竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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20回目-23 初夜

俺と君が出会ったその日の夜――――

 

広い自室に竹刀ちゃんを案内し今日から俺たちの住まいだと説明した

我ながらシノハユちゃんの時とやってることは変わらない

 

だが一歩入って竹刀ちゃんは、はーーーーとこめかみを抑えて顔を覆った

 

どうしたのだろう、やっぱり緊張しているのかな

これから夜の営みもあるから?と

思ったが

 

  いや、先ほどの講堂裏手のお部屋も同じ有様でございましたですが

  あなたは斯く光景が全く目に入らないので?

  清々しいほどの鈍感さんでいらっしゃいますですね!

 

竹刀ちゃんが言うには

 

  幽霊さんいすぎて暮らすとか暮らさないとかもはや左様な次元じゃ無いので

  ございますですが!

 

  幽霊、そんなものがいるのか…

 

  おりますです、所狭しとびっしりと!

 

君が言うなら多分そうなのだろうなと無神論者にして非科学的なものは基本信じない

俺も頷くしかなかった

 

竹刀ちゃんはどこからともなく箒とちりとりを取り出し

 

  まずは掃除!

  

無遠慮にも俺が部屋の調度として飾ってる元信者のされこうべ達を単なる邪魔なものとしてどかしていった

 

(君って案外細かいところに頓着しないよね、本当に人類の味方かい?)

 

埃取りは済んだようだ

しかも竹刀ちゃんは掃除の達人みたいだ

なんかよくわかんないけど俺の部屋がめちゃくちゃ綺麗になってる

 

俺は決してズボラではなかったんだけどなあ…

 

  後は仕上げでございますです!

 

俺を手招きして

 

  一応あなたにも今如何なる光景か見せて差し上げますです

 

  光景?

 

  ふむ、聖域には入れても霊感は持っていらっしゃらないのかも

  しれませんですね

  あなた

 

君はまた左手で剣印を作る

 

  神祷術 第二の編 俗物漢方 視野共作

 

君が唱えると一瞬光の洪水が起き俺の部屋にいた夥しい数のまつろわぬ者たちが

その姿を現す

なんとなく覚えのある者たちもいた

 

  単刀直入に申しますですがあなた此方にて人殺しあるいは人喰いしてるですね?

  ごくふっつーに

 

  うんそれはまあ

 

  其の成れの果てさん達でございますです

  お可哀想に

 

  へー

 

  ええ

 

俺の反応もどうしょうも無く淡白だけど君も似たようなものだった

 

(それで済ますんだ…)

 

  一応あなたが当事者さんですゆえ反省してくださいませね

  未練残す形で世に繋ぎ止めたはあなたの食い殺し方が中途半端だったのが

  原因でございますですゆえに

 

竹刀ちゃんは切り替えたように

 

  じゃ

  ちゃっちゃとお片付けでございますです

  まあ私本当は斯く分野は専門外なんでございますですけどねぇ

  霊媒師でも拝み屋さんでもないですゆえ

 

君は呑気に取り敢えずそれらに襲い掛かられなさそうな位置を確保し

 

  開け冥府の扉 魂達の揺りかご 妙なる場所へ

 

言うなり俺の手を取り後方へと押しやる

 

  何するの?

 

  あなたも引きずり込まれてもおかしくないですゆえ

  あなたもあの光の彼方よりいらしたのでございますですよ

 

なんとなくそうらしかった

君が作った扉の向こうから漏れ出てきた光の洪水を見ているとどことなく引っ張られる衝動がある

 

俺は竹刀ちゃんの手をしっかりと握っていた、君も強く掴んでいてくれたけれど

さっきまでの無表情が更に色濃く無表情で能面になっているように見えた

 

やがて光は止んだ

 

  ねえ竹刀ちゃん、大丈夫?

  

なんとなく竹刀ちゃんが暗い表情をしているように見えて気になる

 

  あ、

  あーはい、問題ないのでございますです

  あなたこそ大丈夫でございますですかー

  魂すっこ抜かれてないでございますですかー

 

  んー正直あっちへは行きたい衝動に駆られたけど今は扉も光も消えたし大丈夫

 

  なら問題ないでございますですね

  惹かれるのも無理からぬこと、あの光は里帰りまたはお母さんのお腹に

  戻るような感覚が生きとし生けるもの全生命に沸き起こる筈でございますですよ

  来し方行く末ってやつでして…

 

  君にも?

 

  …私だけは例外でございますですね、私だけは、まあ半分化け物ゆえに

  あちら側からやってきていない者になりますです

 

  ふーん

  俺はあそこから来たの?

 

  ええ、左様なはず

 

  で、冥府って言ったってことはあそこに帰るんだ?

 

  左様にございますです、満点

 

  君は違うの?

 

  違いますです

 

  じゃあどこから来てどこに帰るの?

 

君はわかりやすく言葉に詰まった

さっきなんとなく暗い表情だったのは多分それが原因なんだろう

大方自分は他者とは違う化け物、とかそんなつまらない事を考えていたに違いない

彼女は自分を化け物呼ばわりして一線引く癖があるようなのは話してるとなんとなくわかる

 

本当に呆れた女の子だ

ずっと握って離さなかった手を俺は強く手元に引き寄せ、君を抱きしめた

 

  俺は別に君が何者でもいいよ

  だって俺が選んだんだもの

  でも帰るところがないなら俺のそばにいてずっと

  それしか願わないから

 

そうしていたら君は平常に戻ったようだった、相変わらずの無表情だったけど

 

そのまま俺の寝台まで連れて行く

が、流石に問いを投げかけられた

 

  あのー

  なにゆえ

  あなたと寝所を共にせねばならんのでございますです?

