彼女達が残した歴史は、大きかった。
………そして、時代は次の世代へ。
Prologue of Super star!!
僕の両親は、『結ヶ丘高等学校』という所のスクールアイドルだった。
母さん……『出雲かのん』はそこの学校にあるグループ、『Liella!』のセンターだった。
母さん達Liella!は、ラブライブ史上初めて、2連覇を達成した初の高校。
そして、母さんは歌の実力を認められてウィーンの学校に留学までした。
僕の父さん……『出雲奏』は、『L tube』で有名な歌い手で、ワイルド・バトルフェスで連覇を成し遂げて、母さんと同じようにウィーンの学校に留学した。
2人とも僕が産まれた今も、人気アーティストとして活動してる。
姉さんは僕なんかとは大違いで。
音楽に全力で……負けず嫌いで。こんな僕に、いつも厳しい言葉を投げてくるけど、それが優しさだってことも知ってる。
それに比べたら、僕なんて何もない。
僕の家族は皆すごい人で。
……息子の僕は、父さんみたいなリーダーシップもなければ、母さんみたいにかっこよくもない。姉さんみたいな度胸もない。
愛理「良太、早く起きろ!!」
姉さんの声が部屋に響き渡る。
僕が物思いにふけっている時に限って、姉さんはいつも部屋に来ては僕の布団をひっぺがす。
……僕はこの光景が嫌いだけど、この光景に慣れてしまった。
愛理「今お父さん達帰ってきてんだから!!今日学校どうするか決めるって話したでしょ!!早く起きろバカ良太!」
「ちょ……姉さん…。バカは言い過ぎ……」
愛理「休みの日には決まってこんな時間まで寝てる癖によく言うわよ!
……ほら、早く来なさい!」
「わかってるよ……。先行ってて。」
愛理「はいはい。」
姉さんはそのまま部屋を出ていく。
……はぁ、姉さんはいつも強引だ。
心に靄を抱えながら、僕は部屋を出てリビングに向けて歩いていた。
リビングに着くと、父さんと母さんがいた。
かのん「おはよう良太。」
奏「随分ぐっすり寝てたみたいだね。」
愛理「そうなの、良太ってば休みの日になるといっつも決まってこんな時間まで寝てるの!!
……お父さん達もなんとか言ってよ!」
かのん「いいんじゃない?休みの日くらいはゆっくりさせてあげなよ。」
「あ、父さん、母さん……学校の話……。
いい加減決めないと先生に怒られちゃう…。」
奏「そうだね。
……2人はさ、『結ヶ丘』にはいくつもりはないの?」
「僕は、結ヶ丘に行ったって、また皆に、嫌なこと言われるだけ……だから。」
愛理「……私は、別の場所で音楽をやりたい。
……お母さん達を超えるために。」
かのん「そっか……2人の気持ちはわかった。
……結ヶ丘に行かないって言われるのは、少し寂しいけどね。」
「そっ……か。
母さん達は、結ヶ丘で初めての卒業生だもんね…。」
奏「うん。でも、今の結ヶ丘は安泰だよ。理事長には、恋さんがいる。
……恋さんは、今も昔も、あの学校をずっと大事にしてて、誇りに思ってるから。」
愛理「それで、別の学校の候補探してるんだけど……なかなかなくて、ずっと勉強だけしてるのも疲れてくるし。」
奏「……。」
姉さんの言葉を聞いて、父さんが何かを考え始めた。
……父さんはいつも考え事をする時、決まってこめかみに人差し指を当てる。
奏「……ここからだとかなり遠いんだけどね。
『私立蓮ノ空学院』って学校が金沢にあるんだ。」
愛理「か、金沢!?
