Fate/stay night [Alter Ego of Calamity] ――理外の双貌   作:りー037

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魔女の看取り、暗殺者の誕生

【時刻:午前0:10】

 

【場所:冬木市 円蔵山・柳洞寺境内】

 

土煙と夜の闇を抜け、月明かりの下へと静かに姿を現した男。

 

ワイシャツにスラックスという、血で血を洗う魔術の死地にはあまりにも不釣り合いな、極めて日常的な出で立ち。

 

 

だが、その男の顔を月光が照らし出した瞬間、遠坂凛は息を呑み、絶句した。

 

 

「……嘘。穂群原の……葛木、先生……!?」

 

凛の声が、静まり返った境内に震えて響く。

 

穂群原学園の、厳格で生真面目な社会科教師、葛木宗一郎。それが、この柳洞寺を拠点とし、冬木中の人間から魔力を搾取していた神代の魔女の『マスター』の正体だった。

 

 

「……遠坂か。夜更けにこのような場所にいるとは、感心しないな」

 

 

葛木は、自身の教え子である凛を見ても、顔色一つ変えなかった。その声は、平日の教室で教壇に立っている時と何ら変わらない、ひどく平坦で、感情の起伏が完全に削ぎ落とされたものだった。

 

 

「どうして……先生は、魔術師じゃないはず……魔術回路すら持たない一般人が、どうやってキャスターと契約を!?」

 

 

凛の混乱は頂点に達していた。間桐慎二の場合は『偽臣の書』という魔術礼装による代行だったが、葛木からはそのような魔術的な気配は一切感じられない。純度百パーセントの、ただの人間なのだ。

 

だが、葛木は凛の問いに答えることなく、静かに歩みを進めた。

 

その向かう先は、胸の霊核を両面宿儺の『黒閃』によって粉砕され、今まさに黄金の粒子となって消えゆこうとしているキャスターのもとだった。

 

 

「宗一、郎、さま……どう、して……。出てきては、いけないと、言った、のに……」

 

キャスターは血に染まった唇を震わせ、涙を流しながら彼を見上げた。

 

 

彼女にとって、葛木宗一郎はただのマスターではない。神代から裏切られ続け、冷たい歴史の底に沈んでいた自身を拾い上げ、ただ「お前の望むようにしろ」と肯定してくれた、唯一の光だった。彼にだけは、この聖杯戦争の理不尽な死を与えたくなかった。

 

 

 

葛木は、キャスターの血だまりの中に静かに膝をついた。

 

そして、ワイシャツが赤く汚れることも厭わず、消えゆく魔女の体をそっと抱き寄せた。

 

「……私のために、よく戦ってくれた」

 

葛木が紡いだのは、魔術師としての労いでも、敗北への無念でもなく、ただ一人の男としての、静かで温かい言葉だった。

 

その平坦な声の奥にある不器用な誠実さに触れ、キャスターの妖艶な顔が、まるで初恋を知った少女のように泣き笑いに歪む。

 

 

「ああ……宗一郎、様……。私は、あなたの、望みを……」

 

「私の望みは、最初から何もない。ただ、お前の望みを叶えるのが、私の役目だった」

 

 

葛木は、キャスターの頬に手を添えた。

 

 

「すまない。私の力が及ばず、お前を逝かせてしまう」

 

「……いいえ。……私、は……」

 

キャスターの身体が、いよいよ限界を迎え、光の粒子への還元を加速させる。

 

「……とても、幸福、でした……」

 

 

 

それが、神代の魔女の最期の言葉だった。

 

葛木の腕の中で、キャスターは完全に黄金の魔力粒子となって霧散し、柳洞寺の冷たい夜風に乗って夜空へと溶けていった。

 

 

後に残されたのは、血で汚れた葛木の両腕と、破れた紫色のローブの残骸だけだった。

 

 

「……」

 

 

葛木は、空っぽになった己の腕をじっと見つめ、ゆっくりと立ち上がった。

 

その一連の看取りを、宿儺は腕を組んだまま、ひどく退屈そうに見下ろしていた。

 

