で、話を戻すんだけど…
ええ、左様にしていただけるとありがたいです
先ほどの話題はなんだか不毛でしたです
失礼いたしましたです
君はもうすっかり平静に戻っていた
いや、違うか
そう「装ってる」のかな
それはそれで傷つくなあ
戻しましょうです
はいはい、あのさあ
竹刀ちゃんは本があっても一瞬で読めるんでしょ
じゃあ他の時間はなにするの?
結局、本来は夜の狩場の下見目的なんでしょ
あくまでそれのついでに物見遊山してる感じに俺は見て取ったけど
まあ、あなたが私の行動をいかに見ようとあなたのご自由ではございますですね
うん、だからさ
俺としては空き時間の一部でいいからやっぱり仕事手伝って欲しいかなって思ったんだよ
別に俺はずっと一人でやってきたんだからそりゃできるよ
でもさ、折角二人になっておまけに専門分野も被ってるのに活かさないのって俺的には勿体ない気がするんだけど
何せ知識だって対話した方が深められるものだし
竹刀ちゃんは顎に手を当て少し考えてくれている
昨日は断られたからダメ元だったけど取り付く島ゼロってわけでもないのかな?
其れって、あなたが私のお手伝いを希望している、または私へお給金を支払う口実がほしいというよりは、あなた自身の後学のためや、信者さん方を助けるという意味合いで仰ってる感じなんです?
昨日はとんと左様な意味合いには聞こえておりませんでしたですが
(まあ昨日言ったときとは確かに温度が違うかもね)
…まあ、ね
俺も改めてどうしたいか考えてみたけど
とにかく昨日は淋しかったんだよね
多分、君と喧嘩みたいになっちゃったってことが大きかったけど
そしたら二人でいた方が色んな行き違いも減らせるだろうしってのはあるけど
もちろん有識者二人の方が信者たちへの教導って観点で強いはずって思ったよ
ふむ、なるほど
一度お断りしたのにも関わらず、更に考えた上でもう一度打診ということであれば、私も相応の断る理由が必要になりますですね
竹刀ちゃんは喋りながら目線を下に向けてる
真剣に検討してくれてるみたいだ
…しかし状況を知りもしないのに無碍にお断りができないのも確かでございますです
一度くらい、見学兼ねて参加するのは良いのかもしれませんです
あなたのお仕事ぶりの監督もできるかもですしね
其れに…
(今、俺の目をちょっと見たかな)
左様でございましたですか
淋しかった、と
うん、とっても
ならばまあ、ちょっとくらい、仕方ないですゆえ、時間がなくもないですゆえ、お付き合いして差しあげるのも、まあ、吝かではございませんでしょうです
本当!?
え、ええ、
取り敢えず!
見学だけでございますですよ!
具体的には私がまず術で透明化してですね!
(すぐ逃げようとするんだからなあ…)
はいはい、しっかり姿現してもらわないと意味ないから、まず引っ込み思案をなるべく克服するところから始めようかあ
いきなり難易度最上級なのでございますですが!
なら前髪くらいちょっとだけ下ろしとく?
そのくらいなら多分信者たちもまあなんか恥ずかしがり屋なんだなで流してくれると思うけど
え、えーと
あの、やっぱり斯くお話は後日またの機会に、という事には…
俺は背後から君を抱き締めて逃さないという意を示す
だーめ、ならないよ
だって見学でも、やるって言ってくれたの君だもんね?
俺は「お立ち台」の仕事の手伝い頼んだのに本当に黙って見学されてちゃ意味ないのもわかってるでしょ
弱々しくても吃っててもしっかり声出してもらって信者達の面倒見てもらわなきゃねえ、手伝いにもならないからねえ
う、わ、わ、
わ?
わかったですよ!
やればいいんでございましょうです!
やれば!!
うん、改めてお願いするね♪
う、が、頑張りますです!
いいぞー竹刀ちゃん!
しっかり卵破って孵化するんだよー
だから小鳥さんじゃあないですってばー!!!!
君の声は照り始めた朝の光に溶けて消えた