ゴルシンだよ〜! 書けることは書ききったね......少しだけ 大変だった......
佐一「よし! エルフナインちゃんを 救出したから 脱獄すんぞ!」ダダッ!
そう言って 杉本佐一は、三十年式歩兵銃のコッキングを引き、そのまま全員の前を出て走り出した。
ガリィ「うーん......サイチさんが 自発的に前に出てくれるのは嬉しいですけど............これだと隠密行動の意味がありませんよね!?」
カリオストロ「もうそれいーんじゃなーい? だって......」
カリオストロが 杉本達の方を振り向くと............
サンジェルマン「はぁっ!!」バキィッ!!
キャロル「フンッ!」ボボボッ!!
佐一「オラァッ!!!」バキィッ!!
その光景は あまりにも隠密の言葉にも似合わない 過激な戦いだった。
カリオストロ「あんなに暴走してるうちのメンバー見たらもうだめでしょ 隠密は」
ガリィ「ほんとなんなんですか!! マスター達は!!」
エルフナイン「あわわ......あんなに強いんですね......」
そうして 様々な困難が立ち向かうと......
佐一「ウォラァッ!!!」ボグッ!!!
サンジェルマン「タァッ!!」バキィッ!!
キャロル「邪魔だ!!」ボグンッ!!
杉本の格闘戦、サンジェルマンの蹴り キャロルの錬金術による攻撃で ほぼほぼ壊滅していた。
ガリィ「ちょっとは静かに戦って欲しいのですがーっ!?」ガチガチッ!!
カリオストロ「そういいながらも ガリィちゃん 敵、凍らさまくってるじゃない」
ガリィ「なんかもやけっくそですわ〜ッ!!!」ゴォォォォォォォ!!!!
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キャロル「ッ! 見えたぞ! 脱出艇だ!!」
そのまま外まで走り抜け ようやく脱出で必要な 船まで向かっていた。
ミカ「おーい! マスター! きたゾ〜!」
レイア「全くもって派手な脱獄だな! 私も乗ってきたぞ!」
ファラ「そう言って 乗り込まないで下さいよ?」
プレラーティ「お前はうるさいワケだ! 静かにするワケだ!」
そんな船には ミカ、レイア、ファラ、プレラーティ達が待機しており すぐにも出港しようとしていた。
サンジェルマン「よし! 乗り込むぞ!」
そして 救出対象のエルフナインから乗り込んで 次点にガリィ、カリオストロ、サンジェルマンと続き、最後にキャロルと杉本が乗り込もうとした......その時 杉本は嫌な予感を感じ、後ろを振り向いた そこには......
錬金術師「ぐ......逃さんぞ......せめて......反逆者 キャロルを......」ブゥゥゥンッ......
息を潜めていた パヴァリアの錬金術師が 錬金術の陣を組んで キャロルを撃ち抜こうと 準備しており それに気づいた杉本は......
佐一「ッ!! 危ねぇ!!」ダッ!!
すぐさま 後ろに走り出して キャロルを抱き込む。
キャロル「なっ!?/// おい何を───」
キャロルは顔を赤らめて すぐに離そうとした時─────「錬金術の攻撃」が 杉本の心臓付近を閃光が貫いた、一瞬の静寂の後、生々しい衝撃音が遅れて響く。
キャロル「な.......ッ!?」
抱きすくめられた体勢のまま、キャロルの目の前で、杉本の胸から鮮血が噴き出した。どさりと、肉体の重みそのままに杉本がキャロルに覆いかぶさるように倒れ込む。
キャロル「おい.......サイチ? 嘘だろ.......おい!」
いつもの傲岸不遜な態度が嘘のように、キャロルの声が震えた。自身の衣服をまたたく間に汚していく、信じられないほどの 血がドバドバと流れて キャロルの手を赤黒く染め上がってゆく。
ガリィ「サイチさん!!」
サンジェルマン「くっ! 敵は!」ガッ!
サンジェルマンはすぐに船を降りて、撃ち込まれた 方角を見渡すと その錬金術師を発見する......が 既に死んでおり 先程のが最後の一撃だったのだろう。
サンジェルマン「......死んでいる......最後の
そして その攻撃が境目だったのか 錬金術師の基地からも 多数の攻撃が どんどんとこちらに飛んできた。
ミカ「うぉっ!? まずいゾ! このままだと─────」
ガリィ「ガリィちゃんが 何とか致しますよッ!!!」ガチチチチチチチチッ!!!!
