ガンダムSEED DESTINY~獅子と悪魔~ 作:天使 鈴
月に潜む血に飢えた獲物を狩る、地球連合・ザフト・アークエンジェルによる史上初の協同作戦が今、始まろうとしていた。
「いやぁ、壮観ですなぁ!」
月軌道上に続々と集結するザフトや地球連合の艦隊、アークエンジェルをブリッジから眺めながら、アーサー・トラインが感嘆の声を漏らす。
今回の作戦は、投入される戦力の規模だけを見ても歴史に名を残すだろう。だがそれ以上に、「アークエンジェルと連合とザフトが協同する」
というところに大きな意味があるのだ。
ブレイク・ザ・ワールドを皮切りに、世界は動乱の時代に逆戻りした。再び始まったこの戦争は、未だ終息の気配すら見せない。
しかし今、絶対的な「悪」を前に敵対している両軍が手を組み、人類は確実に一つになりつつある。混迷に包まれたこの世界で、それは大きな光明だった。
歴史的瞬間であることに変わりはない、アーサーは胸を躍らせた。しかし無責任に浮かれる彼を傍目に、艦長タリア・グラディスの表情は硬い。
「……浮かない顔だね、タリア。何か不満でもあるのかな?」
タリアの表情に気づき、艦長席からデュランダルが声をかけた。ザフトが総力を挙げて取り組む一大作戦をその目で見守るために、彼自らミネルバに乗り込んできたのだ。
デュランダルの問いに、タリアは「いえ」と口を濁す。現状に特に不満があるわけではない。寧ろこれ以上ないほどに順調だ。
そしてこの作戦がデュランダルの立案であるならば、一寸の狂いすらない完璧な策であることは疑うべくもない。
しかしその完璧さが、逆に彼女の不安を掻き立てる。何か裏があるのではないか? 根拠はないが、彼女の歴戦の将としての勘が、タリアの胸の中で警鐘を鳴らしていた。
「...この作戦で『DARK DESTINY』を倒せるかな...?」
タリアは小さな声で呟く。
――――――――――――アークエンジェル――――――――――――
カタ...カタカタッ...
人気も無い通路の横の穴から顔が出てくる...キョロキョロと見回して
「よっと...潜入成功かな?」
カガリは人の気配を感じながら格納庫に移動する...持っていた小さな通信機に向けて話す。
「シン。こっちは潜入成功よ」
「そうか...あ、合図をちゃんと出しとけよ。合流ポイントに行けないよ」
「分かってるって」
カガリは周りに人がいないかを確認して、誰にも分からないような変装をしてから格納庫の方に歩いていく...扉の前に立ち止まってため息をつく。
「ふぅ...よし」
格納庫に入ると、艦内のメカニックたちの怒声が格納庫中に響き渡り、工具やパーツがあちらこちらに散乱しており、慌しく動くメカニックらの邪魔をしないように歩くのは少々骨が折れるところであった。
「おう!そっちにスパナがあったか?」
「無いよ!」
「ちょっと!そこサボらないで!」
「メンドクサイな~」
カガリはこのやりとりを聞いて、小さな声で呟く...
「...さっさと情報を集めますか」
カガリは誰にも気付かれずに堂々と歩いていった......
アークエンジェルに潜入する数時間前...
―――――――――――――月面ダイダロス基地――――――――――――――
シンとカガリはダークデスティニーの前にいた。
「カガリ。レクイエムのチャージ時間は?」
「ええと...15分くらいかな。100%溜まると思うよ」
「そうか...あとはアークエンジェルに仕掛けするだけ」
「ええ...」
カガリはそっとシンの手を重ねる。
「シン、大丈夫...この戦いは私達の全てを賭ける為なので、誰にも負けないだから」
「そうだな...」
「あ、シン。作戦を確認しましょう」
「ああ、カガリはアークエンジェルに潜入して情報を集まってから合図が来るまでカガリを回収する。そんな所かな?」
「ええ、そうよ。シン」
「そうか...カガリ、気を付けろよ。キラとアスランに気付かれてるなよ」
「私を誰だと思ってやがる」
シンとカガリはそっとキスをした。
カガリは潜入に特化した船に乗り込んでアークエンジェルの所に向かって行く......