 

「下らん情愛だ。腹の足しにもならん。……で、どうするんだ人間? お前の犬は死んだぞ。尻尾を巻いて逃げるか?」

 

 

「キャスターが消滅した以上、あなたに戦う理由なんてない! これ以上、聖杯戦争に関わる必要はないわ! 今すぐここから立ち去って!」

 

 

凛は魔術師としての冷徹さを捨て、一人の人間として、教師である彼を止めようとした。魔術の知識もない一般人が、あの理不尽な化け物(宿儺)の前に立てばどうなるか、火を見るよりも明らかだったからだ。

 

 

だが、葛木宗一郎は、その眼鏡の奥の瞳に一切の動揺を浮かべることなく、宿儺へと向き直った。

 

 

「断る。私のサーヴァントは、聖杯を求めていた。ならば、彼女が消えた後も、私がそれを代行するだけだ」

 

「狂ってるわ……! サーヴァントも、魔術の強化もないただの人間が、どうやって……!」

 

 

葛木は凛の言葉を無視し、ゆっくりと独特の構えをとった。

 

両腕を不自然にだらりと下げ、重心を極限まで落とす。それは、魔術とは無縁の、暗殺という目的のためだけに生涯をかけて練り上げられた、人殺しのための武――暗殺拳『蛇』。

 

 

「……ほう」

 

 

宿儺の四つの瞳が、微かに興味を引かれたように細められた。

 

「魔力を持たぬただの人間が、俺の前に立って、まだ『殺意』を保っているか。……面白い」

 

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

 

葛木が石畳を蹴った。

 

魔力による強化はない。だが、その踏み込みは常人の身体能力の限界を極めていた。

 

音もなく宿儺の懐へと潜り込んだ葛木は、だらりと下げていた右腕を、鞭のようにしならせて振り抜いた。

 

人間の関節の可動域を完全に無視した、予測不能の奇軌道。

 

 

「――!」

 

 

宿儺は迎撃しようと腕を上げたが、葛木の拳は宿儺の腕の『外側』を蛇のように滑り抜け、その横顔へと吸い込まれるように直撃した。

 

 

 

パァァンッ!!

 

 

 

乾いた打撃音が境内に響く。

 

 

「……っ!」

 

 

凛が息を呑んだ。ただの人間が、あの宿儺の顔面に一撃を入れたのだ。

 

 

 

だが。

 

 

 

「……なんだ。ただの撫で回しじゃないか」

 

宿儺は、顔面を殴られた状態のまま、ピクリとも動いていなかった。

 

軌道は完璧。初見殺しの技術(武)としては最高峰。

 

しかし、いかに技術が優れていようと、キャスターの魔術による『強化』を失った葛木の素の拳では、宿儺の強靭な肉体と呪力防御の前には、文字通り「そよ風」ほどのダメージすら与えられなかった。

 

 

「技術は面白い。だが、質量が決定的に足りん」

 

宿儺が、凶悪な笑みを浮かべて葛木を見下ろした。

 

葛木は表情一つ変えず、即座に第二、第三の連撃を放とうとする。

 

だが、その暗殺拳の軌道を『一度』見てしまった呪いの王に、二度同じ手品は通用しない。

 

 

「――終わりだ」

 

 

シュパッ。

 

 

宿儺の指先が、無造作に振るわれた。

 

「あ……」

 

葛木宗一郎の動きが、ピタリと止まる。

 

次の瞬間、彼の首から真っ赤な血飛沫が噴き出し、頭部が胴体から滑り落ちた。

 

ドサリと崩れ落ちる、首のない死体。

 

 

「先生……ッ!!」

 

 

凛が悲痛な叫びを上げたが、すべては遅かった。

 

神代の魔女と、彼女を愛した暗殺者の物語は、呪いの王の理不尽な暴力の前に、何の奇跡も起こすことなく冷酷に幕を閉じた。

 

「……つまらん。一瞬の暇つぶしにもならんかった」

 

