【奈落家】幻と香
■キャプション
白夜「お情けじゃねえよ」
■まえがき
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
※ 奈落家のいつもの設定確認
・設定は戦国時代なのになぜか現代の要素が入る。
(今回はスタンディング(立ち見)のライブハウス)
・奈落家の服装は、原作通り。
・奈落さんと分身たち皆生存していて
人見蔭刀に仕えて
皆一緒に人見城に住んでいる設定です。
・季節は特に記載が無ければ、
投稿された日と同じです。
UPの方が遅れていますが、
冬から春になる前くらいです。
ストーリーのジャンル:ほのぼの友情と気遣い
(pixivにも同時に投稿)
では、このまま下へスクロールして本編どうぞ。
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夕方になる少し前。
日中は暑いが、
日が暮れると寒くなる。
白夜は人見城下町の閑散とした通りにある
小さなライブハウスに向かっていた。
男友達の香介がバンドのライブをするので
それを観るためだ。
一度観てみたいと思っていたが、
別にお情けで見に行く訳ではない。
それまでの友人としての交流もあるが、
以前、香介の家で弾き語りをしてもらった時、
彼の歌声とギターの音色がとても魅力的だった。
課金しても良いと思えるくらい良いと思った。
理由はただそれだけだ。
だが一方、香介は香介で白夜に配慮し、
その日の白夜はゲスト入場で無料である。
出入口前の受付で
「香介さんのゲストの夢幻の白夜です」と
言って入場する。
しかし、番号を呼ばれての入場だったため、
白夜は周囲のファンたちに気遣い、
一番最後に入場した。
番号に換算すると120番目くらいだ。
香介も白夜をゲスト招待したとは言え、
狭いライブハウス内の一番前で親友に観られるのは
なんだか緊張するだろうし、
何とも言えない感じになるので
実は避けたいだろう。
ちょっとアングラな
モノトーン調のシックな小さなライブハウス内、
全員スタンディングで
10代、20代女子のメインのファンたちが
ステージを観られなくなるのを避けるため、
背の高い白夜は
一番後ろの方にいようと思っていたので
最後の入場で好都合だった。
入場時、ワンオーダーのドリンクで注文した
氷の入ったカクカクとしたアクリルコップの
鮮やかな色のオレンジジュースを持ちつつ、
ライブが始まる。
ステージを照らすライトは
大きなコンサート会場より
かなり小さく控えめな数だが、
光は強い。
会場内が狭いせいか、
音が反響して大きくよく聞こえる。
心臓に悪そうだが、
白夜に心臓があるかどうかは不明だし、
命は奈落メインの一蓮托生なので
大丈夫だろうと思った。
香介は、ベースギターとドラムの仲間と共に
ギターを弾きつつ、
独特なハスキーボイスを活かして歌う。
ファンたちも歓声を上げつつ手を振る。
優しい歌詞が良い。
ライブは、その都度、
前半から中間、後半の盛り上がりがあり、
最後の頃の盛り上がりの後に、
さらなるプラスアルファの盛り上がり、
さらにアンコールまでと
よく考えられた
サービス精神あふれる
心地良いパフォーマンスだった。
歌声もやっぱりカッコ良くてイイと思う白夜。
香介はピンク色のメッシュの入った金髪に
赤と黒のパンクファッションだった。
仲間たちはもう少し控えめの
カジュアルなモノトーン調。
合間のトークも他人を蹴落としたりしない
愛のあるトークだった。
時間を感じられないほどにずっと聴くことができた。
白夜はライブ中、
奈落に縛られ共に在る上での
彼との死の共有のこともどこか忘れて去っていた。
*
ライブ後、余韻に浸りつつも
出待ちはせず大通りの居酒屋で待ち合わせをする。
香介もバンド仲間との打ち上げがあるだろうに
わざわざ抜けて来てくれた。
居酒屋は開かれた空間に黄色く明るい照明、
楕円状のカウンター席がオシャレだ。
二人で語りつつ飲み食いする。
「歌もトークも良かったぜ」
「ほんと?」
「ランクとか気にならないくらい良かった」
「マジか。まぁ、歌ってて楽しくて
ファンの子も喜んでくれたらそれでいいしな」
白夜と香介はハハハと笑い合う。
二人とも何でも言い合えるが、
ムチャなことを言ったりはしない。
そういったお互いを真に想い合う心が
二人の絆を固く結びつけていた。
大きめのジョッキのレモンサワーと
塩だれの焼き鳥串がとてもウマかった。
まだ春になりきらない暗い夜闇に
二人の関係は輝いていた。
白夜も香介も今を確かに生きていた。
(短く詰め込んだけど、)おわり
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
ほんとに終わりです。