部屋から、見える花火に一人「た~まや~」と叫ぶ。
………寂しくなんて有りません。
「なるほどね………助っ人てこう言うこと」
『鏡高先輩無事ですか!?』
先程から、私の戦妹である貴希ちゃんの慌てた声が、無線機のスピーカーから機内に響く。
因みに、もう一つの無線機からは、羽田コントロールからの連絡から、防衛省、航空管理局と言う所に繋がった途端に切ってしまった。
外の誘導機に従ってと抜かし始めたのには、腹が立っ。
どう考えても、撃ち落とす気満々でしょう。
騙し裏切りが付き物の
『せんぱ~~~~~~い!!』
あ、泣き出した。
何で?
遠山は、何か分かっているみたいだけど、私にはさっぱり分からない。
かといって聞こうとも思わない。
いいえ、聞かない方が良いのだと思う。
聞いたらいろいろダメな気がする。
「私は平気よ。貴希ちゃん其よりも、準備出来てる?」
取り合えず、あやす意味も含めて無事を伝えるの為に無線機に向けて声を出す。
其と、同時に此れから、私達が不時着するであろう、
『姐様殿。何時でも、受け入れ可能で御座るが、後は、そちらの飛行機状態を隣の貴希殿に御話し頂ければ、的確な補助が可能かと』
「分かった。ご苦労様ヒナちゃん」
『御意』
其から、貴希ちゃんから、飛行機の操縦の仕方を教わり、この飛行機の事もある程度教わった。
何でも、このANA600便は最新技術の塊で、残りのエンジンが2基でも、問題無く飛べ更に、どんなに、悪天候でも、その長所は、変わらないと言う。
要は、耐久力に優れていると、覚えて置きましょう。
もし私が、
『所で、鏡高先輩。今、
「ト、トータル?」
意味が分から無くて聞き返す。
『え、えっとですね。
私は、言葉の通り少し自分の身を見渡すと、確かに、四角い画面が有る。
恐らく此でしょうね。
はぁ、ヘリの時は、遠山が暇潰しで部屋でやっていたTVゲームにたまたまヘリの操縦シーガ映っていたのを横から見ていたから、勘で操縦出来たけど、飛行機はごちゃごちゃし過ぎて本当に分かりづらい。
二度と運転なんかしたくない。
心の中で愚痴りながら、貴希ちゃんに有った事を想定伝える。
『其処に、二行四列に並んだ、丸いメーターの、下に、
「なるほどね。理解したわ有難う」
『いえ、そんなお礼を言われるような、事じゃ……あ、でも此を機会に役に立たなそうな、あの遠山よりも、正に今役に立っている私をパートナーにいっそのこと、人生のパートナーにしてくれても……』
小声で何を言ってるのかさっぱり分からないけど、取り合えず戻って来て
「ねぇにその数値何だけど、さっきから、少しづつ減ってるみたいで、今540から、535
何だけど……此どういう意味かしら?」
『え……………それって……』
暫くの沈黙。
え?何か不味いこと言ったのかしら?
数値が、530位になった所で、ようやく連絡が入るが
『鏡高先輩……それ、盛大に燃料漏れてます』
「うそぉ」
今ものスッゴク聞きたくない情報と同時に、何となく覚悟していた情報だった。
先程のミサイルの襲撃が翼を撃ったのだ。
エンジンが遣られているのも不思議じゃない。
「待ちなさいよ!ね、燃料漏れ………!?キキとか言ったわね!止める方法を教えなさいよ!」
隣から、ヒストリックに声を上げる今回の元凶であり、悲運にも今宵のゲームの賞品となった少女が無線機に食って掛かる。
『え!だ、誰ですか!?鏡高先輩の隣にいるって事は、遠山先輩ですか!?こんな非常時に女の声なんて出さないでください悪趣味です!変態ですか!?』
「落ち着きなさい」
と言うか、遠山はそんな事はしないわよ。
………たまにしか。
其も、変装中とか、挑発の時とか、ふざける時とかだけ。
「神崎・H・アリアあんたと同じ武偵よ!時間が無いの、もう一度言うわ!漏出を止める方法を教えなさい!!」
戸惑う貴希ちゃんにマシンガンのように、ものを言う。
全員が生きるか、死ぬかの瀬戸際、必死になるのも当然。
だけど、不思議ね。
全然、死ぬって考えが思い浮かばない。
寧ろ、この飛行機は必ず無事に不時着すると頭の何処かで私は思っている。
無事に不時着ってのも、矛盾してて変な話だけど。
きっと、其は無事に帰れる前提の様に行動している奴がいるから。
『残念ながら、方法は無いです。分かりやすく言いますと、その機体はエンジンが燃料系の門も兼ねていまして、其処を破壊されると、何処を閉じても、漏出は止められません」
「なっ!あんた、何言ってる!其を何とかする事を考えなさいよ!其が
すっと、隣の元凶女の唇に人指し指を当てて止める。
この場で駄々を捏ねても、状況なんて変わらない。
其を私の可愛い戦妹にぶつけるなんて、お門違いにも、程がある。
全く、何で数日前の私は、この女を生かしたのかしら?
