決闘者セアミン(♂)   作:へるしぃーぼでぃ

19 / 24

最低限の一話更新をば。

今月は輪をかけて書けませんでした。
ストーリーの大まかな輪郭は決まってるんですが、それを上手く出力するのが上手くいかないっス
毎日更新してる人はバケモノ…




意味深な態度を取ってるだけなアルベル

 

 

「えーと……つまり遊姫は学校の帰り道で行き倒れてたエクレシアたちを家に連れ帰って、一緒にご飯を食べてたら、アルバスが『嫌な気配がする』って言った先に、夜空の中でアルベルと空中デュエルする俺を見つけた、と」

 

「うん、そう。っいやー急にセアミが落ち始めるからビックリしたよ!アルバスが鉄駆竜スプリンドを渡してくれてなかったら絶対に間に合わなかったね!」

 

俺のアパート前に着地した遊姫一行は、今は俺の部屋に上がってひと息ついていた。

お互いの成り行きの共有も兼ねて。

現在、リビングには俺(セアミ)とP.U.N.K.の面々……は流石に手狭なのでセアミンだけが俺の隣に座り、対面には遊姫、横にアルバスとエクレシア、そしてアルベルが上座に座る。

アルベルには自前の玉座を召喚してもらって座ってもらった。席がなかったので。

 

「フン、貴様もやはり実体化していたか」

 

「……誰だお前は。嫌な気配を撒き散らしやがって」

 

鷹揚な態度のアルベルに、声を掛けられたアルバスが不審者を見る目で睨む。

一触即発の空気。

というかアルバスが一方的に嫌っている感じだ。

顔の造りは瓜二つだが、その纏う雰囲気は大違い。

アルバスは警戒心バリバリの借りてきた猫みたいで、アルベルは自分のテリトリーでふんぞり返ってる犬みたいだ。

アルベル……お前、今さっき俺の軍門に下ったばかりなのに、なんでそんなに偉そうな態度なんだ……

 

そんな剣呑な空気の中、ズルズル……と麺を啜る間の抜けた音が響いた。

 

遊姫が俺の家の備蓄のカップ麺を食べているのだ。

アルバスとアルベルの視線を受ける遊姫だが、彼女は特に気にした様子もなく言った。

 

「ふーッ、……その人がアルバスが言ってた『嫌な気配』の正体?なんだかアルバスと雰囲気が似てるね?」

 

遊姫の言葉に、同じくアルベルを観察していたエクレシアが同意した。

遊姫同様、カップ焼きそばを頬張りながら。

 

「もぐもぐ……っ確かに、私も思いました。てっきりアルバスの知人かと……。違うの?」

 

「知らないヤツだ。……だが、何故か一目見てイヤな奴だと分かる」

 

アルバスは答えたあと、無言でエクレシアの白い頬に付着したソースを拭き取る。

エクレシアは目をきゅっと閉じて大人しく拭かれた。

カップル……いや、互いに照れとか見えないから、もはや家族みたいな雰囲気だ。

そんな二人を見て、アルベルが可笑しそうに高笑いした。

 

「ハハハ!楽しくやっているようで何よりだ、我が力の枝葉よ」

 

「さっきから何で俺に突っかかって来るんだ、お前は?縛られてるし」

 

アルバスが呆れたように言う。

そう、余裕ぶっこいてる風のアルベルだが、実は縄でぐるぐる巻きにされていた。

縄は娑楽斎が描いて物質化した、精霊謹製の縄である。

俺の持ちカードになったアルベルだが、この悪役顔である。イマイチ腹の底が分からないし、俺もまだ彼を信用出来ていなかった。

遊姫たちと話をする際、「我も同席しよう」と言ってきたので拘束を条件に精霊化する許可は出していたのだが……

さっきからアルバスに対して意味深な態度を取るばかりで、正直何をしたいのか分からない。

何かこう、悪巧みとういより、あまり関わりのない親戚の子どもを相手にするようなぎこちなさを感じる。

 

「アルバス……という名を付けられていたか。よかろう、アルバス。我とデュエルする栄誉を与える」

 

「いや、やらないが……」

 

アルバスに変に絡もうとしてドン引きされてるアルベル。

何がしたいんだこのヴィラン顔は。

俺はため息をついて遊姫に向き直った。

 

「とりあえずアルベルは一旦置いといて……、遊姫は家まで送ろうか?もう夜も遅いし、親御さんも心配してるんじゃ?」

 

助けて貰ったお礼として「お腹減った!」×2という要望に応えたのだが(カップ麺しか無くて申し訳なかったが、エクレシアはおろか遊姫も「それが良い!」と熱く希望してきた)、夜もすっかり更けた時間帯。

今日のところは帰して後日改めて何かお礼をした方がいいと思ったのだが、遊姫は実にあっけらかんに言った。

 

「あ、それは大丈夫。多分もうそろそろ、叔母さんが迎えに来ると思う」

 

叔母さん?

