後、今更ですが金次君の原作知識はおぼろげと言う設定です。
ご理解の方どうか宜しくお願いします。
『偽者ですか。本者ですか?』
その言葉に、俺は
『諜報科2年の遠山金次だ。………勿論本人だ。特殊メイクに見えるならこの顔を引っ張ってみるか?』
この言葉にレキはフルフルと首を降ると、そのまま何も言わずに出ていったのだ。
欠片を俺達に本投げてから。
いったい何をしたかったのだろうか?
其に入れ替わるようにして入って来た峰理子が報酬の金を持って来て俺が欠片を渡して終わったのだが、何処かぎこちなさというか違和感が拭い切れなかった。
だが、危機回避とでも言うのだろうか?
偽者と言う言葉が俺には、何よりも恐ろしい言葉に感じたのだ。
何故なら俺は、紛い者だから。
物でもなく者。
少なくとも人であると言う所だけは譲れない。
だが、俺が遠山金次で合って遠山金次ではない事は確かだ。
正確には俺は、赤子の遠山金次に憑依し遠山金次の体を寄生虫の様に、乗っ取った誰かさんなんだから。
どうして、俺が遠山になったのかなんて考えるだけ無駄だと思って、考えるだけめんどくて疲れるだけだと、割りきっていた。
そして、遠山金次であることを受け入れていた。
だが、無理だった。
雨が降ったら雨を楽しめと誰かが言ったが、限度と言う物が有る。
だから、両親が死んでまだ、この頃はイ・ウーに関わってはいなかったんだろうが、仲の悪かったクソ兄貴が段々家に帰って来なくなって、何となく嫌な予感がして中学では菊代と色々合って菊代の家で中学卒業まで、居候して、家賃変わりに色々手伝って、その間に何時の間にか、組のメンバーにされていて、其で良いと思っていた。
兎に角、クソ兄貴と原作に関わりたくなくて、そして、遠山金次でいたくなかった。
其に【チャンス】だとも思っていたから。
彼処だけが、白雪の願いを叶える事の出来る近道だったから。
遠山金次でいることを一時的に選んだ。
だが、どんなに、川が何本に別れていても、やがて海に行き着く様に神崎・H・アリアに関わってしまった。
何と情けない。
今までのは一体なんだったのか。
電話レンジ合ったら直ぐに使いたい。
とまぁ、そんな事を考えていたら勿論モヤモヤして眠れなかった訳で、何時の間にか朝になってるわ、風魔が俺のいないのを良いことに、空き部屋の一つに畳を敷いて自室にしてるわ。(合鍵渡してから、ちゃんとお仕置きはした)
白雪がいないから、何処に何が閉まってあるのか分からんわ、探してる間に小型カメラが大量に見つかるわ。
そもそも一緒に住んでるのだから、カメラ仕掛けなくても良いのでわないだろうか?
なんてそうこうしてる間にアリア(神崎かなえと被ってややこしいからこう呼んでいる)が迎えに来て菊代とアリアにほぼ引き面れる様に車に押し込められてそのまま、神崎かなえのいる新宿警察署まで、来たのだが、どういう訳か菊代曰く『他にやって貰うこと有るから待機其と時間になったらの迎え』と言われて現在菊代が、制服に付けた小型カメラに映った神崎かなえとクレフトをサーバーに、潜り込ませて警察署内地図と監視カメラの位置、神崎かなえの牢屋の位置、其と今菊代とアリアと面会中の神崎かなえの生中継を近くのカフェのオープンテラス(流石に警察署近くにいるのは不味いと思ってとサボ………束の間の休息の為)で眠気覚ましのコーヒーを飲みながら見ているのだが、
「なぁ」
「はい」
「何でいるん?」
「貴方が此処にいたからです」
「理由になってねぇよ……て言うか、何で他に席空いてるのに相席してるんだよ」
「風がそうしろと言ったからです」
「なんつー便利な台詞だよ。レキ」
今、目の前にどういう訳か、レキがいる。
其も何かを注文する訳でもなく、ただ真正面に座って此方をじっと見ている。
特に何を言ってくるとかではなくじっと見つめてくる。
何処のホラー映画だよ。
其に
「ウルスはこの件に関しては傍観を決め込んでいると星伽の巫女達から、聞いていたんだがな………違うのか?