まぁ、武偵校内だからってのが大きな理由だけど、武偵校外ならとっくに殺ってるのに。
ちょっと、今日の涙目が可愛くて、ちょっと気に入ったけど、やっぱり嫌ね。
遠山の事をネクラネクラって気安く呼ぶし。
「止めときな。向こうに喚いたって、事態が変わる訳じゃない。素直に今を受け入れな」
「っ!」
怒りでなのか、悔しさからなのかは、分からないけど、顔を漫画だったら、ぼぼぼぼぼと効果音でもつくんじゃないかしら?と言うくらい、顔を赤くする。
もう、さっきみたいに駄々を捏ねたりはしないと判断して、唇から人指し指を離すと
「あ、あう、あうううあええ?あくクロ、クロメメメメ」
壊れたラジオみたいな声を上げて更に赤くなり、やがて、硬直して黙ってくれた。
……何かよく分からないけど、ほっときましょう。
「直すのは無理って分かったわ。其で、この状態ならどれくらい耐えられるのかしら?」
取り合えず、隣のは放って置いて、今は聞くべき事を聞く。
『そうですね。漏出のペースが、早いので良くても後15分って所です』
「そのくらい、残ってるなら充分そうね。有難う後は此方でやるわ」
これ以上の通信は必要無いと、判断して無線機の通信を切ろうと手を伸ばす。
貴希ちゃんやヒナちゃんに声を覚えられるのは、構わないけど、この通信は恐らく他の生徒も聞いている可能性がある。
余り声を覚えられるのは、後々困る。
『あ、鏡高先輩少し待って下さい!』
ピタリと、通信を切ろうとした手を止めて貴希ちゃんの言葉に耳を傾けて
『
「とっくに封鎖されてるわよ。教えてくれて有難う。予定通り行くから、そっちも予定通り“合図”を送りなさい」
『あ、鏡高先ぱ―――』
プツリと、今度こそ本当に通信を切る。
ずっと、ゲーム中留まっていたわけ。
なるほどね正に彼の二人にとっての
因みに、今私――鏡高菊代が、いる場所は、飛行機の操縦席。
峰理子に寄って気絶させられたらしいパイロット二名を退かして座ったわ良いものの
理解した今となっては
「御手上げね」
「何で!?何で反応しないのよ!」
隣では、両手を挙げて降参状態の私と違って、早くも復活して、ハンドル状の操縦桿をがちゃがちゃといじっている神崎・H・アリアの姿。
「諦めなさいよ。何をどう弄っても、手動に切り替わりはしないんだから」
こう言うこと。
私達は、今窓の外を見れば分かる通り、間違いなく自動で海へと向かっている。
貴希ちゃんには、伝えていないけど、何度か、言われた方法で手動にきりかえようとは、したけど、一切反応無し。
つまり嵌められたのだ。
いえ、嵌められたと言うのは、可笑しいわね。
今日の出来事は、私達は部外者、此は悪魔で、峰と遠山の一対一のアリアと理子、そして遠山自身を賭けたゲームに過ぎなかったのだ。
私自身、今回の事は、遠山の話を端から聞きまた何かやらかしてしまうんじゃないかと心配で、先回りして、飛び入りした見物人の枠を越えられないのだ。
今は、お任せするしか道は無い。
そして遠山がもし、此処まで考えていたのだとすれば私の役目は、操縦じゃない。
今隣にいる奴のお目付け役だ。
でも、引っ掛かる。
何故遠山は、こうなる事を想定出来たのか?
峰との会話を聞いていた限りそんな予定は話されていなかった。
其なのに、保険と称して不時着予定の場所にヒナちゃんと私の戦妹、貴希ちゃん達を配置した。
まるで、予知能力でもあるかの様に。
其処まで、考えて、私は、ウルスの女が言っていた言葉を思い出した。
『貴方は偽物ですか?』
此は、いったい何を意味するの?
遠山、私達は、此れからいったいどれ程大きな波に乗ろうとしているの?