ガリィは すぐに湖から 水を固形状に空中に留まらせ、そして それらを操作して 上空に「氷の盾」を作り出して 攻撃から身を守り抜いた......が、どんどんとひび割れてゆく。
ガリィ「ッ......サンジェルマン! 早くマスターとサイチさんを! このままだと 20秒で ガリィちゃん力尽きちゃいますよッ!!」
サンジェルマン「わかったッ!!!」ダッ!!
そして サンジェルマンが走り出して すぐに杉本とキャロルの元に急ぐ......そこには 驚愕の光景が目に焼き付いた。
サンジェルマン「なっ......!?」
佐一「ぐっ......うぅ......!!!」ボドドド......!
キャロル「さ......サイチ!?」
サンジェルマンの目に飛び込んできたのは、息絶えるどころか、傷口から溢れる血を強引に自らねじ伏せようとする杉本佐一の狂気的な姿だった。心臓を貫かれたはずの杉本の全身の血管が、まるで生き物のようにボコボコと不気味に波打っている。ドクンドクンと鼓動するたびに、傷口から流れる鮮血が自身の意思で逆流するかのように肉体へと引き戻され、千切れた筋肉や皮膚が凄まじい速度で互いを探し求めて蠢いていた。
佐一「が.......はっ......! 舐めんじゃ.......ねえぞ.......死んで......たまるかよ.......!!」
杉本はキャロルを抱きしめたまま、血反吐を吐きながらも、その鋭い眼光を一切失っていなかった。脳を銃弾で撃ち抜かれようが、熊に顔面を剥がされようが、極寒の流氷に落とされようが生き抜いてきた「不死身の野生」が、死の淵で完全に覚醒していたのだ。
サンジェルマン「.......なんという男だ。心臓を穿たれてなお、肉体が死を拒絶して自ら再生を始めているというのか.......!」
キャロル「サイチ.......お前、人間の分際で、この私を庇っておいて.......勝手に死ぬことすら許さないというのか.......!?」
キャロルの目から、大粒の涙が杉本の血まみれの頬にぽつりと落ちる。いつもの傲然とした態度は消え去り、ただ一人の少女として、自分を文字通り命懸けで守った男の圧倒的な執念に、魂を激しく揺さぶられていた。
ガリィ「ぐ、ぐぬぬぬぬ.......ッ!! もう限界ですぅ〜!! あと5秒で氷の盾がパリンといっちゃいますぅ〜!!」
頭上からは、パヴァリアの拠点から放たれる錬金術の猛攻が、ガリィの氷の盾を激しく叩き割る悲鳴のような音が響く。
サンジェルマン「キャロル、来るんだ! 彼のその執念、ここで無駄にするな!!」
サンジェルマンが杉本の巨体を強引に肩へ担ぎ上げ、キャロルの腕を引いて脱出艇へと全速力で駆け出す。
キャロル「.......ッ! 分かっている! おいエルフナイン! 艇内の錬金設備一式を起動させろ! 私直々の『奇跡』で、この男のイカれた生命力をさらに増幅させて完全結合してやる!! ファラ! 船を出せ! ミカ! お前の火力で 船を加速させろ! ガリィ! 氷で 船底と走行している直線を凍らせて 滑らせろ! あと サイチの傷口にも氷を広げろ!」
キャロルは涙を乱暴に拭うと、瞬時に世界最高峰の錬金術師としての鋭い表情を取り戻しエルフナイン、ミカ、ファラ、ガリィに指示を送る。
ミカ「了解だゾ!」ファラ「わかりました!」ガリィ「おまかせ〜!」エルフナイン「は、はい!」
そして ミカの手のひらから 高出力のレーザーを出して加速、ガリィも 氷による凍結で船底と航路を凍らせて 滑走させるようにし、ファラの完璧な操縦技術で 揺れを最小限にして動かしていた。 そして キャロルもまた 心臓付近の傷を凍らせて そのままになっている杉本の胸筋を触診して すぐに錬金術を開始する。
キャロル「──構成元素の再配置、結合強度の上昇.......融和せよッ!!」
キャロルの両手から、まばゆいほどの黄金の錬金光が放たれ、杉本の胸の傷口を包み込む。だが、その表情は険しい。心臓という致命的な部位への攻撃は、通常の人間であれば即死、世界最高の錬金術を以てしても一筋縄ではいかない。
エルフナイン「傷口の組織が.......キャロルの錬金術の速度に追いついていません! このままでは完全に結合する前に、彼の身体が拒絶反応を.......!」