え、石川県ってこと!?」
かのん「うん。
あそこはね、冬毬ちゃんとマルガレーテちゃんが卒業した後のLiella!に勝ったことのある学校。
留学を終えて日本に戻ってきた時に、1回仕事を受けて2人で蓮ノ空に行ったことがあってね。
……そこで少し学校の様子を見せてもらったんだ。」
奏「あそこは山の中だし、周りは自然豊かでね。
……少し閉鎖的だったんだけど、それでもあの学校の子達は皆、それを感じさせないくらい皆の目が輝いてた。俺達が結ヶ丘にいた時みたいに。」
愛理「お父さん達みたいに、輝いてた…か。」
かのん「私は、蓮ノ空いいと思うな。
どうしたいかは、2人が決めて?」
愛理「どうしたいかは……。」
「僕達が…。」
僕は1度部屋に戻って、『蓮ノ空学院』のことを調べていた。
一般入試のレベルも高くて、一芸入試で入学する生徒が多い……。
僕には、一芸入試の目はなさそうかな…。僕には姉さんみたいに歌が得意な訳じゃないから、受験するなら、一芸入試はしない。
……姉さんはどうするんだろう。
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愛理視点──
「蓮ノ空学院……。一芸入試もあるってことは…もしかしたら私にもチャンスがあるって事ね。」
私は蓮ノ空学院のことを調べながら、どうするかを考えていた。
……一芸入試で受けて、落ちたらお父さん達の名前に泥を塗ることになる。
絶対に落ちれないし、私にとってはまたとない機会。
私は、伝説として語り継がれてるお母さん達の歴史を超えるために、歌を学んでる。
……良太は歌をやる気はない。
悔しいけど、あいつは私より歌の才能がある。それなのに、お父さんやお母さんに比べられるのが嫌だって言って音楽から逃げ続けてる。その癖、引っ込み思案で気弱で根暗で、ずっと私の後ろに隠れて生きてきてる。
私は、良太のそういう所にムカついている。
……決めた。あいつも一緒に一芸入試に引っ張ってやる。それで自分の才能を自覚させてやれば、あの性格だって少しは変わるはず。
……ついでに、あの子も一緒に来てくれないかな。
思い立って、私は大親友である
「もしもし、
虎春『ん?どうしたの愛理。珍しいじゃんそっちからかけてくるなんて。』
「いや、今ちょっと相談したいことがあってさ。」
虎春『何?なんか悩み事?
……もしかして、良太くんとなんかあったの?』
「いや、別にあいつとなんかあった訳じゃないけど。
……けど、まぁ私達姉弟に関わること、かな。」
虎春『2人に関わること?』
「あのさ、前に行こうと思ってる高校に悩んでるって言ったじゃん。それでさ、今日久しぶりに帰ってきたお父さん達に話をしたの。」
虎春『奏さんとかのんさんに?それで??』
「そしたらさ、『私立蓮ノ空学院』って金沢の学校はどうかって言われてね。」
虎春『金沢!?ここから通うんだったらめちゃくちゃ遠いじゃん!』
「うん。そうなの。それでさ、ちょっと調べてたの。
そしたらさ、あそこの学校は全寮制の学校みたいでさ、通学の面は心配ないし、ラブライブの優勝経験あるからスクールアイドルの実力は確か。
……冬毬さんとマルガレーテさんが居なくなった後の『Liella!』を倒したってお母さんから聞いたくらいにはスクールアイドルが強い学校なの。」
虎春『それで、ウチに連絡してきたってこと?』
「そう。
……良太は連れてくつもりなんだけどさ。良かったら一緒に蓮ノ空行かない?
あそこは一芸入試があるらしいから、私達の実力を測れるチャンスかもしれない。」
虎春『……行く。
愛理とスクールアイドルやるって約束だし。』
「虎春ならそう言うと思った。
……じゃ、またね。」
虎春『うん。また学校でね。』
私は虎春との電話を切って、携帯を置く。
「よし。そうと決まれば練習しないと。」
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奏視点──
良太達が部屋に戻ったのを見て、俺はかのんと話していた。
話題はもちろん、2人の進学先について。
「2人とも、本当に結ヶ丘に行かないって言うなんてね。」
かのん「寂しいけど、2人の意思なら尊重したいなって思うよ。」
「俺も同じ。
……恋さん、2人が入学するの楽しみにしてたもんね。」
かのん「あははっ、そうだね。
恋ちゃん、自分の子供みたいに良太達の面倒見てたもんねっ。」
「だねっ。」
かのん「……あのさ、奏くん。」
かのんが少し神妙な面持ちで話しかけてくる。
「ん?何?」
かのん「愛理は私達を超えようと歌をやってるじゃん?」
「そうだね。」
かのん「良太は……歌やらないのかな。」
「本人がやるって言ったら、俺達は応援するって約束でしょ。」
かのん「そうだけどさ。
……それでも、私は良太にも歌をやって欲しい。『歌は楽しいもの』だって、わかって欲しい。」
「……だね。
俺達の夢は、『世界中に歌を響かせること』だからね。身近にいる家族にすら歌を届けられないんじゃ、世界中に響かせるなんて夢のまた夢、だもんね。」
かのん「うん!
……私も、頑張らなきゃだねっ。」
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それから、4月になり。
2人は『私立蓮ノ空学院』の校門前に立っていた。
愛理は目を輝かせ、良太は不安を抱えながらも前を向いていた。
愛理「ここが、蓮ノ空学院……!!」
良太「僕達が通う学校……。」
愛理「ほら、行くよ!!
……私達の物語はここから始まるんだから!!!」
良太「ちょっ、姉さん……!!腕引っ張るのやめてよ……!!」
2人は蓮ノ空の校門を潜る。
これから2人は、『まだ花咲いていない蕾』と出会い、変わっていくのか。
……まだ、2人は知らない。
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Liella!も蓮ノ空も、どうぞよろしくお願いいたします!!!!