でも、今は、もう一つのやるべき事をやる。
コトリと戦闘機映る窓に、“ある物”を置いて
後は、時が来るまで、休むだけ。
ただ撃たれるのを待つだけなんて、そんなの御免だもの。
★ ☆ ★
おっかしいな~
現在俺は、飛行機の翼部分に立ち目の前の戦闘機を見ながら内心首を捻っている。
と、言うのも
「何で、どんどん近づいてるんだよ?」
そう先程まで、確かに、東京上空を飛んで確実に、戦闘機から離れていたのに、今は、どんどん戦闘機―――F―15イーグル航空自衛隊の戦闘機だ。
まぁ、ご丁寧に、ピッタリついてきゃって。
お互いに距離を縮めてるから、このままだと、激突しそう。
しそうってだけで、その前に撃たれそうだけど。
最初は、東京その物を人質に取るような形で飛んでそのまま、目的地の人口島まで行く予定だったのに――――と、思っていたのも、理子が去る前の話。
今は寧ろ近づいて貰うべきだ。
乗客には悪いが、今夜の生き証人となって貰う必要も出来た。
其に関しては
「トウヤマ。何をブツブツ言ってるんだい?」
俺の隣にいるエルが、さも不思議そうに尋ねる。
俺は、其に当たり前と秤に
「お前の話の内容が予定より早まってしまった事を今嘆いている最中だ」
「此も、また“巡り合わせ”って奴だよ」
言い返そうにも、否定が出来ない。
正にその通りの巡り合わせだからだ。
今日、理子が此処を選んだのも、さっき、ミサイルがこの飛行機を襲ったのも今撃墜の危機に陥っているのも、恐らくだが、下で飛行機の操縦が、効かないのも
下に、敵の本拠地があるのも。
出来すぎている。
恐らく
「いるぞ、飛行機の中に邪魔者が」
「トウヤマ其は………」
俺が、ポケットから、取り出した、小さな箱にゲームのコントローラーのような小さなレバーが付いた、リモコンを取り出す。
驚き目を少し見開いているエルに少し得意気に
「丁度、ミサイルの衝撃で理子の頭が近くに来たんでね。咄嗟に指先でのヰ筒取りで、楠根ねて来た。痛覚も鈍って痛んでね。多分、此で理子は、飛行機を操っていたんだろうが」
「其を奪っても飛行機が進路を変えないって事は、誰かが、細工した?」
「あぁ、そうだ。そして、こんな下らない真似をするやつに俺は心当たりがあるが何にせよ」
上空に向けて、三回手を降りその手をグーの形にして、親指をつきだして
「こんなにも舞台が整っちまったんだ。いかにも使って下さいと言わんばかりにな」
だから、遠慮無く使わせて貰おう。
そのまま下に向け首元まで下げそのまま横に一気に引き喉をかっ切る仕草をする。
見ている奴の中の大半は首を傾げる仕草だろう。
良いのだ。
ある一部の奴等に
―――此処からは、エルの持ち込んだ厄介事と俺の目的の為に、本当の意味で首を突っ込むのだから。
腹はもう括った。
テーブルに刺さるナイフを抜くために今から握るのだから。
すいませんねぇ、イ・ウーの皆さん。
別に恨みがある訳じゃないし、寧ろお得意様だったみたいですけど
此れから、俺達の“願い事”の為に潰れて下さい。
ぽいっと、天高く、リモコンを投げる。
リモコンは、そのまま、暗い海へと落ちて行った。
もう、あのリモコンですら反応何かしなかった。
其が証明された今となっては、もうあれは意味を持たない。
此処からが、文字通り俺と理子の
―――魅せる戦いをしよう。
「エル………要求は、少なめで頼むぞ」
「じゃあ、少なくて、大きな要求にしなくてはいけないね」
エルは、小さな顎に手を当て、う~ん、と考える仕草をする。
本当に勘弁して欲しい。
エルの要求が少なくてでかいのは前からなのだ。
だから俺は、無駄だと分かっていても、
「あっちの俺には、お手柔らかに頼むぞ」
「分かっているよ。さぁ、僕でなってくれ」
釘を指してからエルへと顔を近づけて
そのまま―――キスをした。
「んっ……」
エルの艶かしい声と、其により、漏れるシナモンの香り、
それらが、合わさり、
ドクンと、血流が激しくなるのが分かる。
来る。
まだ、たりない
ぐっと、唇を押し付けるようにして、より強くエルの香りを吸い込む。
ドクン!ドクン!と、血流がより激しくなっていき
「ぷはぁ」
エルの方から唇を離す。
さぁ、エルやろうか。
俺達以上に許されない事をした、あの鋼鉄の鳥に報いを受けさせてあげよう。
「さぁ、トウヤマ覚悟はいいかい?」
エルが、俺のベルトにワイヤーで固定した金属製のロープを見せて言ってくる。
「あぁ。何時でも」
靴底の風圧で飛ばされるのを防ぐために装着していた
エルに背を向け、しゃがみマラソンで走る前のポーズになる。
「トウヤマ………一つの頼みを聞いてくれないかい?」
後ろから、声低くエルが言う。
「なんだい?君が遠慮するなんて、似合わない。何時もの様にどんな無茶でも言ってくれ」
――何時もの、無茶で良いじゃないかその方が
「帰ったら、毎日、僕のリハビリに付き合ってくれるかい?」
「お安いご要」
グンと、やる気が出ると言うものだ。
戦闘機―――お前は、この飛行機に俺の
「大切な親友と姉が乗ってるのを分かってんのか?」
そして、等々、海へと、出てしまった、飛行機に戦闘機が、方向を転回して此方に向き直り
バシュウウウウウウウウウウッ!!
