竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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あらすじやタグを修正しました
今後も展開に合わせて少しずつ変えていくかもです
今はまだ出せない情報が多くてすみません


20回目-20 顛末

私は其のまま地面に倒れる

満身創痍だった

其れは其うだ

途轍もない重傷

 

血を流しすぎた

動けもしなかった

 

ずっととっくに限界を超えて動いていた

奥義も放って一気に残り僅かな体力も持っていかれた

 

術の解除もできない

このままだと死ぬ

 

意識はあるが立ち上がる気力も剣印を結ぶ為に手を動かす事すらもままならなかった

 

はあはあはあ

荒い息が止まらない、気絶しそうになる

 

気を失ったら死ぬ

しかし瞼は重くまどろむように開かなかった

氷だらけの地面に手が悴んで指先一つ動かない

 

しかし、

ぬっ

と自身を覆う影があった

 

(…あれなんか温かい?)

閉じた目をようやっと半分だけ開け私が目にしたのは頸無しの胴体だけとなった其れが自分を引っ張り上げる所だった

 

あれ、え?

ぜー

其れだけなんとか言葉になった

 

胴体さんはそのまま私を横に抱えてくれた

そうして近くに転がっていた頸を拾って定位置に戻した

 

ったく…

君が言ったんでしょ

えすこおとしろって

頸無しでって、大分間抜けだけどまあ仕方ないね、

勘弁してよ

 

それにしても全く格好つかない勝利だねえ

まあそこまで追い詰めた俺も凄かったってことで取り敢えず褒めてよ

 

あと…

そろそろ痩せ我慢止めな

 

あなたはなにゆえか私にまた口づけをした

瞬間何かが私の中で弾けた

 

な!、はーはー、

ぜー

い、い

今!、はー

ぜー、はー

なにゆえ!?、はー

 

こうすれば元気になるかもなって荒療治だけどほら、目、覚めたでしょ

そろそろ術解除しないと出血多量であの世行きだよ?

 

え、あ、

私は慌てて悴んだ左手で剣印を結び

か、解!

 

術を解除した

 

瞬間空間ごと氷も消え元の部屋になった

あなたは私を降ろし取り敢えず私もあなたも自動回復した

 

あなたは私の様子を見てホッとしているようだったが今から処刑されるかもしれないところなのに何を呑気にしているのだろうか

 

力が元に戻ってきたため、すかさずまたあなたをズタズタに斬り裂き、簡単な拘束術で先輩の眼前に吊るし上げ、異空間に入れて持ってきた先輩の刀を差しだし声を掛けた

 

後は先輩にお任せ致しますです

 

部屋を去り際に私はあなたにもばつが悪そうに声を掛けた

 

私を助け起こしてくださりありがとう、ございましたです

 

顔が赤くなっている自覚はあった

あなたは流石に黙っていてくれるくらいの甲斐性はあったようだ

 

----

 

結果は勝手に術が知らせてくれるので別にどこへとなり逃れてしまえばよかったのだが、先ほど奇しくもあなたとなし崩し的に契りを交わした屋敷の裏山にある此の聖域

 

あまりにも複雑な思い出となってしまった其処に私は留まっていた

 

時刻は戌の刻

 

(一応、首尾よく死んだらまあ斯く宗教、えーと琉堂教?に帰依する信者さん方の

便宜の取り計らいをしなければなりませんですし

其れは早い方がいいでしょうし

 

逆に生き残ったら今度は先輩の身の安全を確保しなければ

とは言え、あなたは愛する先輩を殺しはしないのでしょうが…)

 

其れができるならとうにしていたはずだ

あなたは先輩を閉じ込め、そしてきっと…

自分自身も檻に閉じ込めてしまった哀れな殿方

 

お二人の事情に立ち入るべきではなかった

先輩の本心は流石に分からないが少なくとも他人にお膳立てされてまであなたの死を願うとは思えない

 

其う、始めから私は先輩があなたを殺さないと踏んでいた

やるなら自分で一から倒したいはずだ、と

すなわちこの賭けは単なる私のエゴにして私怨

 

自身が先に好きになったはずなのだ、胡蝶シノハユ先輩を

なのに横から掻っ攫われた

先輩の想い人なら、まあ、いいが、羅刹さんにだ

赦せなかった

 

ゆえにせめて先輩を手籠めにした責任を取ってほしかった

私ごとき初対面の者に打ち明けた、あなたの愛されたいのだという本心

 

(あなたは其れを素直に先輩に曝け出すべきなのでございますです)

 

そもそも元から羅刹狩りをしていた私がわざわざ四か月前に組織に所属したのは敬愛する胡蝶先輩に再会するため以外の何物でもなく、出会えてたった一か月で行方不明となり腸が煮えくり返った

 

(其れがよりにもよってあなたのような羅刹さんの仕業だったとは…)

 

有象無象の人肉にしか興味持たない羅刹さんであれば秒で殺し、また制約で殺せない強い羅刹さんであれば搦手で殺す方法を考えるところで間違っても生かして返す気など沸かなかったというのに…

 

あーとかうーとかしか言わない雑魚さんではなく思考力があり、ともすればそれは化け物ゆえに生まれつき並外れた学習能力と記憶力を持つ私にも届きかねないほど高みにあるもので感慨や感情を、

そして腹立たしいが愛情すらも感じ取ることができ、何度も表面上だけでは恐らくなく、優しくされ、恩情まで掛けられ、意のままに抱かれ、極めつけに先ほどの結果だ

 

あのまま放っておけば私を殺せたろうに助け起こされてしまった…

 

意味はわかる

頸を斬ったのだ間違いなく私の勝利だ、だからこそもう決着はついたとそう言いたかったのだろう

 

けれどあのまま私が死んだらあなたとの痛み分けの結果にはなったはずなのだ

 

羅刹さんとしては其れを望んでおかしくない、私の存在が羅刹さん側にとって脅威なのは骨身に染みたであろうに

 

「守られた」

 

他のすべてを差し置いても其れがとても引っ掛かっていた

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