原作主人公にダウナーお姉さんヅラして意味深にクソカード押し付けてたら悪の組織に負けてて草。 作:遺書の切れ端
とりあえずカードショップを意味深な
ショップの自動ドアが開き、待っていた相手に私は手垢が付いてないピカピカなカードを見せる。
「あ? 結局、俺様とヤりてぇんだな?」
「そうだね。君と違って私には露出の趣味は無いから路地裏でしよう」
人前で試合をする気は無い、手の内なんて必要以上に見せる意味もね。
「初期10枚でいい? 20もやるほど同じ空気吸いたくないんだけど」
「最期の空気ぐらい長めに吸っとけば良いのになァ、それに名乗らねえのかテメェ」
「語るならカードで充分だろう、来なよ特定少年」
「「プレイング」・オープン」
略してプレイングと言う私に比べ、きちんと正式にオープンまで言う下っ端、割と根は真面目なのかもね。
私のデッキはついさっき誕生した即席、『男だけど中性的な見た目でよく女と間違えられるギタリストショタ、同じバンドメンバーがファンの女に手を出さないように女装して渋々エッチに付き合ってるという苦境に巻き込まれながら友人として扱われるだけでなく偽装恋人として扱われる嬉しさを覚えてしまったボーイズラブデッキ』。
ホログラムとして少年が出現した、女性と
凛々しさはなく困ってるように眉が下がってる、何かを断っている姿が想像できない。私でも押し倒したら簡単にヤれそうだ。
相手のフィールドには光が膨らむように広がり中学生ぐらいの少女が創造されていく、全体的にズボラな印象だがそれを凌駕するほどに『ぼいんっ、むちむちむちむち、むわぁ 』と擬音がエロ漫画なら描かれていそうな胸と尻。
(どう見ても性欲ビートデッキ。露骨な爆乳に幼馴染特有の距離感の近さ)
「なんだあの乳は……E?いやFはある、サーキット以外にFって実在するんだね……」
「先行はいただくぜぇ!」
Fを見ていたらいつの間にか先行を奪われていた、そんなこともあるか。もう勝負は始まっていたと捉えよう。初期手札がデッキ全ての10枚、その明らかに持ちづらそうな手札の1枚を髭の男がカードを見せて宣告、
「
「いい大人が性癖の開示か、それなら私も抜かないと無作法だね。同じく追憶『ライブ後の反省会での女の匂いがしないかの定期チェック』」
「ライブ後?そんなの汗の匂いしかしねェだろ」
「大義名分はファンに手を出さないというモラル、その名目を私利私欲で消費するショタ特有の独占欲と我儘な承認欲求、それを受け止めるのも大人の義務さ。あと悪いけど私はショタコンなんだ。12歳以上は話しかけてこないでくれるかい?」
「俺様より犯罪者じゃねェか……!」
「その点は感謝してるよ、悪の組織に秩序を破壊された今なら犯罪も道徳も倫理もカード以下の存在に成れ果てた。私がショタと〇〇〇スする土台を作ってくれて、まずはありがとう」
「っち、追憶『箱の中身はなんだろな』。その程度の性癖で俺様がビビると思ってんのか!無知こそが正義だ!」
無知な幼馴染の手つきが無知特有の探り探り恐れ恐れ、知的好奇心と快楽的探求、なかなかのタクティクスだね。
(でも知らないことを増やすより『知らない』ことしか出来ないキチガイの方が怖いよ、知ることは警戒を産む。リスクを知る、恐怖を知る、人は傷付いて成長する。知らない化け物を私は知ってしまった)
「本当に無知なのは君の方じゃないのかい、追憶『爪弾き』。ギタリストとして鍛えた指テクを愛撫するためだけに消費される背徳感、君は君を箱の中に入れただけだ、幼馴染と同じく知識の箱庭に閉じ込めた、独り善がりな独善的な背景に私の性癖は脅かされない」
知らないことは決して恥ずかしいことじゃないさ、知ろうとしないまま性欲だけ満たそうなんて家畜の管理と何が違う。