戦闘機から放たれたミサイルが、激しい光と、煙を放って有無を言わさず此方へと向かって来る。
―――今だ!
ダンッ!
其と同じタイミングで、勢いを殺さずに俺も翼を蹴りミサイルへと跳ぶ
飛行機の外へと
戦闘機だろうが、何だろうが菊代のを障害になるならば、俺達に攻撃をするならば
「例え神様でも殺してみせる」
―――見せしめの刑に処す。
真っ直ぐに此方に向かってくるミサイルへと足を鞭の様に勢い良くしならせて
ガスッッッッッッッッッッッッン!
蹴る。
(
此れは、秋水の全体重を手や足の先に乗せる技術とHSSによる身体能力の倍増による足の爪先へだけに全体重を集中させ、足を鞭の様にしならせて勢いを付ける事により
俺の靴は、鋼鉄を仕込んだ安全靴
足へのダメージは気休め程度なら和らげる事が出来る。
昔から、無茶をやってきた。
不可能な事を可能にさせなきゃいけないような展開に(大半エルの正で)会ってきた。
銃弾を曲げられたんだ。
銃弾を切って来た。
ヘリにだって飛び移った事だってある。
重く分厚い扉を蹴り飛ばした事もある。
だったら、ミサイルくらいその気になれば蹴り返せる!
幸運な事に、飛行機が近づいたお蔭で、減速することなく翼から跳ぶ事が出来た。
そして、蹴ったミサイルが、横へ横へと起動をずらしてやがて
ドドオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
戦闘機と衝突し、くぐもった音と、振動が夜空へと響いた。
其はまるで、此れから始まる、最悪な祭りの合図の様に
「た~まや~………なんてね」
祭りの合図にしては、何とも汚い花火だことで。
あ、危なかった。
ミサイルが後ろを向く瞬間、ミサイルの上を踏み台にして、飛んでなかったら噴出口の炎でこんがり焼かれていた所だった。
だけど、恐らくもう此で周りも動き出す。
今まで、観客面をしていた奴等も、自分達も参加者なのだと、勘づき始めるだろう。
瑠瑠色金、璃璃色金
そして、緋緋色金
これ等が、一つの場所に集まってしまったんだ。
誰が、どんな手段を使おうともう誰にも止められない。
引き金は、もう引くだけだ。
そして、菊代、俺の番は終わった。
後は頼むぞ。
風で、ロープに結んだ体が揺れながら、徐々に上へと上がっていく。
エルが引っ張ってくれているのだろう。
有りがたい。
提案者はエルだけど。
ちらりと横を見てみると、此処は、ライブ会場ですか?と疑うくらい上空から確認出来る眩しい光で囲まれた、空き地島が合った。
★ ☆ ★
「此れは驚いた」
所変わって、機内一階の残骸の広がるバー。
パイロットの服装の彼の足元には、少し小太りな機長と下着姿の男性が眠っている。
嫌、眠らされたと言うべきか。
血も出ていなく、規則正しい呼吸から眠っているだけだと判断できる。
(記憶無くして、此処まで動けるもんなんだね。興味深いなぁ)
彼が覗く窓の向こうには、今正に煙を上げて暗い海へと落ちていく戦闘機の姿
(やはり、彼も此方に来ていたようだ。思い出すのが幸か不か)
「じゃ、降ろしてあげるとしよう」
一人静かに呟く男は、携帯をパカリと開きカチカチと弄る。
その画面には『自動\手動』と書かれたメニュー
彼は迷いなく、手動を押して携帯を閉じる。
(此れは、楽しくなって来たね)
帽子を被り窓の外を静かに見つめる、副操縦士の格好をした男―――不知火は静かに、口許だけ笑っていた。
貴希さんの喋りが何か違うと思われた皆様。
此れはちょっとした事情による使用です。
ご理解の方よろしくお願いします。
すいません。