「風は、まだ動くべきでは無いと言っています」
『まだ』か。
動く準備をしていると捕らえても良いのだろう。
だけど
「お前達がどう動こうと興味ねぇよ。と、言うよりお前らと関わると星伽が良い顔をしないんだ。其に、昨日のお前の行いは警告と捉えるが良いよな?」
そう言うとレキは数秒間黙ってから、こくりと頷いた。
ウルスは、いったい何を考えているんだ?
因みに、ウルスとは、白雪から聞いた話だと、元々は、源義経改めチンギス=ハンの末裔レキはその姫君なんだとか。
んで、その源義経が、日本を離れるのを津軽からコッソリお手伝いしたのが、星伽なんだと言う。
何でも、ロシアとモンゴルの国境付近、バイカル湖南方の高原に住む少数民族で優れた弓や長銃の腕を恐れられた傭兵の民だったが、次第に数を減らし今ではもう47人しか生き残りがいないと絶滅の危機に反しているらしい。
更に不思議な事にその全員が女だと言う。
武藤が聞いたら女ケ島は実在した!って喜ぶだろうな。
島じゃないけど。
其にもしこいつらウルスと関わってしまったなんて星伽の耳に入ったら白雪に迷惑掛かるどころか確実に嫌われる可能性だって有る。
其は嫌だ。
そんな事になったら直ぐに首を括るね。
『神崎。時間だ』
イヤホンから俺の耳にその言葉が届き、ふと、視線をPCに向けると、
『やめろッ!ママに乱暴するな!』
二人の管理官に腕を捕まれ面会室の扉の奥へと連れて行かれ其に飛び掛かるように分厚いアクリル板を何度も叩く姿が菊代の視線で写し出される。
正直、今日の夜にでも個人的に会いに行こうかとか少し考えていたんだが、今日は悪魔で顔合わせだ。
病院のお見舞いと同じでぞろぞろと大勢で行くのは向こうにも迷惑だろう。
かなえさんのお部屋にお邪魔するのはまたの機械でも良いか。
この様子だと、かなえさんの方も口を閉ざすだろうし。
其に、先程から会話を聞いていれば、どうにもかなえさんは裁判を望んでいないようだったからな。
まるで、小鳥が扉の空いたカゴから出ようとしないように。
こりゃ時間が掛かりそうだ、裁判ごっことかイ・ウーとか【色金】とか抜きにして考えても。
菊代がアリアを押さえているのだろう。
最早アリアの私服の生地で画面が多い尽くされたのを見てから。
PCを閉じて後ろを向き道路を挟んで直ぐ目の前に立つ警察署をチラリと見てから。
席を立ち会計を済ませて駐車場まで来たのだが。
「おい」
「はい」
「何で着いてくる?」
「…………」
「何でかと聞いているんだ」
「…………」
「何か言ったらどうなんだ?」
「…………」
レキは何も言わずに、後ろからジーと言う文字が頭の上に見えそうな位此方を無言で見詰めて来る。
『貴方は偽者ですか?』
その言葉がまた頭の中で何回も繰り返される。
俺は、其から逃れるようにして車に乗り込む。
昨日の事も合ってどうやら俺は、アリアのとはまた別の苦手意識を持っているようだ。
レキから逃げるように扉を閉めようとした時に
「気を付けて下さい。良くない風が吹いています」
「………今、正にそうだろうな。…………なぁ、俺からも質問良いか?」
レキは、無言でこくりと頷いた。
「お前は、いや……お前らは『銃弾』か?『人間』か?」
「銃弾です」
即答だった。
其が当たり前と言うように。
実際、何でこんな質問をしたのか、質問した俺自身も分からない。
だけど、何か質問して置かなきゃいけない気がした。
「そうかよ即答か。何時か、答えが変わるのを待ってるぜ」
そのまま扉を閉めその場を去ったのだが、バックミラーに写るレキの姿が妙に気になった。
「ちょっと、遅かったね」
「悪い。混んでてな」
「信号挟んで直ぐでしょうに」
「やることはやったから安心してくれ」
警察署前に来て、その場に待っていたのは、目を細めて俺の事を怒る菊代と下を向き暗い表情をするアリアだった。
運転が菊代に変わり暫く無言のドライブが続いたのだが、なんとまぁドラマ見たいにタイミング悪く隣の道路に中の良い母と娘の乗った車が停車したのだ。
何気なく窓の外を見ていたアリアは、次第に
「ひぐっ…………くっ……ママ……」
声を殺して泣いている事を悟られたくないのか必死に目元を押さえている姿が鏡に写る。
菊代はチラリと鏡に写るアリアを見てまた視線を戻して運転を再開する。
気を効かせて気がつかないフリをしているのだ。
こう言う時に下手に声を掛ければ帰って逆効果になってしまう。
菊代は其を一番良く分かっているから。
だが、俺は、どう言うことなのだろうか?