 

  何ってそういう契約だから

  君は俺のものでしょ

 

 

竹刀は思う

自分は決して賭けに負けたわけではない

かと言って眠り続ける胡蝶シノハユカナヰ両先輩が心配で結局身を差し出すしか無いのであった

 

  せ、せめてあの、灯りとか消して…

 

  嫌だ

  君の綺麗なお顔見れなくなっちゃうし

  別に平気でしょ?

  生娘ならともかくさっきは散々俺の下で喘いでたでしょ

  何十回もさ

 

  今日まで処女だったのをあなたに奪われただけじゃないですかー!

 

  奪った?

  人聞きの悪い、一人で致してた淫乱な君を俺が親切心で手伝って上げた

  だけだよね

 

  淫乱って言うなあ!

 

  じゃあ淫蕩

 

  其れもだめ!

 

 

打てば響く

俺と君との掛け合いは昼間からずっとそう

話してても戦ってても駆け引きしてても、そして寝所でもそれは全く変わらないらしい

なんだかんだとても愉しいね

さっきはちょっと落ち込んでいたようだったけどもうすっかり調子を取り戻したようだしホッとした

 

埒が明かないので君の服に手を掛けて脱がし始める

 

君はちょっと抵抗してたけど俺に触れられた場所から熱が灯ったように

別にいわゆる性感帯じゃなくても触れるたび声が漏れる

やっぱりとても感じやすい身体だ愉しい♪

触ってるだけでも愉しいが舐めてもみたくなる

君の反応が可愛くてつい意地悪したくなる

 

  ひゃあ!

  い、いずこの場所触って…

 

  別にいいじゃない

  俺と君との仲だし

 

  本日会ったばかりですー!

  でも俺のだし

 

  そ、其れは…

 

君の綺麗な黄緑の瞳が潤んで揺れる

俺はその瞳にどうしても吸い寄せられる

 

俺と君の虹色と黄緑が絡み合いどちらからともなく口づけを交わす

そうしてそのまま俺の舌を君に絡ませ

 

唾液の音が響き合う交舌となった

そして暫し経ち君の息が苦しいみたいで俺も名残惜しいけれど解放してあげた

 

  大丈夫?

 

  な、なんとか

 

  ていうか特には心配してないんだけど

  君俺の冷気食らって肩で息しててもまあピンピンしてたし

 

  あ、あれはですね

  戦闘中には少しは、其の、鍛えられてる部分が内臓とかも含めて

  普段は寝こけてるような部分がちゃんと起きて仕事してくれるですが

 

  うん

 

  平時とか、しかもなんて言うんです、えっと今は、情事?にはまるで

  役立たずなのございますです

  私の身体の細胞さん達寝ぼけてるのでございますですよー!

 

  君と一緒だね

  戦闘中なら頼もしいけど

  今は面白いくらいボケっとしてる

 

  バカにしてるです?

 

  してないよ?

 

  もう、一体なんです  

  少しは身を任せてさっさと天井の染みでも数えていようかと思ったら

  雰囲気台無し

  あなた実は下手くそってやつなんじゃないです?

 

  それ今言う?随分言ってくれるねえ

  後悔しても知らないけど

 

  はん、あなたごときに後悔させられる私じゃないです

  だって名実共に私の方が強い!

 

  ふんふんよく分かったよ

  今は正気みたいだし、さっき抱いた時みたいに明らかに熱に浮かされてる

  ようなのと違うから一応扱いとしては初夜だし加減して生娘触るみたいに

  優しーくしてあげようかと思ってたんだけどやーめた

  宣言通り後悔させてあげる

  いくら戦闘で俺より強くとも情事の経験値ゼロに近い君が俺を上回ること

  なんてあり得ないんだよ?

 

もうほとんど前しか覆ってなかった君の服を一瞬で脱がして俺も全部さっさと脱いで君に覆い被さる

 

君は待って、とかいじらしく言ってたけど土台遅い

あれだけ俺を煽ってくれたんだからたっぷりお礼しないとね

 

  ほらちゃんと力抜かないと痛いだけだよ?

  ああでも大丈夫か、無駄に不死身の身体してるもんね

  別についうっかり加減間違って身体に風穴開いても君なら治せるよね?

  俺他の誰でもなく君相手には一切引くつもりないから

 

止めてー、という悲鳴もどこか心地よく響いた

 

こうして俺たちの夜は更けていった

 

尚やっぱり何度も君の内臓貫きながら常人ならとっくに何度も死んでる

命懸けの性交で俺達は互いに何度も達し結局たった一晩で百回は絶頂して

しまったのだった

 

中に出した回数も五十回は下回らない

もう何十回犯ったか定かではないが今晩でなくとも近々確実に妊娠するだろうなと

思った

 

(そしたら君は、俺の子産んでくれるかい?竹刀ちゃん)

 

俺の隣で長い一日に疲れ果てて眠る君

その端正な寝顔を見るだけで込み上げてくるものがある

 

嗚呼、これが幸せってやつなんだな

俺はずっと得難かったものがようやく手に入った事を実感した

 

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