カガリがアークエンジェルに潜入した1時間後...
シンはカガリからの合図が来たので、合流ポイントに行った...
「カガリ...準備は終わったか?」
「うん」
「さあ...ショーの始まりだぜ...」
カガリは、レクイエムの発射キーを打つ...レクイエムから連続で巨大なビームを放った...
「「「「「!!」」」」」
ザフトや地球連合の艦隊、アークエンジェルの人々がレクイエムから2つの巨大なビームを見て驚く。
「目標は!?」
タリアは叫ぶ。
「はいっ...!えっ!」
「どうした!」
「...1つはメサイアの所に向かっています!」
「まさか」
「そのまさかよ」
ザフトや地球連合の艦隊、アークエンジェル、ミネルバの前にゆっくりとダークデスティニーが降りていた...
「君の仕業だったね...!」
「ふふふ...」
「どういう意味だ...!」
「艦長...!2つ目の目標が分かりましたよ」
「どこ!?」
「プラントです...」
「「「「「「「何(っ)(だって)!!??」」」」」」」
レクイエムのビームがプラントとメサイアに直撃していった...
「ははっ...プラントはこれで全滅だな」
「あんたって奴は...!!」
「ほら、早く出撃しないと地球に撃つ...!」
「「くっ...!」」
マリューとタリアは唇を噛みながら、ザフトや地球連合の艦隊、アークエンジェル、ミネルバに出撃させるように言う...
ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスとフォースインパルスとレジェンド等々が出撃していく...!
「...カガリの言った通りか。まずは周りの雑魚を滅しますか...」
ダークデスティニーは弱めのビームクローを両手に出す...
「せいぜい、俺達の手のひらの上で踊ってくれよ」
無数に放たれるミサイルやビーム光線が流星のように虚空を横切り、爆炎が暗闇を鮮やかに染め上げる。
モビルスーツやモビルアーマーが虫のように大群で宇宙を飛び交い、かと思えば、放たれた陽電子砲が圧倒的な熱量で空間を薙ぎ払った。
全方位から怒涛の勢いで襲いくる弾幕の嵐の中を、漆黒の機体が閃光のように駆け抜ける。
たった一機のモビルスーツを討つために、連合・ザフトが今作戦に投入した艦隊は合計千数百。モビルスーツやモビルアーマー等の機動兵器に至っては千を超える。
歴然とした戦力差。だがその圧倒的すぎるほどの物量を以てしても、連合もザフトもアークエンジェルもミネルバも、未だダークデスティニーを墜とせずにいた。否、寧ろ押されてすらいる。
とうとう...ミネルバとアークエンジェル共々だけ残ってた......
「くっ...!アスラン、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫!だが...あいつのスキが見つからない...!」
シンは静かに口を開いて
「世界は浄化されていく。俺達は新しい未来を手に入れる...ただ一つだけ君達は罪を犯した。俺達の意に背くという罪を...だから与えなくてはならない...罰を。デスティニーシステム発動...」
ダークデスティニーの両方のウィングユニットからのみ溢れ出す巨大な光は、蝙蝠羽のように先端へ行くほど千切れ、尖り、反り返っていた。
「くぅ...!なんてプレッシャーが......!」
「(キラ...話がある。この闘いに勝たなければ...オレ達に...この世界に明日はない――...全力で行く―――!!!)」
キラとアスランはSEEDを発動させ、レイとルナマリアは士気を高める...!!
「では、まずはザコどもを始末しようか......」
ダークデスティニーはスウ...と腕を組む...
「腕組みして私達を倒そうなんていい度胸だね!」
「待て!ルナマリア!」
インパルスがダークデスティニーに向かっていく...!!
突然、インパルスの片腕片脚を失う......!!
「...え!?」
「...次は誰かな?」
「なっ...」
(今の一瞬で片腕片脚を!?何が起こった......!?)
「面倒だから全員まとめてかかってきなさい...」
轟!! とレジェンドはビームサーベルを摑んだまま、ドラグーンを同時に放ってから最短最速でダークデスティニーへと突っ込んだ...!