涙を拭いながら、エルフナインが必死に医療器具を操り、杉本のバイタルを監視する。心音はいつ途切れてもおかしくないほどに弱まり、不規則だった。
キャロル「クッ.......! 人間の肉体などという不完全な器、少しの破損でこうも脆く崩れ去るか.......!」
焦燥感からか、キャロルの額に大粒の汗がにじむ。その時、その場にいた一同の耳に、あり得ない音が聞こえてきた。
ガリィ「.......え? なんですか、この音.......?」
ガリィがどこの音なのか探っていると カリオストロが気づいたかのように 声を大きくして 叫んだ。
カリオストロ「ちょっと、嘘でしょ!? スギモトちゃんの傷口.......自分で塞ごうとしてない!?」
全員の視線が杉本の胸元に注がれる。驚くべきことに、キャロルの錬金術による修復を待つまでもなく、杉本自身の肉体細胞が「生きよう」と狂気的なまでの速度で増殖し、千切れた血管や筋肉を自ら手繰り寄せるようにして結合し始めていたのだ。
サンジェルマン「.......なんという生命力だ。銃弾を頭に受けても死ななかった男とは聞いていたが、心臓を穿たれてなお、肉体が死を拒絶しているというのか......!」
プレラーティ「これは錬金術の出番すらないワケか!? どんな怪物なワケだ!?」
杉本の内に眠る、数々の戦場を潜り抜けて培われた「不死身」の野生。それがキャロルの最高峰の錬金術と奇跡的なシナジーを生み出し、致命傷をただの「深い傷」へと強引に書き換えていく。
キャロル「.......ふん、面白い。私の術式を足場にして、自分の肉体を再生させているというわけか。どこまでも図々しい男だ!」
キャロルは不敵に微笑むと、さらに魔力を注ぎ込んだ。黄金の光が杉本の身体に完全に吸い込まれ、ついに激しい出血がピタリと止まる。傷口は盛り上がった生々しい傷跡となり、数分前まで開いていた風穴が完全に塞がった。
力強い、確かな心音が医療室に響き渡る。
エルフナイン「や、やりました.......! バイタル、急速に安定しています! 助かったんだ……!」
ガリィ「はぁぁ.......緊張して損しましたわ。本当に、なんなんですかあの人は.......」
一同が安堵のため息を漏らし、キャロルがふぅと小さく息を吐いて両手を離した瞬間。
佐一「.......ッハァーーー!!! ガハッ、ゴホッ!!」
杉本が跳ね起きるようにして勢いよく目を開けた。そして、まだ完全に血の気が戻りきっていない顔で、自分の胸をガシガシと掴む。
佐一「痛ってぇぇえええ!! クソ! 胸の骨のあたりがめちゃくちゃ痒くて痛え!! .......あ? ここはどこだ? 脱獄はどうなった?」
キャロル「.......静かにしろ、馬鹿。いま心臓の結合手術が終わったばかりだ。少しは病人らしく大人しくしていろ」
腕を組み、いつもの傲然とした態度を取り戻したキャロルが杉本を見下ろす。しかし、その耳の裏がほんのりと赤いことを、杉本は見逃さなかった。
佐一「.......へへ、キャロルちゃん。無事だったんだね。なら、それでいいよ。」
杉本はニカッと、いつもの屈託のない笑みを浮かべて親指を立てた。
キャロル「フン、私が人間の手など借りずとも、あんな雑魚の攻撃などどうとでもなった。............だが、その.......一億歩譲って、お前のその無駄な頑丈さにだけは、感謝してやらんこともない」
ぷいっと顔を背けるキャロルを見て、艇の操舵席や入り口から覗いていた仲間たちが一斉にニヤニヤとし始める。
カリオストロ「あ〜ら、キャロルちゃんったら素直じゃないんだから。本当は目がウルウルしてたクセに〜」
ミカ「マスター、顔が真っ赤だゾ〜!」
キャロル「うるさいッ!! お前たち、全員まとめて塵に分解されたいのか!? 持ち場に戻れッ!!」
怒髪天を突く勢いで怒鳴るキャロルを見て、杉本はアハハッ と笑い声を上げたが、すぐに「ぶふっ、やっぱりまだ胸が痛え……」と蹲った。何はともあれ、一人の犠牲もなく、彼らはパヴァリアの魔の手から完全に脱出したのだった。
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次回! 「新たな旅立ち」!