宿儺は血まみれになった石畳を見下ろし、退屈そうに首を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

【時刻:午前0:20】

 

【場所:冬木市 円蔵山・山門前】

 

同じ頃。

 

柳洞寺の長い石段の上、巨大な山門の前では、もう一つの死闘が静かな膠着状態に陥っていた。

 

「ハァッ……! ハァッ……!」

 

 

衛宮士郎は、強化した木刀を握りしめながら、肩で息をしていた。

 

彼の視線の先には、不可視の聖剣を構えるセイバーと、自身の身の丈を優に超える長い野太刀『物干し竿』を優雅に構える青い剣士――アサシンが対峙している。

 

 

ふと、小次郎が構えを解き、夜空を見上げた。

 

「……ほう。キャスターの気配が消えたか。あの魔女も、ついに年貢の納め時というわけだ」

 

小次郎は、境内の方向から感じていた巨大な魔力溜まりの消失と、自身の霊基を繋ぎ止めていたパスの断絶を悟り、涼やかに嗤った。

 

 

「これで私を縛る契約も消えた。私の霊体も、あと数分と保たぬだろうよ」

 

「アサシン……!」

 

 

セイバーが警戒を強めつつも、静かな声で呼びかけた。

 

「契約が切れたのなら、剣を収めなさい。あなたとこれ以上戦う理由はありません。道を譲るというなら、見逃します」

 

主を失い、消えゆく定めの英霊を斬る。それは騎士王の矜持として、決して誉れ高き行為ではなかった。

 

だが、小次郎は野太刀の峰を肩にトントンと当てながら、ひどく楽しそうに破顔した。

 

 

「ふふっ。騎士王よ、それは無粋というもの。消えゆく命であればこそ、最後に極致の剣を交えたいと思うのが武芸者の性分というものだ」

 

 

小次郎の瞳に、澄み切った、純粋な闘志が灯る。

 

 

「魔女の番犬としての役目は終わった。ここからは、一人の剣士として、貴女のその見えざる剣の底を拝見したい。……さあ、参ろうか!」

 

「……わかりました。それがあなたの望みであるのなら、騎士として全力で応えましょう」

 

 

セイバーが、右足を半歩引き、不可視の剣を青眼に構え直す。

 

大気がビリッと震え、二人の剣士の間にあった数十メートルの距離が、概念的に『ゼロ』へと圧縮された。

 

 

 

ドンッ!!

 

 

石段を蹴る音が、完全に重なった。

 

銀の甲冑と、青い和装が、月明かりの下で激突する。

 

 

 

ガキィィィンッ!!!!

 

 

 

甲高い鋼の咆哮が、静まり返った円蔵山の森に木霊した。

 

小次郎の野太刀が、不可視の剣の刀身を正確に捉え、火花を散らす。

 

五尺余りの長刀。そのリーチの長さを活かし、小次郎はセイバーの間合いの外から、まるで燕が空を舞うような変幻自在の太刀筋で連続攻撃を仕掛ける。

 

上段からの唐竹割り。それをセイバーが弾いた直後、弾かれた反動をそのまま利用して、野太刀の刃が下段からの逆袈裟斬りへと滑らかに反転する。

 

 

さらに、横薙ぎ、突き、斬り上げ。

 

 

常人の目には、青い残像と火花の軌跡しか映らない。

 

 

「くっ……!」

 

 

セイバーは、その神業のような連撃を、卓越した『直感』と剣技でギリギリのところで捌き続けていた。

 

 

(信じられない……。ただの長刀を、これほど精密に、息もつかせぬ速度で振るうなど。それに、あの刃には殆ど魔力も乗っていない!)