「レイ!!」
(ダークデスティニーのスピードに敵わないけど...周りの攻撃をすれば、ダークデスティニーの隙をつくしか...!)
ダークデスティニーを貫こうとした時、一瞬で、無数のダークデスティニーはレジェンドの周りに囲んでいた...!!
「な...!」
レジェンドのコクピットだけ残して破壊された...
「ドラグーンを放すのに時間がかかりすぎるよ。それとあまりにスキだらけに気をつけた方がいいね」
インフィニットジャスティスとパーツを交換したばかりのインパルスはダークデスティニーを捕獲されていた...!
「アスラン!ルナマリア!」
「無駄だよ。こんな力でダークデスティニーを止めるのは...」
「わかっています。だから...俺達にむけて攻撃を仕掛けておきました!!」
ストライクフリーダムのフルバーストをダークデスティニーにむけて放った...!!
「な...」
「いけえええ―――!!」
ダークデスティニーはフルバーストを直撃した...!!
「アスラン!ルナマリア―――!」
「...きかないな...」
そこに無傷のダークデスティニーとボロボロのインフィニットジャスティス、インパルスがいた......
「な...あ...」
「捨て身の攻撃も失敗...アスラン。すべては無意味だったようだね...」
「いいえ...大成功ですよ」
ミネルバのタンホイザーとアークエンジェルのローエングリンがダークデスティニーに向かって放っていた...!!
「俺達の攻撃がお前に通用しないがわかっていた...俺達のはミネルバとアークエンジェルが最強の攻撃を発動するための時間稼ぎとお前のスキを作るためのものでしかない...そう...俺らはすべてお前を油断させるこの一瞬のためのオトリ―――...お前は自分の力を過信しすぎなんですよ」
「「「「いけええええ――――!!!!」」」」
直撃後、すごい煙が辺りに立ち込めた...
「や...やったわ...」
「タンホイザーとローエングリンを喰らったらいくらダークデスティニーでも...ね」
「うまくいってよかった...みんなで生きて帰ろうか...」
「...まあ少しは楽しめたかな?...だが君達は知ることになるだろう。本当の絶望をそして...」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
突如煙の中から明るい声が聞こえた。
煙が晴れ、そこには........
傷もダメージもなく、何事もなかったように立っているダークデスティニーが立っていたのだ。
この光景にはキラ達が驚きを隠せない状態だ。
「(ウ...ウソ...タンホイザーとローエングリンすらもきかないなんて―――...!!)」
「僕達の前ではすべては無力だということを。そろそろ終わらせよう。この戦いを...」
ダークデスティニーの両手を垂直に前にだしそこから
キィィィィィン!!
純白のエネルギーを集めて次第に大きくなる。
「絶望に替えよう。全てに滅びを」
それを耳にした時、残った人々は目を見開きながら悟った。
”自分達は、手を出してはならない存在に手を出した”
瞬間、生き残った人々の瞳に映ったのは神々しい光の中に浮かぶダークデスティニーの姿。
「メイキングワールド」
純白の球を発射すると、ミネルバとアークエンジェルの間から半径数十kmの空間をすべて消し去っていく...
「これで終わったか...」
「ええ...周りの反応ないようだね」
「そうか...俺達の戦いは終わったか...」
「シン...ここから新しい未来を創るために戦うのが『DARK DESTINY』の仕事。さあ、帰ろう。地球へ」
「ああ...!」
その刹那、シンの視界は唐突に暗転した。
「な...!?」
さきほどまで目にしていた宇宙の光景は一瞬にして消え去り、シンは真っ白だけの世界に放り出された...
シンは真っ白な空間に立っていた...
「何だ、ここは―――...」
「刻を超え、よく来たな。我が一族最後の子シンよ...」
シンはこの声の方向に振り向いた...
そこに金髪赤眼の青年がいた...
