ライダー──私の記憶掘り起こし中だった彼は、その作業を即座に打ち切って聖を迎え撃────
「させま、せん!!」
ランサーの銀槍が、その身に襲い掛かる!
ライダーの咄嗟の防御は、虚空から取り出した棒状の武器。
だいぶ加速がついていたのもあって、ライダーとランサーはひと塊になって、床に轍を刻みながら壁の方まで吹っ飛んでいく。
私は術から解放されて、へたりこんだ。
そこに猛然と、
「
着地の衝撃でぐわんぐわん弾みながら、聖が駆る二輪車がこっちに突っ込んでくる。えっちょっ、待って轢き殺す勢いなんですけど──!?
「ひっ、い──うぐううっ!?」
一瞬、本当に轢かれたかと錯覚する衝撃。
私の身体を衝き動かす猛烈な運動エネルギー────が、終わらない。
風は移動しているから。私は聖に拾い上げられて、二輪車の車上に抱えあげられていた。
「回・収ッ──キャス、」
ターに何らかの指示を出そうとした、のだと思う。けれどそれが発されるより早く、毛に覆われたシルエットが目前に。
「がッ」「うあッ!!」
獣よりも迅速な瞬発力、反射神経。悪魔の爪が車体を切り裂いた。私たちは慣性のまま放り出されて、ごろごろと床に転がる。幸い怪我とかは無かったけれど、ピカピカだったオートバイはダメになってしまっていた。捻子くれた金属の塊が不快な断末魔をあげて停止する。あれじゃあ修理云々で済む話にはならないだろう。間違いなく廃車確定だな、とボンヤリ思った。
三半規管からのクレームをやり過ごして何とか立ち上がると、聖はちょうど悪魔に馬乗りになって首に剣を突き立てたところだった。同じように落車したはずなのに何だその復帰力はと物申したくなるけれど、どうせ何かインチキしているんだろう。いちいち細かいところまで突っ込んでいられない。
「ッふー……」
剣を引き抜きながら、細い息を吐きながら、彼が立ち上がる。悪魔はその時に一度ビクンと跳ねて、それきり動かなくなった。
使い魔は排除した。ならば、次は──
「ライダー、止めなさい!!!!」
槍と戦棍の音、バイクだったものの立てる音、悪魔の残骸の消滅音、聖が走り出そうとする足音。そういったものを吹き飛ばす、ライダーのマスターの──ミシェル・ドーソンの一喝。
今にも斬りかからんとしていた聖が、様子をうかがうことにしたのか動きを止めた。いつでも疾走を再開できるよう、わずかに踵を浮かせてるのが怖いってば。
ミシェルはそれに気付いてか気付かずか、ライダー相手に声を張り上げ続ける。
「私はこのようなことは命じていません、敵対する気もない! 直ちに交戦を中止なさい!」
「何を、ここまで来て! 今更になって謝罪したからと彼奴らが止まるものか!」
私はともかく、聖もランサーもとても止まりそうには見えなかった。
二人は、自らの主に大声で喚くライダーの隙を待っている。攻撃のチャンスを逃すつもりのない緊張状態からは、「ごめんね」「いいよ」のやりとりなんて想像もつかない。言うようにライダー自身もそれは承知しているから、二人に気を配りながらの怒号。
それでも、ミシェルや、傍で聞いているだけの私など圧してやまない。
激昂する王の畏しさ。
善も悪も境なく、彼らは命令する
捕食者と被食者の如き
「これは聖杯戦争だ! 余も、誰も、尽きせぬ願いを聖杯に捧ぐべく戦っている! 聖杯に懸けるしかない、他に道などない者たちが、どうして手と手を取り合える、戦わない道を選べる!! 選べるはずがない、戦いに来ているのだ!!!
それが『敵対する気もない』だと!? なにを腑抜けたことを、マスター! 貴様にその気があろうとなかろうと、聖杯戦争に身を投じた以上は戦う義務がある!!!」
大仰に身振り手振りも交えて喝破していたライダーはそこで、ようやく自らの主に向き直る。
彼の表情は既に
「──それとも、やはり。