今回も「使用デッキ」「学年」「性別」「キャラクター性」からエピソードを生成し、調整を加えています。
ただし前回と違い、今回は少々“危うい”展開もちらほら。
ですが、それもまたエンターテインメント。
発想と生成の融合から生まれた、ひと癖もふた癖もあるデュエリストたちを、楽しんで頂ければ幸いです。
放課後のデュエルアカデミア。野外コートの周囲には、人だかりができていた。
「へへっ、これがブルーの実力か! 大迫力だね!」
レッドの制服をラフに着崩した
対戦相手はオベリスク・ブルーのパワー自慢、五味。彼のフィールドには、攻撃力2900の《タイラント・ドラゴン》が咆哮を上げている。
「吠えるだけの余裕もそこまでだ! 《タイラント・ドラゴン》でダイレクトアタック!」
「おっと、それは通さないよ! 手札の《クリボー》を捨てて戦闘ダメージをゼロにする!」
「チッ、往生際が悪いぞ。カードを1枚伏せてターン終了だ。次でお前の雑魚モンスター共々焼き払ってやる!」
巧のターン。
「さあ、ここからがメインイベント! 儀式魔法《イリュージョンの儀式》を発動! 手札の《アメーバ》を儀式の贄とし、降臨せよ《サクリファイス》!」
現れたのは、不気味に瞳を輝かせる魔眼の儀式モンスター。
「ハッ! 攻撃力0の置物が何をする!」
「置物とは酷いなぁ、これでもあのペガサス・J・クロフォードが使った由緒正しきモンスターだよ? こいつのイリュージョンは相手モンスターを自分の力に変える。効果発動! 君の《タイラント・ドラゴン》を装備させてもらうよ!」
サクリファイスの体の大部分を占める巨大な穴が巨竜を吸い込もうとする。だが、五味は動揺することなくニヤリと笑った。
「甘い! カウンター罠《天罰》! 手札を1枚捨て、相手モンスターの効果を無効にして破壊する!」
「いいっ……!?」
空から裁きの雷が降り注ぎ、タイラント・ドラゴンを取り込もうとするサクリファイスを打ち砕く。巧の主力モンスターはあっけなく破壊されてしまった。
「残念だったな。《サクリファイス》は儀式モンスター。生贄と儀式魔法、儀式モンスターのセットをすぐには揃えられまい。壁モンスターを用意したところで、《タイラント・ドラゴン》は相手モンスターがいれば2回攻撃できる。壁を出そうが出すまいが、次のターン《タイラント・ドラゴン》の攻撃で俺の勝ちだ!」
観客から溜息が漏れる。
「やっぱりレッドか」「詰めが甘いな」。
しかし、巧はうつむいたまま、肩を震わせた。
「……ははっ、あははは! 凄いなブルー、最高だよ! まさか《タイラント・ドラゴン》なんて強力モンスターに加えてそんな強固な布陣を構えてるなんて、最高に面白い!」
巧は顔を上げ、弾けるような笑顔でカードを掲げた。
「でも、これをひっくり返してこそのエンターテインメント! プランBのお披露目と行こうか! 《金華猫》を召喚!」
巧が召喚したのは、どこか不気味だが小さく貧弱なレベル1モンスター。
「無駄だ! そんな雑魚を出したところで俺が有利な状況は変わらない」
「それはどうかな? 《金華猫》の効果発動、墓地からレベル1モンスター《アメーバ》を特殊召喚。そして魔法カード《強制転移》発動! 《タイラント・ドラゴン》と《アメーバ》のコントロールを入れ替える! さあ、五味さん。素敵な『プレゼント』を受け取ってもらおうか!」
五味の場に《アメーバ》が、巧の場に《タイラント・ドラゴン》が移動する。
「なっ……!?」
「そして《アメーバ》がコントロールを移された時、相手に2000ポイントのダメージを与える! 『サプライズ・ギフト』をどうぞ!」
アメーバが弾け、強烈な衝撃が五味を襲う。LPが一気に半分に削れた。
「ぐあああっ! だが、まだLPは残っている……!」
「いいや、これで幕引きだ。さっきまで君の味方だった『最高のエース』に、引導を渡してもらうよ! バトル! 《タイラント・ドラゴン》で、《アメーバ》を攻撃!!」
《タイラント・ドラゴン》が自らの主であった五味へ紅蓮の炎を放つ。フィールドへ放たれる。攻撃力2900対300、圧倒的なオーバーキル。
「嘘だ……俺の、俺の《タイラント・ドラゴン》がぁぁーー!!」
五味のLPは一瞬でゼロになった。
「……ふぅ! 最高のステージをありがとう、五味さん。君の《タイラント・ドラゴン》、本当に痺れるくらいかっこよかったよ!」
巧は深々と一礼し、呆然とする五味に握手を求めた。
「最後、《サクリファイス》が君の罠で止められていなかったら、こんなに盛り上がらなかった。リスペクト、送るよ!」
その光景を、観客席から見下ろす影があった。万丈目準だ。
「……フン。相手のモンスターを掠め取って勝つなど、オレの美学には反するが……」
万丈目は隣のおジャマ・イエローを無造作に払いのけ、不敵に口角を上げた。
「あの土壇場でのアドリブ。実力は認めないわけにはいかんな。面白い……次はオレが最高のデュエルで奴のひん曲がった性根を叩き直してやる」
夕陽に染まるコートで、巧は歓声を上げる観客に手を振りながら、次の「驚き」に思いを馳せていた。
弱小カードでひっくり返して勝つ展開は、実は過去作でも執筆しています。思い出してくださる方がいれば、少し嬉しいですね。
今回は自分で全て手掛ける形ではないため、文章量はやや控えめになっていますが、その分読みやすくなっていれば幸いです。
もし気に入ったキャラクターがいれば何よりです。