「...誰だ、お前は...」
「我はあなたの生きる時代よりはるか昔...全ての祖先を束ねていた我が名は"至高神ソル"...シンよ...今こそあなたに我が一族について教えよう」
「お前が...至高神ソルだと...!?」
「そうだ...デスティニーシステムに同化しずっとお前を見てきた...」
ソルはシンに向かって歩いた。
「我が一族の血を引きし最後の子...シンよ」
「...で、俺に何の用だ?俺を監視した上、こんな所に連れてきやがって」
「ふむ、それでは単刀直入に言おう。......シン、1つの仕事を請け負ってくれないか?」
「仕事だと...?」
「...仕事を請け負ってくれるのなら......あなたの望みを叶えてやってもいいのだが...」
望みを叶える......だと。ソルの口からそんなこと言うとは思っていなかったため、少し呆けてしまうシンだが、すぐに返答する。
「......お生憎、お前なんかに叶えてもらうことなんて──」
「例えば......あなたの彼女、カガリ・ユラ・アスハのことだが」
シンの目に角を立てる。
「...お前」
「気分を害したのなら訂正しよう。まあ詳しく言えば......あなたが仕事をすれば、カガリを安全な所に匿ってやろうということだ」
「...なんでそこまでしてくれるのか?」
「.....それをしてもいい程、君にその仕事をやってもらいたいのだよ」
シンはしばらく沈黙し、考える。
どれくらいの時間が経ったのであろうか......シンは口を開く。
「さっき言ったこと.....本当か?」
「ああ、本当だ」
また少し沈黙したが、今度はすぐに口を開き、
「........はあ、わかりました。その仕事、受けさせてもらいます」
ため息をはき、受けることにした。
「それで仕事の内容は?」
「我の御使いは暴走しているので、止めてくれるかな?」
「どうして?お前が止まれば良いじゃないか?」
「御使いは暴走する前、我が死んでいたから止まれなかった...だから、我の力を受け継ぐ者なら止まれる可能性ある...」
ソルは悲しい表情を浮かべていた......
「我の力を受け継ぐ者?」
「我の力はあなたの中にも備わっているよ。まだカケラほどしか目覚めていないがな...我はね。シン、ただ後世のお前達に心豊かに何不自由なく
「......俺は俺の道を進む。邪魔する奴はブッ斃す。今までそうだったようにこれからもな......」
「...やさしい子だね。シンは」
ソルはふっと微笑む。突然、シンの額に指を突く。
「我が今ここで認め、与えよう...そなたが最後の"神"となる御印を―――...」
それが一瞬金色に光った―――
「何を...!」
「シンの中の力を目覚めるキッカケ与えただけ。さて...シンの機体を持ち出すのが難しいなので、デスティニーシステムだけ向こうにある機体を付けよう...」
「なぜデスティニーシステムを持つ必要があるのか?」
「それは創生の力を使う為だから。時間は少ないので、今から平行世界に送るから」
ソルはシンに向けて右手から光を溢れて行く......!!
「...後は頼んだよ。私の最後の子シン・アスカよ」
「お前...まちやがれ...!!」
その瞬間、真っ白な空間からシンが消えていった......
―極めて近く、限りなく遠い世界―
シンはある部屋で目覚める......
「ここどこだ...?」
シンは目覚めた後、部屋を見渡したらテーブルの上に封筒を置かれていた...
「なんだこれは...」
シンは封筒を破って中にある一枚の紙を取り出した。......
『シンへ 無事に着いたね。今、シンはここにいるのはプラントのアパート。さてと年月日はC.E.72年3月10日。機体はちょっと時間がかかるので、そこでシンがザフトに入隊する準備出来てる。そうそう、我の力を使いこなせるようにしておいてよ。金は引き出しの中に入ってる。シンの知ってる歴史とちょっと違う所があるかもしれないけど、そこに気をつけてよ...御使いに戦える人はそんなに少ないけど、まずは仲間を集めてほしい。シンよ。幾多の試験、その試練こそがよりよき世界を創造してゆくのだ』
と手紙に書かれていた。
「...よき世界か。フッ俺が人類を滅亡するのに世界を作るとは...」
シンはこれからの戦いの準備をするために行動する......
次回、シン、スーパーロボット大戦Zの世界へ.........続く?