そういえばこの前、そんな存在をちらっと小耳に挟んだ気がするな。

遊姫が身の上話をする。

 

「ボク、デュエル学園に入学するのに上京してきてさ、今は叔母さんの家にお世話になってるんだ。それでさっき、叔母さんの目の前で竜化したアルバスに乗って来たから、スマホのGPSを追って来ると思う。連絡も来たし」

 

遊姫は「ごちそうさまでした!」とスープまで飲み干し、水を飲んだ。

 

「ぷはっ。だから帰りの足は大丈夫!ゆっくり話せるよ。という訳で今度はセアミの話の番!セアミはどうしてアルベルとデュエルする事になったの?」

 

「それが今日、かくかくしかじかで……」

 

俺がひと通りの顛末──P.U.N.K.たちのセッションで騒がしくしてたら隣人のアルベルから苦情が入り、流れでデュエルした事を話した。

話を聞いた遊姫は、まだしつこくアルバスに絡むアルベルに向き直った。

遊姫は誰に対してもフレンドリーに話し掛ける。

 

「ねぇねぇ、セアミが『特異点』ってどういう事なの?アルベル」

 

「……貴様は知らなくてもいい事だ。只者が」

 

アルベルはチラリと遊姫を見たが、興味なさげに顔を背けた。

アルバスには興味津々なアルベルだが、人間である遊姫にはこれっぽっちも興味がないようだ。

この露骨な対応に、さすがの遊姫も頬を膨らませた。

見兼ねた俺が会話に入る。一応、アルベルの所有者だし。

 

「ていうか結局俺も『特異点』なんて呼ばれる理由は聞いてないぞアルベル。デュエルには俺が勝ったんだし、いつまでもふんぞり返ってないで教えてくれよ」

 

アルベルはジッと俺を見てきて、フッと小馬鹿にしたように笑った。

コイツの態度は……ッ

 

「よかろう。……が、実のところ我も詳しくは知らん。思えば、神祇官がそう零していたのをそのまま使っていただけだ」

 

「何も知らないのに俺の事を『特異点』なんて呼んでたのか?」

 

「普通に呼ぶよりカッコイイであろう?」

 

「お前の基準、カッコイイかどうかだけかよ……。特異点って呼ぶ理由知らないなら、もう俺の事そういう風に呼ぶなよ?」

 

「フッ、仕方ない」

 

なんで俺が許された感じなんだよ。もう一回ブッ飛ばしてやろうかコイツ。

しかし結局、俺が特異点なんて呼ばれる理由は分からず終いか。

いや、まだ糸口はある。

 

「なら、その神祇官は何処にいるんだ?そいつに話を……」

 

「神祇官なら、我が隣の部屋を借りた時には『では、私は他にやる事がありますので』と言って何処かへ消えていってしまったぞ。もちろん、行先は知らん」

 

コイツ、本当に使えなッ……イイ性格してやがるな。

結局振り出しに戻ってしまった。

俺が途方に暮れていると、俺の隣でボーッとしていたセアミンがソファから立ち上がってとことこ歩き、アルベルの横に立った。

突然横に立たれたアルベルが、訝しげにセアミンの顔を見上げる。

 

「なんだ?精霊同士とはいえ、貴様と肝胆相照らす気はないぞ?」

 

ふんぞり返るアルベルを、ジーッと無表情で見つめるセアミン。

そして懐からゴソゴソ何かを取り出した。

アルベルがピクリと反応する。

 

「……待て。なぜ貴様がソレを持っている?我の嗤う黒山羊(ルンペル・トイフェル)をッ」

 

セアミンが取り出したのは、アルベルが道化師姿の時に被っている仮面。

セアミンは驚くアルベルにそれをズボッと装着させると、和服がサイケデリックに輝いて玉座ごとアルベルを持ち上げた。力持ちセアミン。

仮面を被らされたアルベルが狼狽の声をあげる。

 

「お、おい!?」

 

