竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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20回目-100 終焉

  ねえねえ、こっからなにするの?

  

比翼は問う

 

  どこ行くの?

  

連理も追従する

 

  そうだねえ、俺の家…だと親とかが色々あるから、えーと、取り敢えず、

  そうだ!

  俺の部屋の隣に竹刀ちゃんにお得意の異空間作ってもらって一緒に暮らそう

 

  「「さんせーい」」

 

  ねえ、竹刀ちゃんもそれでいい?

 

  はい!

  秘密基地のような隠し部屋でございますですね!

  柄にもなくワクワクしてる子どものような己をちょっと律さねばならぬ心境でございますですが、面白そうで興奮冷めやらぬところかも?

 

やっぱりなんか変なところがズレている

まあ、でも何だっていいか

 

これから、一生この幸せが続くんだから――

 

俺はそれまでの自身の歩みを振り返る

 

江戸時代後期に生まれて、二十ほどで祇園様に出会い、人間から変化して約百五十年、死んで舞い戻って、また更に百五十年ほど、つまり三百年、羅刹として生きた

それから転生して人間に戻って今十一年くらい生きたところだ

 

単純に長かった

けれどもう何の衒いも要らない

 

俺は確かに掴み取ったんだ

愛する君と子どもたちとずっとただ一緒に生きていく幸せを…

 

  ありがとう、竹刀ちゃん

  さっきも言ったけどこれからはずっと一緒だよ

 

俺は左手で君の右手を取った

 

(あれ、竹刀ちゃんの指輪が無いな?)

 

どこかで落としちゃったのか

まあでもいいか、指輪なんてまた作れるし、それに君がいれば愛の形なんて要らないかもしれないし

 

  お父さーん、

  

  あれ、何?

 

比翼と連理が上空を指差す

 

何か、大きな雲のようなものが近付いて?

 

次の瞬間その雲から夥しい光が放たれ、尋常じゃない痛みが襲い、俺の意識はそこで完全に途切れた――

 

 

 

 

  うっ…

  

俺は寝台で目を覚ました

 

(ここは…?)

 

俺は何かの衝撃が残る頭を押さえつつ周囲を見渡した

 

畳張りのだだっ広い空間

縁側の向こうには美しい枯山水をたたえた庭園

カコン、と鳴る鹿威し

床の間に活けてある蓮の花

 

どう見ても和室

それも、俺には酷く覚えのある…

 

気づいた瞬間、布団から這い出した

 

(そんな、嘘だ!まさか…!)

 

部屋の外へ飛び出し、適当に見つけた家人の首根っこを掴んで話し掛ける

 

  ねえ!今、西暦何年何月何日!?

 

  は、はあ…、えーと、西暦…?

  西洋知識はよう疎いでござんすが、今は江戸の世でございますよ、

  玉乃衣様

 

  その名を言われた瞬間、愕然とした

 

琉堂玉乃衣(るどう たまのい)

羅刹「狩衣」と来羅木祇園様に名付けて貰う前の、俺の幼名、琉堂蒼衣は令和で生まれ変わった俺の名前

 

それじゃないってことは…

 

つまり今は…

竹刀ちゃんがまだこの世に生まれる前の時代!?

 

じゃあ彼女はこの先出会えても当然、俺の事を全く知らない――!?

 

  そ、んな

 

彼女と確かに先ほどまで握っていた、手のひらの温もりを握りしめた

爪が食い込んで血も出てくる

 

その手を床へと叩きつけた

 

  なんで、なんで、

  なんでだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

 

俺の絶叫は屋敷中に重く響き渡った――

 

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