ああいうの見てると何か無性に遠くに行きたくなります。
モデルニナッタバショトカ
一人旅とか何時かはやってみたいですね。
憧れます。
何時かは行こう。
……そう何時か。
「キー君はさぁ、誰かと比べられた事ってある?」
「む、昔はぁあああ !たまにぃ!ふっ!合った、ぞうぉうあ!」
シャ!と右からナイフ。
バリバリッ!と音を立てて何発も迫ってくる銃弾。
先程まで、エルに少し失礼して匂いを嗅がせて貰いちょいHSSと言う人格が変わるとまでは行かずせいぜい見るものがスローモーションになるくらいので、凌いでいたが、こりゃもう完璧に泥沼試合。
何か、バスジャックの時も後ろで、エルに取り押さえられてるアリアとこんな感じだったような。
此は本来の戦闘とは違って、悪魔で、説得&勧誘の為のギャンブル。
俺は、死んだら負けで理子は降参すれば負け。
だが、俺は、一切の攻撃を自分で禁止した。
おまけに、理子は、バスジャックの時もそうだったが、予想外の事や負けそうになると敵を威嚇し殺気を放って敵のミスを誘うタイプ。
この無限ループのようなやり取りに、理子も苛ついて来たのだろう。
額に血管浮かび上がってるもん。
菊代が、裏理子とか言っていた感じになっているが……その状態でも俺をキー君と呼ぶならまだ、勝算は有ると考えても良いだろう。
でも、降参させる感じんのタイミングってもんが見当たらない。
何とか理子の体力切れを狙いたいが……望み薄いなぁ。
あぁ、ちょいHSSの血流が流れてた俺を今すぐ蹴り刺したい。
「其処貰い!」
「残念」
バチン!と理子のナイフを両手で挟み真剣白刃取りの形になり飛んできた三発の銃弾を両足裏の踵と付け根で挟み土踏まずの間から出た一発をガリッ!と前歯で挟み直ぐに吐き出す。
良かった、歯は欠けていないみたいだ。
しかし、ジャンプして受け止めたので背中から床に直接落ちる。
背中も痛いが、其より皮膚にもろ食らうから、熱い通り越して骨が焼ける見たいに熱い。
火傷で済むだろうか?
「HSSじゃなくても、キー君は銃弾も刃も通じない……さっすがだねぇキー君は人間じゃないみたい」
「そりぁどうも後、俺は正真正銘人間ですよ」
「じゃあ、こう言うのはどうかな?」
理子が、ポケットから取り出したのは、小さな香水の瓶――ってまさか
「不味い、『金次』!鼻を摘まみなさい!」
プシュ!と、菊代の言葉よりも俺がナイフを払い除けるよりも早く、瓶から出た気体が俺の鼻に届く。
「グッ!――ハッ、ガッアァアアァァアアアアアァアアアァァアアアッ!!!」
「遠山!」
「トウヤマ!」
瞬間、全身に叫ばずにはいられないほどの激痛が走る。
視界が、まるで水に溶かした絵の具のようにグニャリと曲がり頭の中――脳が焼けるような熱さと、鼻に迫る激痛で周りの銃弾の火薬や刃物の金属独特の匂いすら分からなくなる。
「匂いはしない。―――前のお酢を溶かした刺激嗅とはまた違う」
「峰――あんたぁ。弟に何を嗅がせたんだい?」
ボンヤリとする視界で何とか、痛みを堪えて理子とエル、菊代の間にカウンターを支えにして立つ。
俺の視界では、周りの景色と混ざり合って人の形を止めていない理子から
「水に溶かした
クフフと笑う声が、いつもと違ってハモったように何重にも聞こえてくる。
だが、今理子は、確かに殺鼠剤と言った。
なるほど、ならこの痛みにも納得が行く。
殺鼠剤は、その名の通り家に潜む鼠を殺すための薬。
クマリン系の強力な毒物だが、理子や菊代達が何ともないように、普通の人は何も感じないが、嗅覚の鋭い動物は、俺のように意識がもうろうとしまともな判断が出来なくなる。
遠山家の中でも、特に嗅覚が鋭い俺は、先程のようにHSSが無くても銃弾の火薬の匂いや刃物の金属独特の匂いを嗅ぎ追って躱したり受け止めたり出来たのだ。
部屋の中で風魔を襲ったアリアの場所が直ぐに分かったのも、アリアが残していったクチナシの香りを辿ったからだ。
だが
「どう?キー君。もう何の匂いもしないでしょ?」
「『金次』上半身を後ろに!」
シュ!とよろける形で、後ろに上半身を傾けると多分喉元が合った場所に理子のナイフと思われる物が空を切るように見えた。
意識が、もうろうとしてるが菊代のお陰で助かった。
菊代が、俺を下の名前で呼ぶ時は、俺の意識と関係無く体は動く。俺の体のようで俺のじゃない。
ゲームで言うなら、俺は操作キャラで菊代はコントローラーを持ったプレイヤーだ。
幸い、この薬は俺にとってはある程度の時間があれば治る物だ。
現にもう体の痛みは消えはじめている。
俺が、薬とか、毒とか効きにくい体質ってのも理由だろうな。
このまま菊代が俺を使っている間に何とか理子に勝つ方法を……その前に鼻を何とか回復させないと。
「『金次』!右に避けなさい!」
バリバリバリバリッガチンッ!