「同じ穴のムジナだろうが!このアスペショタコン女が!」
「私がアスペ……? おかしい……価値観が合わないようだね。私は君みたいに子供の溜まり場(ロリはどうでもいい)に大人が我が物顔でイキり散らしてるのが(私以外の大人)許せないんだよ、人の為にこうして寿命リスクまで背負っているというのに……」
「は、ははは!その減らず口ももう二度と聞かねえと思うとちっとも悲しくねえぜ!それにこれで俺様の勝ちだ!追憶『お医者さんごっこ』!!」
「その瞬間、
「おいやめろ!!!!!!!!!!!」
追憶は『起きた出来事』の積み重ね、言うならば過去を示すカード。じゃあ概念は──『これから起きる出来事』。
「ほら全てを知った彼女とお医者さんごっこしなよ」
「テメェ!なんでそんなピンポイントなカードを!俺様のデッキを「当たり前じゃないか。命を賭けて戦っているのに傾向も対策も考えない自殺志願者では無いんでね。まるで『今用意した新品なカード』を見せるのも大事だよね、君みたいに人前で使ったデッキを使いまわす殺し合いのマナーもなってない愚者にはお似合いな末路だよ」
「それでもプレイストか卑怯者がよぉ!」
「むしろ卑怯を理由にして死んでくれるの?優しいね。
«プレイ終了。評価……6»
無感情な電子音が私の前にウィンドウと共に現れる。youwinとか書いてくれてもいいのにね。そして6か、自分を上げるのではなく相手を下げての勝利だと割とシビアなんだよなこのシステム。
運営の女そっくりでシステムも性格が悪いんだろう。
「無知は最強なんだ……無敵なんだ……」
項垂れたオジサンが茫然自失に呟いている。サングラスが地面に落ちて、こんな目をしてたんだね。割と若い?若いなら感想戦ぐらいやってあげてもいい。
「普通に教育を受けていれば、そんな都合の良い幼馴染は存在しないよ?」
「……それならテメェのメインカードだって」
「『コイツならファンに手を出すかもしれない』という抑止力のための自己犠牲は間違いなく『知識が伴う結果予測回避』でしかあり得ない、私に義務教育は効かないよ。 弱いやつは性癖も選べない」
「俺様がこんなアスペルガー・ローに負けるわけねェ!!」
「グラサン屋……」
「俺様の何がいけなかったんだ……?」
「性欲ビートデッキは序盤の展開力は高いし、誰が使っても強いよ確かに。その分息切れを起こしやすい、つまり早漏。耐久力が足りなかったね」
「ああ!?いいのか!お前がショタコンだって吹聴してやるからなァ!」
「悪の組織が言う言葉を誰が信じるんだい?」
「こ、こいつ」
「社会的信用値が低い己を恨みなよ、しょうがないな。可哀想だから、」
私はデッキケースから今使っていたカードの束を彼に文字通り放り棄てる。
「このカード達を君に託そう!w」
「…………」
お、動かなくなっちゃった。自分が負けたカードは相手にとってその場で捨てられる程度のものだったと分からせるのも教育。一応スタンガンとか準備してたけど、その辺はやっぱりカードゲーム世界なだけあって暴力よりカードの勝敗を優先なんだろう。
ある意味、これで傷付いた彼は本物のプレイストだった。
立ち去りながら思う。これで寿命は取り返せた、同じ9割とはいかなかったけど。9割動いた後の6割だからかなりホクホク。
(私だけ初期デッキ1枚で命を賭けさせられたり、カードを切る度に四肢切断もされないなんてハートフルプレイだったな)
待てよ……私は別に少年と約束してるわけではないな……? これだけ寿命を稼げたら新パックを普通に引きたい……負けてもきっと誰かが助けてくれると勘違いして成長した方が危ないまであるな……少年よ、強く短い人生を謳歌するんだ。私は慈善活動で消費したカードの補充がしたい。
「少年の墓はベンチの近くにしよう、見やすいし」*1