君が遺した竹簡を抱えて俺は走る
書き置きは無かった
俺に気を利かせてくれるような君じゃないのだろう
次はちゃんと行き先を忘れずに聞くことにしよう
ただ、なんとなく予感があった
俺の体内の昨日散々君から譲り受けた力がどうやら反応していた
(きっとそこにいる)
俺は探知は苦手な羅刹だけど君の居場所ならわかるみたいだ
だって昨日もそうだった
俺が羽交い締めにしてそこから君が俺をぶっ飛ばして一目散に逃げ去った時、まるで俺は君に導かれるようにそこにたどり着いた
あの時は今と違って君を食らう前だったけど、でも何かが共鳴するような感覚だった
やはり同じだった
果たして君はそこにいた――――
実に美しく舞っている
そして自分で節をつけて歌ってもいた、祝詞だろうがそちらも聴いたことが
ないほど美しい謡だった
多分君の神祷術なんだろう、それを使って神楽舞台を組み神楽鈴、踊り専用と
思われる昨日の簡素な黒い巫女服よりは上等なやはり黒い巫女服
(…なんで黒ばっか選ぶんだろう、似合うけどさ勿体ない)
舞型は俺の知らないものだ、自己流かもしれない
俺は得心した
そりゃこれだけ美しく舞えるなら戦闘中の君のいくつかの技とあと戦型自体が舞のように見えるはずだ
君は踊って戦う巫女さんなんだね
そんなことを思ったがどちらにせよこの美しい催しには無粋なので黙っておいた
〜〜♪
歌と踊りが終わる
こちらへ向き直って一礼
俺は立ち上がって拍手を送ったが
君は俺なんかに目もくれなかった
今朝のお務めしゅーりょー!!
雰囲気余韻全てぶち壊して君は言い放つ
そのままドタドタ神楽舞台を降りる
神楽鈴も消え服も昨日の巫女服に戻っていた
さっきまでの艶やかで美しい花はどこへやら君は俺にずいと右手の人差し指を突きつけ
あ、の、ですねー!
あなたね、別にお招きしておりませんですゆえ来なくて良いので
ございますです!
というか恥ずかしいですゆえ見るな!!
え、嫌だ見る
えー
あり得ないのでございますです!
嫌だー
これからも見るー
私の巫女としての数少ないお仕事の邪魔をする気でございますですか?
邪魔してないし
大人しく見学してたでしょー
見学するなと言ってるですー!
俺も君も譲らない
ああ、これがこれからの俺の朝になるのかな、そんな予感がした
むー
平行線でございますですねえ
そうだね
ならまた勝負でもする?
何やっても私が勝ちますですが
昨夜俺に散々喘がされといて勝った気になってるの?
いや、いくらなんでも寝所の勝負は違うでしょ…ってか
朝っぱらから下ネタ禁止ー!!
取り敢えず朝から君にぶっ飛ばされた
多分これも日常になるね俺
はーどうでもいいですけど!
あなた此のまま此方にいらっしゃると日差しで焼け死ぬのでは?
聖域ゆえに外の時間と少し違うですけど確実に空は白んでるし赤いので
ございますですが
竹刀ちゃん俺の事心配してくれてるの?
嬉しいなあ
はあ?違いますですし
あなたに私要因で死なれると私が制約破りになる可能性があるですゆえ
迷惑ゆえにやめてくれと言ってるです
俺はふーんと思ったが 今聞き逃がせない事を言わなかったか?
ん、それって、昨日俺がシノハユちゃんに殺されてたら君要因な判定出る
可能性無かったの?
君は痛いところを突かれたような反応を見せる
まあ表情は相変わらず無表情なんだけど
別に、其れなら其れで私が腹括るだけでございましたですし…
まあ其の、最悪は、まあ、今頃ならまあ、
制約破り食らっても超手痛いってほどでも無かったですし
其の場合賭けは不成立でしたがね
あなたも私も共に地獄行きで先輩は助かるってところでございました
でしょう
もちろん其の可能性を考えていないわけではなかったですが
細かいところ気にすると勝負になりませんでしたですし、
一身上の都合にて無視決め込んでおりましただけでございますです
じゃあ、もしかして竹刀ちゃんは俺との勝負提案した時本当は俺と
心中しちゃう覚悟だったの?
はあ、まあ…
今更ぶっちゃけるとあなたちょっと手合わせした限り、
其れからお話した限りなかなか食えないという印象を抱かせる脅威で
ございましたですし、一人くらい地獄に道連れにしても其れなりに
お釣りは来るかなと判断したのはあるにはあるですね
君は最初から俺にそんな思いをぶつけてくれていたのか
知って俺は君がもっと愛おしくなった
竹刀ちゃんありがとう可愛い大好き愛してる!
朝からうっざいのでございますです!
やっぱり平行線だった