ギキキキキキキキキン!
菊代の言う通り、右に飛ぶように避けされた瞬間に先程まで俺がいたのであろう所へと何発もの銃撃の音と甲高い金属同士がぶつかる音が聞こえる。
ハッキリとしない目でみたところ、断言出来ないが、理子の放った銃弾を菊代が斬り落としたのだろう。
菊代の両手の先が僅かに光で反射しているのを見るに、普段から愛用している匕首とこの間加工された緋色の肥後守を使って。
「
「そう言えば、一対一何て一言も言われて無かったね~」
少し、回復しやっと人の形として見える目で二人を見ていると顔までは認識出来ないが、菊代は静かに怒気を含ませて理子は何処か楽しそうに話している。
やがて、理子がふぅと溜め息を漏らし
「オルメス、ワトソン――お前らは、数字で呼ばれた事はある?」
二人に向けて言った皮肉を込めた言葉は、アリア言っているようで別の此処にはいない誰かに言っているようだった。
「何が言いたいのよ?」
「理子………良いのか?」
俺が、言った言葉に、反応してくれたのか、此方をまだのっぺらぼうに見える顔を俺に向けて
「優しいねキー君は。そんな状態にされたのに」
「俺は、香水を掛けられただけだ。お前に何もされていない」
間髪いれずに、理子に答える。
顔は分からなかったが、フフッと言う声が聞こえたあたり笑ったのだろう。
いや、笑われたの方が正しいかも。
「理子・峰・リュパン4世――オルメス、其が私の本当の名前だ」
両手を広げまるで演説でもするようにその場で語り始める。
「でも、家の人間は、皆『理子』とは呼んでくれなかった。お母様が付けてくれたこのかっわいい名前を。どいつもこいつも呼び方が可笑しいんだよ」
「可笑しい?」
此処からは見えないが、声からしてアリアだろう―――が呟く。
「4世。4世。4世。4世さまぁー。どいつもこいつも使用人どもまで……理子を呼んでたんだよ。ひっどいよねぇ?」
「リュパン……」
エルが、同情したように声を出す。
同情は、人にとっては最も苦痛感じる物だ。
だが、そうだとしてもエルは、同情してしまうだろう。
エルも似たような事が合ったから。
自分を見て貰えない事を人は苦痛に感じる。
例え、意識してなくてもストレスになり、やがてトラウマとなる。
数字で呼ばれる事が、自分を見て貰えない事が、その一族と一括りにされる事が
理子にとってどれ程の苦痛だっただろうか。
俺には、いや、誰にも分かる術は無いだろう。
普通だったら、其処にいるようでいないと風に見られれば自然と壊れ亡霊のようにされるからだ――――周りの鳩人間によって。
だが、理子はその苦痛を此処まで背負って来たのだ。
目の前のアリアをひたすら見ることで亡霊にならずに。
「そ、其がどうしたってのよ!4世の何が悪いってのよ!」
「な!」
ハッキリとそう言ったアリアに、理子がギリリと大きく歯軋りをする音とエルの驚いた声が聞こえる。
「悪いに決まってんだろ!!私は数字か!私はただのDNAかよ!私は理子だ!数字じゃない!どいつもこいつも!」
とうとう怒りが、際頂点まで来てしまった理子は
「曾お爺さまを越えなければ、私は一生私じゃない!『リュパンの曾孫』として扱われる。だから、イ・ウーに入って、この力を得た――この力で、私はもぎ取るんだ!私をッ!」
此処にいる俺達でも、アリアにでも無い。
理子が、今本当に、憎くて、殺したい。
でも、出来ないと思っている相手。
だから、さっき一度断られた。
でも、この様子だったら。
「キクッチ!あんたの腕は、二本だろ。今まで色んな奴を仕留めてきた、
「不味い!キクヨあれが来る!」
「何が来ても、あんた達が、相手にするんじゃないよ!」
しゅら……しゅるるるっ。
だんだん回復してきてもう、うっすらと顔の表情が目で見えるくらいになった俺の目には、額に血管浮かび上がらせた理子の髪がまるで、神話のメデューサのように、動いて最後に隠し持っていもう一丁の銃を理子の手元に渡しもう片方のツインテールを腕のように使い
更に、ツインテールを背中にまわしナイフを二本取り出す。
か、格好いい………まんま神話生物―――って、見惚れてる場合じゃねぇ!
