竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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20回目-17 決意

静謐な空間に満ちるこの夜の空気は嫌いじゃない

薄明るい光がほのかに灯って冬には似つかわしくないほのかに温かいこの場所でだけ吹く風は俺の心まで風に乗って運ぶようだ

 

我ながら決して理詰めではなくまたシノハユちゃんの気持ちも碌に考えられずの

感情論一本の独りよがり

でもその答えなら俺自身が一番納得できる

そう思ったんだ

 

だから…

 

決めたよ、竹刀ちゃん

俺の答え

言わなくていいんだったね?

 

ええ、決められたならそれで良いです

変えられるなら今のうちですがね

決闘始まったらもう変更不可です

場をあなたの意志ごと固定致しますですゆえ

 

男に二言はないよ

まあ言ってもないけどさ

 

ご随意に

あなたの答えも心も論理も推察もそして敬愛する大切な先輩との思い出ですら

私には決して届かないあなただけのものでございますですゆえ

ええ、実に羨ましい限りでございますです

 

竹刀ちゃんは一度俺を睨んだ

そんなに羨ましかったのかな

 

では移動致しましょうです

先輩の元へご案内いただけますでしょうかです?

 

あ、その前にさ、

一応この場所がなんなのか教えてくれる?

 

限られた者たちしか立ち入ることを許されぬとても神聖な空間

「聖域」と申しますです

 

聖域、か

わかったけどじゃあ俺はここに来る資格があったってこと?

 

さあ、其れはさっぱり

あなたが只者じゃないのか、何か手違いでもあったのか…

 

俺は普通の羅刹だと思うけどねえ

その前は一般人だし

 

ええ、私も左様に思うですゆえ理屈はよくわかりませんですね

 

まあその聖なる場を盛大にえっちな場所に変えてた君が言えたことじゃないよね

 

ほっとけ!です

 

また真っ赤になった君にぶん殴られそうになったのでなんとか躱した

 

ねえ竹刀ちゃん

ちょっとこっちへおいで

 

君を手招きする

すると君は

 

なんでございましょうかです?

 

と言って首を捻りながら俺の下へ来てくれる

ああ、そういうところが無防備だって言うんだよ

ほら…

 

俺は君の顎を掴み

もう一度だけ深く深く君に口づけをした

 

もし最期になるならこれを最期の思い出としたい

そう思ったんだ

 

そう、

俺はシノハユちゃんじゃなくて君を選んだ

もうそれ以外の選択肢なんて考えなくていいと心の底から思ったんだ

 

君は何か思うところでもあったのか俺の気が済むまで振りほどかないでいてくれた

顔は相変わらず真っ赤だったけど

優しいね

竹刀ちゃん大好き愛してる

俺は心の中で君に告白した

 

ありがとう…

でも口に出したのはそれだけ

 

そう言って名残惜しいけれど俺は君を離した

以降は君の顔を見ずに歩き出した

 

これから闘うんだからね

これで名実ともに対等な敵同士だ

俺の決意でもあった

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