 

 

小次郎の剣は、英霊特有の魔力放出や、宝具の神秘といった『上乗せ』による強さではない。

 

ただひたすらに自身の肉体と技術のみを研ぎ澄まし、振るう。それだけで、最優のクラスであるセイバーと互角以上に渡り合っているのだ。

 

「どうした、その剣、見えぬからといって防げぬわけではないぞ!」

 

「くっ……ハァァァァッ!!」

 

 

セイバーが、風王結界(インビジブル・エア)に圧縮された風を爆発的に解放し、その推進力を利用して一気に距離を詰める。

 

小次郎の長刀の『死角』――懐への強引な踏み込み。

 

渾身の魔力を込めた、不可視の一閃が横薙ぎに放たれる。

 

 

だが。

 

 

「――甘い」

 

 

小次郎は、踏み込まれた瞬間に長刀の手元をスライドさせ、柄の近くでセイバーの一撃を柔らかく『受け流した』。

 

そのまま刃を滑らせ、セイバーの銀の胸当てを浅く切り裂く。

 

火花が散り、セイバーは体勢を崩しながら後方へ跳躍した。

 

 

「すげえ……」

 

 

後方でその死闘を見守っていた衛宮士郎は、自身の痛みを忘れるほどに、その剣戟の美しさに魅了されていた。

 

先ほどまで、士郎の脳内は宿儺が告げた「自身の内にある剣の骨組み」という毒のような言葉で混沌としていた。だが、目の前で繰り広げられる、極限まで研ぎ澄まされた二人の剣士のやり取りは、そんな邪念を吹き飛ばすほどの『純粋な光』を放っていた。

 

 

(これが、英霊の戦い……。魔術や呪いじゃない。己の技と誇りだけをぶつけ合う、本物の剣……!)

 

士郎の眼球が、無意識のうちに小次郎の太刀筋と、セイバーの足捌きを『解析』し、記憶に焼き付けていく。

 

「……ハァ、ハァ……」

 

セイバーは息を切らしながら、小次郎と再び距離を取った。

 

小次郎の足元から、黄金の光の粒子が微かに立ち昇り始めていた。彼の霊基が、いよいよ限界を迎えようとしているのだ。

 

 

(次で、決める……!)

 

 

セイバーの覚悟を感じ取ったのか、小次郎もまた、野太刀をすっと下段に構え、静かに呼吸を整えた。

 

 

「……素晴らしい剣だった、騎士王。我が生涯の終わりに、これほどの武と巡り会えたこと、幸運に思う」

 

 

小次郎の顔から、笑みが消える。

 

代わりに浮かび上がったのは、己の人生のすべてを剣に捧げた求道者としての、絶対の『無』の境地。

 

 

「これより放つは、私の生涯のすべて。ただ一振りの剣のみで辿り着いた、秘剣の極致」

 

 

空気が、凍りついた。

 

 

いや、小次郎の構えから放たれる研ぎ澄まされた剣気が、周囲の空間そのものを物理的に『固定』したのだ。

 

「――秘剣」

 

小次郎の姿が、揺らいだ。

 

セイバーの『直感』が、最大級の警鐘を鳴らす。回避不能。防御不能。

 

 

(来る……!)

 

 

セイバーは、自身の風王結界を完全に解除した。

 

突風が吹き荒れ、圧縮されていた空気が解放される。その中心から、夜の闇を打ち払うほどの眩い黄金の光が姿を現した。

 

 

 

星の光を鍛え上げた、神造兵装。

 

『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』

 

 

 

光の奔流を放つ魔力はない。だが、その刀身を露わにし、全力で打ち合うことこそが、目の前の極致の剣士に対する、騎士王の最大の敬意だった。

 

 

「――『燕返し』!!」

 

 

小次郎の長刀が、閃いた。

 

 

 

一つは、円を描くように頭上から。

 

 

一つは、逃げ道を塞ぐように横薙ぎに。

 

 

そして最後の一つは、足元を刈り取るように下段から。

 

 

 

 

ただの高速の連撃ではない。完全に『同時』に、三つの方向から迫る刃。

 

人間の技術のみで到達した、多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)、魔法の領域に踏み込んだ、回避不可能な必殺の檻。

 

 

「ハァァァァァァァッ!!」

 

 

セイバーは、逃げなかった。

 

左右の刃を無視し、自身の身体を正面へ、小次郎の懐へと全力で投げ出したのだ。

 

 

 

ズシャァァァァンッ!!!

