を見張った。
そして、己の過ちに気づいたように、すべてを解きほぐすようなひどく優しい声で答えた。
「……我々の『ネオンワンス(新しき種族)』という銘もまた。
かのたった一人の独裁者の先達……嘗ては真っ当な生命の創造主(シードメーカー)であった彼らの、本来の思想を借り受けたものだったな」
ヤマトは、暗い後悔の影を振り払うように空を仰ぎ見た。
「『この寂しき宇宙を、誇り高き知性で満たせ』という……高潔な思想を」
「ヤマト……」
「……すまない、レイニア。もしの思考に落ちて、君に情けない顔を見せた」
ヤマトは微笑み、そっとMMSのしなやかな指先を伸ばして、レイニアの目尻からこぼれ落ちていた大粒の涙を優しく拭った。
「えっ……ぁっ」
拭われて初めて、レイニアはいつの間にか自分が泣き叫んでいたことに今更気付いた。
前世の相棒としての切実な感情が溢れ出しすぎて、乙女としての顔が完全にボロボロになってしまっている。
顔をボッと林檎のように真っ赤に染め上げながら。
レイニアは、頬に触れるヤマトの指の、温かくて少し硬い仮想体の感触にゆっくりと目を閉じ……安心したように、その不器用な優しさへと身をゆだねるのだった。
* * *
――マギア・ラージ・キャリアーが発進の準備を進めている、巨大な地下ターミナル駅から遠く離れた、鉱山の麓。
切り立った岩肌が影を落とす、静寂に包まれた荒野の片隅で、ガラリ……と乾いた音を立てて岩陰が崩れ落ちた。
その崩れた岩の下に……『ソレ』は居た。
魔物。
この世界に存在する原生金属生命体群であり、その種族は、名を『鉄鼠(スケイヴン)』といった。
彼らは本来、森や岩場に生息し、死骸や朽ちた金属の残骸を分解して自然に還す『掃除屋』の一種である。
生態系の下層に位置する彼らには、必要以上に個体数を増やすことも、ましてや自分より大きな生きた生物を襲って喰らうような攻撃的な習性など、一切存在しないはずだった。
しかし。
岩陰から這い出てくるその群れは、明らかに狂っていた。
ボコボコッ、うじゅる、うじゅるうじゅる……ッ!
無機質な金属生命体たる本質に反して、まるで腐った肉が泡立つような、ひどく生々しく湿った音を立てながら。
手のひらサイズの鉄の鼠たちは、その場で異常な細胞分裂を繰り返し、爆発的な速度で増殖し、うごめく影を肥大化させていたのだ。
シューゥゥゥ……。
増殖する彼らの装甲の隙間から、まるで血の湯気のような『紅い魔力のコード』が立ち上っている。
それが大気に触れて湧き上がるたびに、ジジッ、ザザザ……と、亡霊が恨みを囁くような不気味なノイズ音が周囲の空気を汚染していく。
瘴気。
それは、野生の魔物を狂戦士(狂気の兵器)へと書き換える、魔王の恐るべき権能。
悪意に満ちた魔術によるウィルスコードが、無害なはずの鉄の鼠たちの量子脳を完全に破壊し、終わりのない飢餓と殺戮の衝動だけで動く化け物へと狂わせているのだ。
その残酷な証拠に。
おぞましく蠢き、増殖を続ける群れの中央には……見るも無惨な『餌』が横たわっていた。
カタルガダル駅の周辺を巡回していたと思われる、警備型ドワーフの残骸である。
『ピ、ガ……チヂ、ジ……ッ』
ドワーフの硬質な義体は群がる無数の鉄の歯によって無惨に噛み砕かれ、その内部に隠されていた脆弱な『本体』――灰色の菌糸とぶよぶよとした脳髄が、生きたまま啄まれていた。
体液と潤滑油を周囲に撒き散らしながら、死後硬直すら許されず、神経を噛み千切られるたびにドワーフの残骸はビクンッ、ビクンッ!と無惨な痙攣を繰り返している。
カチカチカチカチッ! ガリガリガリガリッ!!
狂乱した鉄鼠の群れは、もはやドワーフの肉体だけでは飽き足らなかった。
彼らはその異常な増殖を支えるための無差別な材料として、周囲の岩を齧り、枯れ木を齧り、落ちていた鉄屑をも齧り砕く。
目に映るすべての有機物と無機物を粉砕し、鉱物の肉体を血肉の潤滑油で湿らせたまま、そのグロテスクな複製をなおも爆発的に、幾千幾万と増やしていく。
やがて。
谷底を埋め尽くすほどの質量に達したその群れは、まるで一つの巨大な意志を持ったかのように、互いの身体をガキガキと連結させ始めた。
ボコォォォォッ!!
無数の小さな鉄の体が寄り集まり、融合し、うねる。
それは最終的に、巨大な『ミミズ』か『大蛇』のような、全長数十メートルにも及ぶ悍ましい群体の鎌首をもたげた。
無数の赤い眼光が、巨大な一つの怪物の表面で波打つように瞬いている。
『ユウシャ……』
群体の奥底から、幾万もの鼠の駆動音が重なり合った、地獄の底から響くような合成音声が漏れ出た。
『憎キ、勇者ヲ……』
ごギュッ、ぐりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!!
ガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!
巨大なミミズ状の群体となった鉄鼠のバケモノは、先端に形成された無数の歯が回転する凶悪な顎(アギト)を大地へと突き立てた。
激しい金属音と、周囲の岩肌を崩落させるほどの強烈な地鳴りを引き起こしながら、その巨体は、凄まじい速度で岩盤を削り、狙いを定めた地中深くへと潜行していく。
『殺セ、殺セ! 勇者ヲ……殺シ尽クセェッ!!』
それは、ヤマトとレイニアがかつて屠った、あのバハムートと同じ怨念。
魔王の呪詛を帯びたおぞましい囁き声を荒野の風の中に残して。
狂気の群れは、新たなる獲物(勇者)の匂いを追って、冷たい大地の底へと完全にその姿を消したのであった。
次回予告
ヤマト「よーほーよーほー♪」
エイト「俺たちゃ鉱山そっだっち♪」
ヤマトエイトベンザイアハクメン「「「「ふぅっふぅ♪」」」」
ベンザイア「しっかし、エイトの妹の病気に効く薬があるっつうから禁忌とされてる地上に出たのに」
ハクメン「いかれた変な花しかないじゃないですか!誰ですか地上に出ようとか言いだしたの!」
ヤマト「私だ。私にいい考えがある、もっと奥にあるかもしれない!」
エイト「本当にあるんだろうな!?」
ハクメン「うぅっ……お腹(残存エネルギー)が空いてっ……す、すいませんエイト……っ」
ベンザイア「ばたんきゅう」
ヤガーコール「何だこの馬鹿ども」
オヅマ「次回『ガルガンチュア・チェイス』! がぁっはっは助けに来たぞ!」
ヤマト「とまぁだいたいこんな感じの始まりだった」
レオン「あのノリその頃からずっとやってたの!?」