「道化師(ピエロ)なら演者(キャスト)として使える。私たちの演目(ライブ)に出演決定」

 

そのまま部屋から退出していくセアミン。

連れ去られるアルベルは「下ろせ!我はまだアルバスと話を……っ」とセリフの途中で扉が閉められた。

アルベルが居ると話が全く進まなかったからな。セアミンが気を利かせて連れて行って(どかして)くれたのだろう。

俺は改めて遊姫に向き直った。

 

「……まぁそんな感じで一応、あのアルベルが手元に加わった感じだ」

 

「そっかー……。ゴメンだけど、ボクちょっと苦手な人?かも」

 

人見知りとかしない遊姫でさえこの反応である。

アルベル、根は多分そこまで悪くないヤツかもしれないが、印象(キャラ)がいけ好かないので万人から忌み嫌われるタイプだ。

ナチュラルに人をおちょくるようなあの顔と言動、どうにかならんか……。ならなそうだな。

 

「ねぇねぇ、セアミ。とりあえずお互いの状況も分かった事だし、叔母さんが迎えに来るまでセアミのお家を探検していい?」

 

気を取り直した遊姫が、ワクワクといった様子を全身から迸らせてそう尋ねてきた。

どうやら俺がどういう生活をしているのかが気になるらしい。

 

「別にいいけど、特に何もないぞ?……いや、最近はP.U.N.K.たちが好き勝手してるから散らかってるか……」

 

寝泊まりするためだけに契約した部屋なので、私物はあまり無い。代わりに実体化したP.U.N.K.たちが色々荷物を持ち込んでいた。

そんな説明をしたが、それでも遊姫は目を輝かせて室内を物色し始めた。

……自分で言うのもなんだが、遊姫は俺(セアミン♂)に好意を寄せてるからな。気になる人の住まいは気になって当然か。

 

「ふふふ……、思いがけずセアミのお家に入っちゃった!この機会は逃せないよね!」

 

部屋の中をあっちこっち見て動く遊姫。

手持ち無沙汰なアルバスとエクレシアも、部屋の中を物珍しそうに見渡していた。

手持ち無沙汰になった俺はそんな彼らに話しかけてみる。

 

「二人はこれからどうするんだ?アルベルみたいにデュエルした結果カード化したならともかく、二人はまだ自由の身なんだろ?」

 

ご飯を恵んでもらっただけで、遊姫の所持カードになったわけではないはずだ。

だがそんな俺の予想は外れた。

 

「いや、俺らは所有者(マスター)はもうユウキだ」

 

「うん。ご飯もいっぱい食べさせてくれたし、短い時間だけど良い子だっていうのはよく分かったから。お礼……って言うのは変だけど、私たちはもうユウキの手持ちカードだよ」

 

曰く、精霊たちは、実体化するよりもカード状態の方がラクらしい。

割とデュエルの勝敗関係なく、自分で所有者を見定めて早急にカード化を選ぶ精霊が多いんだとか。ネットでもそういう情報が上がっている。

だから逆に、主人(マスター)を持たず今だに実体化して彷徨っている精霊(モンスター)は奇特な存在と言えた。

ますます神祇官がキナ臭くなってきたな。

 

「ね、ねぇセアミ……コレ」

 

俺がちょっとマジメな顔をしていると、顔を赤くしてモジモジしている遊姫が何やら本を片手に戻ってきた。

雑誌?ウチに雑誌なんて……、あ。

それは、娑楽斎とワゴンが持ち込んだちょっとエッチなグラビア雑誌だった。

 

「セ、セアミも男の子だもんねっ。やっぱり、こういうのに興味が……///」

 

赤い顔でジトッとした視線を向けてくる遊姫。

ご、誤解……でもないか。俺も一緒に見て、男衆としてちょっと盛り上がったし。

その時のP.U.N.K.女性陣のジト目が懐かしい。

さて、幻滅させるようで悪いが、こういう時は開き直るに限る。男は女体に興味津々であると。

セアミ(俺)は紛うことなき♂(男)だしな!

 

「ああ、特にその表紙の子の腰つきは最高だよな」

 

「なっ!?」

 

肯定した俺に、まさか話に乗ってくるとは思わなかったのだろう遊姫が口をパクパク開閉させる。

……いかん、今のセクハラだったか?そういえば遊姫って思春期真っ盛りの中学生じゃん。捕まったわ俺……

だが遊姫は恐る恐る表紙を覗き見て、「へ、へー?セアミってこういう子が好きなんだ?」と隣のソファにぼすっと座った。

そして遠慮気味にクネッと、表紙のポージングを遠慮がちに自身の身体で真似た。

上目遣いでこちらを見てくる。

 

「ど、どう?」

 

「は?エロ」

 

男装イケメン女子が、好きな男に向かってエロいポーズ(本人目線)を自発的に取ってくるとか、エロゲかな?

