携帯魔獣叛乱戦争   作:EXTERMINATION

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最終話-約束-

空を統べる神、レックウザを一撃で沈黙させたその威容。

紫色の光を纏い、宙に漂うミュウツーの姿は、

もはや「兵器」という言葉すら生温い、絶対的な終焉そのものだった。

 

「な、なんだこいつは……」

「レックウザを一撃で……こいつ、味方なのか!?」

 

炎帝が驚愕の声を上げる。しかし、その期待は瞬時に凍りついた。

ミュウツーを制御していたはずのシステムは、狂った研究員の手によって

「すべてを消す」という破滅のプログラムに書き換えられていたのだ。

彼にとって、眼前に広がる光景は守るべき祖国でもなければ、

倒すべき敵でもない。ただ消去すべき「不純物」の集まりに過ぎなかった。

 

「……戦争に善も悪も無い。残るのは屍だけ……私たちはもう……終わりなんだね……」

「す、水君!起きてたのか……」

 

カイリューの背から下ろされ、岩の上で横たわっていた水君が、

力なく、だが透き通るような瞳で空を見上げていた。

その視線の先で、瓦礫の中から這い出したレックウザが、神の誇りを懸けた咆哮を上げる。

全エネルギーを凝縮した黄金の『破壊光線』がミュウツーを襲う。

だが、ミュウツーは指一本動かさず、精神の力――『サイコキネシス』を展開した。

光線が中央から裂け、逆流するようにレックウザの巨躯を貫く。

直後、大気を震わせる大爆発が起き、レックウザは塵一つ残さず、この世から消滅した。

 

「次は俺たちの番かよ……!」

 

ミュウツーの冷徹な眼差しが、地上に残された人間たちに向けられる。

 

「くっ……こいつイカレてる!!リザードン、『竜の怒り』だ!!」

「オーダイル、『ハイドロポンプ』!!」

「ラグラージも、最大出力!!」

 

炎帝、哲、茂が同時に指示を飛ばす。

しかし、ミュウツーは微動だにせず、ただ念動力を振るった。

放たれた三つの濁流と炎は、中空でピタリと静止し、

物理法則を逆行するように倍の威力を伴って主へと撃ち返された。

 

「あああああッ!!」

 

爆炎の中に、哲と茂の姿が消える。自分の相棒を抱きしめたまま、

二人はその短い生涯を閉じた。

 

「最期はクールに散りたいね……!」

「いいや水君、いっそなら花火のように情熱的に果てよう!」

 

雷光と水君が立ち上がる。隣には、ボロボロになった炎帝もいた。

カイリューが『逆鱗』でミュウツーのサイケ光線を防ぎ、

その隙にライチュウが『ボルテッカー』で突進する。

リザードンがその周囲に『炎の渦』を巻き付かせ、雷と炎が融合した一撃が放たれた。

 

「ライトニング・ファイヤー!!」

 

紅蓮と黄金の螺旋がミュウツーを捉える。

ミュウツーは『守る』でこれを無力化しようとしたが、

炎の渦の反動が大地を揺らし、わずかにその姿勢がぶれた。

 

「ここよ! これが私の……!!」

「俺たち三人が結束した……!!」

「究極の一撃ッ!!」

 

三人の魂が一つに重なる。

ライチュウの雷、リザードンの『ブラストバーン』、カイリューの『逆鱗』。

 

「「「エターナル・ユニティ・ブレイカーァァァァァッ!!」」」

 

眩い極彩色の光がミュウツーを直撃した。

流石のミュウツーも力負けし、防壁を貫かれて被弾。

爆煙の中で、麻痺、火傷、凍り――ありとあらゆる状態異常がその身体を蝕んでいく。

 

「俺たちは限界を突破するッ!!」

 

雷光が叫ぶ。

 

「絶対、帰還するために!!」

 

水君が祈る。

 

「赤く熱い鼓動!!その網膜に焼きつけろッ!!」

 

炎帝が咆哮する。

 

これまで三人が積み上げてきた絆、そのすべてを込めた最後の一撃。

 

「「「リターン・ザ・フェイバーァァァァ……インパクトォォォォォッッ!!」」」

 

最大パワーの『恩返し』。

人間と魔獣が信じ合った強さの証明が、ミュウツーの胸元で大爆発を起こした。

 

爆煙がゆっくりと晴れていく。

だが、そこにあったのは絶望だった。

 

「コノテイドカ」

 

ミュウツーは、無傷だった。

その圧倒的な精神障壁の前に、三人の究極の一撃さえも届かなかったのだ。

対照的に、力を使い果たしたライチュウ、リザードン、カイリューは

その場に力なく倒れ伏し、戦闘不能となった。

 

「リ……リザードン───────────!!うわああぁああっぁあぁあぁ!!」

 

炎帝が相棒の骸に縋り付き、慟哭する。

 

「炎帝……もう、もう良いんだよ……。

お前は……お前とリザードンは、本当によく頑張った……」

「そうだよ……炎帝……ぐすっ……ごめんね……私、涙が止まらないよ……」

 

雷光と水君が、泣き崩れる炎帝を優しく抱きしめた。

空には、とどめを刺そうと光を収束させるミュウツーの姿。

これが最後だと悟った三人は、互いの温もりを感じながら、最期の言葉を交わした。

 

「雷光、炎帝……私、嬉しかったよ。二人が私も一緒に旅しようって誘ってくれて……!」

「当然だ! 水君は、俺たちの掛け替えのない仲間だ……『未来』でも三人、ずっと仲間だぜ!」

「へへっ……『未来』じゃ、今度こそ俺様のリザードンと勝負しろよな、雷光!!」

 

「「「約束だ」」」

 

三人の顔に、もう恐怖はなかった。

あるのは、この地獄のような戦場を共に駆け抜けた戦友への愛と、

いつかまたどこかで出会う「未来」への希望。

 

ミュウツーの手から放たれた、すべてを覆い尽くすほどの巨大な白光が、

三人を目も眩むような優しさで包み込んだ。

 

……。

 

イヤ……

 

マダ スベテヲ オワラセテ イナイ……

 

ワタシハ イカナケレバ ナラナイ……

 

ミチナル バショ……『宇宙』ヘ。

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。
本作は僕が2005年に執筆した作品です。
処女作ではありませんが、かなり初期の作品です。
良ければ、感想や評価をもらえると幸いです。
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