不味い!ありぁあ。
「瑠瑠色金……」
俺が、呟いた、言葉に理子は気分を良くしたのか
「そう。オルメス、お前も此と似たのを持ってるだろう?」
「な、何の事よ」
今までの話に付いてこられないのか、戸惑った声でアリアが言う
理子は、胸元で光る、十字架の瑠瑠色金を握りしめながら
「この力は、私のお母様がくれたもの、100年前の、曾お爺さま同士の対決の続きを此処でやってやる!オルメス4世!お前を斃せば、私は、曾お爺さまを越えた証明になる!お前も、曾お爺さまから似たようなもん受け取ってるんだろう!」
理子は、叫ぶ。
狂ったように、喚く。
今まで思ってきた事全てをアリアにぶつけるように。
あぁ、自棄になって
ん?此は、もしかして………
なるほど、いけるかも。
トントン
両足で、菊代に合図を送る。
頼む、築いてくれ。
「クフフ、フフッ、バッドエンドお時間ですよー。クフフッ。クフフフフッ」
バン!と、地を蹴り両手に銃を両髪にナイフを持った理子が菊代の先のアリアを狙う
「ドケェ!ゲームは私の勝ちだ!」
「『金次』――――
「まだ、ゲームは終わってねぇぞ」
ザン!
「キー…………君?」
理子が目を大きく見開いて信じられないとでも言うように動きを止める。
理子からしてみれば、先程まで動けずにいた男が、突然現れたように見えるだろう。
まぁ、そうだもんな。
菊代の言葉で何とか起きれた。
「感謝するぜ理子―――お陰で痛みがねぇ」
ぽたぽたと、俺の両手裏からは、理子のナイフが竹のように突き抜けて、赤い液体を先端から床に滴らせる。
だが、まだ、さっきの薬が僅かに効いているお陰で痛覚は感じない。
そのまま、理子のナイフを握り腕ごと理子の両髪に巻き付ける。
「あ……あ……」
動揺する理子を目の前に、俺は、ものスッゴイ嫌な顔をしているんだろう。
チャ~~~ンス到来ってな。
実際に良いタイミングだからな。
「残念だが、理子…………倒す順番を変えろ。完璧なパートナーもいない、緋緋の力も使えないアリアを倒したって越えた事にはならんでしょう?」
「うる……さい」
ギリリと悔しそうに、怒りを混ぜて下唇をそのまま引きちぎって仕舞うんじゃないかと、思うほど強く噛む。
理子……先にすまないと言っておく。
此れから、本格的にお前に残酷な治療をするから
「理子……今が、チャンスなんだ」
「チャンス……?」
「お前が、今本当に、殺して~相手は、後ろのアリアじゃない。今日確信がいった。今のお前にはやらされてる感が、僅かな恐怖が感じられる」
「キー君に何が、分かる」
「此方だって、伊達に人を殺っちゃいねぇ。鏡高やエルに………家族に仇なす奴等を殺すとき、そう言うものを嫌と言うほど感じて来たんでなぁ……そう言うのを読み取るのには自信があるんだよ」
根拠ねぇけど其でも、理子の事は、何となく本当に、何となく分かる。
「俺の所へ来い。イ・ウーは後一年もしないうちに崩壊する。誰も手を加えずとも自然とな。そうすれば、お前は、力も失うぞ?………復讐するための力をな……だが、俺の所なら、お前の望む物を全部叶えさせてやる!」
「………」
理子は、戸惑うように、左右に目を泳がせる。
まだ、お前が、俺をキー君と、呼んでくれるなら。
俺は、其に賭ける。
最後のひと押し。
「俺が、お前の最も聞きたくない、未来を言い当てて、やろうか?」
「や……めろ。き、きき……聞きたくない」
捕まれているナイフと髪を、そのまま、理子が一歩下がる形で、引き抜こうとする。
まるで、此れから言われる未来を聞かないために逃げ出すように
俺は、自分からズブリと、ナイフをより深く手に刺す。
痛覚が麻痺してて本当に良かった。
さぁ、理子全部吐き出せ。
この言葉で、全部の不幸を吐き出せ。
俺は、スーーーと、肺に入るだけありったけの空気を肺にみたしてから
すまん理子。
その、不幸
全部俺が
この
「『ゲババババッ!“理子”お前は、犬とした約束を守るのか?』」
貰い受ける。
原作1巻の話は、後数話で終わりですね。
そのまま後日談が少し入って2巻の予定です。
……いや、もう……ね。
本当にどうしよう。