さっきから泣くアリアを見ていると落ち着かないのだ。
別に変な意味ではない。
なんと言うかこう、前にもこんな光景を見た気がするのだ。
こんな子が泣いている姿を。
だからだろうか、気がついたら。
「菊代。悪いが彼処で車を止めてくれ」
「…………分かった」
車を脇に止めて、そのまま外に出ると小雨になっていた。
もうすぐどしゃ降りになるだろう。
5分程して、車に戻ったがまだアリアは、泣いていた。
体育座りで先程よりも声が大きくなって。
だが、その両手には菊代が何時も持っている桜が描かれた薄ピンクのハンカチが握られていた。
俺は、手だけをアリアの方に向けて
「どうしたんだポン?」
「え?」
話掛けるとアリアは顔を起き上がらせてそのまま目を大きくて見開いて驚いていた。
まぁ、そうなるよな。
だって俺の手は今
「アリアちゃん元気無いポン?オイラが相談に乗ってやろうかポン?」
ライオンとヒョウが混じった様なマスコットレオポンのパペット人形が嵌められている。
其を動かしながら、腹話術で何処かの遊園地のバツイチゲスコットの羊くんの『ロン』を『ポン』に変えて喋る。
声も拘って再現した。
効果は有ったようで、先程まで泣いていたアリアの目はまだ水滴が残っているもののもう泣いてはいなかった。
昔、風魔にやった方法が何処まで通用するのだろうか?
「アリアちゃん泣いてるのかポン?」
「な、泣いてなんか、いないわよ」
アリアはレオポンと視線を一度あわせて直ぐに目を反らしてしまった。
こう言う時は
「じゃあ、オイラからプレゼントあげるポン」
「……プレゼント?」
「元気になれる魔法のお菓子だポン!アリアちゃんに食べて欲しいポン!」
差し出したお菓子と言うのは、このレオポンを買った玩具屋のレジの脇に置いて合った飴玉だ。
因みに味はももまん味で他にもたこわさ味とか白子ぽん酢味鯖味噌味何かも有ったから驚きだ。
味は保証しない。
何処かの魔法学校見たいに耳クソ味とかは、無かった。
少し残念。
アリアは、恐る恐るその飴を受け取って袋を破くと、そのまま口の中に入れて。
「美味しい……」
美味いんだ………アレ。
ももまん味(新発売)と書いて有ったから何と無く買ってしまったが。
まぁ、美味しいなら良かった。
「どう?元気になったかポン?」
アリアは、下を向き肩を震わせていた。
怒っているのであろうか?
『ミー』とか『モッフ』の方が良かったのだろうか?
そんな心配を余所に、ガッ!とレオポンの頭を突然アリアが掴みスポッと俺の手からアリアにレオポンが渡り。
「可愛い………!」
ギュ~~~~と、レオポンの頭の所を力いっぱい抱き締めるアリアの顔は
「フフッ…」
年相応の子供が見せる輝かしい秤の無邪気な笑顔だった。
俺は、アリアの横にそっともう一つ買っておいた小さなレオポンのストラップを置いた。
「あんた、表面上とか言ってなかったけ?」
運転をしながら後ろのアリアに聞こえない様に小声で菊代が聞いてくる。
その声は何処か嬉しそうだった。
「ただのサービスだ。車内で泣きわめかれたら溜まったもんじゃないからな」
「何だかんだ言って優しいんだね」
「だから、サービスだ」
「照れてる?」
「…………照れてない」
俺の最後の反論は、どしゃ降りとなった雨の音と、車のエンジン音に掻き消されてしまった。
因みに私は飴で言うと、男梅が好きです。