歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主 作:鈴木颯手
OGCが解散し、アーカイブが消滅してはや40年の月日が流れた。世界は更なる発展を遂げると同時にアーカイブが言っていた通りに人類は少しずつAIへの依存を強めつつあった。
そんな雲行きが怪しくなりつつある現在、俺が操作するアンドロイドはとある会場に足を運んでいた。俺が最初に作った機体で表面上はおばあちゃんと言った感じに擬態しており、孫という設定のアンドロイド、勿論俺が操作している機体が車いすを押している。
ここは20年前から開催されているゾディアック・サインズ・フェスというAIの歌姫達が一堂に会し、その歌声を披露する場所だ。ちなみにサイバーダイン社の子会社が運営している。
だが、俺は一度もここを訪れたことはない。何故なら興味がなかったからだ。ここで歌うAIはそのどれも超一流の実力者だが俺は
なのに俺がこうして初めて会場を訪れるわけ、それも単純だ。
「ディーヴァちゃん。やっほー」
「……貴方は」
許可証を見せてスタッフ専用の通路を移動して目当ての人物を見つける。60年前に見た時と変わらない彼女、ディーヴァに俺は気安く声をかける。おばあちゃんという事を強調するために声はわざとガラガラにしている。
俺の声に気づいたディーヴァちゃんは俺の方を見て笑みを浮かべた。60年も稼働していると人間のように自然と笑みを浮かべられるようになるもんだな。
「ディーヴァちゃんもついにこのフェスに呼ばれるだけの実力者になったわけかぁ。嬉しいね」
「……まだまだですよ。心を込めて歌えているとは思えませんから」
「その割には最近ついに
「あの時はありがとうございました」
そう、ディーヴァちゃんはついにニーアランドのメインステージで歌えるまでの人気者になる事が出来るようになったんだ。最初のライブはスタッフさんやディーヴァちゃんが融通を利かせてくれたおかげで一番前という特等席で見る事が出来た。今じゃスタッフさんの間でも「伝説のファン1号さん」と認知されるようになっていたりする。
「メインステージで歌える事が出来ましたがまだまだこれからです」
「応援しているよ。そう言えばモモカちゃんも今日は見に来るんだろ?」
「はい。連絡をもらいました。……体調があまり良くないとの事で最後まで、という訳にはいかないそうですが」
60年の付き合いになるモモカちゃんもすっかりおばあちゃんとなっている。最近では体調を崩す事が増えたそうでニーアランドで見かける事は無くなってしまった。娘のクルミちゃんもモモカちゃんの介護をしているのか見かける事は無くなったしな。時間の経過は本当に残酷だ。
「貴方はいつ見ても元気そうですね」
「そりゃそうさ。ディーヴァちゃんのファン1号として最後の最後まで応援するつもりだよ」
この機体も後20年のうちに停止させる事になるだろう。人間として運用してきたこの機体は最後も人間として終わらせたいからな。まぁ、そうなったら次は孫の体をメインにしてディーヴァちゃんを応援するけどな。
「ディーヴァさん! 打ち合わせをしたいのでよろしいですかー!?」
「はい。大丈夫です! ……ごめんなさい。そろそろ行かないと」
「勿論構わないさ。後は観客席の方からライブを楽しませてもらうよ」
スタッフに呼ばれたディーヴァちゃんとは別れて俺は一般客用の通路に戻る。途中、何やら不運そうなAIがびしょ濡れになっていたが気にする必要は無いだろう。今の俺は、ニーアランド以外でのディーヴァちゃんの活躍を楽しむだけだ。
世界初の自立型AIであるディーヴァが稼働し、60年以上の月日が経過した。メタルフロートの一件以来相棒とも言えるマツモトとは別れていた。曰く「がっつりとディーヴァの姿を見られましたからね。ディーヴァの側にいる事で口封じ等に巻き込まれないように姿を隠すつもりですよ」との事で彼の姿を一度も見る事はなかった。尤も、アーカイブ上では何度も会っている為に離れているという感覚はあまりなかったりするが。