つい口に出てしまった俺の言葉に遊姫はさらに顔を赤くするが、それでもポーズは止めずむしろにじり寄ってくる。

うわなんか凄く甘くて良い匂いがするっ!

 

「セアミが望むなら、こ、この際どい水着もボク、着れるよ?」

 

「い、いやゴメン失言だった。着なくていいからっ。子どもにそんな事求めてないから!」

 

「子どもって……。セアミも見た目は子どもじゃん」

 

遊姫はそう言いながら、胸元をしゅるりと少しはだけさせた。

その目はさながら肉食獣の目。ゆ、遊姫さん……?

サラシに押し潰された豊満な谷間が目に映る。

無意識にゴクリと生唾を飲み込んだ。

 

「あ///」

 

「え……、あ」

 

遊姫の視線がある一点に釘付けになる。

遅れて、俺も気付いた。

俺のセアミン♂が、ズボン越しに直立して……

 

「何か、来た」

 

ぬっ、と、精霊セアミンが俺たちの顔の間に割って入った。

 

「うぉお!?」

 

「わぁ!?」

 

弾かれたように俺たちはお互いに距離を取った。

バクバクと心臓が鳴る。

俺は内股になって誇張する股間を隠した。

肉体が子ども(セアミ)だからか、普通に反応してしまった。遊姫に申し訳ない。

遊姫も正気になったのか、向こうで「ひゃー///」と胸元をパタパタさせて火照った身体を冷ましていた。その行動も胸が露出して危ない。

俺は気を紛らわすようにセアミンに向いた。

 

「な、何が来たってセアミン?」

 

「窓の外」

 

セアミンに促されて、俺と遊姫は窓から顔を出してみる。

するとアパートの前の一本道の向こう、暗がりの道路の奥からキイィィィ、と高音の機械音が響いてきた。

 

バイク……いや、アレはもしかしなくてもDホイールか!?

 

そのDホイールがキィッ!とアパートの前でスライドブレーキ(AKIRA)して停まった。

シュウゥ……と摩擦熱の白煙が立ち上る中、搭乗者がヘルメットを被ったまま声を張り上げた。

暗闇に凛々しい声が響く。

 

「遊姫ー!!何処に居るのー!?お姉ちゃんが迎えに来たわよー!」

 

「おーい!叔母さん、珠羅(じゅら)さんこっちー!」

 

遊姫が窓からブンブン手を振ってアピールする。

どうやらあのDホイーラーが例の叔母さんらしい。だいぶイカつい登場してきたな。

それにしても、なんかちょっと聞き覚えのある声な気がする。

この世界での妙齢な女性の知り合いなんて居ないから、100パー気のせいなハズだが……

 

「もう、突然アルバス君に乗ってどっか行っちゃうから心配して……っ、ッッッ!?!?!?」

 

バイクから下りてヘルメットを置き、遊姫を見つけて負けじと手をブンブン振り返してきた彼女は、突然ピシリと固まった。

遊姫の横の、俺(セアミン)と視線が合って。

そして俺も思い出した。

この人、俺がこの世界に来て初めてデュエルしたあの人……

 

「な、ななななんでこんな所にセアミンちゃんが!?!?!?」

 

遊姫の叔母さん──、改めサイドテールを揺らすジュラックお姉さんが、姪っ子を迎えにDホイールで駆け付けた。

 

 






アルベル「おい、なんだこの珍妙な顔をした龍は?」

娑楽斎「改造した獅子舞だ。お前さん、ドラゴン系統なんだろ?なら龍舞がピッタリだと思ってな!あと漢服(チャイナ服)が似合いそうな顔してるから衣装はこれな!っというわけで今度の演目は中華系で行くぜェ!」

「ふざけるなよ、我は観る側だ。伶人の真似事などやらん」

ワゴン「まぁまぁ、そう言わずに。まずは触りだけ」
ディア「一緒にやろうよ。楽しいよ?」
ライ助「つべこべ言わず演れ」

「っく、なぜ最も小さいお前が一番力が強い!?やめろっ、我はそんなブサイクな龍の被り物など絶対しなッ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。