携帯魔獣叛乱戦争   作:EXTERMINATION

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第六十二話-神殺しの執念

体内を灼き、内臓を食い破る「炎の渦」と「ミサイル」の複合爆縮。

その凄まじい衝撃に、大地の神・グラードンは初めて膝を折り、

山が崩れるような地響きと共にその巨躯を大地に横たえた。

腹部の裂け目からは、溶岩のように熱い鮮血が奔流となって溢れ出し、

周囲の土壌を赤黒く染め上げていく。

 

「(倒した……!)」

 

雷光は、ボーマンダの背の上で、肺に溜まっていた熱い呼気を吐き出した。

哲も、茂も、泥にまみれた顔に安堵の断片を浮かべ、神の沈黙を享受しようとした。

だが、その希望は刹那にして打ち砕かれる。

 

「……バカな、立ち上がるのか!?」

 

哲の悲鳴のような叫び。

グラードンは、内臓をズタズタにされながらも、折れ曲がった四肢に力を込め、

再びその重厚な体を垂直に持ち上げたのだ。

確かに、先ほどの致命打は効いている。黄金の眼光は虚ろに濁り、焦点は定まっていない。

だが、その虚ろな瞳の奥に宿ったのは、理性なき「純粋な殺意」だった。

 

「くっ、まずいな。翼竜の残弾数も、もう心許ない……!」

 

大悟の焦燥に満ちた声が無線機から漏れる。

 

「どうする!同じ手が二度通用するような相手じゃないぞ……!」

 

グラードンはもはや街への進行を止め、その全意識を雷光たちへと向けた。

決定的なダメージを与えた代償は、

神を「知性ある脅威」から「狂える殺戮者」へと変貌させてしまったことだ。

奴は地を揺るがす咆哮を上げ、死に体とは思えぬ速度で襲いかかってきた。

 

グラードンの凄まじい足踏みが、『地割れ』を引き起こす。

あまりの振動に哲たちは立っていることすらできず、

哲は跳ね飛ばされて巨大な岩石に背中を強打した。

 

「ぐあぁっ!! ……て、哲さん!!」

「……クソ、意識が……オーダイル、やれっ!!」

 

指示を待たず、守護者たるオーダイルが独断で『ハイドロポンプ』を放つ。

しかし、グラードンの背の噴火口から放たれた『ソーラービーム』が、

その激流を真っ向から蒸発させ、オーダイルを光の柱でなぎ払った。

茂のラグラージが放った『水の波動』も、

グラードンが纏う異常な熱気によって標的に届く前に霧散する。

 

「(奴がその気なら……こちらも、非情たる殺戮者となるまで!!)」

 

雷光の瞳から、少年らしい迷いが消えた。

グラードンが倒れた哲と茂に止めを刺そうと、

その巨大な口を広げ、『大文字』の予備動作に入った瞬間。

 

 

上空から、翼竜のガトリング砲がグラードンの顔面に火花を散らした。

無数の弾丸が鱗を叩き、視界を奪う。

神獣が怯んだ隙に、哲たちは辛うじて死の圏内を脱した。

怒りの矛先は翼竜へと向く。放たれた猛炎を、

大悟は神業的な操縦で回避し、逆にグラードンの左目へとロックオンを定めた。

 

「喰らいな、化け物ォ!!」

 

放たれたミサイルが、グラードンの左眼球を直撃し、爆砕した。

片目を失った神の絶叫が戦場を劈く。

そこへボーマンダの『ドラゴンクロー』が肉薄し、傷ついた腹部の裂け目をさらに引き裂く。

 

「殺せ!殺せ!殺せえぇぇぇッ!!」

 

茂の叫びと共に、オーダイルとラグラージが双子の激流を叩き込む。

顔から、腹から、夥しい量の血を流し、もはやグラードンは紅い肉の塊と化していた。

しかし、どれほど肉体を削り、嬲り殺さんとしても、その生命の根源は断ち切れない。

 

血に塗れたグラードンの全身が、不気味に脈動を始めた。

奴は最後にして最強の奥義、『噴火』を発動しようとしていた。

背中の噴火口が赤黒く発光し、大気が真空状態のように引き絞られていく。

 

一発目で陸上部隊は壊滅した。

至近距離で二発目を受ければ、雷光たちに生き残る術はない。

対抗手段は、もう何一つ残されてはいなかった。

 

その時、雷光の耳元の通信機に、大悟の静かな声が入った。




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