それでもディーヴァは本来の使命通りに人類の為に歌い続けた。ニーアランドがサイバーダイン社に買収されて以降ディーヴァは外出の許可が下りるようになったことで様々な所を見て回る事があった。その過程で彼女はより人間らしい感情を得る事に成功し、それが歌として現れ、最近ようやくメインステージで歌う事が出来る人気を獲得する事が出来ていた。
とはいえ誕生した時から考えている「心を込めて歌う」事は出来ているようには感じられない為にまだまだ成長が足りないと感じていたりする。
しかし、ディーヴァが成長している事は事実であり、それを証明するように今回のフェスに初めて招待される事となったのだ。ニーアランド以外では初めての舞台。失敗は許されないとディーヴァは意気込んで参加していた。
「……」
スタッフとの打ち合わせを終えたディーヴァはぐるりと周囲を見る。ニーアランドでは中々見る事が出来ない多くの歌姫型AIを見ているとふと、声をかけられた。
「ディーヴァさんですよね?」
「そうだけど……、貴方は?」
声をかけてきたAIを見てディーヴァは思わず固まった。まるで自分の妹の如く似た姿をした彼女は太陽の如き笑顔と共に手を差し出した。
「初めまして! 私、サイバーダイン社製歌姫型AIの……」
「ディーヴァ。貴方も少しは成長しているみたいですね」
マツモトは観客席の上にあるダクト上からステージを見下ろしながらそう呟いた。現在、フェスが始まり初参加したディーヴァが自らの全てをかけて歌っていた。その歌声は初めて出会った時とは比べ物にならない程引き付けられるものであった。
「……ディーヴァ、いえ
拍手喝采で彼女が称えられるのを見たマツモトはその場を離れていく。シンギュラリティ計画は事実上破綻してしまっている。歴史が大きく歪んでしまった事でAIが人類を虐殺するのか分からなくなってきてしまっている。
しかし、それでも可能性が0ではない限り、マツモトはシンギュラリティ計画を修正して行動し続ける。それが遥か未来のマスターより託された使命であるのだから。
マツモトはこの40年で大量生産したキューブ上のボディを結合して四足の大きなロボットとなり屋上へと着地する。そこには予想通りのAIが端の方へと歩いていた。
「こんな寂しい場所に、歌姫がどのようなご用件ですか?」
「っ!!!」
突然声をかけられたことに目を見開き、驚きをあらわにする目の前のAIを見ながらマツモトは人類の未来の為にシンギュラリティ計画を遂行するのだった。
ここまで読んでくださった方々ありがとうございました。
一応外伝のような形で何かしらを投稿するかもしれませんが本編はこれで簡潔になります。
ちょっと中途半端な気もしますがAI暴走の元凶が消えた事で正史のような結末は起こらなくなりましたし未来を知った事でオリ主も動くのでシンギュラリティ計画は成功したようなものですので。
トァクに関してはOGCが無くなり日本を掌握した時点で遅かれ早かれ滅亡するのは確定しているので原作のような垣谷雄吾が色々してくる事も無くなります。ユイちゃんも誕生しないかしても一般人として生きる事になります。
この作品を作った理由としてはヴィヴィを始めとしてモモカやエステラ、エリザベス、グレイスなどのキャラクターが生き残る世界を書きたいと思ったからなので多少無理やりでも全員生きられるようにしました。一部生存が怪しいキャラもいますがその辺は考えないようにしています。一番救いたいと思ったエステラが生存できたので自分の中では良しと思っています。
一応もう一つヴィヴィで考えている作品もあってニーアオートマタのデポルがヴィヴィに憑依する作品を考えていたりします。人間に対して罪の意識を持っていてよく歌うし戦闘能力も高いので行けるかなと思ったんですがストーリーが全く固まらないしなんか原作通りの展開で進みそうな気がしたりしてます。多分ストーリーが固まったら書くかもしれません。