体内を灼き、内臓を食い破る「炎の渦」と「ミサイル」の複合爆縮。
その凄まじい衝撃に、大地の神・グラードンは初めて膝を折り、
山が崩れるような地響きと共にその巨躯を大地に横たえた。
腹部の裂け目からは、溶岩のように熱い鮮血が奔流となって溢れ出し、
周囲の土壌を赤黒く染め上げていく。
「(倒した……!)」
雷光は、ボーマンダの背の上で、肺に溜まっていた熱い呼気を吐き出した。
哲も、茂も、泥にまみれた顔に安堵の断片を浮かべ、神の沈黙を享受しようとした。
だが、その希望は刹那にして打ち砕かれる。
「……バカな、立ち上がるのか!?」
哲の悲鳴のような叫び。
グラードンは、内臓をズタズタにされながらも、折れ曲がった四肢に力を込め、
再びその重厚な体を垂直に持ち上げたのだ。
確かに、先ほどの致命打は効いている。黄金の眼光は虚ろに濁り、焦点は定まっていない。
だが、その虚ろな瞳の奥に宿ったのは、理性なき「純粋な殺意」だった。
「くっ、まずいな。翼竜の残弾数も、もう心許ない……!」
大悟の焦燥に満ちた声が無線機から漏れる。
「どうする!同じ手が二度通用するような相手じゃないぞ……!」
グラードンはもはや街への進行を止め、その全意識を雷光たちへと向けた。
決定的なダメージを与えた代償は、
神を「知性ある脅威」から「狂える殺戮者」へと変貌させてしまったことだ。
奴は地を揺るがす咆哮を上げ、死に体とは思えぬ速度で襲いかかってきた。
グラードンの凄まじい足踏みが、『地割れ』を引き起こす。
あまりの振動に哲たちは立っていることすらできず、
哲は跳ね飛ばされて巨大な岩石に背中を強打した。
「ぐあぁっ!! ……て、哲さん!!」
「……クソ、意識が……オーダイル、やれっ!!」
指示を待たず、守護者たるオーダイルが独断で『ハイドロポンプ』を放つ。
しかし、グラードンの背の噴火口から放たれた『ソーラービーム』が、
その激流を真っ向から蒸発させ、オーダイルを光の柱でなぎ払った。
茂のラグラージが放った『水の波動』も、
グラードンが纏う異常な熱気によって標的に届く前に霧散する。
「(奴がその気なら……こちらも、非情たる殺戮者となるまで!!)」
雷光の瞳から、少年らしい迷いが消えた。
グラードンが倒れた哲と茂に止めを刺そうと、
その巨大な口を広げ、『大文字』の予備動作に入った瞬間。
上空から、翼竜のガトリング砲がグラードンの顔面に火花を散らした。
無数の弾丸が鱗を叩き、視界を奪う。
神獣が怯んだ隙に、哲たちは辛うじて死の圏内を脱した。
怒りの矛先は翼竜へと向く。放たれた猛炎を、
大悟は神業的な操縦で回避し、逆にグラードンの左目へとロックオンを定めた。
「喰らいな、化け物ォ!!」
放たれたミサイルが、グラードンの左眼球を直撃し、爆砕した。
片目を失った神の絶叫が戦場を劈く。
そこへボーマンダの『ドラゴンクロー』が肉薄し、傷ついた腹部の裂け目をさらに引き裂く。
「殺せ!殺せ!殺せえぇぇぇッ!!」
茂の叫びと共に、オーダイルとラグラージが双子の激流を叩き込む。
顔から、腹から、夥しい量の血を流し、もはやグラードンは紅い肉の塊と化していた。
しかし、どれほど肉体を削り、嬲り殺さんとしても、その生命の根源は断ち切れない。
血に塗れたグラードンの全身が、不気味に脈動を始めた。
奴は最後にして最強の奥義、『噴火』を発動しようとしていた。
背中の噴火口が赤黒く発光し、大気が真空状態のように引き絞られていく。
一発目で陸上部隊は壊滅した。
至近距離で二発目を受ければ、雷光たちに生き残る術はない。
対抗手段は、もう何一つ残されてはいなかった。
その時、雷光の耳元の通信機に、大悟の静かな声が入った。
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