まあそれ言われると何も言えんの
痛し痒しじゃ
俺は強く左手のひらで胸を叩き、
だったら俺に協力してよ
一人、いや、一柱でだめでも二人もいればなんとかなる可能性だって…
汝ごときが戦力に数えられると思うておるのかの?
女神様は冷たく言い放つ
勘違いするでない、人の子では汝一人と言うたが、それをわらわと同じ、「神」という次元まで引き上げればやはりループの知覚者はごまんとおるのよ
それら全てが対処に当たっても、何の成果も出せていない事態と言うことをきちんと説明しておいたほうが良いのかの?
え…?
スケール感とついでに事態の深刻さが飲み込めたかの
はっきり言って汝の手に追える案件ではないよ、力不足じゃ
わらわ、今は汝が事態を理解できるように話はしてやっておるが、間違ってもループを乗り越える相棒とは見ておらんからの?
現実が、容赦なく俺に襲いかかった
力量不足、そんな事は百も承知だ
だが、じゃあ今日、俺は何のためにここに来たのか?
足元が崩れ去るような感覚を覚えたが、しかしすぐに正面へと向き直る
理由など、決まっている
そんなことわかってるよ!
でも、諦めたら絶対に竹刀ちゃんと一緒にはいられないんだ
だったら無理でもなんでも足掻くしかないんだ!その先にしか道はないんだから
俺は彼女の目をしっかり見て話し出す
俺は…
知ってるよね、多分君なら
俺は前の前の生では本当に無気力だった、空っぽだった
でも、その人生の終わりで、さっき君が言ってた蝶々娘のシノハユちゃんに出会えて初恋をした、心をもらった
その次の生が始まった時には嬉しかったよ
また彼女に会えると思って、百年以上ワクワクしながら待った
ただ、再会してからの方がそれまでの無気力な生よりよっぽど辛いことの連続だった
彼女は俺を徹底的に嫌って詰って、それだけならまあ良かったけれど、俺を嫌いすぎてご飯も喉通さなくなってみるみるやつれて…
そんな状態なのにやっぱり好きだから俺は囚えた彼女を手放したくなくて
そんな時だよ、竹刀ちゃんが来てくれたのは
あの子は俺に光をくれた、単なるシノハユちゃん救出の仕事でしか無かったはずなのにちゃんと俺の目を見て話してくれた
そんな子、いままでどこにもいなかった!
盲目信者か、俺を羅刹として嫌う存在しか…
竹刀ちゃんと過ごしたたった一ヶ月弱、ずっと俺は救われていた…
幸せだったんだ、二回の生で初めて…
だからこそ嫌なんだ、一緒に過ごすことができても、いつかまた繰り返しになって、彼女と悲しい別ればかりし続けるのは絶対に嫌なんだ!!
女神様は額に手を当てた
はあ、今更その話か
皆まで言わずともわかっておると言わなかったかのう
本当に汝は竹刀のことだけは微塵もぶれぬよな
一途というか、妄執に近い愛というか…
女神様は深くため息を吐いた
わかっておるよ、汝の望みくらい
でも、わらわは気力でどうにかなる事態ではないということをじゃな…
それこそわかってる!
なんでさっきみたいな自分語りしたと思う?
元々空っぽの俺でも、竹刀ちゃんの事だけは諦めて空っぽに戻る事なんて、死んでも嫌だって言ってるんだ
愚直でも考えなしと蔑まれてもいい、絶対にこのことだけは一歩も引く気はないから!!
女神様は押し黙った
そうか
ただ、それだけを小さく消え入るように言った