 

 

 

三つの刃が、完全に重なる音がした。

 

「……あ……」

 

士郎が、息を呑む。

 

月明かりの下。

 

小次郎の野太刀の刃は、セイバーの右肩の甲冑を深く切り裂き、鮮血を噴き出させていた。

 

だが、残る二つの刃は、彼女の身体に届いていない。

 

 

なぜなら。

 

 

セイバーの踏み込みと同時に放たれた、黄金の光を纏うエクスカリバーの突きが。

 

小次郎の野太刀が三つの軌道を描き切るよりも一瞬早く、小次郎の『胸の中央』を真っ直ぐに貫き通していたからだ。

 

 

 

「……見事だ」

 

 

小次郎の口から、静かな、そして満足げなため息が漏れた。

 

彼の放った燕返しは完璧だった。だが、刀身が折れ曲がっている『物干し竿』の特性上、最後の瞬間に、ほんの数センチだけ、刃の届く時間にラグが生じた。

 

その絶対の死地の隙間を、騎士王の『直感』と、己の身を切らせてでも踏み込むという『覚悟』が、打ち破ったのだ。

 

 

「……あなたの剣、しかとこの身に刻みました。誇り高き剣士よ」

 

セイバーが、静かに聖剣を引き抜く。

 

「ふふっ。花の散り際としては、上等すぎる舞台だった。……さらばだ、騎士王」

 

小次郎の身体が、足元から光の粒子となって崩れ落ちていく。

 

その顔には、一切の未練も後悔もない。ただ、極致の剣を振るい切った武芸者の、清々しい笑顔だけが残されていた。

 

風が吹き抜け、青い剣士の姿は、完全に夜空へと溶けて消滅した。

 

 

「……セイバー、大丈夫か!?」

 

士郎が慌てて駆け寄り、セイバーの右肩の傷を確認する。

 

「ええ、浅手です。彼の剣が、最後に少しだけ迷いを見せたのかもしれませんね」

 

セイバーは、小次郎が消えた虚空へ向けて、一度だけ静かに目を伏せ、黙祷を捧げた。

 

「おいおい。勝手に感動的な雰囲気で終わらせるなよ」

 

 

 

その時。

 

 

 

山門の長い石段の上――柳洞寺の境内から、ゆっくりと二つの影が歩いて降りてきた。

 

「……遠坂! 宿儺!」

 

士郎が安堵の声を上げる。

 

降りてきたのは、赤いコートを着た凛と、ポケットに両手を突っ込んだ宿儺だった。

 

凛の表情はどこか疲弊していたが、その瞳には「やり遂げた」という明確な安堵の色があった。

 

「キャスターと、マスターの葛木宗一郎は片付けたわ。……街の魔力収集結界も、これで完全に停止したはずよ」

 

凛が、肩で息をしながら報告した。

 

「そっちの門番も消えたようだな。……フン」

 

宿儺は、小次郎が消滅した跡地に残る微かな剣の残滓を見下ろし、退屈そうに鼻を鳴らした。

 

「純粋な剣気……近くで見てみれば、なかなかどうして、……惜しいことをした。俺が解体してやれば、もう少し長く踊れただろうに」

 

 

宿儺のその傲慢な言葉に、セイバーが不快げに眉をひそめる。

 

「彼の剣は、あなたのような呪いには決して理解できない、清らかな誇りそのものです。軽々しく口にしないでいただきたい」

 

「ククッ。随分とあの野良犬に肩入れするじゃないか、光の騎士。……まあいい。今夜の『食事』はこれで終わりだ」

 

 

宿儺は、ひどく機嫌良さそうに夜空を見上げた。

 

キャスター陣営の壊滅。

 

聖杯戦争の序盤において最大の魔力を誇った魔女の陣地は、呪いの王の理不尽な暴力と、騎士王の誇り高き剣によって、完全に攻略されたのだった。

 

 




あとがき

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ありがとうございます!評価していただいた方もありがとうございます!感謝です!

最後の展開すごく悩む、
宿儺をどう着地させようか。


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